「アムール、仏蘭西!④」なぜかアルプス? [ざれごと写真日記]
◎5日目
アヌシー二日目は、今回の旅行スケジュールでは、一番ノンビリと過ごす予定日だった。
アヌシー湖で長女と湖水浴を愉しむべく、水着まで持参していた妻は、朝からやる気満々。
一方の小生は、湖畔でビキニのブロンド・ギャルを楽しもうと、違った意味でやる気満々。
しかし、いざ湖畔に出ると気持ち良い涼風が体を吹き抜ける...「水、冷た〜い」
結局、水遊びは水温の上がる午後からにしようというので、近場の観光スポットで午前中は時間を潰す事にした。
既に、妻の手にはホテルのフロントから取って来た近隣の観光地のパンフレットが5枚ほど・・・準備がよろしい
その中の1枚を指差し「ここがいいなぁ〜」と主張する奥様。
それは、セスナ機に乗ってアルプス山脈を周遊するツアーだった (ほんまに乗り物好きの女房...)
家族3人が雪山に激突する図が頭を駆け巡った父は、この申し出を断固、阻止しようとする
「よく見ると、飛行場に行くまでに相当時間がかかるな。1日がかりになって、湖で泳ぐ時間が無くなるぞぉ〜。俺は、こっちのコースがいいな。駅からも近そうだし」
私は、野生動物自然公園のパンフレットを指差し、家長の主張を訴える。
「Gare(駅)から6キロって地図に書いてあるから、こっちがいいんじゃないのぉ」
と、珍しく長女も父側につき、女房も渋々同意。
勝利に酔う父は、駅前のタクシー事務所に乗り込み、サンドイッチを頬張っていた運ちゃんにパンフレットを突きつけ
「アイ ウォント トウ ゴー 此処」と訴える
「OK、OK」二つ返事の運ちゃん〜フランスの田舎町でも、気合いで意思疎通は成る
タクシーは、アヌシー郊外に出て高速道路に入る。。。。30分経過、駅から6キロならとっくに着いてるはずだ。
3人とも、不安ウィルス増殖中
娘が「あと何分位かかりますか?」と、フランス語で聞く。
「う〜ん、40分かなぁ〜」と、運ちゃん。
何か、小生は重大な過ちを犯したようだった
パンフレットを長女に読み返してもらう。
「駅から6キロって、アヌシー駅からじゃなくて最寄りの駅からだったみたい。この場所は、ほとんどスイス国境よ」
タクシーは快調にハイウェイを飛ばす。アルプスの山々が徐々に目前に迫って来る。
このまま強行するか、引き返すなら今のうちか?家長の決断が問われる...
「素敵な景色だわも〜う一日がかりで、このまま行っちゃえ」私を責めるどころか妻が突然、歓喜の声を上げる
妻の強い賛同が得られれば百人力。
父は、長女を通して運ちゃんと交渉。目的地に着いても、そのまま車を待機してくれるよう頼み、往復料金のメドを聞く。「OK、OK。ワタシ、このシゴトで1日終わりねぇ〜お金は370ユーロ位かね」と運ちゃん。無謀な日本人観光客に大喜びのようだ。
父の「セスナ恐い」から端を発した事件は、全く意外な展開を見せ、遂に着いてしまいました。
『 メルレー自然動物公園』
シャモニ郊外の山腹にある自然公園。目前にアルプスの山々を臨み、野生動物が放し飼いされている。
問題の最寄りの無人駅を通り細い山道を突っ走り、公園入口の駐車場で運ちゃんと別れる。
往路のタクシー代金はまだ払わず、二時間待機の約束だ。(万一、先に払って帰られたら万事休すだからだ)
そして絶景が待っていた
女房が絶叫「凄〜い」
憧れのモンブランだぁ
アルプスをバックに昼食
此処まで来るとスイス料理っぽい
園内は、林間学校なのか子供達の団体や地元の家族連れで賑わっている。みんなハイキング用の重装備だ。
短パン・Tシャツ・サンダルと、水遊びの格好のままの謎の東洋人家族が一組、異彩を放っていた...
食事中にマーモットが侵入
時間に制約があるので、駆け足で園内の一部だけを廻るが、至る所で野生動物との出会いがある。
興奮醒めやらぬ女房は、草原のど真ん中に座り込み、スケッチを始める。
これこそ怪我の功名。
妻が言うには、スイス側やシャモニからアルプス観光ツアーに参加したら高額な上に、人混みでごった返しているそうで、こんな静かな環境でしかも動物と触れ合いながら、アルプスの絶景を眺められるのは、奇跡なんだそうだ。
凄まじい雪渓
「アルプスの少女ハイジ」気分の家族3人は、後ろ髪を引かれながら、上客と出会いホクホクの運ちゃんが待つ駐車場に戻る。
また一気にアヌシー市街のホテルを目指す。メーターも予定金額に向かって快調に上がる。
「ちなみに運ちゃん、クレジットカードは使えるよな」と、聴けば...
「ノン、ノン。キャッシュ、オンリーね」という答え。
・・・3人の手持ち現金を合わせても、どうも足りない計算
市街に戻っても銀行窓口は閉まっているので、両替ができない。
結局、長女の僅かなユーロ口座からATMで有り金すべてをおろし、タクシー料金を支払うおまけ付きの顛末。
娘に頭が上がらない両親・・・(元々は俺が稼いだ金のはずなのだが...)
