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『UNDERWATER LOVE ーおんなの河童ー』 [上映中飲食禁止じゃ!]

傑作[exclamation]怪作[exclamation&question]感動作[exclamation×2]笑撃作[わーい(嬉しい顔)] 
 
 
監督・脚本:いまおかしんじ
脚本:守屋文雄
撮影:クリストファー・ドイル
音楽:ステレオ・トータル
 
キャスト:正木佐和[ぴかぴか(新しい)] 梅澤嘉朗 成田愛 吉岡睦雄 守屋文雄 佐藤宏
 

缶詰工場で働く明日香(正木佐和)は、恋人の滝はじめ(吉岡睦雄)との結婚を間近に控え、幸福な日々を送っていた。そんなある日、高校時代に水死したはずの同級生、青木哲也(梅澤嘉朗)が河童となって明日香の目の前に現れる。なぜか同じ工場で働くようになった青木は、何かと明日香につきまとい、同僚の麗子(成田愛)からも好意を持たれるようになる。そんな奇妙な日々の中、青木のもとに死神(守屋文雄)が姿を現し、明日香の命が間もなく終わると告げる。その運命を変えたいと願う青木は、明日香の手を取り、河童の里へと向かうのだが(goo映画より)

 
ピンク・ミュージカルと銘打った本作を、前代未聞の「前衛ファンタジー・ポルノ」とでも呼ぶべきか?
一般的には、まっ二つに評価が分かれる作風なのだが、 低予算のB級映画の範疇に入るであろうこの作品に、これほど胸がときめく[揺れるハート]とは、自分自身予想だにしていなかったのである。
 
[カチンコ]いまおかしんじ・・・知る人ぞ知るピンク映画の巨匠らしい。出張先のホテルでAVを観る事はあっても、劇場でピンク映画を観賞する機会は最近は皆無である。その為、彼の存在は当然の如く知らなかった。確かに昔からピンク映画から出発した名監督は数多い。神代辰巳、森田芳光、相米慎二、金子修介、周防正行、中原俊、黒沢清・・・低予算の演出に制約の無いポルノ映画の中で自己の表現を自由に発揮した作品を作り続け、後にメジャー作品で成功した監督達だ。いまおか氏が今後メジャー作品を制作するかは別にして、今作での類い稀なる表現力に、前述の先輩監督らに勝るとも劣らない希有な才能を見て取れる。
 
当然R-15である。
遥か昔の中学生時代。ポルノ映画なるものが観たくて、観たくて、友人となるだけ大人っぽい服装をして浅草の映画館に行った。受付を通る時の胸の鼓動は、今も忘れられない。くゆる紫煙(当時の下町映画館は喫煙可[喫煙]だった)の向こうのスクリーンを見つめ、女性の白い裸体と喘ぎ声に戸惑いつつ、大人の仲間入りができたような気分に浸った。
 
 
 
そんな70年代日活ロマンポルノを彷彿させるアンニュイな映像が、この作品のベースとなる。
クリストファー・ドイル(ウォン・カーウァイ監督作で有名)が、事前の打ち合わせ無しで、ほぼ一週間で撮り切ったという「いい加減やっつけ仕事」は、逆に感性の赴くままの一発撮りの緊張感を生み出し、銀塩フィルムぽいハイキーな色調と相まって、作品の摩訶不思議さを大いに助長させる。一流カメラマンは、光の扱い方ひとつで素材に別の意味と力を与える。
 
インディーズバンドのヘタウマソングと思しき耳にこそばゆく響くサウンドは、実はドイツのデュオグループ
「STEREO TOTAL」計算しつくされたようなチープな演奏に、女性ヴォーカリストが「日本語棒読み」で歌う。これがまた摩訶不思議な雰囲気を醸し出す。何故か耳に残るこの音が一発で気に入ってしまった[るんるん]
 
そして特筆なのが、主演・正木佐和の「ファンタスティックな演技[exclamation×2] 
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NHKドラマやCMで活躍するベテランの域に入った37歳の中堅女優である。
絶世の八頭身美人ではないが、清潔感溢れる清楚な顔立ち〜特に笑った時の垂れ目がキュート〜そして元祖日本人体型の微乳&美しいヒップ。 
その彼女が初主演として、茨城の鄙びた街工場で働く婚約中のアラ40女性を等身大かつ息をのむ演技で魅了してくれた。
東京でのOL生活に疲れ果て故郷に戻り、小さな幸せに夢膨らませている矢先、死んだ高校の同級生に再会し、揺れる女心をまさに体当たりの熱演で表現した。
濡れ場でもシリアスなシーンでも全く嫌みのない自然な芝居、そして何よりも底抜けに明るい笑顔に、観る者すべてを癒す圧倒的パワーを秘めている。
こんな素晴しい女優が、今まで日の目を見ないなんて、日本の演劇界は一体...[どんっ(衝撃)]
超個人的・今年度日本アカデミー主演女優賞は正木佐和で決定である[exclamation×2]
 
 
個性的な共演陣も巧くて強烈[ひらめき]想いを秘めた河童役の梅澤嘉朗。河童の童貞を奪う爆乳・成田愛。婚約者役の絶倫男・吉岡睦雄。訳解らん笑ってしまう死神役・守屋文雄(脚本家でもある)やはり注目は、着衣と脱衣で全く異なる魅力ある演技を披露した成田愛。ダイナミックなボディは往年の「片桐夕子」か!(ではさしずめ、正木は「宮下順子」か!)・・・ふ、古い[あせあせ(飛び散る汗)]
 
こんな映像・音楽・演技の有機的結合なぞ糞喰らえの演出で、いまおか氏はストーリー進行お構い無しに唐突に
河童ダンス」を随所に織り込み、観客の失笑を呼び込みつつ度肝を抜くのである[パンチ]
明日香と青木の心情を俯瞰した風景で描いたかと思えば、十八番のギトギトの濡れ場(河童の男根には、さすがに映倫もモザイクはかけられなかった[がく~(落胆した顔)])で女性客の顔を俯かせ、男性客をいきり立たせる。さりげない中での拘りのファッションと小物群の数々、そして粋な遊び心。(冒頭の自動車ナンバーは4545シコシコですよ[わーい(嬉しい顔)]
 
