BUONO!新曲 [〜ロックの神さん〜]
嫁さんに笑われようが、蔑まされようが、このアイドル・ユニットだけは、トコトン応援するのです
昨年のBerryz工房の無期限活動停止、先月の℃-uteの突然の解散発表...個人的には、ほとんど関心は無いのだが、この二つのグループから選抜されたメンバーで構成されたロックアイドル系ユニット「Buono!」の活動まで空中分解に陥っていた事が永らく気掛かりだった。
8月25日のハロプロイベントにおいてBuono!の復活単独LIVEが予定されていたのを知り、オッチャン独りでも武道館に参戦するつもりだったが、チケットはSOLD OUT、月末業務も重なり、泣く泣く諦める事となった。
だが、この復活LIVEに合わせて、グループとしてはなんと4年ぶりの新作発表がなされたのだぁ
9月21日の正式発売に先駆けて、ネット上でMVが最近アップされた。
永らく待たされたが、チョット大人のオンナに成長した3人(嗣永桃子・夏焼雅・鈴木愛理)が織りなすボーノ・サウンドに、小生は涙・涙なのです
『ロックの聖地』
2008年デビューアルバムに収められた名曲「ロックの神様」のアンサーソングとして制作されたのだが、過去のBuonoヒット曲のサビを随所に取り込んだ構成と、変わらぬ彼女達の3人3様のヴォーカルの魅力に懐かしさが募る。プロデューサー兼ギタリストの西川進は小生と同年代。ギター音やビート感には、7〜80年代ブリティッシュ・ロックの香りが立ち込め、元ロック小僧は堪りません
シングルカットされるであろう、もう1曲もいいねぇ〜
『ソラシド〜ねえねえ〜』
初期Buono!時代を彷彿させる爽やかアイドル・ロック風です
往年の洋楽ロックをパクりまくりなのは、ハロプロお得意なのだが、今回はクリーム「Sunshine of Your Love」で来るとは、笑ってしまう 前曲同様にギターが効いている。カッティングもソロもお気に入りパターンだ。
そして何よりも、元々アイドルレベルでは格段に歌が巧い3人だが、よ〜く聴くと更に進化しているではないか
努力のももち、表現力の雅、天性の愛理。全員、「Rock」を歌えるようになっている。完全に少女もrockin' roll Ladyに成長したのだ。
特に、鈴木愛理の音感は凄い。自分の音域も分からない癖に、ぶっつけ本番でハモりもシャウトも軽々こなす。
愛理のレコーディング風景を...いいねぇ、天然娘
ももちは、ハロプロ内の「カントリーガールズ」のプレイングマネージャー?となり死ぬまでアイドル宣言、歌手意向の強い雅は完全にソロ活動へ、℃-ute解散により今後の去就が注目される愛理。
今後も3人別々の道を歩むのだろうが、不定期での「Buono!復活」は繰り返されそうな雲行きだ。ハロプロの拝金主義に振り回されるのは非常に鼻持ちならないのだが、彼女達の大人からの成長を見続けたいし、応援したい。後にも先にも、これほどのアイドル・ユニットは登場しないのだから。《いつかまたやろうぜ、この3人で》「ロックの聖地」の歌詞通り婆さんになるまで歌い踊り続けて欲しい〜小生も灰になるまでつきあうから
では...
Buono!の真骨頂は女性バックバンド・DolceとのLIVEだ
結成2年目2010年の映像から名曲「ロックの神様」
見よ口パク無しの本気ライブに挑む高校生3人の勇姿を
それにしても、みんなまだ幼いけど完全プロだわ
◎おまけ
冒頭で℃-uteには関心無しと書いたが、この1曲だけはお気に入りなのです。いかにも「つんく」らしい曲だが、オープニングのジミヘンぽいギターカッティングが心地よい。やはり愛理と中島舞美のヴォーカルが肝ですね。歌とダンスが同化したハロプロ名曲のひとつだ
何気に、愛理の腰のフリがナンバーワンだし
『Dance でバコーン!』
今さら「レッチリ」にハマる、 [〜ロックの神さん〜]
すっ裸が好きな連中なのである...
レッド・ホット・チリ・ペッパーズ・・・言わずと知れた超ビッグメジャーバンドは1984年にデビュー。小生の社会人デビューと重なる訳だが、当時は彼らの音楽を全く聴かなかった。 洋楽ロックから少々離れていた時期の上に、小生の苦手なヒップホップ・ファンク系、しかも冒頭のようなド派手なライブパフォーマンスを知るにつれ、「耳障りなガキロック」のイメージを勝手に作り上げていたのだ。以降、バンドの人気はうなぎ登り、グラミー賞の常連からロックの殿堂入りともなったが、引き続き、真剣に彼らの音楽に向き合う事は無かった。
2016年5年ぶりに11枚目のアルバムを発表。
デビューから30年以上も経過すれば、「大人のロック」に変貌しているかな?と、勢い、購入してみたが、これが結構イイ感じなのである。
調子に乗って、昔の作品を2枚聴いてみると...更にイイ 完全に小生好みのミュージックなのだ
Dani California(2006年)
往年のロックスター達へのオマージュ映像が可笑しくも素晴らしい
真っ先に飛び込んでくるのは、「ギター」の凄さ。
クリーンなコード・カッテイング、ワウワウの効果的なリフからディストーションの効いた分厚い音圧、極め付けはジミヘンばりの歪んだギターソロ。それらが、すべて気持ちい「音」なのだ。単に巧いだけではなく、歌心が感じられるプレイに聴き惚れてしまう。
そして、切れのあるドラミング、BASSのビート感が何気に際立っているし、下手にシャウトしない「漢」のヴォーカルが潔い。イカツイ連中のくせしてやたらコーラスが美しい。
完璧なバンドじゃないかい〜一発で完全にハマりました
リアルタイムに彼らの真髄に触れられ無かった事を、大いに悔やんだ〜思い込みは禁物だなぁ〜
小生一押しのギタリストは「ジョン・フルシアンテ」。薬物過剰摂取で死亡したオリジナルメンバーのヒレル・スロヴァクの後任として1989年に加入した。1992年に一時脱退するも、1999年に復帰。2009年に再脱退と、目まぐるしいお兄ちゃんなのだが、彼が在籍中の作品が、RHCPの黄金期を作ったと言っても過言ではなかろう。
後から知る事になったが、彼のプレイに心酔するギター小僧が世界中に生息しているのだ。(小生も遅ればせながら仲間入り)しかも、ローリングストーンズ誌では《現代の3大ギタリスト》のひとりとして紹介されているのだ知らぬ間に...