パリ行きのTGV発車まで1時間。
荷物を取りに戻ったホテルの中庭で一服していると...水着に着替えた奥様登場
「絶対に泳ぐもんね」
岩肌から、結局冷たい湖に飛ぶ込む母娘に呆然の父
(もちろんビキニは長女ではありません。尻は女房ではありません。)
発車10分前にアヌシー駅に滑り込み、パリ駅に着いたのは午後11時。
今日も壮絶な一日だった フランス滞在あとラストワンです。
「タイピスト!」 [上映中飲食禁止じゃ!]
☆閑話休題。仏国紀行を休憩し、にわかフランス・マニアに陥った小生が、帰国後に最初に観た映画が、これ
女性にとって大人気の職業が秘書で、さらにタイプライター早打ち大会に勝つことが最高のステータスだった1950年代のフランス。田舎出身のローズ(デボラ・フランソワ)は保険会社の秘書に採用されるが、ぶきっちょで失敗してばかり。そんな彼女の唯一の才能であるタイプ早打ちに目を付けた上司ルイ(ロマン・デュリス)は、二人で協力し、タイプ早打ち世界大会に出ないかと提案する。(シネマトゥデイより)
監督:レジス・ロワンサル
製作:アラン・タムル
撮影:ギョーム・シフマン
キャスト
ロマン・デュリス デボラ・フランソワ
ベレニス・ベジョ ショーン・ベンソン ミュウ=ミュウ
当然の如く、フランス映画なのである。
即製フランスかぶれの小生が、評判の小品の上に、ヒロインがブロンドと知れば、見逃す訳にはいかない
舞台は1959年。
オールド・パリ・モードを彷彿させる、ポップでレトロなオープニングに、観る者は一気にスクリーンに引き込まれ、期待に胸を大きく膨らませるのである。
この最初の5分間で、お洒落なストーリー展開を予想させるに十分な導入部だ。
フランス版「マイ・フェア・レディ」と言ってもよい。
田舎育ちの女性の才能を見出した、少々屈折した貧乏実業家が、手塩にかけて彼女を一流のタイピストに育て上げる話し。その過程で、二人の想いは、時にすれ違い、時に燃上がり、そして破局。別の道を歩み始めた彼らは、果たして結ばれることができるのであろうか・・・
小細工無しの単純なラブ・コメディであり、我々も素直に二人の恋の行方を見つめていればいいのである。
この安心感を土台にして、当時のフランスの世相を見事に再現した美術構成がひときわ目を惹く。
そして、一片の弛緩も感じさせないスピーディな展開。世界大戦の出征により、心に傷を負ったルイの心情心理を深く掘り下げてほしいと見る向きもあるだろうが、明るく洒落たストーリーには、この程度が似合う。
しかし、この映画の最大の魅力はヒロイン・ローズ役のデボラ・フランソワに尽きる。
絶世の美女とは言い難いのだが、場面ごとに変わる「女の表情」に目を離せなくなる。
小生は、序盤早々でタイプライターを打つ彼女の後ろ姿だけで一発KOだった
この美しき背中とうなじ
そして、或る時はトボケた田舎娘
或る時は、戦いに燃えるファイター
或る時は、アイドル並みのキュートさ
或る時は、物思いに耽る淑女
そして洗練された「マイフェアレディ」に
果たしてその正体は・・・
ベルギー生まれの27歳
こんな格好もします
...と、まぁ、彼女の百面相が詰め込まれたブロンド・フェチ必見の作品でもあるのだが、金髪に興味が無い方でも、十二分に楽しめる極上のラブ・コメディの出来映え。
1950、60年代の音楽を巧みに挿入しながら、当時のフランスの世相を見事に再現した演出も見事である。
英米の昨今の映画では表現しきれない「おしゃれ感」を、決してひけらかす事なく自然と魅せるのは、フランスっ子製作陣の面目躍如たる処である。やたらと多い喫煙シーンも、今のハリウッド、邦画では間違いなくNGだろうが、そんな事お構いなしの構成に、愛煙家の小生は拍手を送る。そんなフランスの独創性と自信が漲る秀作である。
そういえば、フランス旅行中に感じたのが、先進国とは思えない路上喫煙の多さ。路上に面したカフェでは、吸い殻を地面に捨てるのは常識であり、街中の至る所に吸い殻は散乱している。30年前の日本以上のマナー状況なのだ。
留学中の娘が言うには、喫煙が健康に及ぼす影響について仏国内ではほとんど議論されていないらしい。
良くも悪くも、フランスは他国に易々と追随しない頑固な国であり、そんな処からもフランスのプライドを感じてしまう。我々は知らぬうちに「アメリカナイズ化」され、情報操作されているのかもしれない・・・と、身勝手な愛煙家は自信を深めるのであった
ついでに娘は言う。
「生粋のフランス生まれのブロンドなんて、ほとんど居ないよ。最近の子は、みんな金髪に染めるからね。本物は、ロシア・北欧圏から来る観光客位だね。」・・・父の悩みは深い
お洒落なアベックのデートにはピッタリのおススメ映画です。決してオッチャン独りで観るなとは言わないけど...
