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「GO GO PENGUIN」の快感 [素人の扉〜Jazz&Classic〜]

 久しぶりのJAZZアルバムのお気に入り〜最近のヘヴィロテCDなのです[るんるん][るんるん][るんるん]
 
 
 
オーソドックスなスタイルのピアノトリオが醸し出す音の煌めきに心が洗われる。
 
美しき旋律を紡ぐ軽やかなピアノに絡み付く地を這うようなベース。両者の調和と軋みの狭間で、淀みなく小刻みなリズムを叩き出すドラム。彼らの生み出すハーモニーとビートは、かつてのJAZZ王道の熱い息吹は無く、されどECMに代表される美音の空気感とも一線を画す。ポストロックやクラシック現代音楽の雰囲気を取り込んだ、緻密で耽美的なクール・ビューティ・ミュージックなのだ。
 
一聴して、ヨーロッパのJAZZバンドとは想定できたが、「この少々くすんだ暗さはブリティッシュ系?」と感じたがまさに当たりで、イギリス・マンチェスター出身の「GO GO PENGUIN」という若手ピアノトリオだった。
 
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ブリティッシュ・プログレッシブ・ロックの香りを仄かに振り撒いたような彼らの音楽は、私の好みにドンピシャだ。ブライアン・イーノレディオ・ヘッドがアコースティック楽器で演ったらこんな雰囲気かも...みたいな親近感に溢れた楽曲群だった。
 
いやいや、JAZZも進化しとるのぉ〜[わーい(嬉しい顔)]
 
 
 
V2.0

V2.0

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: GONDOWANA RECORDS
  • 発売日: 2014/03/19
  • メディア: CD
彼らの昨年発表した2ndアルバム。デビュー作も衝撃的だが、今作の完成度は秀逸モノだ[exclamation×2]
 
 
 

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小澤征爾を聴く [素人の扉〜Jazz&Classic〜]

 
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先月の日本経済新聞の「私の履歴書」では、指揮者・小澤征爾の半生が連載された。
 
クラシックファンならずとも、彼の名と風貌は日本人なら知らぬ者はいない世界的指揮者である。
一方で、熱狂的な彼の信奉者でない限り、「世界のオザワ」の歴史とプライベートを熟知する者は少ないであろう。
今回の新聞掲載は、「人間・小澤征爾」を世に知らしめる意味でも、大変意義深いものだ。
 
音楽的素養に恵まれ、幼児期からピアニストを目指しながらも、親に隠れて熱狂していたラグビーで指を骨折。音楽家への夢を断たれた少年が、「指揮者」の存在を知り、一念発起する場面。まさに「怪我の功名」とも言うべき人生の悪戯に、小澤氏の運命を感じざるを得ない。
 
下宿代もままならぬ極貧のフランス修行時代、言葉もろくに話せぬ癖に指揮者コンクールに挑戦し、いきなり優勝。
カラヤン、バーンスタインとの出会い、有名な「N響事件」、「日本フィル」の解散と「新日本フィル」設立。ボストン交響楽団の音楽監督として30年のキャリア。断片的に記憶に残るニュースが、次々と繋がっていく。そして同時に、人間・小沢征爾の姿が浮き彫りとなっていく。
世界に飛び出しても全く物怖じしない天性の破天荒さ。こよなく「酒と女と音楽」を愛する者に、言葉も国境も必要ない無い事を、身をもって実証させた。無論、彼が類い稀なる音楽的才能を持ち、絶え間ない努力と研鑽を続けた結果であるのは言うまでもないのだが。そして、周囲との軋轢を恐れず、自己を貫き通す強き信念と行動力。
 
指揮者によってオーケストラの音が変わるのは何となく理解できる程度のクラシック・ファンの小生なので、小澤征爾の音楽家としての「凄さ」は、正直判らないのが本音だ。同じ交響曲を何人もの指揮者で聴き比べる芸当などしないし、そんなにCDを買う余裕があったら見知らぬロック・アルバムをジャケ買いしてしまうので...
 
そんな私の小沢征爾コレクションです[あせあせ(飛び散る汗)]
 
マーラー:交響曲第1番<巨人>(花の章付き)

マーラー:交響曲第1番<巨人>(花の章付き)

  • アーティスト: マーラー,小澤征爾,ボストン交響楽団
  • 30年以上昔に買った初・小澤が、この作品。もちろんアナログLPです。

    ボストン交響楽団の常任指揮に就任したばかりの40代の溌剌とした演奏。
  • ここから「世界のオザワ」の歴史が刻まれていくのである。
  • 元々、ボストン響は、優しく繊細な弦を中心としたフランス音楽的アプローチが特色だったが、小澤が重厚なドイツ系音楽にも対応できるよう大改革を施したらしい。マーラーにハマっていた頃の思い出の1枚です^^
武満徹:ノヴェンバー・ステップス

武満徹:ノヴェンバー・ステップス

  • アーティスト: 小澤征爾,武満徹,トロント交響楽団,鶴田錦史,高橋悠治,横山勝也
  • 今回の連載に触発されて衝動買いした作品。
  • 初の常任指揮となったトロント交響楽団で収録した武満徹の現代音楽。
  • 外国人にとっては未知の楽器である琵琶、尺八の日本の名手が参加。
  • モロに前衛音楽です。私の音楽理解度を超えているのでコメントできませぬ。
  • ただ、和楽器と洋楽器の邂逅というべきか、重なりあった音色の響きが感動的です。
ドヴォルザーク・イン・プラハ

ドヴォルザーク・イン・プラハ

  • アーティスト: ドヴォルザーク,小澤征爾,ヨーヨー・マ,パールマン(イツァーク),フィルクスニー(ルドルフ),ボストン交響楽団
  • 小沢征爾指揮とは知らずに購入したCD。
  • ドヴォルザークと云えば「新世界」しか知らなかった小生にとっては、魅惑の楽曲集。
  • ヨーヨー・マ(チェロ)、パールマン(バイオリン)、フィルクスニー(ピアノ)の稀代の名手を迎えてのライブコンサートの収録だが、クラシック素人の小生でも感動しました!
  • すべての音符が、身体の芯に溶け込んでくようである。