動から静へ〜彼らの真骨頂をLIVEで!
By the Way & Scar Tissue(2003年)
超高等テクニックではないのだが、ジョンのリズム感とヴォイシングの素晴らしさ
ねぶた祭り並みに皆、跳ねてます〜何万人おるねん
ジョン在籍時の小生のおすすめアルバム3枚です〜
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: Warner Bros / Wea
- 発売日: 1999/06/03
- メディア: CD
- 1992年脱退後、出戻りジョン復帰作。バンドとしても転換点となった1作だ。
- デビュー時からのファンキー一辺倒からメローな一面を魅せ、物議をかもす。
- だが、此処から後期RHCPの大ブレイクが始まるのだ。「Otherside」泣けます。
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: Warner Bros / Wea
- 発売日: 2002/07/08
- メディア: CD
- ジョン・フルシアンテの弾きまくりが全面に押し出されている作品。
- ギターの音色の表情が飛躍的に豊かになっている。
- 7曲目の「Can't Stop」なんて、単音ピッキングの教科書だ。
- ギター小僧垂涎!
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: Warner Bros / Wea
- 発売日: 2006/05/09
- メディア: CD
- メンバーの有り余る才能が収まりきれず、2枚組〜捨て歌無しの28曲の大作。
- ジョン・フルシアンテの卒業作でもある。一聴すると冗漫な感じだが、聴きこむほどに味が出てくる
- 絶頂期の最高傑作。
往年のファンからは賛否両論の最新作も味があります〜ジョンが居ない分、ベースの存在感は半端ないです
この曲のギターソロのフレーズ、好きです
オリジナルメンバーの二人は50歳過ぎても裸がお好きなようです^^
嗚呼、無性にエレキギターが弾きたくなってきたぁ〜
タグ:ジョン・フルシアンテ
『イマサ』に再び酔う! [〜ロックの神さん〜]
イマサこと「いまみちともたか」のNew Band《ヒトサライ》の2ndアルバムが出たのだ
バービーボーイズ解散後の四半世紀、流浪の民と化していた彼が、漸く意中のバンドに出会い、解き放たれたような奔放自在な演奏を聴かせてくれている。
椎名純平(椎名林檎の兄貴)のやたらと澄んだヴォーカルが、意味深で洒落た歌詞を唄い、イマサの独特なギターの豊かな響きが共鳴していく。そしてリズムセクションも強力だ。普通の枠に収まらないはぐれプロフェッショナル達の邂逅は、少々斜に構えた大人のいぶし銀ROCKを創り上げた。
オープンコード「ポローン」のみ聴けば、プレイヤーを特定できる今時では稀有なギタリスト〜イマサ〜のセンスとテクを堪能できる、往年のバービーファンには堪らないアルバムなのだ ギターの音色の使い分け、最新機器の導入(トーキングモジュレーターやギターシンセサイザーみたいなもの)、グッとくるリフとソロ。《4曲目の「カリスマ」なんて、バービーを彷彿させる曲調とプレイで、「どこから杏子のパートなんだい?」と錯覚するほどにホンマ涙出ます》
巧いギターとは、超早弾きや複雑なカッティングが出来るに越した事は無いが、やっぱりプレイヤーの味が醸し出せるかどうかなんだなぁ〜と、New Albumの音源はあまりUPでき無いので、イマサのギターメーカーの宣伝用演奏を是非とも聴いて下さい。
こんな演奏を聴いたら、昔のこんなのも...
バービーボーイズLast Album中の隠れた名曲「Na Na Na」
イマサの変質的・神バッキングの白眉
カッコイイバンドだったなぁ〜杏子ええなぁ〜
Swinging Popsicle 20周年ライブ〜IN 下北沢 [〜ロックの神さん〜]
ついに、Swinging PopsicleのLIVEに初めて行ってきましたぁ〜
My Favorite Bandである「ポプシ」...こんな素晴しい音楽なのに全く売れずに、だが地道な活動を続けて20年。東京本拠地の為、都内のライブハウスでの演奏が主で、小生のかつての転勤先に来る事はまず無かった。一度でいいから生ポプシを聴きたいと思いつつ、私が東京に戻る前に解散してしまう恐怖を常に感じながら3年、やっとこの日がやって参りました
同時期にデビューした「advantage Lucy」とのジョイント・ライブ形式で、人気薄により単独ライブを滅多に出来ないポプシを思えば、当然といえば当然か...だが、永年恋い焦がれたバンドの生演奏を聴く数少ないチャンスであり、取る物も取り敢えず、あまり関心の無い女房を誘い、下北沢の駅に降り立つ
商店街をぶらつきながら、目に飛び込んだ「たこ焼き屋」で軽く腹ごしらえを済ませ、女房は軽く生ビールを飲み干し、ライブハウス「CLUB Que」に突撃 壮年夫婦覚悟のオールスタンディングだぜ
100名も入れば超満員の小さなライブハウスは初めての経験だ。マイナーミュージシャンのステージとはいえ、この広さだと盛況な感じとなる。観客は、確かに我々よりか遥かに若いのだが、出演者が20年選手でもあり、三十歳代が中心であり、壮年夫婦も意外と違和感は無いのだ。とりあえず、1ドリンクを注文し、長期戦を想定して、壁に寄り掛かれる後方で待機する。
前座「HATSUKOI FOUR」の爽やかな演奏が終わり、いよいよ次の出番がポプシである。どうも会場の雰囲気からすると、観客の大半はトリのadvantage Lucyがお目当てらしく、本日のイベントもLucyがメインのライブのようだ。だが、小生はそんな些末な事は気にせず、ポプシの登場を決死の拍手で迎えつつ、最後方からジリジリと女房の肩を押しながら、前列ににじり寄るのであった
1曲目から私のお気に入り
『スノーイズム』
藤島美音子(Vo.G)・平田博信(B)・嶋田修(G)の3人のオリジナルメンバーに、本日はドラムス、キィーボードのサポートメンバーが加わり、スタジオ録音同様の分厚いロックサウンドが展開されていく
そして、何よりも夢にまで現れたミネコフ(藤島美音子)の生声に、小生の胸の内に迸る感動の渦
(藤島美音子への尽きない愛はこちら→http://tsumujikaze2.blog.so-net.ne.jp/2010-03-10)
国内で現存する女性ヴォーカリストの中では、ぶっちぎりのMy fevorite Singerと、盲目的に愛する彼女の歌声は、CD以上に優しく伸びやかだった。やたらと高音をひけらかす事無く、過度の感情移入もせず、されど柔らかい声質とストレートな歌唱法は、すうっ〜と小生の胸に沁み込む。一言で表現するなら、「潔いソフトヴォイス」。子音の発音の美しさは希有だ。
ステージは、近年のPCゲームのテーマソングやインディーズ時代の曲を織り交ぜながら熱を帯びて行く。ポプシ・サウンドの中核である平田・嶋田両氏の演奏も素晴しい。一糸乱れぬ息の合い方で、軽快な音のうねりを造り出す技は、やはり只者ではない。これに、ギブソンB-25を爪弾きながら、ミネコフが語りかければ、瞬く間に極上のギター・ポップの出来上がりとなるのだ
かと思えば、こんなブルージーな曲を英語で歌ったりもする
「Afterglow」(ボイスメモでチョッとだけ...)