『アムール、仏蘭西!③』南仏の誘い [ざれごと写真日記]
◎4日目
早朝、リヨン駅から長距離バスで南仏の保養地「アヌシー」に向かう。無論、妻・長女との3人旅だ。
アヌシーは、スイス国境に程近いアルプス山脈に囲まれた小さな街。
世界屈指の透明度を誇るアヌシー湖を擁し、夏はマリン・スポーツ、冬はスキーのメッカとして、フランスの都会っ子達の人気のスポットの位置づけ。
旧市街は中世の面影を残し、アヌシー湖に注ぐ河川との取り合わせは、まるで南仏のヴェネチアという感か。
今回のフランス旅行で妻が選んだ観光地は、いかにも女性好みの「可愛い」街であった。
欧州地区はバカンス期間でもあり、街中は「軽井沢の銀座通り」並の賑わい。昨日のリヨンの穏やかさと比べ、少々圧倒されたのだが、パリの観光地に感じられた喧噪さとは違い、何か落ち着いた活況さを感じる。
長期間滞在してバカンスを愉しむ自国民が大半のようで、世界中の国々からの観光客が分刻みで名所を駆け巡る首都パリとは、根本的に時間の流れ方が違うのが理由なのかもしれない。
町の所々にフランス国旗と共にスイスの国旗も多く見られる
アヌシー地区は中世は、ジュネーブの領地だったと云う
そして、予定通りというか、アヌシー湖の遊覧船に乗る。
とにかく、うちの嫁さんは乗り物が好きだ。遊園地に行けば、すべてのアトラクションを制覇したがるし、飛行機・新幹線利用の旅行には目が無い。海・湖...上野の不忍池に限らず、水辺では遊覧船かボート漕ぎに付き合わされるのは、長い結婚生活で実証済み。
二時間かけてアヌシー湖をゆっくり一周する。
ハエじゃないです、ハングライダー
妻と娘は、船の最前列を陣取って涼風に当てられ、ご満悦の様子なのだが、イラチーなお父様は、徐々に水と空と山の風景に見飽きてくる。
船内の女の子と仲良くなったり
マリンスポーツを愉しむ美女軍団をカメラで追う
Oh,Pretty! こんな生活をしてみたい
こんな不貞を働く親爺の姿を、母娘は知る由もないだろう...
買い物がてら旧市街に戻ってブラブラ。
そして夜も更け、ディナー・タイム
初日ハンバーグ、二日目サラダとフォアグラだけ、3日目カップ麺。なかなか質素である
食いしん坊とーちゃんは、今晩だけは我が儘言うぞ
「フランスらしいコース料理が喰いたいよぉ〜」
ガイドブックでは予約必須と書かれたレストランに飛び込み、奇跡的に1テーブルをゲット
もちろん、オートキュジイーヌのような堅苦しい処ではなく、小綺麗なビストロである。
この選択は大正解。雰囲気・味・コストパフォーマンス共に感涙モノであった。
レストラン「ビルボケ」(http://www.restaurant-lebilboquet.com)
特に二皿目のグリーントマトと魚介類の爽やかな味付け、四皿目の羊肉の適度な匂いの消し方と微妙な火の入れ具合は、日本の高級フレンチでも出せない味の奥行きを感じるものであった。
しかも値段はコースで39ユーロ(妻と娘は29ユーロ) 初日のパリのハンバーガーの27ユーロを考えれば、信じられないコストパフォーマンス、はたまたパリの物価が高すぎるのか。
どちらにしても、フランスに来て初めて『旨い』に巡り会った。
今回の旅行の主旨を食べ歩きにし、予算も気にせず、こまめに高級料理店廻りをすれば、まだまだ素敵な食との出会いがあったかもしれない。しかし、この時点で勝手に確信したのだが、フランスと日本が世界の食の双璧である事と、日仏の食への感性の類似性だ。そして、なんだか急に、こんな所からフランスへの親近感が湧き出てしまうのだった。
満腹気分で市街を徘徊しながら、またもや、夜中にホテルへ。
屋根裏を改造したような大きな部屋にスリー・ベッド。
長女と同じ部屋で寝るなんて、彼女が小学生時の温泉旅行以来かもしれない。
シャワーを浴び、ベッドにうつ伏せになりながら、恐る恐る娘に声をかける。
「おぉ〜、久しぶりに背中に立ってマッサージしてくれ〜」
「うん、いいよぉ〜」
素足の彼女が、器用に私の背中に立って足踏みをしてくれる。彼女が幼稚園児の頃に父が仕込んだ、我家のオリジナル指圧法だ。女房では少々重過ぎるのだ。今でも小柄な娘の体重が、私の分厚い脂肪層を通して、ちょうどいい加減でツボを刺激してくれる。
「ぎがぁ〜、気持ちいい〜」
二十歳を過ぎ、見知らぬ外国の町で独りで暮らせるまでになった娘が、いまだに父親とスキンシップしてくれる幸福感に、父はただただ熱くなる目頭を枕に押しつけるのでした
そして、徐々に意識は遠のき深い眠りについていく・・・微笑んでいるのか、呆れているのか、妻の視線を感じながら...
