『The Movie in 2011』総括 [上映中飲食禁止じゃ!]
今年も頑張って観ました
新作のみ観賞日順に並べますと... (赤が海外作品、青が国内作品)
- ばかもの
- キック・アス
- バーレスク
- ソーシャル・ネットワーク
- ザ・タウン
- 冷たい熱帯魚
- 太平洋の奇跡
- 英国王のスピーチ
- 神々と男たち
- ヒアアフター
- トゥルー・グリット
- ザ・ライト
- 戦火のナージャ
- 八日目の蝉
- わたしを離さないで
- ブラック・スワン
- 大木家のたのしい旅行
- 光のほうへ
- 奇跡
- パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉
- SUPER8
- BIUTIFUL
- 127時間
- マイティ・ソー
- ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2
- モールス
- 忍たま乱太郎
- コクリコ坂より
- ペーパーバード 幸せは翼にのって
- シャンハイ
- ハウスメイド
- ゴーストライター
- レイン・オブ・アサシン
- ザ・ウォード 監禁病棟
- 世界侵略 ロサンゼルス決戦
- アンフェア the movie
- ゲット・ラウド
- 猿の惑星 創世記
- とある飛空士への追憶
- ツレがうつになりまして
- さすらいの女神(ディーバ)たち
- 5ディズ
- UNDERWATER LOVE おんなの河童
- ウィンターズ・ボーン
- 一命
- ステキな金縛り
- フェア・ゲーム
- アジョシ
- コンティジョン
- インモータルズ 神々の戦い
- ミッション:8ミニッツ
- 灼熱の魂
- ミッション・インポッシブル ゴースト・プロトコル
昨年の38本を遥かに上回る新作53本の新記録更新なのである
その代わりに旧作DVD観賞が19本に留まったので、総観賞数は72本
1年間の生活を振り返ると、論理的より体感的に云ってこれ以上の観賞本数は困難を極める。
週末レイトショー中心の観賞なので、年間100本を目指すとなると、休日に映画館を3軒ハシゴしたり、平日は寝ずに朝方までDVDを観なければ達成できそうもない。そうなれば、明るい家庭生活が崩壊するか、会社をクビになるか、はたまた健康を害するかである。
来年は「年間100本」の旗は降ろして、今年並みのペースで良作を探しながらの観賞にしていくつもりだ。
因に私の映画情報ソースは、毎週金曜日の日経新聞夕刊の最終面。あまり話題に上らないミニシアターでの作品も取り上げられており、ブームに煽られない客観的な批評に好感が持てる。
まだまだ見逃した良作もあるはずですが、今年度の超個人的ベスト5はこれだ
◎次点『英国王のスピーチ』
英国王のスピーチ コレクターズ・エディション(2枚組) [DVD]
- 出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)
- メディア: DVD
オスカー受賞作も、へそ曲がりな小生にはギリギリの次点作。
というより、アカデミー賞の候補にも挙がらない良作が世界中には、まだまだ目白押しだから仕方ない。
また、芸術的・技術的に評価が高くても、それが心に響く作品かは全く別であり、「感動」とは観る者の感性に委ねられる。
英国の伝統と威信を感じる設定・絵作りは秀逸であり、まさに「正統派の映画」の王道。
作り手の良心を感じずにはいられない佳作に、素直に拍手を送りたい
◎第5位『BIUTIFUL ビューティフル』
超℃級のヘヴィーな『やるせなさ』。心身安定時に観賞しないと、押しつぶされて暫く立ち直れなくなるレベル。
近年、世界中の世相を反映してか、社会の底辺から抜け出せない人間の業に光を当てた作品が多い気がする。
同傾向としては「光のほうへ」「ウィンターズ・ボーン」「灼熱の魂」が挙げられ、みな秀作であったが、映像美とハビエル・バルデムの鬼気迫る演技が、私の精神をまさしく「ビューテイフル」に打ちのめし入賞。
この「重さ」と「優しさ」は圧倒的であった。
◎第4位『UNDERWATER LOVE おんなの河童』
私の脳髄から前立腺まで奮わせたB級邦画の最高傑作
映像・演技・音楽・演出すべてが、小生の破廉恥な感性を直撃
こんな作品に巡り会うから、ミニシアター通いは止められないのである。
今年度最狂のアートな作品。