再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら
ミネコフの憧れの歌手は「フェアーグランド・アトラクション」のエディー・リーダーなのだが、この曲を聴くと彼女の音楽指向が非常に窺える。
MCでは、前日のポール・マッカートニーのコンサートに行った藤島と平田の楽しいおしゃべりや、ビールでご機嫌の嶋田のボケぶりに会場の笑いを誘いつつ、20年の歳月を振り返るメンバーの固い結束を感じさせるのだった、「まだまだポプシは頑張るよ」と...
ラストソングは、メジャーデビュー曲「Joy of Living」〜全く売れなかったけど〜
今イベントの立場をわきまえた控えめなポプシは、アンコール無しで閑かに約1時間の演奏の幕は下りた...
既に、会場は大盛り上がり〜トリのAdvantage Lucyの演奏が、多くの歓声に迎えられて始まっている。
だが、小生は、いまだポプシの余韻に浸ったまま、立ち尽くしていた。
ポプシと同期のこのバンド〜12弦エレキギターとヘタウマ系の女性リードヴォーカルが特色のポストロック的な雰囲気を醸し出していたが、小生には全く彼らの魅力を感じる事ができなかった。特に、ミネコフとは対称的な女ヴォーカルの人気の高さには、???の嵐。絶対音感女房のコメントによれば、「わざと半音ずらして歌ってるけど、この不思議な感じが今風の人達には受けるみたいね」との事・・・どうせ俺は今風ではないさ
とか言ってる間に、Lucyの長〜いステージもようやく終了。
そして、アンコールにはポプシのメンバーが再登場し、なんとLucyとのセッションとなったのだった
1曲目はビートルズのカバー、2曲目がLucyのナンバー、そしてラストがポプシの名曲だぁ〜
「I Just Wanna Kiss You」
もう何もいらない
この幸福感がいつもでも続いて欲しい...と女房そっちのけのロック爺の夜でした
まぁ、妻は妻で、よく飲んでご機嫌でした
トータル約3時間のスタンディング...おっちゃんは限界オーバーだったが、
いつかポプシがワンマンライブ演ったら、絶対に最前列で何時間でも踊るぜ
ミネコフに愛を捧げる
「The Kooks」IN 横浜ベイホール [〜ロックの神さん〜]
先の金曜日、会社を無理くりに早退し、横浜マリンタワーで女房と待ち合わせなのです。
我が夫婦愛しの『The Kooks』が、3年ぶりの新作「Listen」を引っさげての来日コンサート。
3日間のライブの中で、最終日の横浜公演に何とか都合をつけて名古屋から参戦である。
東京宅からぶっ飛ばして来た女房のクルマに乗り込むや、途中、一時停止違反で張り込み警官にキップを切られるトラブルにもめげず、開演10分前に横浜ベイホールに到着。
入場直前、大きな紙を掲げた会場係の人が「リードギターのヒュー・ハリスが病気の為、アコーステック・ライブとなりますが、このまま入場でよろしいでしょうか?払い戻しにも対応しますが...」 と、聞いてくる。
「げ〜、そんなのありかよぉ〜」
クークス・サウンドの中核である彼のギター抜きでは、クリープの無いコーヒー(ふ、古い)みたいなモノだ。
されど、わざわざ名古屋から駆けつけ、妻とのデート・ライブも前回来日時のクークス以来3年ぶりとあっては、ここで帰る理由は無い。
「ルークの生ギターだけでも捨てたものじゃないから...」と、夫婦とも納得して入場
オープニング。
アコギを抱えたルークが、ベーシスト・ドラマーを引き連れて登場。
3年ぶりに会った彼は、いつも通りのTシャツにGパンのラフなスタイル。
「このだらしない感じが、うちの息子にそっくりよね〜でも、やっぱり前より老けてるわぁ」と云う妻の目が輝く
「誰かひとり、居ないんだよねぇ〜。でも、みんな楽しんでいってくれ!」と話すやいなや、
ギターをかき鳴らす。1曲目は、New Albumから「Around Town」をアコーステック演奏だ
アコーステック・セットとはいえ、軽いノリのクークス・サウンドがいきなり全開
2曲目は、早くもエレキに持ち替えて、1st Albumから「See The World」。
終始、アコギでしっとりムードのライブ形式に変更かと思っていたので、これは意外な展開だ。彼らはルーク抜きで、ガチロックナンバーまでも披露するつもりなのだ。原則はトリオ・サウンドだが、楽曲に応じて、サポートメンバーらしきパーカッショニストが、ルークの後方で譜面を見ながらバックギターを弾いている。一夜漬けの涙ぐましい努力が感じられ、中年夫婦は「頑張れぇ〜」って応援一色の感じだ。
後期のクークス・サウンドは、シンセサイザーも多用しており、リード・ギター兼キィーボード担当のヒューの欠場は確かに痛い。 「この曲をギターで弾くの初めてなんだけど」とルークは云いながら、シンセのサビをギターで弾いたり、普段はヒュー見せ場のギターソロも、彼がヤケクソ風のアドリブソロで決める。改めて、ルークの演奏能力に高さに感服だ。「やれる処までやったるぜ!」的な開き直りのルークのパフォーマンスは、少々優等生的な今までの彼には見られなかったモノで、会場もその勢いで盛り上がる