「アムール、仏蘭西!②」古都リヨンの煌めき [ざれごと写真日記]
◎3日目
昨晩に合流した長女をガイド役として、リヨン市内を散策します。
リヨン(LYON)・・・パリに次ぐフランス第二の都市。中世から絹織物産地として繁栄し、当時の面影を残す旧市街は世界遺産に登録されている。現代では、「美食の街」「金融の街」としても有名で、観光・ビジネス共に多くの人々で賑わっている。長女は、今年の1月からこのリオンにある大学に通っているのである。
妻は、入学時の付き添いで既にこの街に来ている為、本日も私は、女性陣の後をオロオロと付いて廻る父役である。
街のシンボル〜サン・ジャン大司教教会
石畳が時代を感じさせる
トラブール
(絹職人が雨に触れずに巻物を運ぶ通路として使用された〜街に点在している)
リヨンのマスコット的存在「ギニョール」
生誕200年。当時の世相を風刺した人形劇のキャラクター
フルヴィエールの丘から眺める旧市街
ランチはご当地の伝統料理「クネル」
フルヴィエール大聖堂
古代ローマ劇場跡地から
同じ観光地でも、パリと違って人混みが少ない
スリもいな〜い穏やかな街だ でも坂道が多い、ぜぇぜぇ
よく見ると建物の天井が高い住宅が並ぶクロワ・ルース
織り機を置いた為である
「星の王子さま」を生んだサン=テグジュベリはリヨン生まれ
結構な炎天下でのダラダラ坂での散策に、3人とも徐々にグロッキー状態に陥る。
当初の予定では、「美食の街」と云われるご当地で、たまには豪華なフランス料理店でディナーを愉しむはずだったのだが、3人が向かったのは地元のスーパーマーケット
長女はアパートに戻り、ホテルでは、フランスパンを齧りながらカップ麺を啜る中年夫婦の姿がありました
こんな夕餉でも、娘の成長に驚きながらも誇らしく感じる私達には、美味しくてたまらなかったのです
そして翌朝の早い出発に備え、早めに床に就く
僅かなリヨン滞在であったが、首都パリとは異質の落ち着いた町並みに心洗われ、既にこの街に同化している娘を羨ましくも感じるのでだった。
リヨンでの唯一の個人的な心残りは・・・高級フレンチではなく、リヨンを本拠地とする女子サッカー・クラブ・チーム「オリンピック・リヨン」の試合を観れなかった事欧州クラブ選手権二連覇の強豪チーム。なでしこの大滝、大野も昨年まで所属していた。
もちろんお目当ては左端。
フランス代表チームでも最強のMF、「女ジタン」の異名を持つ
ルイザ・ネシブ(Louisa Necib)
彼女が日本に来る事を祈ろう
『アムール、仏蘭西!①』パリ初上陸^^; [ざれごと写真日記]
所謂、旧西側ヨーロッパ諸国の中で、私はフランスが一番縁遠く、苦手な国である。(嫌いとまでは云わないが...)
日本と同じ島国・イギリスは、ブリティッシュロック狂の小生としては憧れの国だし、ドイツ・イタリアは共に戦い、辛酸を嘗めたという同胞意識がある。 (どうせ私はプチ右翼)ピカソ・ガウディを生んだスペインの風土・文化は魅力溢れるし、北欧3国はブロンド嬢がいっぱいオランダと日本の歴史的背景は深いし、永世中立国スイスは賞賛に値する。
フランス・・・
鼻にかかったフランス語が将に合わない。格式ばったフランス料理が不得手。
世界を席巻した多くのファッション・ブランドは高額なだけで理解できん。
フランス革命は、「自由・平等・友愛」を民衆の力で勝ち取った自国の誇りらしいのだが、一般市民が国王をあれほど残虐に殺戮するなど、天皇を崇める大和民族には到底有り得ない事態なのだ(どうせ私はプチ右翼)
とにかく、あのお高くとまった人を小馬鹿にしたようなお国柄が、ど〜もお父ちゃんは苦手なのだ
そんな小生の長女が語学留学でフランスに暮らしている事態を、どう理解すればよいのだろうか...
血の成せる宿縁というべきか...