UNDERWATER LOVE-おんなの河童-オリジナル・サウンド・トラック
- アーティスト: ステレオ・トータル←素晴しい
- 出版社/メーカー: インディーズ・メーカー
- 発売日: 2011/09/15
- メディア: CD
DVD発売が待ち遠しい。妻と一緒に観られる内容ではないが・・・
◎第3位『ミッション:8ミニッツ』
この手の映画には必ずと云って良い程ハマります
時間軸が目まぐるしく交錯する中で、しっかりと人間ドラマを演出している。
ラストシーンの『穏やかさ』は白眉
何度でも見返したくなるサスペンス作品の傑作。
国内版の発売が、これまた待ち遠しい
◎第2位『八日目の蝉』
意外にも、このお涙頂戴風のベタな作品が銀メダル。
しようがないのです〜体は正直である。
「写真館」のシーンで、鳥肌がたち、胸が締め付けられ、涙腺の決壊を抑える事ができなかったのだから
後日、NHK版の再放送も観たが、映像も演出も遥かに映画の方が水準が高い。
当然、演技力・個人的趣向からも「壇れい」より断然『永作博美』なのだ
◎第1位『キック・アス』
今年2本目に観た作品なのだが、堂々の先行逃げ切り。劇場で3回観て、DVDは発売直後に購入。
反道徳的コンテンツ満載の気分爽快の傑作コメディ・バイオレンス・ムービー
世間の評価は別にして、ここまで私の心臓をぶち抜いたアクション映画は希有だ。
キャスティング・演出手法が私の感性に完全シンクロ、更に挿入音楽が心躍るロックばかり堪りません
バリバリの華やかなハリウッドの様式の影に潜む英国調のくすんだトーン〜感じる方だけ感じて戴ければ嬉しい〜
そしてヒット・ガールことクロエ・グレース・モレッツの唇にうなされたこの1年でありました
さて、来年はどんな素敵な作品に巡り会えるだろうか
みなさま、よいお年を
『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』 [上映中飲食禁止じゃ!]
監督:ブラッド・バード
脚本:ジョシュ・アッペルバーム アンドレ・メネック クリストファー・マッカリー
原作:ブルース・ゲラー
製作:J・J・エイブラハム ブライアン・バーク トム・クルーズ
音楽:マイケル・ジアッチーノ
キャスト:トム・クルーズ ジェレミー・レナー ポーラ・パットン サイモン・ペッグ ジョシュ・ホロウェイ
ヴィング・レイムス レア・セドゥー トム・ウィルキンソン ミカエル・ニュークヴィスト ウラジミール・マシコーフ
ロシアのクレムリンで爆破事件が発生。その容疑がIMF(極秘スパイ組織・不可能作戦班)のイーサン・ハント(トム・クルーズ)とそのチームにかけられる。米大統領は政府が事件に関与した疑いを避けるため、「ゴースト・プロトコル(架空任務)」を発令。イーサンチームはIMFから登録を抹消されてしまう。国や組織という後ろ盾を失ったまま、クレムリン爆破の黒幕を追い、さらなる核テロを未然に防ぐというミッションの遂行を余儀なくされるイーサンたち。失敗すれば彼らは、凶悪テロリストとして全世界に指名手配されてしまうのだ。黒幕たちの取引の現場は、世界一の高さと最新のセキュリティを誇るドバイの超高層ビル、ブルジュ・ハリファ。難攻不落の天空城に、特殊粘着グローブと命綱一本で外部からの侵入を試みるイーサンだが……。幾重にも張り巡らされた罠と、よぎる裏切りの影。そして次第に明らかになるミッションの〈真の目的〉とは……。(goo映画)
年内最後の映画観賞になるかもしれない。
2011年最後を飾るであろう今作は、ハリウッド王道の気分爽快・心気充実の極上アクション・ムービーだ
オープニング。
IMFエージェントと思しき男が、追っ手達を華麗に撃破し、脱出成功!と息をついた瞬間、金髪美女にあっけなく射殺される。この美しきブロンド殺人者を観ただけで、私はこの映画の虜となる。
殺し屋サビーヌ・モロー(レア・セイドゥ)
場面は一転して某刑務所内。5年ぶりに再会したイーサン・ハントは囚人としての登場。この経緯は、後半に明らかになるのだが、IMFメンバーの協力により難なく脱獄。ここから、前述の同僚の死の真相究明とミッション継続の為、クレムリンに侵入するのだが、何者かの手により宮殿が爆破。テロ実行犯としてイーサンに嫌疑がかけられる。
国家と組織の後ろ盾を失った4人のメンバーが、見えない敵に対し、いかに最終ミッションをクリアしていくかというワクワク・ドキドキの設定である。