ジントニックをほぼ3口で飲み干した妻は、両手を振り上げ大声で歌っている。ロック嫌いだった彼女だが、私の影響で、クークスのほぼ全曲を私以上に、無論英語で歌えるのだ
3rd Albumから『Junk of Heart』のサビで大合唱
会場全体に熱気が迸り、これから後半戦に向けてスパートと思わせた矢先に、
「今日は、ありがとう。次でラストソングです」と、ルーク。
1st Albumから「Naive」〜ヒューのカッティングが際立つ名曲を、ルーク独りでこなす。
そして、颯爽とステージの袖に消えるメンバー達。
当然、「お決まり」のアンコールがあるはずと、観客の拍手は鳴り止まないが、一向に再登場の気配が無い。
ついに会場は一般照明に切り替り、「本日の公演は終了致しました」のアナウンス。
演奏開始19:45、終演時刻20:30。私のコンサート観戦史上最短の45分間のライブは幕を下ろした
ヒュー抜きでの演奏レパートリーがネタ切れになったか、付け焼き刃的演奏に完璧主義者のルークが我慢ならなかったのか?理由は定かではないが、消化不良は否めないコンサートになってしまった。
自宅に戻り判明したが、前日の赤坂ブリッツの公演まではヒューは健在だったようなので、横浜当日に倒れたらしい。それから残りのメンバーでセトリを練り直し、練習したのだろうから、同情できない事も無い。
だが、1枚6500円のチケット。観衆のほとんどは、我ら中年夫婦を最年長とし、圧倒的に若い年代で、高校生らしき観客も多かった。「若い子達には、ちょっと可哀想よね〜」と、妻が言う通り、彼らが一生懸命バイトして購入したに違いないチケットに託す「思い」には、もう少し応えて欲しかったな。ルークなら、独り生ギター一本で、クークス全曲をアレンジして弾き語りできる能力を持っているのだから。
常に音楽性が進化するクークスの今回のNew Albumは、ネオ・ソウルを取り入れたクラブ・ミュージック風の楽曲が多く、過去3枚のアルバム以上に、リズムが複雑だ。その点で今夜は、ベースとドラムのリズム隊の一糸乱れぬ演奏は見事であり、あとはヒューの穴をルーク一人でどこまで補えるかというレベルなので、New Albumのプロモート・コンサートとしてはギリギリ成功だろう。ただ、ルークとヒューどちらかが欠けてもクークスの心髄を披露するのは不可能であるのを証明した形ともなった。ふたりの関係は、ビートルズのポールとジョンのそれに等しいレベルなのだから。
全快したヒューの妙技と、もっとプロ根性に目覚めたルークの勇姿を、また何年後かに観たいものだ
もちろん、妻と
全員揃えば、このレベル
New Albumから『Forgive and Forget』
「Joe Henry」の新譜などなど... [〜ロックの神さん〜]
◎Joe Henry 待望のNew Albumが発表された通算13枚目の作品だ。
この数年、プロデューサー業主体の活動が目立っており、セルフアルバムは2年ぶりだ。
この10年間でJoeのアメリカン・ルーツ・ミュージックへの強い憧憬が年を経るごとに高まり、楽器の生音・ヴォーカルの瑞々しさは、数多のカントリーやブルースミュージシャンとは別次元の空気感を醸成していたが、本作は、彼の目指した音楽のひとつの到達点の作品かもしれない。
「古いのに新しい」・・・古典的なフォーク・ミュージック〜所謂アメリカ民謡を基盤に、ブルースやジャズ・ロックの要素も取り込みながら、Joe Henry独自の世界を造り上げられている。。
楽曲は、一部のエレキベースを除いて、ほぼアコースティック楽器で演奏されている。
演奏技術をひけらかす事は無く、ただ生楽器の音の糸を丹念に紡ぎあげ、練りに練り上げた熟練の技に、辣腕プロデューサーとしての彼のもうひとつの顔が見える。ジョーの自宅地下のスタジオで録音された今作には、熟成されたバーボンの芳醇な薫りが漂うのだ。
参加ミュージシャンは常連のメンバーの他に、一昨年の来日公演時に帯同したギタリストのジョン・スミスの名もクレジットに記されている。ジョーを含めて三人が奏でるアコギやマンドリン・ドブロの弦楽器の音色が、うっとりするほど生々しい。さらにジョーの息子のリヴォン・ヘンリーが吹くサックスやバスクラリネットなどの管楽器が、効果的に使われる。
そして、ジョーの沁み渡るヴォーカル。本来ガチロック好きの小生だが、彼の音楽だけは、胸の深い深い処で鳴り響き、身体中の血液を温め、浄化してくれる。
この空気感、もう、何も言うまい・・・至福の時である
『Sign』
1曲のみだが、私の歌姫であるリサ・ハニガンもコーラスで参加。
蘇るクラブ・クアトロ梅田(http://tsumujikaze2.blog.so-net.ne.jp/2012-10-12-1)の感動である
因に、このマニア向けのこの映画は、残念だが日本では公開されないのだろうな...
