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「コズモポリス」&「アンナ・カレーニナ」 [上映中飲食禁止じゃ!]

またまたミニシアターで2作を・・・
 
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監督・脚本:デヴィッド・クローネンバーグ
原作:ドン・デリーロ
製作:マーティン・カッツ
音楽:ハワード・ショア
撮影:ピーター・サシツキー 
 
キャスト:ロバート・パティンソン
ポール・ジアマッティ サマンサ・モートン
サラ・ガドン マチュー・アマルリック
ジュリエット・ピノシェ エミリー・ハンプシャー
 
 
28歳という若さで巨万の富を手に入れたニューヨークの投資家のエリック・パッカー(ロバート・パティンソン)。白いリムジンの中で金を動かし、天国と地獄が隣り合わせで一瞬先は闇という投資の世界に生きながら、一方ではセックスの快楽に夢中になっていた。しかし、エリックの背後に暗殺者の影が忍び寄る。さらに、自分自身わかっていながらも、破滅の道へと歩みを進めるエリックは……(シネマトゥデイ)
 
デヴィッド・クローネンバーグ監督はやはり手強かった[ふらふら]
 
 
...とは云ってもこのSFホラーの巨匠の作品は、「ヴィデオドローム(1982)」と「ザ・フライ(1984)」の2作品しか観ていない。既に約30年が経過、彼の作品も変化しているはずだろうが、特に前者の難解さがトラウマになっており、個人的には苦手な監督の部類に入ってしまっていた。
 
そして今回、果敢に挑戦したのだが、御歳70の天才ホラー爺に、もろくも惨敗した。
 
オフィスを持たず、リムジンカーの中で投資を繰り返す青年は、今や米大統領以上に世界経済に影響を及ぼす存在になっていた。その彼の数奇な1日を描く内容である。「ヴィデオドローム」を彷彿させる閉鎖空間は、クローネンバーグお得意の手法かもしれない。終始、ダークな映像とロバート・パティンソンの一貫して落ちついたトーンの演技が、この閉塞感を更に助長させる。そして謎の美女が次々と・・・
 
 サラ・ガドン
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パトリシア・マッケンジー 
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ジュリエット・ピノシェ 
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エミリー・ハンプシャー 
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このタイプの異なる女性達を含め、次々とリムジンカーに訪れる人間によってストーリーは起伏をつけていく。
巨万の富を得ながら、ただエリックの日課は、車内で健康診断を受け、女を抱くだけである。白いリムジンは悠然と街を走るのみ。彼の金とSEXへの果てなき欲望が充満し、息が詰まりそうなリムジンの車内は、人間社会から隔離されたシェルターか?はたまた世界中の金を操る動く聖地か?
その車内で、エリックは中国元の相場投資に失敗し、世界経済に混乱をもたらし、彼自身も破綻寸前に陥り、命を狙われる立場となる。
 
だが、リムジンの中にさえいれば、彼の状況に全く変化は無い。ネット・トレードでの莫大な資金の移動にはまるで実感は伴わないし、屈強のガードマンとリムジンの強固な筐体が生命は守ってくれる。 
しかし、彼は破滅寸前の状況を楽しむが如く、リムジンを飛び出し、暗殺者の前に身を晒すのである...
 
デジタルマネーが世界を席巻する制御不能のグローバル資本主義を、一人の青年の一日に焼き写した作品だ。
密閉された車内から世界経済を見せる、まさにクローネンバーグらしいアイロニーな演出。
しかし、エリック自身の行動と思考が、説明不足なのか小生の頭脳不足なのか、イマイチ理解しにくいのである。
原作をじっくり読めば納得するかもしれんが、いや、余計に混乱するかも・・・
 
とにかく、深〜い作品である事には間違いなし[exclamation] 但し、転勤疲れの身には、少々厳しいレベルであった[あせあせ(飛び散る汗)]
 
 
 
 
もう一方の作品は、精神衛生上にも非常に好ましい内容・・・なかなかの良作です[ぴかぴか(新しい)] 
 