ストーリー全体のスピード感が快適である。冗漫なアクション・シーンは皆無。長尺のカーチェイスや銃撃戦は影を潜め、緊迫感を維持しつつ次々と話は進展していく。
ブライアン・デ・パルマ〜ジョン・ウー〜J・J・エイブラハムと続いた名うての歴代監督の後を受けたアニメ畑出身のブラッド・バードが、また新しいM・Iを魅せてくれた。
シリーズ各作とも、別々の監督による個性溢れる演出がなされており、画一化を良しとしないトム・クルーズ(製作)の拘りが感じられる。
特に今作は、4人のエージェントの個性を際立たせている。過去作や007シリーズの多くは、当然主人公とヒロイン役に光を当てているのだが、ブラッド監督はそれ以外のキャストにも一段掘り下げて個性豊かに描いているような気がする。
裏方コンピューター技士ベンジー(サイモン・ペグ)をウイット溢れる存在として大きく置き、緊迫した展開の中にもチラリとパロディを含ませる。
恋人を殺されたジェーン(ポーラ・パットン)は、私情と任務の間を揺れ動きながら、豊満な胸も揺れ動かし、イーサンまでも悩殺〜お決まりのラブ・シーン皆無の作品に潤いを与える。
イーサンの悲惨な過去に関わり自責の念からエージェントの仲間に加わるウィリアム(ジェレミー・レナー〜「ハートロッカーの熱演が記憶に新しい)が、素性を隠しながら死力を尽くし、イーサンとの不思議な信頼感を醸し出す。
観光名所紹介のように世界各地をロケ地にする手法は変わらず、今回はモスクワ・ドバイ・ムンバイ・ブタペストを巡る。私のお気に入りは、やはりドバイ編。砂漠に出来た近代都市の個性を存分に描いた。世界一超高層ビル「ブルジュ・ハリーファ」(124Fで〜す) の外壁登りや砂嵐の中での追跡劇は圧巻
そして女同士の死闘〜レア・セイドゥVSポーラ・パットン
ブロンド殺人者の最期に小生は胸キュン
そして当然の如くトム・クルーズ八面六臂の大活躍
M:Iシリーズの魅力は、最新のIT機器や驚愕の新兵器を随所に織り込みながらも、最後の雌雄を決するのは、イーサン・ハントの肉弾にすべてが託される処である。
クレムリン爆破に巻き込まれ吹っ飛ばされ、モスクワの病室から飛び降り、ブルジュ・ハリーファの最上階の外壁を垂直走り。ラストの駐車場での決闘の肉体の軋み。
私の1歳年下のナイスガイは、自分の体を痛めつける事に快感を覚えるマゾに間違いない そんな迫真の演技だ。
同じアラ50として、尊敬の念を持って恭しく拝見した「中年応援ムービー」とも云えるかもしれない
私の腹のたるみは置いといて、「男はいつまでもアグレッシブかつ色気を失わずに生きるべき」と痛感した映画であった
刑務所送りの種明かしがされ、ミシェル・モナハンをチラリと見せるラストシーン〜M:I3を観た人には堪らないお洒落な演出で幕は降りた。
お見事
メリクリ大サービス [ざれごと写真日記]
(自宅の屋上からα700で)
Merry Xmas
イヴの昨晩は、スカイツリーが久しぶりにライトアップされました
色とりどりというより、LED系のほの蒼い灯りが東京の下町を照らし、都心の東京タワーとは違った幻想的なムードを醸し出していました。眼をこらすと背景には、冬の星座「オリオン座」の三ツ星の煌めきが控えめに灯っています。
大学生の子供達は当然の如くのお出掛けで、中年夫婦二人きりのささやかなホーム・ディナーを安ワインで味わいました
クリスマス当日は、久しぶりの夫婦共に休日。こういう時こそ旦那様の点数の稼ぎ所であり、オトコの企画力が問われるのだ例によっての朝寝坊も何のその、朝飯抜きで日比谷のフレンチ・レストランにブランチと洒落込みます。
1ヶ月前から予約していたグランメゾン「アピシウス」
そもそも正統フレンチ・レストランでディナーなんぞ、いくら金があっても腰が引ける夫婦である。しかし、高級店でもランチとなると格段ににリーズナブルになる。事前調査により、ディナーなら2万円超のところが、5千円のランチメニューが存在するのを確認済みなのだ。
しかし、ここで大きな誤算が・・・
厳格なドレスコードの上、店内は中世を想わせる重厚な雰囲気。多くのスタッフに出迎えられ、おどおどとテーブルに付き、メニューを見ると...
「クリスマス限定ランチ12,600円」のみ
清水の舞台から飛び降りるつもりで、唯一のランチを注文しようとするが、スタッフと話すとこのコースは時間がかかり、私達の次の予定時刻までに食べ終える事ができない。さりげなくアラカルトを勧められる。
これまた1品ごとの単価が...