ピンク映画特有の意味不明の猥雑なストーリー展開に困惑される快感を味わいながら、最後には青春時代の甘酸っぱい哀愁と「生きる事」の素晴しさを爽やかに実感させられる、憎らしいまでに完成度の高い作品に仕上がっている。
 
これほどのシュールかつシリーかつファンタジーな邦画は史上初だ。
とにかく製作陣の熱い息吹が直接伝わって来る、まさに「これが楽しい映画」の原点かも。
 
限られた予算の中で、日独の優れたマイナー・アーチストの才能が凝縮された奇跡的なB級映画の頂点である。 
 
上映館が限られているのもB級(マイナー)映画の宿命であり、そんな映画をわざわざ東中野まで観に行く私もマイナー指向のB級オジサンである[ぴかぴか(新しい)] でも、できれば多くの映画拘り派には観て欲しい作品だ。
 
STEREO TOTAL・・・仏女性・フランソワーズ・カクテュス(ヴォーカル・ドラム)と独男性・プレッツェル・ゲーリング(ギター・シンセ・サンプラー)の二人組。異色の感性だ。
 [るんるん]このサウンドと映像にハマりました[るんるん]
 
 
おまけ
私の記憶上の河童と云えばこれ。まだ小学生低学年だったのだが、笑えるんだけど、恐かったなぁ〜[がく~(落胆した顔)][がく~(落胆した顔)][がく~(落胆した顔)]
 
 
  40年以上前の番組なのに、主題歌を今でも私は歌えるのでした〜名曲じゃ〜
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『5デイズ』 [上映中飲食禁止じゃ!]

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監督:レニー・ハーリン
脚本:ミッコ・アラン
原案:デビット・パトル
撮影:チェコ・ヴァレス
音楽:トレヴァー・ラビン
 
キャスト:ルパート・フレンド リチャード・コイル
エマニュエル・シュリーキー ヘザー・グラハム
アンディ・ガルシア ヴァル・クルマー 
ジョナサン・シェック ラデ・シェルベッジア
ディーン・ケイン アンチュ・トラウェ 
 
ジャーナリストのアンダースは、カメラマンのセバスチャンらと共に、紛争地帯グルジア共和国に旅立つ。2008年8月8日未明、ロシアの軍事介入によって戦争が始まったが、世界の関心は北京オリンピックに集中しており、戦争を伝えるネットワークは一局もなく……。(ぴあ映画生活より)

3デイズ」「4デイズ」「5デイズ」という題名の映画が同時期に公開されていた。勿論、シリーズ物ではなく、各々別個の作品なのだが、偶然にしては紛らわしい。3本とも興味はそそられるのだが、時間の制約はあるし、他の映画も観たいし...まず、自分の一番好きなテーマの今作を、ミニシアターで上映終了間際に観賞してきました。
 
 
これを観ておいて正解だった。 
元々、戦争ジャーナリストに関する作品がお気に入りで、特にローランド・ジョフィ「キリング・フィールド」やオリバー・ストーン「サルバドル-遥かなる日々-」には、高まる鼓動と流れる涙を止める事が出来なかった。
フォト・ジャーナリストに憧れていた少年時代への追憶と夢叶わなかった現実への悔恨により、必要以上にこの手の映画に胸焦がれてしまうのは、何歳になっても変わらないようである。
 
2008年北京オリンピック時に勃発したロシアのグルジア侵攻を題材にしたフィクションであり、骨太のテーマを下敷きに強烈な戦闘アクションあり、淡いラブ・ロマンスあり、男の友情、ジャーナリズムの心髄をギュウギュウに押し込みながらも、嫌みの無い描写により見事に調和の取れた佳作として仕上がっている。
 
オープニング早々、アンダース(ルパート・フレンド)は、ジャーナリスト仲間であり恋人でもあるミリアム(ヘザー・グラハム)をバクダットの戦闘で死なせてしまう。この事件が彼のトラウマになるのだが、この冒頭のシーンからして緊迫感抜群だ。「ダイハード2」など多くのアクション映画を手がけたレニー・ハーリン監督の面目躍如という処か。
そして暗い過去を背負いつつもなお、再度戦場に降り立つアンダース〜ジャーナリストの本能である。
グルジアの片田舎での結婚式中に村人達が、ロシア軍の空爆を受ける処に居合わせた彼は、そこでうら若き新婦の姉・タティア(エマニュエル・シュリーキー)と知り合う 。「ゴッドファーザー」等のギャング映画でよく使われる幸せ絶頂から一転惨劇に向かう場面なのだが、一貫して描写が絵画的に美しく感じられた。悲惨なシーンでも目を覆いたくなる事はなく、逆に言えばリアリティの欠如に他ならないのだが、その辺がこの作品の最大の特徴かつ魅力なのである。
昨今の戦争映画にありがちの「戦場の完璧な再現」の手法は取らず、アクション映画の延長線上として映像化している。ゆえに血しぶきドピュー生首スポーンはありません。そして主人公は決して武器は使用しないが、常に間一髪で死を免れる強運の持ち主。おまけに彼の親友(カメラマンとグルジア兵士)と二人目の恋人も不死身。
これはまさしく、題材が実話であるだけで「ダイハード」流アクション娯楽作品のスタイルなのだ。
 
さらりと観れば、「ハッピーエンドでめでたし、めでたし!
 