主演がエイミーマン、ジョン・ドー。ジョー・ヘンリーも出演と楽曲提供で活躍のようなのだ
『Pleased to Meet Me』
◎今月は、Joe Henryの他にも素敵な新譜と出会った。
卓越した技術を持つ女性ベーシストであり、かつ孤高のシンガーソングライターの通算11枚目のアルバムだ。
ジョーヘンリーとは対極の音楽性に聞こえるかもしれないが、二人の目指す場所は、案外近いのかもしれない。
事実、ジョーは彼女の9枚目のアルバムをプロデュースしており、小生がミシェルを知ったのは、それがきっかけだったのである。
デビュー当時は、バリバリのヒップホップだったが、年を経るごとにJazz、Rockの要素を取り込みながら進化し続け、最近はアコースティック度も強くなってきた。彼女の囁く様なヴォーカルと共に、音像は日増しに柔らかく、優しくなるが、音楽の芯は熱く煮えたぎる。
「優しいのに熱いロック」を聴かせてくれる希有な音楽家だ。今作でも、ベースの腕前をひけらかす事も無く、彼女のヴォーカル主体の仕上がりだ。ヒップホップ、ラップからJazz・Rock風に至るまで多彩な曲調が多いのだが、すべてミシェルの深淵なる世界に包含され、音楽のジャンル分けなど無意味で或る事を体感させてくれる。彼女の「宇宙的な歌声」は更に凄みを増し、詩が胸の奥々深くまで染み込んで来る。
『Choices』
一体、彼女は何処に向かっていくのだろうか?
◎もう一枚はCDショップを徘徊していた時、店内で流れていた曲に「ガツーン」ときて、そのまま即買いした作品だ。
G・Love & Special Souce・・・92年結成のベテラントリオ。『モグ・ラップ』と呼ばれるブルースとヒップホップを取り込んだ独自のスタイルを確立し、世界的にも評価の高いバンドらしいのだが、恥ずかしながら、小生は知らなかった。戦前のブルースロックの薫りが放ちながら、ヴォーカルはラップ風で、メチャ明るいサーフ・ミュージックの体裁。とにかく、このグルーヴ感は堪らんですわ
ネットショッピング全盛で密林一人勝ちの音楽市場だが、こんなミュージシャンとの出会いは、CDショップのそぞろ歩きでないと有り得ない。検索機能だけでは、辿り着けない魅惑の音楽。見知らぬ楽曲が鳴り響く中、店員さんのオススメCDの手書きPOPを眺め、ワクワクしながら視聴を繰り返す。CDショップの閉鎖が相次ぐ中、特に小生は、タワレコ・チェーンでのアナログ的な営業姿勢を高く評価する。従業員自らがバイヤーとなって埋もれたインディーズ系音楽を掘り起こし、手作りPOPやミニコーナー開設で宣伝する。定期的に各店舗独自にミニコンサートを開催し、お客様に生の音楽を体感させる事を心がけているようである。ゆえに、店舗間の集客力格差も大きいが、小生の勤務先そばのタワレコ栄店の営業姿勢と感性はサイコーなのである。名古屋に居る限りは、この店を応援するつもりだ。
◎おまけの購入
先日紹介したアイドル・ロック・グループ『Buono!』にハマっています
ライブDVDを衝動的に密林ポチッと
結成1年半後で、メンバー全員が高校生時分の2009年の映像である。
前半の「カラオケ」でのパフォーマンスは個人的には興醒めなのだが、後半の生バンドとの競演は、アイドルの域を完全に超越している。楽曲も多彩というか、往年の洋楽ロックをパクりまくりなのだが、それを幼気なアイドルが熱唱する姿が、心地よい
「ロッタラ・ロッタラ」
バックを務めるDolceという女性バンドとBuono3人の息の合い方が絶妙だ。バンド経験者なら判るだろうが、カラオケと生バンドをバックにして歌うのは、根本的に違う。双方の信頼関係と度重ねた練習が無くては、ここまでのパフォーマンスは不可能なのだ。そして女子高生アイドル達が、しっかりとヴォイス・トレーニングを積んで、ロックの発声法を会得しているのが窺われ、何ともいじらしく微笑ましい。
AKB、ももクロなどの人気には到底及ばないが(全く興味も無いのだが...)、個人的には史上最強のアイドル・ユニットとして末永く応援したいと思っている。
ミシェル・ンデゲオチェロ [〜ロックの神さん〜]
Me'shell Ndegeocello
ん〜なんと読むのか解らんかったが...ミシェル・ンデゲオチェロ...と発音する。
ベルリン生まれワシントン育ちの黒人女性アーチストである。
マルチプレイヤーであるが特にベーシストとしての卓越した技能と、ジャンルを超えたソングライティング能力を引っさげ、1993年にメジャーデビュー。新人ながら、独特の世界観と圧倒的存在感が評価され、いきなりグラミー賞3部門にノミネートされ、一躍時の人となる。20年間のキャリアで10枚のオリジナルアルバムを発表。常に進化する音楽性と変わらぬ世界観は、孤高のアーチストとして米音楽界で異彩を放つ
実は、私が彼女を知ったのはごく最近の事なのである。
小生の敬愛するルーツ・ミュージック界の旗手ジョー・ヘンリーのプロデュースに惹かれて、ミュージシャン自体はほとんど知らずに購入したCD。彼女の通算9枚目(2011年)のアルバムだった。
1曲目から軽い衝撃を覚える。
静かだが重いリズム。包み込む音像。染み込むミシェルの呟く様なヴォーカル〜えもいわれぬ空気感に一気に引き込まれる。そして、ジャンル分け不能なくらい個性的な楽曲が目白押し。ソウル系R&Bが底辺ではあるのだが、JAZZYなムードを醸し出した曲もあれば、ヒップホップやアフリカンを彷彿させる軽快なリズムが飛び出したり、一筋縄ではいかない曲ばかり。一貫して、ぶち切れた絶唱もギターソロも無く、淡々とした印象なのだが、その中に熱きロックの滾りを見せる味わい深い珠玉の作品集なのである。ミシェルのヴォーカルに耳を奪われがちになるが、彼女の弾くベースは、ヴォーカル同様深く重く、強い意思を感じるフレージングに胸躍らされる。
各楽器本来の美しき響きを大事にするジョー・ヘンリーらしい録音法と相成って、かつて聴いた事の無い静かなる熱きロックに癒されながらも体温がじわじわと上昇していくのを感ざるを得ない
Dirty World(8曲目)
Dead End(12曲目)ライブ映像
完全に病み付き、この作品は一発でヘビロテ・アルバムとなった
そして、当然の如く彼女の過去の作品に導かれて行くのであった。
1996年発表の2枚目。驚いたぁ〜小生の苦手なファンク、ヒップホップなのです
