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『世界侵略 ロスアンゼルス決戦』 [上映中飲食禁止じゃ!]


 
 
監督:ジョナサン・リーベスマン
製作:ニール・H・モリッツ オリ・マーマー
製作総指揮:ジェフリー・チャーノフ デビット・グリーンプラット 
脚本:クリストファー・バートリニー
撮影:ルーカス・エトリン 
 
キャスト:アーロン・エッカート ブリジット・モイナハン ミシェル・ロドリゲス マイケル・ペーニャ
ニーヨ コリー・ハードリクト ウィル・ロッタール ラモン・ロドリゲス
 
1942年2月25日、アメリカ・ロサンゼルス上空。アメリカ軍のレーダーが、発光しながら編隊を組む25機の飛行物体を捕捉する。しかし約1440弾の対空砲火を行うが、1機も追撃することができなかった。当時、その模様はラジオで中継され、アメリカ西海岸はパニック状態に陥った。現在でも、この騒動の真相は明らかになっていない。その後、1965年にはアルゼンチン・ブエノスアイレスで空飛ぶ円盤が目撃され、1983年には韓国・ソウルに未知の光る物体が出現した。1991年にはイギリス・ロンドンにもそれらが現れた。しかし、彼らの目的はまだわからなかった。そして2011年、これまで世界各地で目撃されてきたUFO事件を通して人間を観察してきたエイリアンたちは、ついに地球侵略を開始する。彼らの侵略の最初の地であり、最後の砦となったロサンゼルスを守るため、マイケル・ナンツ曹長(アーロン・エッカート)率いる海兵隊は、壮絶な市街戦を繰り広げる。 
 
荒唐無稽な超SF作品と期待していた処、コテコテの米海兵隊戦争ドラマだったのだが、意外にも思いのほか引き込まれてしまった。 
 
宇宙人襲来パターンの映画は星の数ほどあり、地球外生物との交流を優しく描いた「E.T.」、高度な軍事・科学力を持つ侵略者との死闘を描いた「インディペンデンス・デイ」など、心躍らせた名作も多い。
今作は、世界各国の都市が同時にエイリアンの総攻撃を受けるという図式を取っており、「インディペンデンス〜」に酷似しているのだが、大きく戦闘の描写方法が異なる。

まずストーリーの柱が市街戦なのである。高度な文明を持つエイリアンのようだが、大量破壊兵器は一切使用せずに、海上から上陸作戦を敢行し徐々に内陸に侵攻してくるのだ。
そして、エイリアン達も地球軍同様に軍隊組織を形成し、リーダーを中心にした指導体制で小隊ごとに行動してくる。さらに、このエイリアン兵隊さんは、圧倒的な火器を使用はするのだが、個々の戦闘能力自体は驚く程高くない。我が大和魂を持って、相手の急所を狙い撃てば、決して勝てない敵でないのが、この作品のミソだ。

迎え撃つアメリカ海兵隊。ウィル・スミスのように素手でエイリアンを倒せるようなスーパーマンは登場しない。
引退間際のナンツ2等軍曹が編入された小隊は、それこそ「撤退許さじ!」海兵隊魂で、市民救出の為、敵陣の真っただ中に突入するのである。

ロスの市街地を舞台にした完全なる白兵戦である。
仮に、エイリアンが第二次大戦下のドイツ兵、アフガニスタン紛争のタリバン兵であっても、そのまま戦争映画として成立するシチュエーションなのである。敵がエイリアンであると思わせない程、現実の戦争を彷彿させる圧倒的な戦闘シーンの連続だ。あえて言うなら、相手が”人間”でないだけに残虐な死闘にも心が痛まない分、真のリアリティが薄れるが、そこがこの映画の良心的な部分だと思うのだが。

私は、ソマリア内戦を描いたリドリー・スコット監督のブラックホーク・ダウン [DVD]を思い起こす。
 
激しい市街戦の中で次々と消え往く仲間の命、圧倒的不利な状況でも使命を全うしようとする指揮官の姿は、出来レースと言われようが心を打つ。 そんなリーダーに当初は不信感を抱えていた部下達もいつしか身命を賭けて、彼に同調する。
 
兵士達のバックボーンの描き方が少々弱い為、彼らの壮絶な戦死にも割と平然していられる面があるが、それは戦場に半端なセンチメンタルは不必要というナンツ曹長のポリシーにも通じる。部下を失った悲しみと責任を、胸の奥深くに仕舞い込み、平然と任務遂行に邁進する。
 
国力が落ちたとはいえ、「世界の警察」としていまだ各国の戦場を駆け巡るアメリカ軍兵士。
アメリカの青年達は、有事となれば常に「死」と隣り合わせである。『何の為』か解らなくても・・・そんな彼らがいつしか本物の兵士となっていく。
 
米軍魂を徹底的に美化したコテコテ戦争映画に拍手を送りつつ、アメリカの抱えるジレンマを垣間見せたSF映画を超越した佳作であった。
さらに、エイリアン側をアメリカ軍、海兵隊側を仮にイラク軍に置き換えるならば、それこそ石油という資源を巡る壮絶な侵略戦争に見えなくもない・・・とは、深読みのし過ぎだろうか[exclamation&question]

おまけ
 そんな訳でもう一度この傑作を観たくなった
 
 
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