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「シュガーマン 奇跡に愛された男」 [上映中飲食禁止じゃ!]

名古屋上陸後、栄のミニシアター初めて鑑賞した映画は、音楽ドキュメンタリー作品。
 
 
 
これは掘り出し物の感動作。 
 
Sixto Rodriguez・・・1970年代初頭にデトロイトからデビューしたシンガーソングライター。当時のボブ・ディランを凌ぐ逸材として2枚のオリジナル・アルバムを発表したが、全米で全く売れず、忽然と音楽界から消え去る。
一説では、ライブ中に拳銃自殺をしたと云われていた。
 
・・・そんな無名のミュージシャンを追ったドキュメンタリー映画である。
 
 
ロドリゲスの華麗なるデビューアルバムになるはずだった『Cold Fact』から1曲 
 
 
おまえを犠牲にしたのはクスリの売人だろうか
あいつは気楽な稼業でおまえのカネを卑しめる
おまえは快楽を追求しながら自分の飢えに苦しめられ
好奇心の強かった男が弱虫野郎になっちまった
 
それでもおもえは何かが起こりそうだと思っている
おまえが珍しいと思っている何かが
だけど俺はおまえが頬を涙で濡らしながら
自らを哀れみ嘆く姿を見た事がある 
一度耳にしたら離れられない独特の声色で、デトロイトの貧民街でもがく男の詩を切々と綴っていく。
 
所属レーベルの無策か、はたまた時代とのミスマッチか、彼の作品は当時のアメリカでは全く評価されなかった。
しかし、南アフリカ共和国で、一旅行者の持ち込んだロドリゲスの音楽テープが口コミで広がり、瞬く間にアメリカの地球の裏側の国で、彼は若者達のカリスマとして絶大な人気を博していたのであった。
アパルトヘイト抵抗運動が過熱する南アフリカで、彼の美しいメロディと反体制的な歌詞が、多くの国民の支持を得たのである。そして再発されたアルバムは驚異的な売上を記録し、ビートルズやストーンズと並び称される存在になったロドリゲスであったが、既にその時には米国内で消息不明となっていたのである。
 
時代は流れ、90年代。
青年期にロドリゲスの強い影響を受けた二人の男性が、彼の自殺の真相と死者への莫大な印税の行き先を調査し始める。 
そして二人が辿り着いた衝撃の事実と、その後の奇跡のストーリー[ぴかぴか(新しい)]
 
ロドリゲスは生きていた...
 
彼は音楽活動引退後、肉体労働に従事し続け、家庭を持ち3人の娘と共に貧しくも幸せな生活を送っていた。
 
そしてついに、30年の時を経て、ロドリゲスは南アフリカ・ケープタウンで「初」のコンサートを開催するに至る。
 
 1998年 復活コンサートのライブ盤より
 
 
事実に即したドキュメンタリーだが、構成が素晴しく、前半はサスペンスさながらの緊迫感を伴う。ロドリゲスの熱狂的ファンが、一歩づつ事実に近づいて行く様が極めてリアル。アルバム制作時のプロデューサー、ライブハウスの常連などを訪ね、ロドリゲスの人となりを自然と想像させ、利殖を貪ったであろうレーベル会社の元オーナーに静かな怒りを滾らせる。そして後半の「蘇ったスター」として登場した老人・ロドリゲスに、時代を超えた音楽の素晴しさを教えられると共に、彼自身の人間性の尊さを感じずにはいられない。
 
音楽ドキュメンタリー作品というより、時代に翻弄されながらも愚直に生き方を貫く1人の男への崇高な賛歌だ。
 
映画好きにもたまらない、音楽ファンなら必見の感動作である[パンチ]
 
今や世界中から引っ張りだこのロドリゲス 
 しかし、地元での肉体労働の合間にコンサートを行うスタイルは変えていないと云う
 
 
 
シュガーマン 奇跡に愛された男 オリジナル・サウンドトラック

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  • 出版社/メーカー: SMJ
  • 発売日: 2013/02/20
  • メディア: CD
 
 
 
 
 
 
Cold Fact

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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Light in the Attic
  • 発売日: 2008/09/04
  • メディア: CD
 
 
 
 
 
Coming from Reality

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  • 出版社/メーカー: Light in the Attic
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