この手の音が嫌で、学生時代にナンパはしたいけど、ディスコに行けなかった小生だったのだが、この作品の音作りはちょっと違った
単に「はねて」いるだけではない知的で奥行きのあるソウル・ファンクだ
これは、何故だか気持ち良く聴ける。
3枚目(1999年)、前作と一転して落ち着きのある音作り。
アコースティックを多用し、メロディアスながら題名通り「ビター」な楽曲が続く。
ミシェルの染み込むようなヴォーカルが際立つ。
夜のBGMにも最適だが、それだけでは勿体ない緻密な構成だ。
World Has Made Me the Man of My Dreams
7枚目(2007年)のロック・テイスト溢れる作品だ
冒頭曲から、ベースがとんでもない唸りをあげてきます。
熱い!熱い! ミシェルのハートが完全燃焼
ヴォーカル、ハーモニーが全面に押し出されており、私の保有アルバム中では
一番、個のミュージシャンとしての彼女が主張されている気がする。
すべてのアルバムを所有している訳ではないが、アルバムごとに音楽表現は違えど、変わらぬミシェルの世界観。
あえてジャンル分けするならば、やはり「ソウルの女王」もしくは「魂の音楽家」か、ブラック・ミュージックの精神世界はそのままに、音楽形態は常に進化・洗練度は年を追う毎に極まりつつある。ソウル界のジミヘンだ
日本でも熱狂的なファンも多く、昨秋には来日コンサートを果たしている(東京・大阪公演だけだった)
とはいえ、一般的にはまだまだ知られておらず、日本版wikiにも掲載されていないくらいだ。
ヒップホップ系を毛嫌いしていた小生のような方は、騙されたと思って彼女の最近の作品(8枚目か9枚目)を聴いてほしい。きっと今まで知らなかった音世界に出会えるはずだ。
最後に彼女の「素の」声とベースを
今宵も絶品
「Weather」を聴いておやすみなさいです
Chance(4曲目)この静かなる高揚感
〜永遠のスターレス〜キング・クリムゾン [〜ロックの神さん〜]
新春一発目の音楽紹介は、この偉大なる英国プログレッシブ・ロック・バンドから。
キング・クリムゾン〜1969年のデビューアルバム『クリムゾンキングの宮殿』は、当時不動の人気を誇るビートルズの「アビーロード」を1位から引き摺り落とした歴史的名盤として名高い。
In the Court of the Crimson King
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: Discipline Us
- 発売日: 2004/11/04
- メディア: CD
レコード会社の陰謀に呆れ果てるほど何度となくリマスター、再発されたこのアルバムは、今聴いても45年の時の経過を忘れさせる完成度の高さである。ビートルズの人気に並んだ逸話より、ロックに叙情性や様式美を持ち込んで成功した初めての作品と呼んだ方が正しいと思われる。
デビューから約半世紀、メンバーチェンジと解散・再結成を繰り返しながら、キング・クリムゾンは2014年の今もグループとして存在している。(目立った音楽活動は見られないが)
結成当初からロバート・フリップ(ギター)のワンマンぶりは有名な処であるが、他のメンバーとの絶妙な力関係が、個々の主張する音楽同士のぶつかり合いとなり、それが、かつてない魅力溢れる前衛ロックの完成となったのが初期の作品群である。グレッグ・レイク、イアン・マクドナルド、ピート・シンフィールド、etc.初期の珠玉の4枚のオリジナルアルバムは、彼らの音楽性を抜きには語れない。静寂と狂気〜「エピタフ」と冒頭の「21世紀の精神異常者」を聴けば、それが判るはずだ。
しかし、フリップ大将は、そりの合わないメンバーは次々と解雇し、また彼のワンマンぶりに嫌気をさしグループを去る者が続出、キングクリムゾンはわずか3年で活動停止を余儀なくされるのだった。
1973年。すべてをリセットしたロバートは、新メンバーにてキング・クリムゾンを再起動。
ロバート・フリップ(ギター)ジョン・ウェットン(ベース・ヴォーカル)ビル・ブラッフォード(ドラムス)の3人が核となり、複雑なリズムと即興演奏を基本としつつ、様式は崩さず叙情性も醸し出す、前人未到のロック絵巻を造り上げていく。「俺が目指した音楽は、これなんだ!これが出来るメンバーを探していたんだ」常に廻りと軋轢を引き起こし、変人扱いされていたロバートの、狂信的なまでの音楽探究は、ついに日の目を見る事となるのだった。
実は、小生はこの時代のクリムゾンがまさに「狂信的」に好きなのである。
私の「英国プログレの神」は、第2期ジェネシスとこの再結成キング・クリムゾンだ
原題『LARK'S TONGUE IN ASPIC』は、直訳すれば(ゼリーの中の雲雀の舌)。
これを『太陽と戦慄』というジャケットからの連想に基づいた邦題に変えたレコード会社のセンスに、私は拍手を送る。6曲中4曲がインストルメンタル。ゲスト・ミュージシャンにデビッド・クロス(ヴァイオリン)、ジェイミー・ミューア(パーカッション)を迎えた本作は、前衛音楽にロックの香りを吹き込んだ意欲的な作品である。
太陽と戦慄パート2(1973年)
YESから引き抜かれたドラマーのビル・ブラッフォード〜さすが、ロバートが見初めた腕前だ〜独特の間を活かしたドラミングは見事。聞き惚れるジョン・ウェットンのベースランニング、悲鳴を上げるデビッドのヴァイオリン。
ロバート・フィリップのギター・スタイルは、大まかに2種類だ。JAZZギター風のノーマル・トーンと思いっきり歪んだファズ音である。特に後者のサスティーンを効かせた時は、ジェネシスのスティーブ・ハケットを彷彿させるのだが、遥かにノイジーで、人間がギリギリ心地良く聴ける瀬戸際の音色を放つ。
グループは、翌年「暗黒の世界」を製作。そして、このメンバーでの最終作であり、後に歴史的名盤となる「RED」を立て続けに発表する。
Red: 40th Anniversary Series (Wdva)
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: Discipline Us
- 発売日: 2009/10/01
- メディア: CD
何度このアルバムを聴いた事か...そして何度、感慨に耽った事か...