しかし、じっくり吟味すると恐ろしく重い映画なのである。
今作の最大のテーマ「伝える者がいなければ真実は闇の中」がくっきりと浮かび上がる。 
 
現実、当時の北京五輪開幕時には「ロシア、グルジア侵攻」は、ほとんどニュースにならなかった。
果敢なジャーナリスト達の取材により、徐々に明らかにされていった事実なのである。
報道の在り方、マスメディアの問題点を強烈に風刺しながらも、映像的には極上のアクション・ラブロマンス映画に仕上げた製作陣に拍手を送りたい。この微妙なバランス感溢れる作品は希有である。
 
我が国の原発問題に関するワイドショー的な後追い横並び報道には、ほとほと辟易の感を拭いきれない。 
もっと我々国民が知らされなければならない「隠された真実」が存在するはずである。
日本のジャーナリストの奮起を願う。 
 
 
 
おまけ
 
今作は地味ながら芸達者な美人女優が目白押し。
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エマニュエル・シュリーキー(左)
アンチュ・トラウェ(中)
 
 
アンナ・ウォルトン(右)
魅力溢れる女優達だが....
 
やっぱり私は、ヘザー・グラハム。オープニング早々に亡くなってしまう役だったのが残念[もうやだ~(悲しい顔)]
 
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[わーい(嬉しい顔)][わーい(嬉しい顔)][わーい(嬉しい顔)][わーい(嬉しい顔)][わーい(嬉しい顔)] 
 
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『さすらいの女神(ディーバ)たち』 [上映中飲食禁止じゃ!]

 
 
監督・脚本:マチュー・アマルリック
製作:レテシィア・ゴンザレス イエール・フォジール
脚本:フィリップ・ディ・フォルコ マルセロ・ノヴェ・トレ ラファエル・ヴァルブリュンヌ 
撮影:クリストフ・ポーカルヌ
 
キャスト:マチュー・アマルリック ミランダ・コルクラシュア スザンヌ・ラムジー リンダ・マラシーヌ
ジュリー・アン・ミュズ アンジェラ・ド・ロレンゾ アレキサンドル・クレイヴン ダミアン・オドゥール
 
トラブルを起こし業界から干されてしまったTVプロデューサーのジョアキム(マチュー・アマルリック)。子供も友人も恋人も全てを捨ててアメリカに渡った彼は、数年後、華麗なショーダンサーたちのグループ<ニュー・バーレスク>で成功し、意気揚々と凱旋。フランスで巡業ツアーを開始し、次々と観客を沸かせてゆく。
しかし、最終目的地であるパリでの公演が決まらない!? 昔のつてをたどり奔走するが、“過去”がそれを許さない。焦りがつのり自暴自棄になってゆく彼とダンサーたちの間に、次第に亀裂が生じてゆき……。果たして、彼らの人生を賭けた〈ツアー〉はどこへたどり着くのか?(ぴあ映画生活より)
 
新春に観た「バーレスク」http://tsumujikaze2.blog.so-net.ne.jp/2011-01-22)同様のブロンド美女軍団・魅惑の祭典の再現[exclamation×2]という大いなる期待と妄想は、オープニングからもろくも崩れ去った。
 
楽屋での踊り子達の着替えのシーンから始まるのだが...[あせあせ(飛び散る汗)] 
はちきれんばかりというより、完全にはちきれてしまった肢体がスクリーン一杯に映し出される[がく~(落胆した顔)]
私の下っ腹をはるかに凌駕する三段腹[ふらふら]
引力に委せるままのサッカーボール大の乳房[もうやだ~(悲しい顔)]
ブロンド嬢には間違いはないのだが・・・「こ、これはキワモノ系映画か[exclamation&amp;question]私のアテが完全にはずれた」と後悔。
 
しかし、数分後。
ショーの幕が落とされ、エアロスミス「ドリーム・オン」のピアノ弾き語りが始まるや否や、私はこの作品に一気に引き込まれていった[ぴかぴか(新しい)]
  
 
 
出演するダンサー嬢は、すべて現役の「ニューバーレスク」の舞台で活躍するプロのパファーマー達である。
劇中の彼女達は、ハチャメチャ・どうしようもない連中である。酒はトコトン呷るわ、行きずりの男は漁るわ、欲望の赴くまま、明日への明るい希望が有るのか無いのか、時の流れるまま巡業の旅をただ“今を楽しく”続けるのである。
そんな一見ふしだらこの上ない彼女らが、いざステージに登壇すれば、男の欲望の捌け口である単なるストリッパーという存在を遥かに超越した『アーチスト』に変貌するのである。
冒頭での彼女達への嫌悪感がいつしか愛着に変わり、最後には尊敬の念を持って彼女らの生き様を正視しているのであった。
 
フランスの田舎町を巡業する旅は、座長ジョアキムの暗い過去とダンサー達の表裏の顔を絡めながら、もったりとしたロードムービーとして描かれて行く。パリの最終公演が挫折し、焦燥を募らせるジョアキムと、一日一日を必死に楽しく生き抜く彼女達との比較を、濃淡のアクセントをつけたカメラが切り取っていく。
 
フランス映画独特の映像美とアメリカ仕込み「ニューバーレスク」の肉体美が合体した何とも云えない浮遊感と共に、ほのぼのと「今を生きる力」が漲って来る魅力溢れる秀作である。
 
映画後半、行く宛もなく辿り着いた廃墟となったホテルで結ばれるジョアキムとミミ。
女盛りの峠を過ぎた刺青女が、いつしか神々しい傷だらけの女神[キスマーク]に見えてきた。
 
おまけ
ジュリー・アトラス・ミュズ(本名ジュリー・アン・ミュズ)の見事なパフォーマンスに、私は溜め息が出るほど感動したのであり、彼女が唯一、今作キャストの中で私のタイプでもあった。(ギリギリ当確ラインだが)
このダンスを『エロ』とか『アート』とか決めつけてはいけないのである[ハートたち(複数ハート)]
 
 
 
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そうだ、京都に行こうwith Nex-5 [ざれごと写真日記]

久しぶりの京都出張1泊2日[ぴかぴか(新しい)] 大阪転勤時代に2年間、東奔西走した思い出の地である。
 
要領良く昼の仕事は片付け、祇園の夜は、昔から馴染みの佳つ乃姐さんのBARに顔を出し昔話に花を咲かせておりました。以前の場所から引っ越されてから初めて伺った訳だが、聞けば移転後2年経過との事。
2年ぶりの佳つ乃さん、「やっぱり綺麗やぁ[揺れるハート]」 
実は私は彼女の実年齢も知っているのだが、「信じられへん。姐さん、反則やで[exclamation&amp;question]
他のお客さんがおらず、姐さんと学生バイトの女性2名と我々二人で、永らく談笑。
こんな可愛い顔して歯に衣着せぬ言いようで自分の恋愛感をぶちまける姐さんに爆笑です。 
とにかく此処で姐さんの京言葉を聞いているだけで、夢心地になれる単純な男なんです、はい私は...
 