チャイコフスキー:弦楽セレナード/モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジー

チャイコフスキー:弦楽セレナード/モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジー

  • アーティスト: モーツァルト,チャイコフスキー,小澤征爾,サイトウ・キネン・オーケストラ
  • 意味不明の楽団名と思っていた「サイトウ・キネン・オーケストラ」が「斎藤記念楽団」だと、今回の連載でようやく知った。小澤氏の桐朋学園時代の師匠であり恩師の齋藤秀雄の没後10年に催されたメモリアル・コンサートが契機となり発足したオーケストラである。
  • 子供の頃から親しんだチャイコフスキーのメロディなのだが、全く別の魂を持ったような壮大な規模の演奏で胸に迫って来る。とにかく、弦のハーモニーが美しく聴き惚れます。
  • これが、日本のオーケストラでも、その能力を最大限引き出す指揮者の魔術なのかもしれない。

 

プライベートの彼の一面で云えば、長男が俳優の小沢征悦くらいしか印象になかったが、酒と女にまつわるエピソードも多く掲載され、非常に興味深く読ませて頂いた。征悦の母が、実は小澤氏の2番目の妻であり、当時の売れっ子ファッションモデルだったなど知る由もなかった。

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 小沢征悦(確かに似ている)

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 妻・入江美樹(1969年結婚〜美女と野獣と揶揄されたそうだ)

指揮者にとってオペラとシンフォニーは、車の両輪」と恩師カラヤンが述べた境地に、小澤氏も辿り着く事になる。2002年からウィーン国立歌劇場の音楽監督に就任。 不肖私めは、その境地には遠く及ばない。長い交響曲を聴くだけでぐったりするのに、3時間超や半日続くオペラを愉しむ力を、未だに持ち合わせていない。女性ヴォーカルは滅法好きだが、クラシックの声楽の理解度は低い。

「もっともっと好きな音楽の裾野を広げたい」と思う今日この頃です[ぴかぴか(新しい)]

日本人として初めてウィーン・フィル・ニューイヤー・コンサートの指揮者に抜擢された2002年の模様 


 

そういえば、2月の「私の履歴書」は市川猿翁が連載中。こちらも楽しそうだ[かわいい]


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「DACで拡がるピュアオーディオの世界」&チョン・キョンファとYES [素人の扉〜Jazz&Classic〜]

先日、取引先の音楽マニアの方のご自宅に招待される幸運に恵まれた。初めてお会いした時から、音楽談義で意気投合した彼の名古屋の繁華街にある細長い自社ビルは、事務所と自宅兼用。いつも通う事務所のフロアをエレベーターで素通りし、扉が開けば、なんとそこはワンフロアぶち抜きのAV専用ルーム[どんっ(衝撃)]

彼も、リッチな音楽ファンにありがちなピュア・オーディア派であり、正面の250インチのプロジェクタスクリーンを中心に自慢のLINNのサラウンドシステムが築かれていたのだった。「余裕で我家のクルマより高価」なのは明白である。ステレオ専門雑誌でしか見た事がないような豪華な環境だ。

「社長〜、何考えてんの、この贅沢な部屋は〜」冗談ぽく話しながら、この日の本題となる。このバブリーなオッチャンは、最近、ハイレゾ音源などのPCオーディオに嵌っており、以前「もう、CDの時代は終わったな」などと宣っているのを、私がツッコミを入れたのが、今回のご招待のきっかけとなっていたのだ。

CDからリッピングしてPCに取り込んだ音源と、CDプレイヤーでそのまま再生した場合に、音に違いはあるのか?彼は「明確に違う」と断言し、私は「周波数が同じだから、基本的には変わらんでしょ」と応酬した。事前に私のお気に入りCD3枚を、彼に渡してあり、既にリッピング済み。早々に「聴き比べ」大会開始である。

まず、CDプレイヤーで聴いてみる。

...当たり前だが、良い音だ。比較対象が、転勤手当を原資になんとか20万円で構築した涙の単身宅オーディオシステムだから、致し方ない。それでも、自分としては拘りの組み合わせが価格以上の音を出していると自負していたが...(MYシステムはこちら→http://tsumujikaze2.blog.so-net.ne.jp/2012-05-18)ここまで(たぶん20倍以上)の価格差があっては、比べる方に無理があると言わざるを得ない。

「いやぁ、いいですねぇ〜、凄い、これで十分ですわ」(残念ながら純然たる事実である)

「じゃぁ、リッピングした方に変えますよ」

社長さんが、PCを操作して、ネットワーク・プレイヤーを起動させる...そして、同じ曲が流れるのだが...

げっげぇ〜、全然違う音だぁ〜[がく~(落胆した顔)][がく~(落胆した顔)][がく~(落胆した顔)]」いつも聴いているソフィー・ミルマンが、目の前で歌っているのだ[exclamation&amp;question]

「ねっ、どちらが良い音とかは感性の問題だから別にして、同じ音源でこれだけ違うのですよ」勝ち誇る社長様。

彼の主張によると、CDプレイヤーがデータを読み込む過程で機器の性能にもよって差はあるが、必ず拾いきれないデータが存在する。しかし、リッピングしたPC内のデータは、理論的に全く破綻していない。それを同じシステムで再生すれば、当然違う結果になるのは明白だ、と。

何となく納得できる理屈だが、とにかく音の差は歴然としており、リッピングされた曲は生の楽器に近い、ある意味、柔らかいアナログ的な音に変化しているのは、事実のようだ。

その後は、社長のレア・コレクションのクラシックアルバムや、ハイレゾ音源での石原裕次郎を聴いたりと、更に目から鱗のリスニング・タイムが深夜に及び続いたのである。

衝撃の一夜が明け、小生に沸々とオーディオ・オタク魂が蘇る。 東京妻との労使交渉も何とか妥結し、単身ボーナス手当を頂いた私は、時を置かずに、名駅の「大きいカメラ」に向かうのだった。

買ってしまいましたぁ〜大枚5枚。本来なら、これから半年の厳しい単身生活の足しにするべきカネなのだが、ここまで盛り上がってしまったら、止まりません[パンチ]

早速自宅に戻り、Mac Book ProとUSB接続。事前にリッピングしておいたお気に入りのCDコレクションを次々と、更に2年前にダウンロードしてあったキース・ジャレット「ケルン・コンサート」のハイレゾ音源なども視聴する。しかも、このDAC-1000は、PCデータ再生機というよりは、D/Aコンバーターとしての性能が秀逸で、単純にCDプレイヤーと光接続しただけで、既存の音質が飛躍的に向上してしまう『魔法の箱』みたいな奴だったのである。

音色の傾向は以前と変わらないが、まず音像の定位が抜群に良くなった。ヴォーカルが私の正面ど真ん中から聞こえる。エミルー・ハリスの息遣いまでリアルに伝わってくるのだ。定位向上により、各楽器の音の分離が明確になり、以前の平面的な音の拡がりが、立体的に変化した。スピーカーが小型のブックシェル型な為、今までは低音の押し出しだけには少々諦めていた部分があったのだが、これも問題解決。轟くベース音は3倍返しの迫力となった。