前菜+メインの2品づつだけの注文となった。
妻:ロティした和牛ロース肉と腿肉、黒トリュフ、テート・ド・モワーヌサラダ風+的鯛のフィレをカラスミでパネ、バニュルスのビネグレットソース
夫:冷製海の幸 モザイク仕立て+国産猪赤ワイン風味のシヴェ、ポテトとエシャロットフォンダン添え
更に見栄を張って、一杯づつだけグラス・シャンペンを注文して乾杯
(ちなみに、雰囲気に圧倒されて料理の写真は撮れず)
結局、コース料金より遥かに高い金額を、旦那様お支払い〜
伝統的なフランス料理の片鱗を堪能し、満足の夫婦ではあったが、二人共に店を出て誓うのだった。
「今度絶対に、5千円コースの時に来るぞ」
忙しいランチの後は、歩いて3分の処にある「シアター・クリエ」に向かう。
本日の最大の目的・ミュージカル観賞なのである。これも私のセレクション。
『GOLD〜カミーユとロダン』
ミュージカルなんぞ10年近く前に家族で、劇団四季「キャッツ」を観た以来なのだが、以前BSの劇場録画で感動した「新妻聖子」主演と聞いて飛びついた作品なのである。(意外とチケット代は高かった)
いやぁ〜
映画もいいけど、たまには生の芝居も観るもんだ
女性彫刻家カミーユと全能の彫刻家ロダンとの出会いと別れ〜愛憎渦巻く人間ドラマ。
休憩を挿んで、アッと云う間の3時間だった。
演劇ど素人の小生であるが、感動です
カミーユが、健気な少女から彫刻家として成功し人生の絶頂をありながら、ロダンとの確執により徐々に心が蝕まわれて行く様を、新妻聖子が見事に演じた。
歌が巧いのは当然ではあるが、彼女の声には「命」が宿っている。この嘘の無い、一点の曇りも無いような声質は、国内では希有な存在。愛くるしい容姿共々、私は完全な彼女のファンになってしまった。
石丸幹二(ロダン)・伊礼彼方(カミーユの弟)の男性陣も初見であるが、魅力溢れる演技と歌声を披露。
「古谷一行」の降板により抜擢の西岡徳馬がカミーユの父親役を味わい深く、ユーモアを滲ませながら熱演。
根岸季衣の母親役は、このストーリーに抑揚をつける貴重な存在だ。
唯一残念なのは音響効果。静かな曲では目立たないが、ドラマチックな曲調時のフォルテシモが耳に痛い。これだけの達者な歌手が揃っているのだからマイク無しの生声の方が伝わる力は強かったような気がする。それだけ新妻の声量は圧倒的だった事に他ならないのだが。
余韻に浸った中年夫婦は、勢い向かいの「ペニンシュラ・ホテル」のカフェでトドメのアフタヌーン・ティーをお召し上がり。少々焼け糞気味の散財しまくりであったが、こんな非日常な1日が1年に一度くらいはあってもいいのかもと、銀座のクリスマス・ネオンに照らされながら思う負け惜しみの旦那ではあった
デート・コースにワクワク頭を悩ました遥か昔の独身時代を思い出しながら、「俺は釣った魚にも餌をやるのだ」と、ご機嫌女房を横目で見ながら
帰宅後、NHK「坂の上の雲」を見ながら遅い夕食を摂る夫婦の姿あり。
今夜のメニューは白飯+梅干し+海苔+味噌汁(前日の残り)
歌姫『新妻聖子』の歌声を
『初めてのギターと初めてのコンサートと初めてのバンド』 [超個人的溺愛の逸品]
ついに200本目の記事更新だぁ
多趣味ながら何一つ極められない小生の戯れ言に、いつも暖かいコメントをくださる方々に感謝の気持ちで一杯です。
気楽な日記のつもりで始めたブログが、いつしか継続することにより若さを保つ力の源泉となり、また多くの方々の情報発信には新鮮な感動を覚え、また未知なるモノとの出会いを教えられています。これからも、ひとりよがりな拙文に気軽におつきあい戴ければ幸いです。
記念の今回は、私の少年期の音楽との関わりを振り返ってみます。
中学3年の春。