仕事柄、全国の盛り場は歩いているが、京都だけは異次元の香りがする。
私はこの街が大好きである(仕事は結構、ツライ場所だが...) 
 
翌日は仕事の打ち合わせ兼ねて昼食会。午後からFREEとなった。このまま帰っては勿体ない。
今回は、秋の特別拝観をしている『大徳寺』にお参りに行ってきた。
 
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大徳寺の二十を超える塔頭のうち、拝観可能な7カ所を一気に廻ってきた。
黄梅院、龍源院、瑞峯院、興臨院、総見院、大仙院、高桐院〜境内撮影禁止の寺院あり) 
高校の修学旅行以来の寺院、10年前の関西在住時の訪れた庭園。
昔の記憶と共に、今の歳だからこそ染み入る風景も多々。 
 
黄梅院の和尚様に朱印帳に書いていただいた言葉を最後に。
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 [わーい(嬉しい顔)]やっぱり、この街が大好きだ[わーい(嬉しい顔)]
 
 
 
 
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『ツレがうつになりまして。』 [上映中飲食禁止じゃ!]

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監督:佐々部清
脚本:青島武 
原作:細川貂々
キャスト:宮崎あおい 堺雅人 吹越満 津田寛治 犬塚弘 梅沢富美男 大杉蓮 余貴美子
 
高崎晴子(宮崎あおい)の家族は、夫・幹男(堺雅人)、そしてイグアナのイグ。幹男は仕事をバリバリこなし、毎朝お弁当まで作るスーパーサラリーマンであった。そんな幹男がある朝、真顔で「死にたい」と呟く。病院での診断結果は、うつ病(心因性うつ病)。仕事の激務とストレスが原因らしい。結婚5年目。幹男の変化に気付かなかった晴子は、幹男に謝りながら、「会社を辞めないなら離婚する」と告げる。そして会社を辞めた幹男が主夫になり、家事嫌いの晴子は内心嬉しく思っていた。だが、幹男のバカ真面目で完璧主義な一面もクローズアップ、時々イラッとすることもあるが、晴子は以前より明るい性格になり、グチグチ文句を言わなくなった。ところが収入源がなくなり、高崎家は貧困街道まっしぐら。そこで晴子は編集部へ行き、「ツレがうつになりまして、仕事をください」と大胆発言。晴子は新しい仕事をもらい、幹男の体調も徐々に回復していく。もう二度とあの元気な幹男に会えないのか、と不安になったこともあるが、考え方次第で人生はハッピーになると知った晴子。そして、小さなつまづきのその先には、ある奇跡のような出来事が待っていた……。(goo映画)
 
妻と観てきました。 
題名が、我が夫婦にとって非常に因縁深いために、 封切り前から楽しみにしていた映画である。
 
実は私は「鬱病」発症経験者である。
関西転勤中、私が男の本厄にあたる年にその兆候は現れた。
この作品の堺雅人並みのスーパーサラリーマンではなかったが、その秋に10日間に7回の接待ゴルフと宴会をこなしたアホ営業マンこと小生は、11日目の朝、自分の顔の左側が全く動かない事に気付くのだった。
・・・「顔面麻痺」だった。時代が今なら向井理もたじろぐ自称セクシー営業マンだった私は、 「これで俺の華麗な会社人生もジ・エンド」かと落ち込むのも束の間、それから出勤前に耳鼻咽喉科(顔面麻痺とは、耳の奥の神経ににウィルス侵入が原因と云われていた)に通い、牛乳パック2本分のステロイド点滴を毎日打ち続け、平行して謎の中国鍼灸院で3日に一度、顔中をハリネズミ状態にされながら、なんと医者もびっくりの一ヶ月で完治させるのであった。(全くの後遺症なしです)
仕事・人間関係まして夫婦関係など全くストレスなしの超楽天主義の私を襲った事件だったのだが、体力だけは自信があった自分の初めての挫折に心の隙ができたのか、もしくは短期間の荒っぽい治療法・ステロイド剤の反動からか、今もって原因は定かでないが、顔面麻痺治癒後から突然、気分がすぐれない日々が続いた
 
みぞおちの辺りが重苦しく、ムカムカ感が喉元まで突き上げる。されど吐き気はしない。仕事への意欲が激減し、音楽も写真も映画にも好奇心が薄れて来る。とにかく、家に戻るとすぐに横になりたくなる。
私自身、非常に不安になり、2カ所の内科に通い胃カメラやら血液検査をしたが、「少々胃が荒れている」との診断で胃薬も持って帰るのみである。以前から妻には「俺の食欲が無くなった時は終わりと思え!」と豪語していたのだが、その通りに食欲も急激に衰え、うどん5、6本を啜るのが関の山。通勤電車内で突然息苦しくなり、途中下車も何度か繰りかえした・・今思えば「過呼吸」というやつだ。
ただただ、体を横にしていたくなる。仕事に行くのもつらくなり、電車待ちのホームで「このまま飛び込んでも気持ちいいかな〜」なんて思いまで一瞬心をよぎり、「お〜危ない、危ない」と踏みとどまる事も何回か...
 