...てな訳で・・・いきなりパリへ初上陸です
◎1日目
お盆休みと有給休暇を目一杯使っての夫婦フランス旅行〜最大の目的は長女との再会である。
3ヶ月前に「アンタ、会社をクビにならない限り、この日程で休暇を取って頂戴」と、お盆期間にしては格安の航空券を予約した妻から言い渡された ひぇ〜
一応、中間管理職の身なので支障はあるのだが、留学中の娘と現地で合流しての家族旅行など金輪際有り得ないだろうと思い、家長らしく決断
無論、旅程・宿泊先・経費・荷物詰め諸々は女房がすべて取り仕切り、私は名古屋から深夜に東京宅に戻り、翌早朝には成田空港まで拉致され、12時間のフライトの末、気がつけば花の都・巴里という具合なのだ。
泣けるほど狭い部屋のホテルに荷物を置き、夕刻から早速、パリ市内観光となった。先導するは、(知らぬ間に...)パリ4度目という妻。小生は愛機Nexを片手に、ただただ付いて行くのみ。
凱旋門下の追悼の炎
(1923年以来絶え間なく燃えている)
この時期のパリの日没は22時頃〜とにかく夜が長い。
アグレッシブな夫婦はタクシーなど使わず、地下鉄を乗り継ぎながら名所巡り
ルーブル美術館のライトアップ
当然、閉館しているので外観のみの見物
そのシルエットを見ながら軽く夕食
パリは物価が高過ぎる、我が国は牛丼270円だぞぉ
セーヌ川から「ノートルダム大聖堂」を臨む
夜遊び夫婦がホテルに戻ったのが24時。
このペースで観光し続けたら、大分痩せられるかもしれない
◎2日目
本日の夜に長女の住むリオン市へ移動の為、それまで半日かけてのパリ市内観光続行です
モンマルトルの『サクレ・クール寺院』
寺院から少し歩くと『テルトル広場』
画家達が集い、即売会や似顔絵書きに精を出す。
ピカソやユトリロも此処にいたのだ
奥様は手札サイズの油画を購入(17ユーロ)してご満悦の様子
しかし、丘を下りながら最寄りの地下鉄の駅を探すが、なかなか見つからず道に迷い始める。
ここで、亭主は颯爽とiPhoneを取り出し、ググるマップ検索
・・・と、「iPhoneが無〜い」 ・・・「や、やられた」
完璧にスラれた。寺院に登る坂道でアヘアヘ言っていた時か、広場で写真に夢中になっていた時か、定かではないが、ポケットに入れていた物が消えたのだけは事実だ。
意気消沈しながら街を徘徊していると、探していた地下鉄の駅の方は見つかる皮肉
流石の女房も旦那にかける言葉も無く、無言の車中。
何しろ今回の長期休暇を決断したのも、昔と違ってこのIT兵器さえあれば、リアルタイムで名古屋の会社と連絡が取れ、仕事の指示もできると踏んでいたからだ。それが忽然と消えたのだから心穏やかにはなれない。
しか〜し、ここで頭を切り替えねば、せっかくの大事な旅行が気分台無しになる。
まず、駅を降りるや、女房のガラケーを借りて、緊急回線停止等の手続きをする。さすがガラケー、巧く操作できないので、日本で留守番の長男に電話して彼に手続きを頼む。「iPhoneを探すアプリ」などを使った処で時間の無駄、ここは海外だ。画面ロックはかけているので、これをも突破されて悪用されたら諦めよう。次に名古屋の会社に、緊急時の連絡先として妻の恥ずかしい文字列のメールアドレスを伝える
応急処置さえしておけば、とりあえず問題なし...という事にしておこう。命までは取られない。帰国してから新品を買い治せばいいのだ、と割り切る。
そういえば昔は、こんな文明の利器が無くても仕事が出来てたもんなぁ〜
よ〜し、久しぶりの電話もメールも来ない晴れがましい旅行の再スタートだぁ
と、切り替え完了の能天気な亭主は『オランジェリー美術館』を闊歩しております。
ルノワールも
ルソーも
素敵だが、私はアンドレ・ドランの描く
この少女に惹かれる
この小さな美術館を選んだのは、ルーヴルやオルセーが今頃は長蛇の列なのは明白だった事と、このモネの傑作を一目見たかったからだ。(この絵画だけは撮影禁止でした)
クロード・モネ『睡蓮』
楕円形の2つのホールに飾られた8面の「睡蓮」の連作。
「水平線も岸辺もなく、波紋によって果てしない幻想」を表現した『光の画家』の集大成〜感無量であった
またまた地下鉄を乗継ぎ、道に迷いながら到着
リュクサンブール公園
ヨーロッパの花壇は日本庭園には無い凛とした美しさを感じる。
おまけに、ブロンド美女がいるとなれば絶景だ
長閑でえぇなぁ〜
ボチボチ市内観光を切り上げ、TGV(フランスの新幹線)に乗り約2時間、リヨン駅に夕刻着。
待ち合わせのホテルで、長女と8ヶ月ぶりの感動の再会(父親だけかもしれないが...)
積もる話しは食事をしながらという事で、彼女の行きつけのカフェレストランへ。
すかさず、お父様のご注文は・・・フォアグラちゃん
大ぶりの肝臓様にシロップがかけられた摩訶不思議な一品
だからフレンチはよく解らん旨かったけど...
僅か8ヶ月で逞しくなった娘の姿に目を細めながら、舌鼓をうつ。
会話が、忘れかけていたスリの話しとなる。
長女「こっちの友達も何人かパリに行って、やられたよ〜。iPhoneの闇市場があるらしいとか。特にモンマルトルは酷いみたいね。可愛い少女達が署名運動のフリをして取り囲んで、盗むんですって!」
蘇る記憶・・・(げっ、まったく同じ手口じゃないかぁ〜、あの娘、可愛かったのに...)
などと、妻には口が裂けても絶対に言えない旦那様なのでした
謎解きはディナーの後で
今晩はふて寝じゃ
「ペーパーボーイ 真夏の引力」 [上映中飲食禁止じゃ!]