2年分のお年玉と小遣いから必死に貯めたお金を握りしめ、私はお茶の水の楽器店へロックで取り持つ親友と向かったのだった。
「エレキ・ギターを買うぞぉ〜」少年の心はメラメラと燃え上がっていた
1年以上前に親友宅のコンポ・ステレオで、初めてLed ZepplinとGenesisを聴き、ロックの虜となった私にも、ついにその日が訪れた。
買うべきギターは決まっていた。ジェフ・ベックを神と崇める裕福な親友は、既に半年前に「黒のレスポール」をポンと知らぬ間に購入(親に買ってもらった)していた。男同士の対抗心とは、こういう時に現れる。当時ジェフ・ベックは過去のハードロックから一転してフュージョン路線に転向し、2枚のインストルメンタル・アルバムを発表、僕らロック小僧を驚かせると共に、憧れのギタリストの最右翼であった。
「ふ、ふ、ふ。お前がBlow By Blowなら俺はWiredでいくぜ」
→→→→
「白のストラトキャスター」が欲しかった
初めて訪れた楽器店は、大人の空気が漂っていた。整然と並ぶ多くのギターとイカした店員のお兄さん方に、少々気後れしながら狙いの一品を探す。
しばらく友人と店内を歩き回り、漸く意中の白ストラトを見つけ出す。しかし、実際に目にした実物は、私の想い描いていたイメージと少々違っていた。想い焦がれたアイドルの本物にいざ出会っても、心ときめかないように。
そんなどこからみても美形の彼女よりも、個性的でちょっとイカレタ感じの女性に触手が動く傾向は、この少年時代から芽生えていたようで、白ストラトの影に隠れていた一台の異形のギターに、私の眼は釘付けとなった。
『グレコ製・フライングV』
ほ、惚れた...一目惚れだった
生来のシャイな癖に目立ちたがりな性格が更に拍車をかけ、小さなアンプ共々ほとんど衝動買いと相成った。
友人の「本当にこの女でいいのかよ」みたいな忠告は、一切耳に入らず。
ここからは、多くのロック小僧が辿ったように、高校受験もなんのその。日々、教則カセットを聞き返しながらの練習の日々が続く。しかし、この彼女、実は抱き心地は最悪だった。練習は当然坐って演るのだが、V嬢の凹凸の無いボディが私の太腿にしっくりと固定できない。滑る滑る〜その後の私の人生での女性との出会いもこのパターンが永く続くのだが...それでも、徐々に左指の腹が固くなり、Fコードも難なく押さえられてくると、Led zepplinのバンド譜を買い込み、お気に入りのメロディへの挑戦が始まる。
この時期から別の欲求が膨らみ始める・・・「バンドで演りたい」
同じ中3のクラスでは、例の親友を筆頭に徐々にロック好き友達が増えて来ていた。 「この友達でバンドが作れるかもしれない。」一人一人の友人を思い浮かべる・・・しかし、時はすでに遅かった。
クラプトン狂のY君はストラトキャスター。HM好きのT君はSG。クィーン命のTG君はブライアン・メイ・モデル。親友のレスポールと小生フライングV。
ロック好き5人、全員ギター持ちじゃねぇか
幻の中学生バンドは結成不可能となったが、受験勉強真っ盛りでも学校帰りにお互いの自宅へ通い合い、レコードの貸し借りを繰り返し、音楽を絆とした5人の友情は深まっていった。
そして5人の全員別々の高校進学が決定し、卒業式も終わった春休み。
みんなで初めてのロック・コンサートへ行く事にした。
1977年4月2日 日本武道館・KISS初来日コンサート
初めて生で聴く爆音に圧倒されながら、リーダー格のポール・スタンレーの弾くギターに私は狂喜乱舞した
「フライングVだぁ」
初体験のロックの饗宴に興奮冷めやらぬ少年達は、翌週には別々の学校に通うにも関わらず、「またな」と、いつものように浅草駅で解散し、各々の家路に向かうのであった。
懐かしい中学生活最後の思い出である。
『灼熱の魂』 [上映中飲食禁止じゃ!]