笑顔が全く消えた夫に、さすがに妻も心配し、いろいろと調べていたらしい。
「アンタ、試しに駅前の心療内科に行ってらっしゃいよ」 
昔なら「精神科」と呼ばれた病院に抵抗はあったが、 藁にもすがる思いで恐る恐るも行く事にした。
 
「初期の鬱病ですね」温和そうな中年の女医さんの診断だった。
「定期的に薬を飲んでいれば必ず直りますから安心して下さい。」 2種類の薬を持たせれ帰宅し、妻に説明する。
「う〜ん、やっぱり私の思った通りだ!今度の通院には、私も付いていってお医者さんから説明を聞くからね。この病気は家族のサポートが大事らしいから」
 
まず、薬の効果は絶大だった。最初に処方された薬が幸運にも体質と合っていたのであろう。あれほど落ち込んでいた気分が、暗雲が一気に取り除かれて青空が広がったように爽快になった。それでも不定期に極度の息苦しさと倦怠感〜パニック障害(心臓が止まりそうな恐怖感)が襲って来たが、業務中は頓服薬、プライベート時は「俺は、こんなもんで死ぬ訳がない」思い込ませ作戦で乗り切っていった。
 
それから半年後。休職もせず、ついに、薬の服用無しで通常の生活が送れるレベルに回復。
軽度の初期状態の鬱病であり、早期の治療が功を奏したようだ。
抗うつ剤の効果は確かに目覚ましかったが、それ以上に妻の精神的な「介護」に拠る所が大であった。
宮崎あおいのように「会社辞めなければ離婚する」という脅しはなかったが、家庭内で常に明るく振る舞い、取り立てて私を病人扱いせず、されど食事は気を使い、朝は気持ち良く会社に送り出してくれた。休日に少々ふさぎ込んでいると、「カメラ持って出掛けようよ!」と私の気分転換を促してくれた。当時、小学生だった二人の子供は、私の病気に全く気付かなかったようである。
鬱病が、心身共に健康な人間でも罹る心の風邪というのをまさしく体験した。発作的な飛び込み自殺者の心理もなんとなく理解した。実は3、4年前に自分の部下が、立て続けに「心の病」に倒れたが、自身の経験の為、早めのサポートが可能となり両名とも現在は職場復帰している。
 
現在、会社では先輩風を吹かせる元バリバリ営業マンの小生が、家庭内では今だに女房に頭が上がらんのは、浮気がバレた訳ではなく、こんな夫婦の涙ぐましい過去の闘病記のおかげなのである。
 
と、肝心の映画の方であるが、鬱病体験の我ら夫婦が、健康になった今だからこそ笑えるシーンの連続な上に、最後にはホロリとさせられてしまう心温まるラブ・コメディの秀作であった。
宮崎あおい堺雅人のコンビが抜群に素晴しい。 
ふたりは4年前のNHK大河ドラマ「篤姫」での競演が記憶に新しい。(篤姫と徳川家定〜夫婦役ですな)
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この時点でも、二人の演技力の高さに感心しきりであったのだが、今作での夫婦役はさらにそれを凌ぐ出来映え。
大河ドラマでは、虚弱体質の少々イカれた将軍役を好演した堺雅人であるが、やはり彼は常人ではない役柄が似合う。徐々に鬱病に侵されていく様をリアルに演じた。経験者の私としては「う〜ん、わかるよ、その感覚」というシーンの連続である。布団にくるまってシクシク泣く亀の図は秀逸だ。
本来ならツライ・暗い・重いはずのストーリーに、暖かい息吹と朗らかな笑いを送り込んだのが、宮崎あおいのウイットに富んだ演技と随所に挿入される原作のイラストである。
勤勉・ポジティブだった夫が突然、生活力が無くなり、ネガティブなぐうたら主婦が一家を支える立場となる。
今までは趣味の延長で、編集者に迎合してダラダラ書いていた漫画で生計を立てねばならなくなったハルは、俄然闘争心剥き出しとなり、自分の書きたい作品に挑戦していく。
夫婦の立場が逆転し、夫が暗くなればなるほど明るく元気に振る舞う妻・ハルの姿を、宮崎は持ち前のピュアな演技で魅せつけ、観客に共感をもたらすのであった。
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 「ツレがうつになりまして...仕事を下さい[exclamation×2]
絶体絶命の状態で、ハルには生きる力が漲っていた。
 
1年後、結婚同期会の席上での二人の告白に、私達夫婦は涙を止める事ができなかった。
 
 『健やかなる時も、病める時も、
              君と一緒に居たい』
 
 
 
観賞後、映画館の隣にある書店で妻にねだられて買うハメになりました[左斜め下]
 
ツレがうつになりまして。 (幻冬舎文庫)

ツレがうつになりまして。 (幻冬舎文庫)

その後のツレがうつになりまして。 (幻冬舎文庫)

その後のツレがうつになりまして。 (幻冬舎文庫)

  • 作者: 細川 貂々
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2009/04
  • メディア: 文庫
  • 作者: 細川 貂々
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
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『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』 [上映中飲食禁止じゃ!]

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監督:ルパート・ワイアット
製作:リック・ジャファ アマンダ・シルヴァー ピーター・チャーニン デイラン・クラーク
脚本:リック・ジャファ アマンダ・シルヴァー
撮影:アンドリュー・レスニー
 
キャスト:ジェームズ・フランコ フリーダ・ピント ジョン・リスゴー ブライアン・コックス トム・フェルトン
アンディ・サーキス デイヴィット・ヒューレット タイラー・ラビン ジェイミー・ハリス チェラー・ホースダル
 
現代のサンフランシスコ。若き科学者ウィルは、ある研究所でアルツハイマー病の治療薬の実験に没頭し、シーザーと名付けたチンパンジーを可愛がっていた。やがて知能が劇的に発達したシーザーは、地球を支配する人類を脅かす存在へと成長していき……。 (ぴあ映画生活より)
 
第一作が1968年。
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さすがにリアルタイムでの観賞は叶わなかったが、TV放送された時の斬新な設定と特殊メイク、そして衝撃のラスト・シーンは、子供心に強く焼き付いている。
 
1968年版のリメイク作としての2001年ティム・バートン監督製作「PLANET OF THE APES/猿の惑星」は、バートン氏の独自の感性と新しい発想・当時の撮影技術の進歩と併せて、オリジナルとはまた違った魅力を提供してくれたが、この2011年版には更に別次元の圧倒的な映像に興奮をさます事ができない。
 