ロバートが、当時のメンバーで成し得る最高の音楽を、「極限状態」〜メーターのレッドゾーンに見立ててネーミングされた作品である。
裏ジャケット
1曲目の表題曲からぶっ飛びものだった
シンセサイザーと聴き間違えそうなフリップのギターがメインテーマを奏で、多重録音された突き刺す様なリフが左右チャンネルから鳴り響く。ジョンのベースラインは、ギターに負けずとてつもなく重々しく激しく、ビルのドラミングは縦横無尽に駆け巡る。アドリブの入り込む余地の無い完成された曲なのに、この迸る緊張感は何なのだ!
まるで楽器で殴り合いしながらも、見事なハーモニーを醸し出すインストルメンタル曲に、当時の私は、かつてない衝撃に見舞われた。
2曲目Fallen Angel、3曲目One More Red Nightmareでは、ジョンの渋いヴォーカルに管楽器も絡み、Redの緊張感を持続したロックが展開される。4曲目Providenceは、ヴァイオリンのデヴィド・クロスが加わり、うってかわって各演奏者のしのぎを削ったような即興演奏主体の前衛音楽。
そして最終曲のStarless。11分の大作である。
デビューアルバム中の名曲「エピタフ」の叙情性を彷彿させるメローなメインテーマを、メロトロンをバックにロバート十八番のサスティーン音が奏で、ジョンのヴォーカルにアルト・サックス(袂を分けた初期メンバーのイアン・マクドナルドがゲスト参加)、の呟きとチェロの調べが重なる。一転、ロバートのスローテンポの単純なリフにリズム隊が重々しく絡み、それは次第に熱を帯び、まさにレッドゾーンの演奏に突入。メル・コリンズのソプラノ・サックスも挿入され、そして序盤のテーマを繰り返しながら劇的なフィナーレで幕を閉じる。
スターレス〜星の無い宇宙〜光の無い暗黒の空虚感を、美しい旋律と鬼気迫る演奏で構成されたプログレロックの名曲である。何度聴いても目頭が熱くなる、私にとってのキングクリムゾンと言えば、この曲に尽きるのである。
「レッドゾーン」に突入したバンドは、当然の如くこのアルバム発表後に解散する。ロック・ミュージシャンとしては異常なほどの完璧主義者である孤高のギタリスト・ロバートに他の選択の道は無かった。
7年後の1981年、ロバートは旧知のビル・ブラッフォードに超絶技ベーシストのトニー・レビンそして、同じギタリストのエイドリアン・ブリューを招集し、新生キングクリムゾンを結成。完璧なリズムに特異なツィン・ギターの絡みは、一部の批判を浴びながらも成功を収め、日本にも初来日を果たしたが、1984年にまたも解散。
更に10年後の1994年に、ツィンギター、ツィンベース、ツィンドラムスという前代未聞のダブルトリオ編成で、クリムゾンを再々々結成。「レッド時代にやりたかったが、未熟な技術により出来なかった音楽を目指した」ロバートの言葉通りの、音楽の傾向は「Red」そのものなのだが、寸分の狂いも無い驚愕の演奏。リズムの深淵なる世界に取り憑かれたロバートのひとつの答えだったのかもしれない。
「VROOM VROOM」(1995年来日コンサート)
このバンド体制も長続きせず、2000年以降はロバート、エイドリアン、トレイ・ガン(bass)、パット・マステロット(drums)で2枚のアルバムを発表。その後は、バンド自体は継続状態ではあるが、この3年間は目立った音楽活動は報告されいない。昨年末、オフィシャルサイトで2014年9月バンド再始動が発表された。今度はスリー・ドラム体制でメル・コリンズの復帰も取りざたされている。さて、今度は如何なる「キングクリムゾン」を聴かせてくれるのだろうか、ロバート・フィリップ67歳〜未だに彼の音楽探求の旅は続いているようだ。
しかし、やはり私にとってのキングクリムゾンは70年代のこのメンバーに尽きるのである。
そして、この曲がすべてと云っても過言ではないのだ。
「Starless」(1073年ライブ) 長いっす
(スタジオ盤とは違い、SAXの代わりにデヴィド・クロスのヴァイオリン)
テデスキ・トラックス・バンド [〜ロックの神さん〜]
最近のヘヴィロテ・アルバムです
月に一度は通うCDショップでの久しぶりの「ジャケ買い」だったのだが、今回はブロンド美女に惹かれてではなく、この不可思議なイメージ写真に無性に惹かれ、20秒の試聴にて即買い
舌噛みそうじゃ〜テデスキ・トラックス・バンド(Tedschi Tracks Band)・・・何となく聞き覚えのあるような無いような名だったが、彼らのデビュー作が、2年前にグラミー最優秀ブルースアルバムを獲得しており、多分に受賞時の記事でバンド名をチラ見していた為だろう。当時、彼らの音楽をじっくり聴いていなかったのが悔やまれる。
そんな身体中をシェイクしたくなるご機嫌なサウンドがてんこ盛りの3rdアルバムなのだ。
ノリノリのブルース・ロックなのだが、楽器のアンサンブルが実に練りこまれており、素晴らしい
切れの良いビートを支えるベースとドラムス。随所に現れて曲を盛り上げるホーン・セクションとピアノ・オルガン。バックコーラスも美しい。そして、ソウルフルな女性ヴォーカルと、極めつけは、やはりリード・ギターだねちっこい音質で小気味好いリフ、研ぎすまされたスライドのソロ〜久しぶりに気分爽快なギターを聴いたぜ これらがすべて溶け合って、サザンロック風の熱っぽさと極上のメロディを生み出していく。この只者ではないバンドの正体は・・・
デレク・トラックス(guitar)&スーザン・テデスキ(vocal)夫婦を中心とした10人組のビッグバンド
しかも一聴して、黒人ヴォーカルを想像させた力強い声質の持ち主が、色香舞うブロンド熟女と知れば、これはもう堪りません そして今時では珍しく、ほぼ全曲に亘って「ギターソロ」が挿入され、それがみな痺れるフレーズなのだがら、元ロック小僧は病み付きです
ライブステージでも、彼らの実力は遺憾なく発揮される
後半の歌心溢れるギターソロに涙
(2011年の演奏です)
ギターソロ、特にスライド使用時に独特のプレイを魅せるデレク・トラックスは、なんとオールマン・ブラザーズ・バンドのオリジナルメンバーでドラムスのブッチ・トラックスの甥であり、本人自身も現オールマン・ブラザーズのギタリストでもあるのだ。(実は再結成していたのを知らなかったのだが...)