監督・脚本:ドゥニ・ヴィルヌーブ
原作:ワジディ・ムアワッド
製作:リュック・デリ キム・マクロー
撮影:アンドレ・タービン
音楽:グレゴワール・エッツェル
キャスト:ルブナ・アザバル
メリッサ・デゾルモー・ブーラン
マキシム・ゴーデット レミー・ジラール
初老の中東系カナダ人女性ナワル・マルワン(ルブナ・アザバル)は、ずっと世間に背を向けるようにして生き、実の子である双子の姉弟ジャンヌ(メリッサ・デゾルモー=プーラン)とシモン(マキシム・ゴーデット)にも心を開くことがなかった。そんなどこか普通とは違う母親は、謎めいた遺言と二通の手紙を残してこの世を去った。その二通の手紙は、ジャンヌとシモンが存在すら知らされていなかった兄と父親に宛てられていた。遺言に導かれ、初めて母の祖国の地を踏んだ姉弟は、母の数奇な人生と家族の宿命を探り当てていくのだった……。(goo映画より)
予告編から注目の作品だったので、私にしては珍しく上映早々の観賞なのだ
じっくり観るには相当な覚悟が必要である。
たぶん一度目の観賞と二度目では、作品から受ける衝撃が異なるかもしれない。というのは、この作品の心髄を読み解くには、日本人の我々は若干の予備知識もしく観賞後のお勉強が必要だと感じたからである。
そういう私は予告編の映像のみの知識しか持ち合わせない状態での観賞だったが、エンドクレジット時のやるせない動揺と絵も云われぬ感動は、最近の映画からは得られなかった大いなる「魂」の振幅として味わった。
母の残した遺書を巡り、双子の兄弟が若かりし母親の姿と自分達の出生の秘密を辿る設定となっており、その起源は1970年代のレバノン内戦に遡る。
この内戦はアラブ人同士のキリスト教・イスラム教の宗派対立と事実上の宗主国フランスからの独立が絡み勃発したが、当時の中東情勢に疎い東洋人にはどうしても劇中の切迫感を共有するのは、少々ハードルが高いかもしれない。
しかし、若かり母親ナワル・マルワン役のルブナ・アザバルの迫真の演技は、彼女の壮絶な人生を見事に表現しており、過去と現在の描写を巧みに組み合わせた演出が更に観る者を、ぐいぐいと作品に引き込んでいく。長尺と思われる131分は、あっという間に過ぎた。
ひとりの女性の数奇な生き様を刻々と描きつつ、落とし所はミステリー仕立ての体裁なのだが、そんな陳腐な「ミステリー」などと云う言葉が霞んでしまう衝撃のラスト。
神様の悪戯にしては惨過ぎる抗えない人間の縁(えにし)と血の成せる恐るべき奇跡。憎悪の連鎖を断ち切るのは、子を想う母の慈愛か、はたまた絶望の中で見つけた悟りに近い諦念か。
かよわき少女が、いつしか女戦士となり、最期には東洋的に云う「菩薩」に変貌するナワルの姿に涙を止める事が出来ない。
この作品の隠されたテーマ。
ギリシャ神話のエディプスの物語を知っていれば、更に深みが増すであろう。
そして数学者である双子が最期に辿り着いた答え「1+1=1」という公式の意味を解せれば、この作品が神の存在にまで問うた西洋的思想に立脚した壮大な現代の叙事詩である事に気付くのである。
原題「incendies」の意味は「火事」「炎」。砂漠で炎上するバスと満々とした水を湛えるプールの対比が主題を暗示する。
唐突に挿入されるレディオヘッド似の音楽を除けば、昨年の「瞳の奥の秘密」に匹敵する感動作であった
浅草羽子板市2011 [ざれごと写真日記]
クリスマスよりも、浅草でこの年中行事が催されると、私は年の瀬を感じるのです。
今年は、取引先への贈答用として羽子板を購入する為、浅草寺へ行ってきました。もちろんα700とNex-5を携えて、ちょっぴり撮影も楽しんで
「The Kooks」3年ぶりNew Album [〜ロックの神さん〜]
(演奏は50秒後から)
遅ればせながら、The Kooksの新譜を購入。
前作から約3年ぶりとなる3rdアルバムは、この間の彼らの人間的・音楽的成長ぶりを窺わせる風格溢れる作品となっている。
一聴すると、ストレートかつシンプルなロック・スタイルなのだが、キラリと光るセンスと卓越したギター・テクを随所に織り込んだデビューアルバム。POP感と重厚感が増し、UKチャート第1位を獲得したセカンド・アルバム。鼻にかかった独特のヴォーカルを披露するルーク・プリチャードの音楽的感性の奥深さは、ビートルズ在籍時のポール・マッカートニーの多才さを彷彿させる、と云っても大袈裟ではない・・・と思っているのは私くらいかもしれないのだが、彼のバラエティに富んだソングライティングとルーク&ヒューの紡ぎ出すツインギターの心地良さに、小生ゾッコンなのである。どこか70年代UKロックの香りをかぐわせつつも、ロンドンの空のような鬱屈感が皆無という「太陽と青空に向かってどこまでも真っしぐら」なロック。優等生ロックには本来、食指が動かない私なのだが、ここまでストレートな「良心」を見せつけられ、あえなく降参。