今回の作品は、近未来に地球が人間に代わってサルに征服された端緒を描いた形式となっており、ほぼ現在に近い時代設定である。
何故、サルが高度な知能を身につけ、逆に人間が下等動物として失墜してしまったか・・・未来のサル社会からすればまさに、「サル繁栄の第一歩〜創世記」実写版だ。
アルツハイマー特効薬の実験用チンパンジーから生まれた”シーザー”が、それこそ”アダム”に相当し、「禁断の果実」が、この新薬なのだ。
 
奇想天外なストーリー設定を、最先端のCG映像と俳優陣の熱演により完璧なレベルまで昇華した映像は、驚愕と賞賛に値する
オリジナルから約半世紀を経ての映像技術の進化に、「ついにここまで来たか[exclamation×2][exclamation×2]」が正直な感想だ。
やっぱり、ハリウッドは凄ぇ[がく~(落胆した顔)]』 
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サルの表情の変化も微妙に表現できたオリジナル作での特殊メイクを初めて観た時は、 円谷怪獣映画のかぶり物で育った私には、当時十分過ぎる衝撃であった。
しかし、今作のチンパンジー達の動き、シーザーの喜怒哀楽の表現などは、 まさしく類人猿そのものなのである。単純なPC内での小手先の技術だけでは絶対に到達できないであろう神の領域だ。
 
一体、どうやって撮っているのか想像もつかなかったが、メイキング映像で改めてハリウッド映画の神髄を見た思いである。
 
  
 
 
主役は、人間様を抑えてシーザー役のアンディ・サーキスに間違いない。
類人猿を知り尽くしたような彼の動き・表情の演技に、CGを重ね合わせた神業が、極めて自然なチンパンジーの姿となって映像化されていく。
いつしか観客は、登場人物の誰よりも”シーザー”に感情移入してしまう。 
 
ウィル、チャールズと家族同然の生活をし、人間の優しさを身につけて行くシーザー。ウィルに恋人が出来て、いじらしく嫉妬する姿。初めて虐待され、人間の汚さと同胞達の境遇を知った時の衝撃と落胆。サルと人間の従属関係に失意に陥った彼であったが、いつしかそれは怒りと共に新たなる決意を抱く事になる。それは、ウィル達との別離であり、同胞の解放と自由の奪取だ。「自分が帰る処は、ウィルの家ではなく、森の中である」と。
シーザーが初めて人間の言葉を発するシーンは、ヘレン・ケラーの「WATER」並の感動を呼び起こす、鳥肌モノだ[どんっ(衝撃)]
 
人間様の俳優陣の自然な演技も素晴しい。ウィル役のジェームズ・フランコが、繊細な科学者を好演。認知症の父親役のジョン・リスゴーのいぶし銀の演技。「スラムドッグ$ミリオネア」以来のフリーダ・ピントが、紅一点、この作品に艶やかな色を添える。ハリー・ポッターのライバル・マルフォイ役が定着し過ぎたトム・フェルトン〜根性無しの極悪人は、やはりハマり役。
 
映像改革という意味では「アバター」の衝撃度は大きかったが、映画の完成度では遥かにそれを凌ぐ出来映えの作品だ。
 
平家物語「奢れる者は久しからず」の名句の通り「愚かな人間への風刺」と「人類への警告」を最新映像技術を駆使しつつ、デジタル色は排除し、あくまでもエモーショナルに描いた近年稀に見るハリウッドの傑作である[パンチ]
 
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黙祷 
我が青春のハマのブルース野郎 
 
享年63歳 
俺も泣かずにはいられない 

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『とある飛空士への追憶』 [上映中飲食禁止じゃ!]

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監督:宍戸淳
脚本:奥寺佐渡子
原作:犬村小六
キャラクターデザイン:松原秀典
撮影:棚田耕平
美術:橋本和幸 
音楽:浜口史郎
主題歌:新妻聖子 
 
声優:神木龍之介 竹富聖花 富澤たけし
小野大輔
 
二国間戦争のさなか、名もなき飛空士・狩乃シャルル(声:神木隆之介)は類まれな操縦技術を見込まれ、次期皇妃ファナ・デル・モラル(声:竹富聖花)をその婚約者カルロ皇子(声:小野大輔)のもとに水上偵察機で送り届ける極秘任務を命じられる。護衛を付けず一機で敵中を突破する危険な任務であったが、それでもファナを守り抜き、12000kmを飛ぶべき理由がシャルルにはあった。次々と襲ってくる敵空中艦隊と戦闘機を超絶なテクニックで退けるシャルル。命をかけた空の旅で、ファナの閉ざされた心は開かれ、次第に二人はひかれあってゆく。やがて迫る絶体絶命の危機の中、ファナのとった行動とは……。そして二人の恋の行方は……。(goo映画)
 
  
非常に爽やかそうな印象の映画に思えたので、何となく立ち寄ってしまった。
 
「青」の美しさに心奪われる。
  
 

「空」と「海」の美しさが眩しい。 
身分の違う男女のたった3日間の恋を描いた、いかにも原作がライトノベルらしい軽妙な恋愛劇である。
ただ、自分が中学生位であれば、ふたりの主人公の心情と同化し、胸ときめかせたのだろうが、さすがに拗ねたオジサンは、そこまで素直にはなれなかった。
原作は全4巻という事から、主役ふたりの幼少期の描き方が映画の制約上、足らなかったのではと思われる。その為にシャルルとファナの人格形成に至る経緯も観衆の想像に任せられ、当然の如くふたりへの感情移入も弱くならざる得ない。シャルルが「空を飛ぶ 」、ファナが「皇妃になりたくない」理由がどうしても稀薄で、この小さな悲恋物語に心の抑揚が伴わないのは残念。
声優陣のミスキャストも、それに拍車をかけており、特にファナ役の竹富聖花は、新人女優の大抜擢という触れ込みではあるが、製作陣の思惑通りには運ばず、新たな「棒読み姫」を誕生させるだけに終わった。
唯一、オジサンがドキュン[黒ハート]としたのは、ファナが長髪を切り捨ててヘソだしルックに変身した場面。
 