監督・脚本:リー・ダニエルズ
原作・脚本:ピート・デクスター
撮影:ロベルト・シェイファー
音楽:マリオ・グリゴロフ
キャスト:
ザック・エフロン ニコール・キッドマン
マシュー・マコノヒー ジョン・キューザック
デヴィット・オイェロウォ メイシー・グレイ
スコット・グレン ネッド・ベラミー
1969年フロリダ、ある問題によって大学を追われた青年ジャック(ザック・エフロン)は、父親の会社で新聞配達を手伝うだけの退屈な日々を送っていた。ある日、新聞記者の兄ウォード(マシュー・マコノヒー)が、以前起こった殺人事件で死刑の判決が出た人間が実は無罪かもしれないという可能性を取材するため、実家に帰ってきた。そしてジャックは、兄の手伝いをすることに。取材の過程で死刑囚の婚約者シャーロット(ニコール・キッドマン)に出会ったジャックは、彼女の美しさに魅了されてしまい……(シネマトゥデイより)
観る者は選ぶが、噎せ返るような奥深さと虚脱感が同居した近年稀に見る怪作である
この映画、売れる訳がない。一般的に受ける道理がない。
しかし、私は、こんな作品との出会いに喜びを隠せない
1969年、夏のフロリダ。
詳細な時代考証とポラロイド調のややハイキーな色彩が、仄かな哀愁を呼び起こしながら、当時のアメリカの光と影を、濃厚に炙り出していく。
前半は、正義に燃えるフォード記者の弟・ジャック青年の「ひと夏の経験」を主題にした下腹部が少々痺れる青春ドラマの様相。見ての通りのナイスガイのジャックだが、シャイな性格が災いし、ペーパーボーイならぬチェリーボーイ。その彼に、かつてない恋情と性欲を抱かせた対象が、死刑囚と文通の末に婚約したあばずれ女のニコール・キッドマン演じるシャーロット。
今回のニコールは強烈だ
無学で淫乱、しかし底無しの母性と正義感を持った四十路女を激演する。
当時の流行りのファッションに身を包んだ彼女は、さながら使い古されたバービー人形のように手垢に塗れ、饐えた匂いが漂う。
そして、とびきりに艶かしいのだ
海で溺れたジャックを蘇生させたシーンなどには、思わず生唾を飲み込んだ
「童貞ジャックのドキドキ物語」は、シャーロットの婚約者である死刑囚ヒラリーの冤罪立証に近づけば近づく程、サスペンス色が濃厚となっていく。
前作「推理作家ポー 最期の5日間」では、頭脳明晰かつ行動力溢れるナイスガイを演じ、好感度抜群のジョン・キューザックが、その死刑囚。粗野かつ凶暴な野獣の如く振舞う姿は、目を疑いたくなる変貌ぶり。
(このニコール・キッドマンとジョン・キューザックの変身ぶりと役者魂を観るだけでも価値あり)
無罪放免されたヒラリーは、人里離れた密林地帯の我家に、シャーロットを連れ去って行く。
彼女もまた、俗世間から隔離された世界に怯えながらも、強烈なオスの放つフェロモンに抗え切れず、ジャックに別れを告げるのであった。
強烈な初体験を体中に塗込まれたジャックは、彼女を諦めきれず、兄と共にシャーロット救出作戦を敢行するのだが...そして衝撃の展開と驚愕の真実が待ち受ける
当作品は、カンヌ国際映画祭ではパルムドールを争う一方、メディアからは「2012年最悪の作品」と酷評されたりと、平均点が付かない〜100点か0点か、まさに観る者を選ぶ映画である。
「真夏の引力」などと洒落た邦題が付けられているが、そんな生易しいレベルの作品ではない。
ジャックの狂おしくも儚い真夏の恋愛を通して、人間の根源的な本性に肉薄する恐ろしいサスペンス作だ。
更に、男と女と性の摂理を油画のように濃密に表面に描きつつ、当時のアメリカ社会問題である人種差別、富の格差、ジャーナリズムの腐敗などを透かし絵の如く裏面に忍ばせた、職人気質を感じさせる細密画の出来映えなのだ。
そして1969年時点の病巣が、現在のアメリカ社会の闇に深く結びついている事をも示唆しているのだ。
背筋をゾッとさせつつも、「ニヤリ」と苦笑いできる摩訶不思議な物語〜まさに劇薬〜60年代の音楽も素敵
〜この蒸し暑い夏にピッタリの私好みの映画でした〜
...それにしてもニコール・キッドマン...47歳には、とても思えん
カンヌ映画祭での艶やかなお姿
こんな胸のポッチをうっすらと見せれたら...
オッチャンはさかりのついた雄犬のように地の果てまで付いていくだろう
週末から長女に逢いに仏国へ行って参ります(もちろん奥様と...)