そして、ロック苦手の我が奥様も何故かこんな彼らの演奏だけは絶賛なのである。
「ギターの感じが普通のバンドとは、ちょっと違うのよねぇ〜」などと、ギターは弾けないくせに判ったような事を偉そうに話す妻は、幼児期にピアノによって培われた絶対音感の持ち主であり、音譜も読めない旦那様は頷くしかないのだが、音楽・芸術的感性が全く相容れない二人が、珍しく趣向が一致した奇跡的なバンドの登場に、中年夫婦は素直に喜んでいるのである。
今作は、1st・2ndアルバムのパワフルな疾走感と比較すると、大分落ち着いた印象を受ける。過去作がシンプルなギター・サウンドが中核だったのに対し、シンセサイザーやストリングスを効果的に取り入れ、楽曲の多彩さは前例を凌ぐ幅の広さ。エレクトロ・ロック、映画音楽を想わせる弦楽四重奏、ヒップホップ調まで、しかし根幹には各楽器の絶妙なアンサンブルと極上のメロディ・ラインがあり、「心温まる正直者のロック魂」を見事に表現している。そして何と云っても「ギターがしっかり鳴っている」のだ。
そして無謀にも買ってしまったのだった
ちょっと恥ずかしいおまけ
クークスの名曲「naive」をyoutube内で徘徊していたら...私好みの美女ふたりが・・・
二人とも良い声しています、何気にハモリも美しい。
こんな感じで音楽を楽しむ仲良し二人組って、素直に素敵って思うんだな
『マデリン・ペルー』滲みるビタースイート・ヴォイス [〜私の歌姫〜]
大分以前に、ぷーちゃん様(http://music-life-poo.blog.so-net.ne.jp/2011-04-30)が紹介されていた
マデリン・ペルーのセカンド・アルバムです。
小生は、1996年発売の彼女のデビューアルバムを何故だか購入していたのでした。
当時『ビリー・ホリディの再来』というPOPに惹かれて、CDショップで衝動買いをしていたようなのだが、実際聴いてみると「再来というよりそっくり完全コピーじゃないか〜」と、あまりに伝説のビリー・ホリディに酷似し過ぎた歌声に衝撃を通り越して気抜けしてしまい、実はそれ以来CD棚の片隅に追いやられた不幸な1枚なのだ。
ぷーちゃん様の記事で久しぶりに彼女の歌声を聴き、「やっぱり、いいなぁ〜」などと、当時の早合点を反省してデビューアルバムを引っ張り出し聴き直していたのだった。
その彼女が今年の夏に新作を発表していたのでした。参加ミュージシャンを確認すると・・・
私の最愛の偏執狂ギタリスト・Marc ribotが弾いているではないか。
デビューアルバム「Dreamland」にも参加しており、渋いプレイを披露していたが、マデリン共々この15年の歳月での二人の進化に興味津々。
これは、もう試聴するまでもなく当然の如く、ポチッなのだ
私の心臓ぶち抜きの大傑作である。
声質が突然変わる訳はなく、ビリー・ホリデイ酷似は否定できないが、歌の表現力が格段に上がっており、所謂「自分の唄」にしている。ゆえに、ビリーの悲哀に満ちた歌唱法と一線を画し、不朽の大歌手の二番煎じの印象が完全に払拭された。マデリンが醸し出す柔らかく土臭い中にキラリと光るスタイリッシュな感じが堪らない。語尾の美しさに溜め息が洩れる。ほろ苦い〜ビタースイートなヴォイスが、秋雨が体に染み入るように溶け込んでくる。
マーク・リボーは、15年前の作品では多くの参加ミュージシャンの中の1ギタリストの域を出ていなかったが、今作は完全に全楽曲の演奏の柱となっており、随所に彼の少々捻った感性が顔を出す。マデリンと云えば、過去作とビリーの幻影により伝統的ジャズ・シンガーを踏襲しているイメージが強かったが、マークの造り出す無国籍音空間が、彼女を稀代のコンテンポラリー・シンガーとして解き放った。
マデリン自身によるアルバム紹介
アルバム中一番のお気に入り「The Things I've Seen Today」
(このギター・メロディに病み付き。
スタジオ盤でのマーク・リボーの深みのあるギター・プレイは更に必聴)
おまけ
元祖ビリー・ホリデイの歌の中で一番好きな曲です
「きみに読む物語」(この映画にもメロメロ)にも挿入されました。
『I'll Been Seeing You』
『インモータルズ -神々の戦い-』 [上映中飲食禁止じゃ!]