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キャラクター・デザインが「エヴァ劇場版」の作画監督と同一の為か、ファナが場面によって「レイ」や「アスカ」に見えるのは気のせいか?(髪の毛の色は完全に綾波だ)
 
しかし、個人的な今作の最大の見所というか聴き所は、主題歌を謳う新妻聖子である。
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愛知県出身31歳のミュージカル女優。
 
声優としてもシャルルの母親役で登場するが、紺碧の空を滑空する飛行艇の場面で流れる彼女の歌声のなんと神々しいこと[ぴかぴか(新しい)] 

メディアへの露出度はあまり高くないようだが、容姿・実力ともに日本ミュージカル界を代表する女優である。特に、専門的な声楽は何一つ習わなかったという彼女の天性の歌唱力は、清廉さと力強さを併せ持ち、独自の「聖子ワールド」を創造する。
 
彼女との出会いは、真夜中にBSで放送されていた劇場録画を偶然に観た時だ。
ミュージカル仕立ての4人劇という一風変わった形態での「プライド」(原作は一条ゆかりの漫画)という演劇だった。
 
ナイスボディの笹本玲奈が演じるお嬢様歌手と、小柄で華奢な新妻が演じる野心溢れる貧乏歌手との対決に手に汗を握りつつ、ふたりの織り成すハーモニーに心を奪われた。特に、新妻の澄み渡った声質とパワフルかつ抑揚の効いた歌唱法は、小柄で愛くるしい容姿と相まって、私の美音シンクロ指数は最大値を指したのであった[むかっ(怒り)]
 
 
 
ファナ役は新妻聖子で完璧ではなかったかと・・・
 
アニメ映画から脱線したが、たまには素晴しいミュージカルも生で観たいと思う今日この頃。
 
おまけ
新妻聖子主演の映画(未見です)
「アンダンテ〜稲の旋律」の主題歌
 
 [揺れるハート][るんるん]名曲熱唱・長い髪もgood[るんるん][揺れるハート]
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『ゲット・ラウド』 [上映中飲食禁止じゃ!]


監督:デイヴィス・グッゲンハイム 
製作:トーマス・タル  レスリー・チルコット ピーター・アフターマン

 キャスト:ジミー・ペイジ
   ジ・エッジ
       ジャック・ホワイト
     
[るんるん][るんるん][るんるん]『人生にはギターが必要だ』[るんるん][るんるん][るんるん]

ようやく観る事ができた[目]
僅か84席の新宿武蔵野館での最前列で堪能してまいりました。
ブログのカテゴリーとしては「映画」なのだが、本質的には完全に私の「ロック華」の作品である。

なんと云っても、この3人のギタリストですよぉ[exclamation×2]

70年代〜私のロック原点であるLed Zepplin
80年代〜学生時代に虜になったU2
21世紀〜後輩に勧めれて聴いてぶっ飛んだThe White Stripes

私の音楽履歴の節目を成すロック・バンドのリード・ギタリスト達が一堂に会しただけで鳥肌モノなのです[むかっ(怒り)]

作品は完全なドキュメンタリー・タッチ。
まず3人のギタリストが、少年期に音楽を志した思い出の地を巡る旅は、ロック親爺には堪らないシーンである。

ジミー・ペイジが14,5歳の頃の近所のスキッフル・バンドで演奏した貴重な映像〜なんて可愛い少年〜将来は科学者になりたかったそうで・・・
高校時代の学内のバンド募集の張り紙で結成されたU2の初期の演奏〜エッジのヘタクソなプレイ[exclamation&amp;question]〜ここから36年間メンバーチェンジ無しですよぉ〜
も〜涙モノです[たらーっ(汗)][たらーっ(汗)]

そして上記のふたりに比べると若干思い入れが少ないジャック・ホワイトなのだが、デトロイトの貧民街で10人兄弟の末っ子として育った彼の音楽素養の蓄積には目を見張るものがあった。

音楽ルーツと「ギターの音」に対する拘りは三人三様であり、この比較がまた興味深い。
「Zepplin4」を録音した別荘で、新しい音響効果を発見したジミー・ペイジ
エフェクターとPCを駆使し、1曲ごとに違うギター音を創造するエッジ
古い壊れたようなギターを積極的に使いこなし、「自分の音」にしてしまうジャック

3世代ギタリストの軌跡を辿りながら映画後半は、この3人がギター片手に音楽談義という設定であり、映画の広告にある「奇跡のジャム・セッション」を過度に期待してはいけない。
されど、往年の名曲のサビ部分を3人がギターかき鳴らすシーンだけども私は幸せモード200%に突入。

たぶん、この心情を分かち合える観衆は、私と同世代であり、その上、執拗かつこよなくロックを愛し続けたオッサンしか存在しないかもしれない。
 
映画好きな方には理解不能な完全なコアなロック・ファン向けの音楽ドキュメンタリーだったが、個人的には、久しぶりにロックの熱き血潮を蘇らせてもらいました。
今、昔のギターを引っ張り出して「天国への階段」を弾いておりまする[わーい(嬉しい顔)]

「In My Time Of Dying」
人生にはギターは必要だ」

...という事で・・・
時代が新しい分、3人の中ではなじみが薄いジャック・ホワイトではあるが、コイツを改めて聴き直してみる。
やはり、ギター1本勝負なら、ジミ・ヘンドリックスと並ぶ特異のテクニックと精神性を併せ持つ孤高のギタリストに間違いない。
初めてWhite Stripesを聴いた時、Zepplinの再来かと思った。
ギターリフの重さが70年代Zeppサウンドを彷彿させるし、ヴォーカルが何気にロバート・プラントの声質に酷似。
 
 
おまけ
このジャック・ホワイトの妻がイギリス出身のスーパーモデル〜カレン・エルソンときたもんだから羨ましい[キスマーク]
昨年には、夫のプロデュースで歌手としても本格デビュー[ぴかぴか(新しい)]