感動、感激のひととき。聞慣れた楽曲が、また新たな魅力を帯びて姿を現す。音楽ソースの出来によって差は出るが、特に録音技術の高い(録音が良いという意味ではなく)アコースティック調の曲などには、鳥肌が立つ時もある。ピアノの煌めく響き、シンバルの弾ける刹那、淡いコーラスの中に見える色とりどりの人間の声の美しさ。4万円の我がCDプレイヤーが、諭吉5枚でハイエンド機器に早変わり。狭い小生の部屋だからこそ、広い社長宅とは味の違う音空間が演出される。40年近く聴いている愛しのジェネシス『フォックス・トロット』をCDでかけたら、ぶっとんだ[ぴかぴか(新しい)]今まで聞き取りづらかった楽器の音まで明瞭となり、音場感が分厚くなった。当時のアーチスト達が表現しようした演奏をリアルに感じ取れた気になってしまうほどだ。

調子に乗って、海外サイトからハイレゾ音源をゲット[手(チョキ)]

Close to the Edge

Close to the Edge

  • アーティスト:Yes
  • 出版社/メーカー: Elektra / Wea
  • 発売日: 2003/08/25
  • メディア: CD

CDは当然持っているが、192kHz/24bitの専門的には解らんが、最高品質の音源だぜ。中学時代にカセットテープが擦り切れるほど繰り返し聴いたイエスの名盤『危機』が、40年近く経過してマスターテープ並みの音質で手軽に聴ける時代になった〜またしても感動と衝撃。70年代のブリティッシュ・ロックの偉大さを改めて体感した[ぴかぴか(新しい)]

ついでに、この蟻地獄のようなピュア・オーディオ世界に引き込んでくれたクラシック好きの社長に感謝の意味を込めて、彼が熱狂的に支持するヴァイオリニストのCDもゲット、リッピングして聴いてみる[どんっ(衝撃)]

ヴィヴァルディ:四季

ヴィヴァルディ:四季

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: TOSHIBA-EMI LIMITED(TO)(M)
  • 発売日: 2007/07/25
  • メディア: CD
チャイコフスキー&シベリウス:ヴァイオリン協奏曲

チャイコフスキー&シベリウス:ヴァイオリン協奏曲

  • アーティスト: チョン・キョンファ,チャイコフスキー,シベリウス,プレヴィン(アンドレ),ロンドン交響楽団
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2012/02/22
  • メディア: CD

クラシック素人の小生はもちろん未知のアーチストだったのだが、流石、拘り社長のイチオシだけあって、凄い[exclamation×2]2枚のアルバムの楽曲は共に超有名曲で、知らずのうちに幼少の頃から脳裏に刷り込まれたメロディである。しかし、彼女がヴァイオリンを弾くと、新しい命を吹き込まれたが如く、クラシック入門のスタンダード曲が心洗われる至高の名曲になるのだ。

チョン・キョンファ・・・ 1948年生まれの韓国のヴァイオリニスト。1967年、有色人種への偏見が残る当時の国際コンクールで優勝。一躍、時の人となるも、師の勧めにより、プロデビューせずに、人知れず技術を磨く事に専念する。1970年、ロンドンでの慈善コンサートに出演した彼女は、アンドレ・プレヴィン指揮の元でチャイコフスキー・ヴァイオリン協奏曲を演奏。公式な演奏会にも関わらず、絶賛の嵐を呼び、遂にメジャーデビューを果たす。その伝説の演奏が上記2枚目のCDに収められている。神懸かり的というよりも、こんな生命力溢れるヴァイオリンの調べを私は他に知らない。巧い演奏者は星の数ほど存在するだろうが、この音色と表現力は希有である。

そんな彼女の当時のTV出演から(演奏は1:40過ぎ)
 

 そして最後はyes,yes,yes〜アルバム「危機」のラストナンバーを30年後に再演(2003年)
数多存在する再結成バンドの中でもYESは、往年の演奏レベルを維持する最右翼だった[どんっ(衝撃)]
高音がいまだに出るアンダーソン、極太BASS健在のスクワイア、そして骸骨と化しても弾き続けるハウ[exclamation×2]

 知らなかったオーディオの進化と魅惑のヴァイオリニストを、教えてくれた社長さんに感謝、感謝[かわいい]

それにしてもピュアAudioの世界は停まる事を知らない〜でも、これ以上深入りしないようにせんと...[あせあせ(飛び散る汗)]

 
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神の領域〜アルヴォ・ペルトの世界〜 [素人の扉〜Jazz&Classic〜]

先日鑑賞した絶品映画『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ』の中で度々流れた旋律。遥か昔を思い出しながら、彼の造り出す深き弦の調べに身を投じた[ぴかぴか(新しい)] 
 
クラシック素人につき、現代音楽となると更に、まるっきり???の小生なのである。 
 
しかし、新婚間もない25年前の札幌で、FMラジオから偶然流れていた旋律に、まさに戦慄が走った[exclamation&amp;question] 
 
 
 
ほぼ変わらぬテンポで、単純なテーマが延々と繰り返されるが、徐々に弦の響きが幾層にも重なり合い、いつしか溢れんばかりの光の束となって部屋中を照らし、一面、純白の王国を作り上げる。どこまでも澄んだ鐘の音は、天空からの神の声か?
 
素人の私でも一聴しただけで葬送曲だと解る。
「天にも昇る気分」とは良く使われる表現だが、これは今まさに昇天した魂が、天国に導かれる様を描いた中世の宗教画を見ている心持ちになる。 決して悲しみにくれるだけではない。ひとつの完結した命が無上の歓びを持って天国に迎えられる姿を、崇め、尊んでいるのだ。
 
こんなに透明度の高く、精神性を感じる音楽に、当時の私はとてつもない衝撃を受けた。
翌日、書店に走り、ラジオで聞き漏らした曲名を、FM雑誌(当時の『FMレコパル』だったような)の番組表から探し当てた。
アルヴォ・ペルトベンジャミン・ブリテンへの追悼曲』 
 
そして、すぐさまその足でCDショップに向かう...
 