 
 監督:ジョー・ライト
脚本:トム・ストッパーズ
撮影:シーマス・マッガーウエイ
美術:サラ・グリーンエッド 
原作:L・N・トルストイ
 
キャスト
キーラ・ナイトレイ ジュード・ロウ
アーロン・テイラー=ジョンソン ケリー・マクドナルド マシュー・マクファディン
ドーナル・グリーソン ルース・ウィルソン アリシア・ヴィキャンデル
 
19世紀末のロシア。政府高官のカレーニンの美しい妻アンナ・カレーニナは、モスクワへ向かう道中で騎兵将校のヴロンスキーと出会う。一瞬で互いに惹かれあったふたりは舞踏会で再会。アンナは欺瞞に満ちた社交界と家庭を捨て、破滅的な愛にのめり込み……(ぴあ映画生活より) 
 
トルストイ不朽のこの名作は「世紀の大不倫劇」。そして露文学が食わず嫌いの小生は、当然トルストイ作品は何一つ読破していないのである。そんな事はお構いなしに、この映画は素晴らしかった[exclamation×2]
 
何と云ってもまずキーラ・ナイトレイ
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 [揺れるハート]私は彼女の「鎖骨」が大のお気に入り[揺れるハート]
 
「パイレーツ・オブ・カリビアン」での少々ヤンチャな役も悪くはないが、やはり「プライドと偏見」「つぐない」などの気高い女性の深層心理を演じさせたら、彼女は天下一品。今作の貴婦人役はまさにハマり役だ[exclamation×2] ジョー・ライトとの共作三たび、彼はキーラの活かし方を心得ている。
 
まず、ストーリーを演劇舞台風に展開させる洒落た演出が憎い。時代考証も言うに及ばず、美術と特に紳士淑女が纏う衣装の美しさ〜みんな似合い過ぎ〜
 
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ジョー・ライトの絵作りは、前2作含めて、小生のツボにハマりまくりなのです。
 
そして共演者も充実の演技[グッド(上向き矢印)]
 
アンナの夫であるカレーニン役が、あの2枚目ジュード・ロウとは中盤まで気付かぬ程の圧倒的演技[exclamation]
禿げ上がり方も一流[exclamation&question]
何度裏切られてもアンナを救う信じられない聖人ぶり 
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アンナに恋人を奪われ、逆に「真の愛」に目覚めるキティ役にスウェーデン生まれのアリシア・ヴィキャンデル
アンナとは好対称の清楚な美しさを全開[かわいい] 
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コンスタンティン(ドーナル・グリーソン)との愛の告白シーンは
感動モノ[もうやだ~(悲しい顔)]
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浮気癖の兄を戒めに行ったモスクワで出会った運命の人。ミイラ取りがミイラになったような展開だが、貞淑な妻が内に秘めた想いを抑えに抑え、ついに激情の濁流が決壊する様をキーラが、美しく「映画的」に完璧に演じる。
模範的な「妻」であり「母」が、『おんな』になる刹那を[キスマーク]
 
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物語は、アンナの悲劇として終わる訳であるが、決してお涙頂戴ではないし不快感が伴うものでもない。
「女の業」に散ったアンナを賞賛もしなければ非難もせず、キティの愛の成就と対比しながら「愛の形」に定理が無い事を切々と描いて行く。
とにかく、墜ちて狂って行くアンナが、かえって美しくなっていく姿は、男として背筋が寒くなる想いなのである。
 
「こんな女に惚れられたら、幸せなのか恐怖なのか・・・[がく~(落胆した顔)]
 
男としては怖いもの見たさもあるのだが、所詮、中年太りのオッチャンには有り得ない話。
(あっ〜今の女房で良かった[黒ハート]) 
 
登場人物中、唯一共感を覚えた男性は、アンナの兄・オブロンスキー様。
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[かわいい]子沢山の浮気者[かわいい]
家庭を大事にしながらも『私の性欲』がいけないのだ!と宣う[どんっ(衝撃)]
 
[ひらめき]さすが、オッチャンの鑑[ひらめき] 
 
 冗談はさておき、『美しき佳作』に心奪わた一日でした[わーい(嬉しい顔)]
 

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