監督:ターセム・シン
製作:ジャンニ・ヌナリ マーク・キャントン
ライアン・カヴァナー
衣装:石岡瑛子
撮影:ブレンダン・カルビン
音楽:トレヴァー・モリス
キャスト:ヘンリー・カヴィル フリーダ・ピント
ミッキー・ローク ルーク・エヴァンズ ジョン・ハートケラン・ラッツ イザベル・ルーカス コリー・セヴィアスティーブン・ドーフ スティーブン・マックハティ
人間が誕生する遥か昔、“光”と“闇”の神々の戦争が起きた。戦いは光の神が勝利し、闇の神は奈落の奥底に封印された。時は流れ、古代ギリシアの時代。闇の力を手に入れ、世界を支配しようと野望を抱くハイペリオン(ミッキー・ローク)が人類に対し宣戦布告。光の神が造った武器の一つであり、闇の神を解放するための重要なカギ“エピロスの弓”を捜し求めるハイペリオンは、軍隊を結集してギリシアの地を侵攻していく。弓がハイペリオンの手に落ちれば闇の神は復活し、人類の破滅も免れない。ハイペリオンの野望を阻止すべく、光の神の頂点に立つゼウス(ルーク・エヴァンス)が選び出したのは、自らが鍛え上げた人間、テセウス(ヘンリー・カヴィル)だった……(goo映画)
今回で2度目の3D観賞だ。
初体験時から机に入れっぱなしだった3Dメガネを持参し、映画館に向かった。
・・・100円引きだった3Dは通常作品より400円高いから、100円がメガネ代で300円が3D料金なのだろうが、この300円は何に対して計算された金額なんだろう?と、納得できるような合点のいかないような中途半端な心持ちでの観賞スタートだったのだが...
いやぁ〜血しぶきが自分に降り掛からんとするド迫力と爽快感に、些末な考えは一気に吹き飛んだ
欧米人ではないのでギリシャ神話の心髄を理解できている訳はなく、されど全能の神ゼウスや太陽神アポロなどが等身大の姿で登場すれば、何故か心はトキメクのである。
この光の神々が、闇の神を復活させ世界を征服せんとするハイペリオンの野望を阻止すべく人類の希望として白羽の矢を立てたのがテセウス。神の世界では、人間同士の戦いに直接関わってはいけない掟があり、光の神達はテセウスの勝利にすべてを託すという設定なのだ。(ちなみに、ハイペリオンと云えば、私は競走馬の名前を思い浮かべてしまうのだが〜ハイセイコーの祖先)
善悪が非常に解りやすいストーリー展開であり、観客は単純に、雄大な背景、きらびやかな衣装そして血肉吹き飛ぶ格闘シーンを堪能すればよろしいのだ
そして、この破天荒な映像をさらに魅力的なものにしたのは、悪の代表ハイペリオン役のミッキー・ロークと人間よりも遥かに人間らしい光の神々達の演技である。
特に注目は、ヒロイン役のフリーダ・ピントよりもゼウスの娘アテナ神を演じたイザベル・ルーカス(当然、個人的趣向による)
このブロンド女神が、闇の神との戦いで奮闘虚しく命果てるシーンに、小生は胸を焦がすのであった
(それにしても神様も死んでしまう設定も凄いのだが!)
素顔もスレンダー・ブロンドでよろしい
久しぶりに、軽〜い気持ちでめくるめく映像を楽しめるというストレス発散には打ってつけの痛快劇であった。
最後にアテネ神の麗しき姿を
初冬の新宿御苑 with Nex-5 [ざれごと写真日記]
女房が午前中から仕事というので、旦那様は鬼の居ぬ間のなんとやらで、爆睡中。
昼過ぎに帰宅した彼女に叩き起こされる。
「アンタ、最高の天気よ 出掛けましょう 私、新宿御苑に、まだ一度も行った事ないのよぉ〜...」
寝ぼけ眼で頭ボォ〜のご主人は、つい口走ってしまった。
「そんな事ないだろぉ。結婚前に二人で行ってるよ」
「それ、絶対、私じゃない........」
......... 確信の持てない過去の話しはするものではない...
午後3時、新宿御苑到着。閉園まで1時間半だ。
久しぶりの快晴の休日なので、多くの行楽客で賑わっている。
すでに紅葉は盛りを過ぎ、落ち葉が目立つ初冬の光景だ。
景色自体は、先週の「西山荘」の美しさに及ばないが、家族連れ・カップルの休日を楽しむ人々の温もりが公園全体を包み込んでいるようで、肌寒い風の中でも何故か暖かみを感じる柔らかい風景がそこにあった。
元々は、風景/静物写真より街角スナップが好きな私なので、Nex-5も自然とそんな人たちの姿に向けられる。
冬のニューヨークのセントラル・パークみたいだ
ちなみに、結婚前に二人で行った都内の庭園は世田谷の「砧公園」である事が判明。
心の広〜〜い奥様は、私達の交際前という微妙な判定により、私の前言は時効、不問に付される結果となった