Tabula Rasa

Tabula Rasa

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Ecm Records
  • 発売日: 2011/09/02
  • メディア: CD
 
中世もしくは近代の作品かと思っていたが、20世紀の現代作曲家の手によるものであった...[がく~(落胆した顔)] 
そして「ベンジャミン・ブリテン」とは、イギリスの作曲家。1976年没。 
 
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アルヴォ・ペルトArvo Pärt)・・・現在77歳。エストニアで生まれオーストリアに亡命、その後ドイツ・ベルリンに移住した現代作曲家である。
当初は厳格な古典主義派だったが、70年代からミニマリスム楽派として宗教的なアプローチが主となっていく。
音楽理論には全く以てチンプンカンプンな小生であるが、「ミニマル・ミュージック」とは、最低限の音数とパターン化された音型を反復させる音楽で、ドラマチックな展開は皆無、単純な曲調の中での微細な変化が特徴なのだそうだ。ゆえに、クラシックに留まらず、プログレッシブ・ロック、テクノ・ポップにもミニマル派は存在する。ブライアン・イーノ坂本龍一も、ミニマル・ミュージックを多用した音楽家なのである。

所謂、癒し系ミュージックと呼ばれる環境音楽等に使われる手法なのだが、アルヴォ・ペルトの音楽は、癒されるどころか、胸が締め付けられ、己の魂が磨き込まれていくような感覚に陥るのである。信仰心の薄い仏教徒の私が「キリストに跪く」と云っても何の説得力も無いのだが、まさにその感覚なのだ。 
 
アルヴォが若い頃、ある高僧に訊ねた。
「作曲家としてどうすれば自分をもっと磨く事ができるでしょうか? 私は今、祈りの言葉とか賛美歌のテキストに曲をつけているが、そのことは作曲家として自分に役立っていると思うのですが・・・」
僧は答える。 
『祈りの言葉はすでにすべて書かれてしまっています。あなたはそれ以上増えす必要なないのです。お祈りするための言葉や準備は全部整っているのです。ですからあとは、ひとえにあなたがそうする気があるかどうかにかかっているのです。』
 
彼の音楽を物語る『真理』である。
禁欲的な生活を全うし、純粋に神への祈りのみに自己の全身全霊をかけて取り組む彼の姿が目に浮かぶ。
 
後年の彼の言葉。
「私が見出したのは、たったひとつの響きが美しく奏でられるだけで十分だという事だ。静けさと沈黙ともいえる。私は、わずかな音素材、ひとつの声部、またはふたつの声部で作曲する。わたしはもっとも単純な手段で、3和音で、ある特定の調で曲を構成する。3和音の3つの音の響きは、鈴の音に近い。だから私はそれを「ティンティナブリ(鈴音)」と名付けたのだ。
 
自己満足・独りよがりの現代音楽とは一線を画すアルヴォの作品群。
伝統的な要素と前衛的な身振りが奇妙に結合した「祈り」の音楽。時代を超越した普遍性
彼を初めて聴いた当時は、アルヴォ・ペルトは日本では全くの無名であった。CDショップには冒頭のECMから発売された1枚しか在庫は無かった。昨今、「癒しブーム」に乗って漸く国内でも彼の作品が多く発表され始めたのは、きっかけは別にしても嬉しい処である。そして更にできるなら、彼の正当な評価も願いたいものだ。アルヴォの音楽は、単なる「癒し」では決して無い、崇高なる「祈り」なのである。
 
前述の映画に挿入された『Fratres』を(前半部分のみ)
 
 
Very Best of Arvo Part

Very Best of Arvo Part

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: EMI Classics
  • 発売日: 2010/08/09
  • メディア: CD
 
入門用としてベストな2枚組。 
彼の後期の代表作は、ほぼ網羅されている。
 
 
Passio

Passio

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Ecm Records
  • 発売日: 1994/02/15
  • メディア: CD
 
ヨハネ受難曲〜深淵なる世界です。
 
 
 
ペルト:タブラ・ラサ/交響曲第3番

ペルト:タブラ・ラサ/交響曲第3番

  • アーティスト: 湯浅卓雄,ペルト,アルスター管弦楽団,レズリー・ハットフィールド,レベッカ・ヒルシュ
  • 出版社/メーカー: Naxos
  • 発売日: 2001/01/01
  • メディア: CD
 
初期の交響曲やバッハのコラージュが収められている貴重盤。
声楽曲が含まれていないのも珍しい。
 
 
 

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東京オペラシティにて『新世界』を聴く [素人の扉〜Jazz&Classic〜]

「東京オペラシティ」へ久々に妻とクラシック観賞と洒落込みました。
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お目当ては、ドヴォルザーク『新世界』
小学生の頃、何のTVコマーシャルか記憶に定かでないのだが、白黒TVから流れる第4楽章の馴染み易い旋律は、ベートーベンの『運命』以上に耳にこびりつき、遥か昔の思い出と共に私の脳裏に焼き付いている。
 
演奏者は、アレキサンダー・マルコヴィッチ指揮ブルノ国立フィルハーモニー管弦楽団である。
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スラブ人であるドヴォルザークの曲は、やはりご当地チェコの楽団でなければならないだろうという勝手な思い込みにより、本日の公演を三ヶ月前から予約していた。他の演奏曲もスメタナ「わが祖国」チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲。(3曲とも作曲家はスラブ出身)こちらも有名であり、マーラーやブルックナーの難解・長尺な交響曲と比べれば、肩の力を抜いて聴けるクラシック初心者の我が夫婦にとっては格好の演目である。

座席は2FのB席で、楽団のすぐ右上方。音響的には、1Fの中央席が望ましいのであるが、このバルコニーっぽい席からは、通常ならお尻しか見れない指揮者の表情がはっきり解る。そして、演奏者の指の動きも楽譜まで覗き込めるような近さは、音響効果よりも生演奏の息遣いがダイレクトに伝わってきた。

千秋真一指揮「チャイコフスキー・ヴァイオリン協奏曲

カラヤン指揮『新世界・第4楽章

旧東欧圏の楽団の弦の音色の美しさは有名であるが、今回のブルノ楽団も期待以上の出来映えだ。特にピアニッシモ時の囁くような弦楽器のハーモニーには、一発でとろけてしまった。更に木管楽器(フルート・オーボエ・クラリネット)の柔らかいトーンにも溜め息。(実は美貌のフルートの女性に釘付け[ハートたち(複数ハート)]
そして、マルコヴィッチ氏の躍動するタクトが、たっぷりの哀愁を漂わせながら、時に熱く激しく〜まさにスラブの心情そのものを、この名曲達に乗せて、遥か極東の島国の我々に語りかけてくるのである。
 