暫く更新は滞りま〜す
桑名の石取祭 with Nex [ざれごと写真日記]
やかましい、やかましい
燃える、燃える
これが、三重県桑名市の『石取祭』だ
お得意様のご好意で、「天下の奇祭」「日本一やかましい祭り」と呼ばれる『石取祭』にご招待を受けた。
旧城下町桑名の総鎮守、通称春日神社で行われ、町屋川で採取した石を氏神に奉納することを目的とした石取りと呼ばれる行事が祭礼化したものと伝えられる。この日の夕刻から、各町内から繰り出された30数台の祭車が、一斉に鉦や太鼓を打ち鳴らしながら、春日神社に一基づつ参拝する『花車渡祭』のメインイベントなのである。
由緒ある老舗の料亭で、ご当地名産の「蛤づくし」の料理を腹一杯ご馳走になった後、祭礼見物には絶好の場所に位置するご自宅に招かれる。 二階のベランドから、この熱きお祭りを堪能して参りました。
祭車は参拝後も市内を練り歩き、朝方までこの「ドンドン、チャラチャラ」は続くのだそうだ。
先日、仕事で訪れた時には全く感じられなかった活気が街中を覆っている。
この街の何処に、こんな数の若者が潜伏していたかと目を疑う若きパワー。
「静かな桑名の街が、1年に一度だけ燃え盛る日なんですよ」と、お得意様は話される。
岸和田のだんじり祭り、浅草の三社祭...全国各地で行われる祭りは、規模の大小を問わず、その地で育った者の心を掻きむしる力を持つ。
名古屋宅に戻っても、「ドンチャラ」の響きが耳をついて離れず、なかなか寝付けない。
ああ、今年の秋は地元の祭りには帰れるかなぁ〜神輿、担ぎてぇ〜
ロキシー・ミュージック『アヴァロン』 [〜ロックの神さん〜]
滅多に見ない民放TVで、現在一番気になるCM
特にpart.4がお気に入り
素顔よりコスプレ姿の「平野綾」いいですねぇ、エセ・ブロンドも
ゲーマーでもコスプレイヤーでも無いが、「アヴァロンの騎士」という題名には何故かそそられるものがある。
「アヴァロン」とはイギリスの伝説の島であり、古代ブリテン人の英雄・アーサー王が眠る場所と伝えられる。
中世の騎士道とロマンスを描いた「アーサー王と円卓の騎士達」の物語は、時代の変遷と共に歴史戦記からファンタジー、RPGにまで世界中の若者から支持される題材となったのである。「桃太郎の鬼が島伝説」とは、少々趣きもスケールも異なる「アヴァロン」には、常に神秘的なイメージがつきまとう。
そして音楽ファンの小生は、短絡的にここに結びつける...
ROXY MUSIC『AVALON』
(何気にコンガを叩くおネェ様が素敵)
ロキシー・ミュージックの究極のラストアルバムであり
20世紀ロック史上、燦然と輝く名盤
1972年に英国でデビューしたROXY MUSIC。
結成当時は、グラムロック人気に便乗したキワモノの音楽素人集団と揶揄されていたらしい。
メジャーデビュー時の主要メンバーは・・・
ブライアン・フェリー(vokal/keyboard)
フィル・マンザネラ(guitar)
アンディ・マッケイ(sax/obe)
ブライアン・イーノ(synthesizer/keyboard)
後に「アンビエント・ミュージック(環境音楽)」の神様と崇められたブライアン・イーノ(73年脱退)を除き、上記の3人が永きに亘りロキシー音楽の中核トリオとなり、後期の活動は彼らをレギュラーメンバーとして、アルバム・コンサートごとに客演者を呼び込むスタイルが定着していった。
Virginia Plain(1972)
デビュー当時は、ファッションはグラムロック風だが、音楽自体は前衛ファンク・ダンス・ミュージックって感じでしょうか 今、聴いても結構、斬新です
当時の小生は、バリバリのハードロックかメロメロのプログレが好みの為、熱狂的な彼らのファンではなかったのだが、リーダー格のブライアン・フェリーのイヤらし度抜群の歌声と勘違いもここまで来れば絶賛の伊達男風味には惹かれていた
Love Is The Drug(1975)
(何気に左のダンサーが素敵)
有名なこのジャケットに誘惑されて...
この4thアルバムくらいは所有していたのだが、確かにこの辺りから急速に音楽が緻密さかつ深みが増してくる。
とは言っても、それ以降も彼らをずっと追いかけていた訳ではないのだが...(笑)
すっかりロキシーを忘れ去っていた大学生時。
深夜、自宅で「ムフフ、今夜はどんなHな企画かなぁ〜」と、あの「11PM」にTV画面かぶりつき状態のスケベ青年が独り。しかし、その時は「うさぎちゃんの秘湯の旅」ではなく「今野雄二」の真面目な音楽紹介コーナーだった。氏曰く「このアルバムは凄い。この音作りは、現在では有り得ないレベルだ」などと、ロキシー・ミュージックのニューアルバムを取り上げ絶賛していたのだった。
「そこまで言うなら、聴いてやろうじゃないか」と、購入したROXY MUSIC 8th album「Avalon」につむじ風青年は、1曲目から脳天をぶち抜かれたのでした
ブライアンのヴォーカルが儚さを湛えながら、縦横無尽に駆け巡るフィルのギターとシンセサイザーが溶け合い、男の哀愁を際立たせる。ベース・ドラムは淡々とリズムを刻みながら、コーラスごとに微妙な抑揚を付ける。
試行錯誤の末、多重録音を繰り返したであろう分厚い音像なのだが、電子処理の匂いを全く感じさせないピュアな響き。これほど洗練された緻密な構成なのに、優しさと美しさに溢れた「人の温もり」を発している音楽。
デジタルに背を向けた、まさに男ブライアン・フェリーが遂に辿り着いた渾身のダンディズムの極致なのだ
More Than This(1982)
アナログ的手法で究極の音空間を創造した20世紀の前衛かつ保守ロックの最高傑作だと、私は訴えたい
「More Than This」=「もう、これ以上」
ロキシー・ミュージックは、このアルバムを最後に解散。「これ以上の」音楽は作れないとばかりに...