こいつは、デュアン・オールマンの生まれ変わりかぁ〜(彼の名前は「デレク・アンド・ドミノス」が由来らしい)
デレク・トラックス13歳時の「レイラ」ソロ〜凄い
蘇る70年代ロックの息吹
私が「Tedschi Tracks Band」に瞬く間に取り憑かれたのは、彼らの音楽に流れる70年代の血潮を無意識に感じ取ったのかもしれない。『レイドバックの新しい風』だ
これは、デビュー作も2ndも、密林連続ポチッポチッだね
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: USMジャパン
- 発売日: 2013/09/25
- クリーム解散後、エリック・クラプトンが結成したデレク・アンド・ドミノス
- 唯一のアルバム。名曲の「レイラ」はジョージ・ハリソンの奥方に横恋慕した
- クラプトンの想いが込められている。
The Allman Brothers at Fillmore East
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: Island / Mercury
- 発売日: 1988/07/13
- デュアン・オールマン在籍時のオールマン・ブラザーズのライブ名盤。
- 収録後、彼はオートバイ事故で夭逝。
なんと、来年2月に来日とか・・・名古屋にも来るぜ〜
唯一無二〜うたかたの美声『ジェフ・バックリー』 [〜ロックの神さん〜]
孤高の1枚である
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: Columbia Europe
- 発売日: 2004/11/04
- メディア: CD
女性ヴォーカル命の小生は、滅多な事では「野郎の声」に心動かされないのだが、このアルバムにはぶっ飛んだ、一発でヤラレタ、病み付きでした
「Mojo Pin」
◎ジェフ・バックリー(Jeff Buckley)・・・ 1966年生まれ、カリフォルニア州出身のシンガーソングライターである。1994年に上記の『Grace』でメジャー・デビュー。卓越したギター・テクと個性的な楽曲もさることながら、この類い稀なる美声が絶賛を浴び、次代の逸材として注目された。実父のティム・バックリーは60年代にアメリカで人気を博した歌手であったが、ヘロインの過剰摂取により早世。離婚した母親に引き取られた幼いジェフは、父親の歌声も愛情にも触れる事無く育ったと云う...しかし抗えない血の力。見知らぬ父に宿りしミューズは、ジェフのDNAにもしっかりと息づいていたのである。
彼を始めて知ったのは、小生のべた惚れ映画『バニラスカイ』での挿入歌。劇中では、気持ちの良いイントロのみだったが、後日購入したサントラ盤で、彼の歌声を聴いてグッと来てしまった。
「Last Goodbye」
痺れるスライドギターの調べから、極太のベース、切れのあるドラミング。
天才ジェフの単なるワンマンバンドでは無いのが窺える充実のサウンド構成だ
そして、愁いと甘味を含みながらも力強いジェフの声質との絡みが、ロックの詩情を際立たせる。
そんな経緯で、冒頭のデビュー作を即買い。
ソングライティング・アレンジにも独特の冴えを見せる。変拍子・変調が至る所で顔を出し、聴く者を混乱させたかと思いきや、センス溢れるストリングスの挿入で柔らかみを醸し出し、彼の美しいテノールで止めを刺す
まさに、捨て歌無しのアルバムで、新人アーチストのデビュー作とは思えない仕上がりなのだ。
ロックの世界に入り込まねば、オペラ歌手としても通用したであろう美声の天才が造り出した珠玉の名曲集。
セカンドアルバム製作中の1997年、ジェフはミシシッピー川で遊泳中に忽然と姿を消す。5日後に溺死体で発見された彼からは、薬物は何も検出されず、自殺説も囁かれたが、真相は未だに闇の中である。実父同様の非業の死を遂げた彼は、父から引き継いだ美声と共に、大河の底に深く深く永遠に沈んでいったのだった。
死後、未発表曲やライブ演奏が多数アルバム化されたが、彼が生前に残したスタジオ盤は、このデビューアルバム1枚のみ。
20世紀ロックの名盤の中でも異彩を放つ存在であり、天才ロッカーの儚く短い人生の中での最高の煌めきの一瞬を切り取った1枚でもある
「So Real」(この静かな曲が熱いそして高い演奏技術)
アルバム表題曲「Grace」
- アーティスト: Nancy Wilson
- 出版社/メーカー: Reprise / Wea
- 発売日: 2001/12/10
- メディア: CD
- キャメロン・クロウ監督の奥方であり、「ハート」のメンバーでもある
- ナンシー・ウィルソンが音楽監修を務めたサントラ盤。
- 涙が出る程素晴しい、隠れたロックの名曲が目白押し。
Sketches (For My Sweetheart the Drunk) [CD-Extra]
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: Sony
- 発売日: 1998/05/28
- メディア: CD
- 2枚組の未発表曲集。
- いい曲も多いけど、アルバムの完成度としては散漫になるのは致し方無いところだ。