スラブの風を胸一杯に吸い込み、身も心もリフレッシュされた夫婦は、オペラシティの最上階54Fの日本料理店で遅めのランチ(早めのディナー)を摂り、家路に急ぐのであった。
 
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本日演奏された3曲(私の所有するCD)
 
スメタナ:わが祖国(全曲)

スメタナ:わが祖国(全曲)

  • アーティスト: アンチェル(カレル),スメタナ,チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
  • 出版社/メーカー: コロムビアミュージックエンタテインメント
  • 発売日: 2006/01/18
  • メディア: CD
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲

メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲

  • アーティスト: ムローヴァ(ヴィクトリア),メンデルスゾーン,チャイコフスキー,小澤征爾,マリナー(サー・ネヴィル),アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ,ボストン交響楽団
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2005/06/22
  • メディア: CD 
チャイコフスキーヴァイオリン協奏曲がカップリング(小沢征爾指揮)
ドヴォルザーク:交響曲第9番(新世界より)

ドヴォルザーク:交響曲第9番(新世界より)

  • アーティスト: アンチェル(カレル),ドヴォルザーク,チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
  • 出版社/メーカー: コロムビアミュージックエンタテインメント
  • 発売日: 2003/03/26
  • メディア: CD
 
スメタナとドヴォルザークのCDは、カレル・アンチェル指揮、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団によるもの。
約50年前の録音ですが、クラシック素人の私が身震いした代物です。
 
カレル・アンチェル(1908年〜1973年)・・・南ボヘミア出身。世界大戦中、ユダヤ強制収容所へ家族と共に送られる。アウシュビッツで家族全員は惨殺、彼だけが奇跡的に生還する。戦後、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者として活躍、低迷していた同楽団を立て直し、チェコ・フィル伝統の名声を取り戻す。
1968年、外国演奏中に「プラハの春」が勃発、帰国が叶わず、カナダに亡命。小沢征爾の後任としてトロント管弦楽団の常任指揮者になるも4年後に死去。 
 
超一流の指揮者としては位置づけられていないが、彼の緊張感を保ちながらも情感豊かな演奏は、特にスラブ系の楽曲(ドヴォルザーク、スメタナ等)時にとてつもないパワーを発揮し、聴く者を圧倒する。
クラシック素人の私の琴線に触れた数少ない指揮者の一人である。
  
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ハイレゾで聴く「キース・ジャレット」の衝撃 [素人の扉〜Jazz&Classic〜]

ソロ・ピアノは苦手な部類だ。
 
クラシック・ジャズに関わらず名盤と呼ばれる作品でも、アルバム1枚を最後まで集中して聴くのは、私にとっては至難の技である。ピアノの旋律は大好きだが、音譜解読不可、絶対音感ゼロの小生は、この楽器の奥深さを理解するほど、高度な音楽経験は持ち合わせてなかった。5、6分の小作品のみならまだしも、1時間近くの作品を通して、その良し悪しを語るなぞ所詮、無理な注文ではあるのだが・・・
 
しかし、高校生時代に出会ったこのアルバムだけは別格なのである。
 
ザ・ケルン・コンサート

ザ・ケルン・コンサート

  • アーティスト: キース・ジャレット
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2003/04/23
  • メディア: CD
 
キース.ジャレットのソロ・ライブ。
理屈抜き[exclamation×2]何故か心が洗われ、自然と涙が溢れ出た[もうやだ~(悲しい顔)] 
 
後日談によれば、最悪の体調の中、予定の器材も届かず、質素なピアノにて強行されたコンサートだったと言われている。その劣悪な環境下で、キースは自己の魂の表現を即興で鍵盤に綴っていくのである。そこから放たれる音の雫は、天空の煌めく雨だれとなってライン川に注ぎ、時に穏やかに、時に濁流の如く荒れ狂い、大海に飲み込まれて行くのである。
こんな美しいメロディーを、アドリブでどうしていきなり弾けるのか?信じ難かった。 
そして、ピアノが鍵盤楽器と呼ばれると同時に、弦楽器であり打楽器でもある事を、初めて実体験した。 
なによりも、「響き」が唯一無比。
 
当時の最高級カセット「フェリクローム・テープ」で録音し、就寝時に毎晩のようにラジカセ・ヘッドフォンで聴いていたものだった。今でも、曲の進行・一音一音、アルバム1枚分すべてが脳裏に焼きついている。
 
前置きが長くなったが、先日、とある音楽雑誌で「ハイレゾ音源でケルン・コンサートを聴いて涙した」というコラムを見つけた。
音響理論にも疎い小生であるが「ハイレゾ」というのが、CDには収まらない帯域の音源がNET配信された今の流行物というのは何となく知っていた。あの「ケルン・コンサート」をマスターテープ並みの美しい音で聴けるという妄想に捕われた私は、たいした予備知識も無く飛びついたのだった。
 
まず、HDtrackshttps://www.hdtracks.com)という配信サイトへアクセス。当然、英語表記なのだが、なんとか会員登録。お目当てのアルバムを探すと、すぐに見つかった。
『Keith Jarrett koln concert 96kHz/24bit』 $17.98
買物カートに入れ、精算ボタンを押すと、PayPalに飛ばされるが、ここは焦らずにPayPalも会員登録完了させる。すると音源ダウンロード画面にチェンジ。「プッシュ」〜「落ちた〜[exclamation×2]
 
こうして手に入ったハイレゾ音源なのだが、PCのヘッドフォンで聴いている限りでは、その本領は発揮されない。
しかし、私のPCはデスクトップ型MACなので、リビングに鎮座するオーディオ機器まで持っていけない。それ以前に、私の超アナログなアンプにはUSB入力なんぞ無いし、本格的には「DAC」なる別機器を購入せねばならないらしい。
極力、出費は避けたい小生は『困った』[ふらふら] 
 
この音源をCDに焼いても、CDレベルの音質に劣化するだけらしい。
そこで思いついた。私のCD兼DVDプレイヤーはユニバーサル・プレイヤーなので、今では絶滅寸前のDVDオーディオも再生できるのであった[ひらめき]
詳しくは解らんがCDは44.1Khz/16bitが限界で、DVDなら192Khz/24bitまでいけるらしい。(理屈は???)
 
そこでMACの最強音声編集フリーソフト『Audacity』で、ダウンロードしたflacなるファイルをwavに変換し、更にMACの最強DVD作成フリーソフト『Burn』でDVD-Rに焼いてみる事に・・・
 
「出来た〜」(IT素人でも何とかなるもんだ)
 
そして、この出来立てのDVDオーディオを、恐る恐るホーム・オーディオで聴いてみる... 
 