2001年に再結成されるも、過去作のライブ演奏を繰り返すのみで、彼らはその後1枚もAlbumは発表していない。
『伝説の島・アヴァロン』は、「夢の終焉、最期の到着地」という意味もあるそうだ。
最後にブライアン・フェリーのソロ活動期での来日映像を
Tokyo Joe(1997)
(う〜ん、やっぱりAsian Beautyもいいもんだぁ)
流石、女に囲まれて絵になる伊達男
「最後のマイ・ウェイ」 [上映中飲食禁止じゃ!]
監督:フローラン・エミリオ・シリ
脚本:ジュリアン・ラプノー
音楽:アレキサンドル・デスプラ
キャスト
ジェレミー・レニエ
ブノワ・マジメル マルク・バルベ モニカ・スカティーニ
ジョゼフィーネ・ジャピ ロバート・ネッパー モード・ジュレ サブリナ・セイヴク
クロード・フランソワ(ジェレミー・レニエ)は厳格な父エメ(マルク・バルベ)の死後、パリに進出し歌手としてデビュー。敏腕マネージャーのポール・ルデルマン(ブノワ・マジメル)と共にスターの座へ上り詰める。そんな中、フランス・ギャル(ジョゼフィーヌ・ジャピ)との破局を歌った「コム・ダビチュード」を、尊敬するフランク・シナトラがカバーすることとなり……(シネマ・トゥデイより)
クロード・フランソワ〜60~70年代のフランスで大活躍したスター歌手。「クロクロ」の愛称で、国内中のマドモアゼル達に親しまれた。フランク・シナトラの不朽の名曲『マイ・ウェイ』のオリジナルが、実は彼の作品である事は、ほとんど知られていない。
・・・洋楽好きの小生も、マイ・ウェイのエピソードそして当然、彼の存在自体を知らなかった。
本作は、この仏国伝説のスター歌手の伝記映画である。彼の知られざる実像にフランス製作陣が、ありったけの愛情と客観的な視線で迫り、人間・クロードの魅力と太く短い生涯を綿密に描き込んでいる。
実物「クロード・フランソワ」
ジェレミー・レニエ演じる「クロクロ」
見事な配役
『傲慢で、女好き。嫉妬深く、神経質。』・・・宣伝文句で使われた男としては少々不名誉なレッテル通りに、ジェレニーは熱演。在りし日のクロードを、そのまま煌びやかにスクリーンに復活させた。更にそんな彼の一面の裏に潜む、容姿に対するコンプレックス、厳格な父との確執を通した家族への想い、絶えぬ創作活動への情熱をも見事に表現した。まさにハマり役であると共に、周到な脚本・演出には大きな拍手を送りたい。
美術・衣装、挿入音楽も絶妙であり、エジプトからコート・ダジュール、パリへと彼の成長過程で辿る様々な土地・時代背景が、違和感なく観る者の五感を刺激する出来映えだ。
そしてクロードの人生に深く関わっていく者達も、非常に人間味溢れる描写が成されている。
マンネリに陥らぬよう、人気の絶頂の彼に対しても常にアーチストとしての進化を求めるマネージャー・ポール役にブノワ・マジエル。強面のヘビースモーカーと対極の性格のクロードとの比較がユニークな上に、二人の信頼関係と友情が、言葉にならずとも真に迫ってくる演出が心憎い。
更にクロードが愛した女性達が、それぞれ個性的な魅力を振り撒いてくれた
彼の女性遍歴を時系列に超個人的ランク付け
最初の熱愛相手は売れないダンサー〜最初の妻
モード・ジュレ〜スリムな肢体に☆☆
二人目〜実在のアイドル歌手「フランス・ギャル」役には...
ジョセフィーヌ・ジャピ〜清楚な色気に☆☆☆☆
二人目の妻役にアナ・ジラルド☆
4人目は...これは掘り出し物だぁ
ジャニケ・アスケヴォルド〜文句無しの☆☆☆☆☆
ノルウェーのファッションモデルから大抜擢
献身的な最後の恋人
ソフィ・メイステール
は、鼻血が...☆☆☆
止めはクロードの姉役(真ん中の女性)サブリナ・セイヴク
この疲れた色気が意外と高得点☆☆☆☆
最初の妻以外はブロンドのオンパレード〜至福の時〜
個人的趣向を十分に充たしていただいた無名だが豪華な女優陣に
本題に戻ると・・・
クロードが単なる人気歌手ではなく、ソングライター或はパフォーマーとしても類い稀なる能力を持ったアーチストであった事を、この映画は力説している。
仮に、クロードが英語圏の国に生まれ、もしくは、不慮の事故に遭わずアメリカ進出が成り立っていたら...彼は間違いなく音楽界の歴史を変えたスターになっていたかもしれないのだ。
一世を風靡した80年代のマイケル・ジャクソンと肩を並べる、いや、MJ伝説を凌駕する神話を作ったであろう男。
仏国映画製作陣のプライド貴き渾身の一作に、私は胸の高鳴りを抑える事が出来なかった
◎本日のオススメ其の一
実在の「フランス・ギャル」の
『夢見るシャンソン人形』(1965年)
日本でも大ヒット日本語ヴァージョンまであります
◎本日のオススメ其の弐
ジャニケ・アスケヴォルド(Janicke Askevold)