[るんるん][もうやだ~(悲しい顔)][るんるん][もうやだ~(悲しい顔)][るんるん][もうやだ~(悲しい顔)][るんるん][もうやだ~(悲しい顔)][るんるん][もうやだ~(悲しい顔)][るんるん][もうやだ~(悲しい顔)][るんるん][もうやだ~(悲しい顔)][るんるん]
 
CDの音と桁違い。空気感と臨場感が圧倒的。
30年ぶりの感動が再び[exclamation×2]
 
[どんっ(衝撃)]「ハイレゾ」恐るべし[どんっ(衝撃)] 
これから、ここでのお買い物がやたらと増えそうな予感と共に 
CD時代終焉の始まりを漠然と感じた小生であった。
 
(ほんの少し有名なオープニングを昔のCMで)

 

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『第2回 すみだストリートジャズフェスティバル』回顧 [素人の扉〜Jazz&Classic〜]

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晴れて第2回なのだ[exclamation×2]

我が地元・墨田区の「街おこしキャンペーン」として昨年開催された音楽祭は、 昨今の不景気で連続開催が危ぶまれたが、そこは『下町のど根性』〜金はなくても心は錦〜2回目の開催にこぎ着けたのだ。

元JAZZマニアの私は、街おこしの応援も兼ねて、今年も当然の如く2日間通いました[ぴかぴか(新しい)]

昨年は、[晴れ]炎天下の中、錦糸町界隈の至る所で行われるライブ演奏をやみくもに女房と共に廻り、正直グロッキー状態に陥った。その反省から、今回は事前リサーチの元、聴きたいアーチストを絞り込むと同時に、妻を自宅待機させる事に成功[手(チョキ)]

今回のテーマは2つ。 

①昨年、路上で偶然に出会い感銘したバンド〜横田寛之トリオが、今年も来たら絶対に聴く事[exclamation×2]

女性アーチストを極力追っかける事[黒ハート]

・・・この2日間をおおざっぱ・順不同に振り返ります・・・

昨年の炎天下とはうってかわって、20日は蒸し蒸しの曇り空、21日は早朝からの雨に悩まされる天候。二日目はその為、屋外ライブのキャンセルが相次いだが、自分のマークした演奏は、ほぼ予定通り聴く事ができた。

「ジャズ」とは銘打っているが、昨年以上に音楽ジャンルの枠にとらわれない、老若男女・プロ・アマ入り乱れての楽しい音楽祭となっていた。

FOKKSS JAZZ BOX
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 (正統Jazz、嫌みの無い素敵な女性ヴォーカル)
 
Route8464
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(ウクレレ雑技団、しぶ〜い)
 
HANI(カン・ハニ)
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(韓国からの王子様・熱唱)
 
SPACE SERVICE
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 (壮年ロック隊、ドラムの伯母さま素敵)
 
Branca
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 (女性8人組アカペラ・清々しい)
 
栗田洋輔グループ
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(やっぱりプロ、巧い!)
 
立志舎専門学校
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(雨の中で頑張る学生達。メインステージだけは、町内会のテントでライブ続行)

ごめんバンド名忘れた[あせあせ(飛び散る汗)]
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(墨田区の新キャクター・「おしなりくん」も出演)

矢野智礼+西武線トリオ
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(オリジナルの長い組曲がかっこいい)
 
そして、今年の一番の目的
[ぴかぴか(新しい)]祝・連続出場[ぴかぴか(新しい)]  
横田寛之トリオ”ETHNIC MINORITY"
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今年も彼らがやって来た〜[わーい(嬉しい顔)]
昨年のこのイベントで偶然聴いた無名のトリオの演奏に、私は感動・絶賛するのであった(昨年のリポート→http://tsumujikaze2.blog.so-net.ne.jp/2010-08-22)が、まさに1年ぶりの再会。
 
1年前は、アルカキットでの歩道の片隅でのライブであったが、今年は錦糸公園内のサブ・ステージに昇格。
バンド名が「ETHNIC MINORITY」というサブ・ネームが付け加えられている。(多少、売れてきたのかな?)
それ以上に昨年と違うのは、SAXとBASSの足元にエフェクターのスイッチ類がてんこ盛り。
PAの充実により、パワーアップ必至か[exclamation&amp;question]
 
(今年はNEX-5で録画させてもらいました。) 
 
 ニルヴァーナの名曲『Smells Like Teen Spirit』
 
 
いやぁ〜やっぱり気持ちいい音、出すなァ〜[るんるん][るんるん][るんるん][わーい(嬉しい顔)]
グランジ・ジャズロックというか 、私のようなハードロックで目覚め、フリージャズで育ったオッサンには堪らない音色なのだ[exclamation×2] エフェクター効果により「横田くん、君はファラオ・サンダースか?アルバート・アイラーか?」みたいな感じだ。
 
そして圧巻はやはり、三人三様のソロとインプロビゼーション[むかっ(怒り)]
(録画中NEX-5最大の欠点が露呈。高気温での長時間録画により発熱強制終了〜演奏途中のBASSソロから〜)
 

3人の若者の肉体から迸る魂のビート[パンチ]
クールな表情から弾き出される地を這う龍のようなBASSは、荒れ狂いながらも決してそのテンポを崩す事はない。
コルトレーンの決めフレーズで遊びながら、徐々にSAXは熱を帯び、最期は血の一滴を吐き出すまで吠え尽くす。
カホンの兄ちゃんは、スティック飛ばそうが、帽子ずり落ちようが、その四肢は決して止まる事無く、次第に手足は増え続け、眼鏡をかけた千手観音の化身となる。

そして更に気持ちいいのは、演奏中の彼らが本当に楽しそうに音楽と戯れているのが、ひしひしと感じられる事だ。

Jazz・Rockに興味の無い人も、彼らの生演奏を聴けば、きっと「なにか」を感じるであろう。
そんな『熱さ』を、この若き3人組は持っている。

また、来年も待ってるぞぉ〜[手(パー)]


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再演!ダニエル・ハーディング『マーラー交響曲第五番』 [素人の扉〜Jazz&Classic〜]

指揮・ダニエル・ハーディング、管弦楽・新日本フィルハーモニー交響楽団
3月11日夜、錦糸町トリフォニーホールでのコンサートは、数十人の僅かな観客の前で「マーラー交響曲第五番」は演奏された。
当日のチケットは財布にしまい込まれたまま、会社に張り付いて震災対応に追われた私にとって、3.11の日付とマーラーの5番は、「一生の忘れ得ぬ想い」として刻まれた。

親日派で知られるダニエルは、その5日後に断腸の思いで日本を離れたという。

その彼が再び来日し、チャリティー・コンサート「3.11東日本大震災 明日への希望をこめて」を主催。
演目は、当日と全く同じ「マーラー交響曲第五番」である。

6月20日〜もちろん、聴いて参りました[exclamation×2]
ダニエル1.jpg
冒頭に下記の短い曲が演奏される。
ダニエル2.jpg

























震災犠牲者への鎮魂として捧げられた1曲。
拍手辞退とされており、演奏終了後、会場全体は物音一つなく静まり返り、黙祷の意味も込め、暫く静寂に包まれる。

そして、トランペットのファンファーレと共にマーラー交響曲の第一楽章が始まった・・・

このゾクッとするオープニングから一気にマーラーの世界の幕が開く。

私は音符も読めないクラシック音楽素人であるので(ギターはタブ譜専門[ふらふら])、演奏の巧拙を語れる訳でないのだが、所謂名盤で聴かれる名演奏と比べると、「金管楽器のソロの煌めきが少々弱いかな」などど偉そうに序盤は思いつつも、ダニエルの華麗なタクトから造り出されるアンサンブルの素晴しさに徐々に酔いしれていく....

ウィンナワルツ風の不思議な曲調の第3楽章から有名な第4楽章のアダージェットに入る頃には、完全に自分の体が会場中に響き渡る音楽の調べと溶け合っていくような感覚を覚えた。
そして白眉の最終楽章。暖かいホルンの調べからゆったりと描いた主題が繰り返され、次第にそれがヒートアップ。各楽器の調べが何重にも重なり合い、前章の主題も取り込みながら、嬉々として明るく明るく激しく激しく最高潮に向かっていく!そして、ヴァイオリンが擦り切れる悲鳴寸前の声を上げ、金木管楽器群の調べが天井に突き刺さり、打楽器が火を噴く、圧倒的なフィナーレとなった。(特にコンサートマスター崔氏のエビぞり弾きは必見)「愛、悲劇、生命と死」を描いた壮大な物語と呼ばれる「マーラーの5番」の神髄を見事に表現した演奏に、とてつもない精神の力を感じずにはいられなかった。

演奏終了後、アンコールは自粛は当然解っているが、鳴り止む気配の無い拍手の嵐。何度となく指揮者は登壇し、謝意を表す。
細かい技術云々よりも、指揮者・全楽団員がまさしく心も体もひとつになって作り上げた最上の音楽に、私も胸の高まりを抑える事ができなかった。震災直後、家族の強い要望により母国に急遽、帰らざる得なかったダニエル・ハーディング。彼が再来日し、新日本フィルのメンバーと再びまみえた時点では、両者の間には深い心の溝があった云う。ダニエルの日本を想う心を理解しつつも、楽団員の多くは「一時は我々を見限ったくせに、安全になった今頃に、のこのこ帰ってきやがって!」と感じるのはある意味当然であろう。しかし、このチャリティコンサートに向けての度重なるリハーサルを通じて、両者の信頼関係は完全に復活したようだ。たぶんそれは、ダニエルの指揮者以前のひとりの人間としての本質を、楽団員が改めて理解したからではないでしょうか。

終演後、会場出口で楽団員の先頭に立って募金を呼びかけるダニエルの姿が印象的だった。
生涯忘れ得ぬクラシックコンサートとなった。

冒頭に演奏された短い曲をもう一度捧げます。

エルガー作曲 変奏曲「エニグマ(謎)」より第9変奏「ニムロッド」

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「富樫雅彦」宇宙を奏でた太鼓の神様 [素人の扉〜Jazz&Classic〜]

たまにはマニアックなJAZZネタで......

日経新聞の今月の「私の履歴書」は、JAZZピアニストの山下洋輔氏の半生が掲載されている。

ちょうど今週の紙面では、学生時代の山下青年が銀座「銀巴里」で、当時(1960年前半)天才ドラマーともてはやされていた富樫雅彦とのセッションを通じて、「前衛ジャズ」に傾倒していく経緯が書かれていた。

中学時代、ジェネシス・ツェッペリンとの衝撃の出会いによりロックに目覚めた小生であるが、高校も高学年の頃には、クロスオーバーもしくはフュージョン(今ではどちらも死語ですな)と呼ばれるJazz系の音楽に強く惹かれるようになっていった。
そして、今度はジョン・コルトレーン「至上の愛」を聴いてぶっ飛んで以来、大学時代は一気にモダンジャズ、フリージャズの世界に嵌り込む生活を送る事となった。
中学時代からの親友(彼もロックからJazzマニアに変貌していた)と、しょっちゅう新宿ピットインへ生演奏を聴きに行ったものだった。
そんな中で知った異形のドラマーが「富樫雅彦」である....というお話。


ジャズマニアからすれば驚きのレア映像。加山雄三主演「さらばモスクワ愚連隊」。富樫雅彦唯一の映画出演作である。真似事と云われた当時の日本Jazz界の低評価に対し、自らの存在も卑下しつつも、「俺らの音楽が解る奴いねぇのか[パンチ]」と沸々と闘志を燃やす彼の一面を垣間見るワンシーンだ。

彼の演奏を初めて知ったLPがこれだ。(前衛Jazz不朽の名作と云われるが....現在廃盤)
PALLADIUM(紙ジャケット仕様)

PALLADIUM(紙ジャケット仕様)(1969年)

  • アーティスト:佐藤允彦(P)荒川康男(B)富樫雅彦(D)
  • 出版社/メーカー: インディペンデントレーベル
  • 発売日: 2006/02/23
  • メディア: CD

このLPを地元の図書館で借りてきた貧乏学生は、カセットテープにダビングし、とことん聴き込んだ。

慣れ親しんだロックやフュージョンのドラムとは全く別次元のドラミング[exclamation×2]
右チャンネルから叩き出される彼の絶技に酔いしれる[ぴかぴか(新しい)]

ビートルズの「ミッシェル」前半部〜静かなリズムを刻む
中盤〜3人の楽器が火を噴く!
圧巻のソロ〜ドラムが歌っている〜[るんるん][るんるん]

独特の間の取り方、恐ろしい程正確なストロークと超速ローリング、切れのあるシンバルのセンス・・・数え上げたらきりがない。
ドラム叩きの条件に「スピード&パワー」が必ずしも必須でない事を、初めて私に教えてくれたミュージシャン

しかし、このアルバム発表翌年、日本JAZZ界のホープと目された天才ドラマーに不慮の事故が襲う

 脊髄損傷〜下半身不随 

彼のドラマーとしての生命は途絶えたかにみえた。両足が使えなければバスドラムもハイハットも踏めないのだ。

ところが彼は、不屈の精神でリハビリに努め、更なる鍛錬を重ね、車いすに乗ったままドラムセットの前に復帰するのであった[どんっ(衝撃)]
2本の両腕だけで演奏するパーカッショニストとして。

ドラマー時代は、極めてシンプルなドラムセットを使用していたが、復帰後の彼は、手の届く範囲に数えきれない種類の打楽器を揃え、それを縦横無尽に操り、奏でるようになる。
まさに、打楽器を叩くのではなく奏でるように、音世界を創造していくのであった。

その新・富樫ワールド初期の傑作アルバム
スピリチュアル・ネイチャー

スピリチュアル・ネイチャー(1975年)

  • アーティスト: 富樫雅彦,渡辺貞夫,鈴木重雄,中川昌三,佐藤充彦,中山正治,豊住芳三郎,田中昇
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2009/05/27
  • メディア: CD

「フリー・前衛JAZZ」などという枠組みを超越した音楽の源泉ともいうべき、大自然との対話を、当時の一流Jazzマン達が富樫傘下の元で、紡ぎ上げた奇蹟の作品だ。

今聴いても心が洗われると共に胸が熱くなる演奏である。
まさに自然の胎動!
このドラミングの神々しさ[もうやだ~(悲しい顔)]

その後も特定のバンドに属する事なく、国内外のミュージシャンとの競演による作品を旺盛に発表。

私がナマの富樫に出会った頃は、すでに国際的なパーカッショニストとしての地位を確立していた。
当時、恒例であった大晦日のオールナイトJAZZフェスティバルに出演していた富樫を初めて観た時、私は人間離れして彼の演奏を聴いて、「神」だと思ったものだった。

当時の私のお気に入り

陽光(紙ジャケット仕様)
兆
ポエジー










ビコーズ 後藤芳子〜珍しく、女性ヴォーカルのバックで叩いてますが、これも名盤っす[exclamation×2]

彼のドラミングは、宇宙の大海原を感じさせる。

90年代に入り、J.J.スピリットを結成。往年のビ・バップを、バスドラ無しでも迫力十分にスイングできる事を証明させた。

2007年逝去。享年67歳。
肉体的ハンデをものともせず、自己の音楽を最期まで追究し続けた男は、世界に二人といない打楽器奏者として今もJAZZ界に君臨している。

J.J.スピリットでのバラード演奏(数少ない生演奏動画)


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超絶「ユジャ・ワン」の癒し [素人の扉〜Jazz&Classic〜]

彼女の鍵盤を叩くごとに撓る二の腕と肩甲骨廻りの筋肉に惚れた。
縦横無尽に駆け巡る激しい指使いとメロディーを口ずさむ優しい表情に惚れた。
岩礁に砕け散る波のように叩き付ける和音の響きと振り乱す髪に惚れた。


厳粛なクラシックの世界に、不届きな女性趣味を持ち込んでしまい恥ずかしい限りなのだが、惚れちまったのだからしようがない。

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王羽佳(ユジャ・ワン)北京生まれの新進ピアニスト。24歳。


素顔・・・どう見ても昨日、田舎から出てきたねぇちゃんだ。

私の食指が動くタイプでは断じてないのだが、いざ彼女がピアノの前に坐ると、麗しき鍵盤の女神に変身し、私を惑わすのである。



ん〜似ている・・・
        宮里藍.jpg      img20090727.jpg
あの宮里藍が、グリーン上で闘神が乗り移った時の眩くばかりの美しき輝きと・・(素顔は個人的に勘弁[がく~(落胆した顔)]

ん〜似ている・・・
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雰囲気はほとんど「のだめ」じゃないか[あせあせ(飛び散る汗)]

限られた達人だけが到達できる「神の領域」。そこに入った時、その人の輝きは無限ルクスとなるのだ[ひらめき]

クラシックど素人の私に、ピアノ技術の良し悪しの判別は不可能なのだが、ユジャ・ワンの旋律には何か胸を熱くさせるモノを感じてしまう。
アタック音の強烈さは好き嫌いが別れる所かもしれないが、若鮎のような瑞々しさと切れの良さは、熟練の巨匠ピアニストにはない躍動感を感じる。
ギタリストで言えば、超速弾きアル・ディ・メオラを初めて聴いた時の感慨に近いモノがある。さらに彼女は、この超速弾きのみとどまらず、スローなメロディーも情感たっぷりに表現する歌心を兼ね備えている。
リストやラフマニノフの難曲を事も無げに弾きこなしつつ、とにかく本人はえらく楽しそうなのである。ピアノを弾くのが嬉しくてしようがないオーラーが満ち満ちている。
まさしく「のだめ」生き写し状態。

アンコールのピアノソロ(5分30秒過ぎ)は圧巻[どんっ(衝撃)]
こんな超絶技を聴いていても、ドレスの胸元に釘付けになる私は、不純なクラシック・ファンである[ふらふら]


おまけ
指揮 シュトレーゼマン ピアノ 野田恵[ハートたち(複数ハート)]

ショパン・ピアノ協奏曲第一番

Transformation

Transformation

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Deutsche Grammophon
  • 発売日: 2010/04/13
  • メディア: CD

驚愕のセカンド・アルバム[どんっ(衝撃)]

ショパン&リスト:ピアノ協奏曲第1番

ショパン&リスト:ピアノ協奏曲第1番

  • アーティスト: アルゲリッチ(マルタ),アルゲリッチ(マルタ),アバド(クラウディオ),アバド(クラウディオ),ショパン,ロンドン交響楽団
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2009/11/11
  • メディア: CD

若かりしアルゲリッチアバドの名演!(1968年)


Lucerne Festival 2009: Symphony 1 / Piano Cto 3 [DVD] [Import]

Lucerne Festival 2009: Symphony 1 / Piano Cto 3 [DVD] [Import]

  • 出版社/メーカー: Euroarts
  • メディア: DVD

  • 40年後、そのアバドと孫のようなユジャ・ワンとの競演[るんるん]

〜竹中直人&上野樹里みたいです〜


どうもこの指揮者は、爺さんになっても若い女性ピアニストがお好きらしい[キスマーク]
[ぴかぴか(新しい)]音楽って素晴しい[ぴかぴか(新しい)]

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