[るんるん]これがまた結構イイ感じなんです[るんるん]

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やっと解けた竜舌蘭の謎〜GO!GO!7188 [〜ロックの神さん〜]

竜舌蘭

竜舌蘭

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2004/10/27
  • メディア: CD
 
6,7年前にCDショップで試聴したら余りにも気持ちのいい音なので、予備知識無しで衝動買いしたアルバムである。
 
一聴した感じで「デビューしたてのインディーズ系バンド」か、はたまた「椎名林檎が東京事変とは別のユニット結成か?」と勝手に決めつける小生だったが、自宅でジャケットを開き、このバンドが女性2名・男性1名のトリオ編成である事が判明した。
どうやら、どちらかの女性が「この気持ちいいギター」を弾いているようである。
適度に歪ませたギターサウンドはまさに私好み。そしてイタコの口寄せのような不思議な味の女性ヴォーカルが、甘っちょろいラブソングなど糞喰らえの叙情詩を歌う。往時のグループサウンドの香りを仄かにかぐわせながら、シンプルなスリーピース・バンド王道のストレートなビートが炸裂する。
 
ひとりよがりのオッサンは、「竜舌蘭」というバンドのデビューアルバムだと完全に信じ込むのであった。
さぁ、なんと読もうか〜「リューゼツラン」は私のお気に入りインディーズバンドのひとつとなった。
なんか、しっくりこなかったのは事実なのだが・・・
 
それから何年間も、たまにCD棚から引っ張り出しては、この小気味良いアルバムを聴いていたものだったのだが、先日たまたま老眼鏡をかけてジャケットを眺めていたら・・・『produced by go!go!7188』の文字を発見。
「げっ、まさかこれがバンド名[exclamation&amp;question]」よ〜く表紙ジャケットも凝視すると、確かに崩し字で「GO!GO!7188」。
紛らわしいジャケット作るな〜[ちっ(怒った顔)] 
試しにググッてみると・・・出るわ、出るわ、本当は、こんな有名なバンドだったんか[ひらめき][ひらめき][ひらめき] 
 
しかし「GO!GO!7188」も、どう読むんじゃ〜紛らわしい名前付けんなぁ〜[ちっ(怒った顔)]
 
されど、映像で見る彼らの演奏に釘付け〜アルバム「竜舌蘭」オープニング曲
 
 このCD発売時には武道館ライブするほどメジャーだったのだ[むかっ(怒り)]
 
ギターとリードヴォーカルの正体は彼女だった。やるじゃねぇか、このネェちゃん[揺れるハート][決定][揺れるハート]
中島優美〜1979年生まれ。このサウンドと演奏スタイルは、それこそ浅井健一「女ベンジー」ではないか[どんっ(衝撃)]
「竜舌蘭」のジャケット内の写真は、可愛いとは言えない写りなのだが、ひとたびステージに立つと別人の如く「いいオンナ」に変貌する。
 
これは名曲ですな〜『浮舟』 
 
このコブシの効いたヴォーカルが堪らない[わーい(嬉しい顔)] 

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金髪の巫女かはたまたネコ娘のように無表情で歌う
ユウ(中島優美)が、ネズミ男かはたまたリングの貞子の如きアッコ(野間亜紀子)と、ドラムの児泣きじじい・ターキー(細川央行)を引き連れて織り成すゲゲゲ親衛隊が紡ぐ古典和製ロックじゃ[パンチ]
 
柔なガールズ・ロックとは一線を画した骨太サウンドと美しき日本語の融合は、中島優美のコケティッシュな一面と共に、多くの若者に支持されているようである。

シンガーソングライターとして希有な才能を発揮する中島優美は現在では、GO!GO!での活動の他にも別ユニット「チリヌルヲワカ」やTHE BOOMとのコラボなどで幅広いジャンルへの挑戦を続けている。

THE BOOMとユウの共演はGO!GO!のイメージからは想像できなかったのだが、宮沢と中島の共通点は、ROCKに日本語の詩を歌として見事に成立させる事だ。二人は、非常に肯定的な意味で「演歌ロック」を唄える数少ないロッカーだと思う。

 
 
70年代ロック親爺を悦ばせる「懐かしきロック魂」を持ったLady guitarist ユウに拍手を送りつつ、今後更に進化を続ける彼女の活動に目が離せない[ぴかぴか(新しい)]

おまけ
奥村チヨより巧いかも〜なかにし礼もビックリ
オジサン泣いて喜ぶ「恋の奴隷」(1969年)グラムロック編
「ア・ナ・タ好みのオンナになりた〜い[キスマーク]
「ソ・ン・ナデモ云われてみたぁ〜い[あせあせ(飛び散る汗)]

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東京オペラシティにて『新世界』を聴く [素人の扉〜Jazz&Classic〜]

「東京オペラシティ」へ久々に妻とクラシック観賞と洒落込みました。
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お目当ては、ドヴォルザーク『新世界』
小学生の頃、何のTVコマーシャルか記憶に定かでないのだが、白黒TVから流れる第4楽章の馴染み易い旋律は、ベートーベンの『運命』以上に耳にこびりつき、遥か昔の思い出と共に私の脳裏に焼き付いている。
 
演奏者は、アレキサンダー・マルコヴィッチ指揮ブルノ国立フィルハーモニー管弦楽団である。
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スラブ人であるドヴォルザークの曲は、やはりご当地チェコの楽団でなければならないだろうという勝手な思い込みにより、本日の公演を三ヶ月前から予約していた。他の演奏曲もスメタナ「わが祖国」チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲。(3曲とも作曲家はスラブ出身)こちらも有名であり、マーラーやブルックナーの難解・長尺な交響曲と比べれば、肩の力を抜いて聴けるクラシック初心者の我が夫婦にとっては格好の演目である。

座席は2FのB席で、楽団のすぐ右上方。音響的には、1Fの中央席が望ましいのであるが、このバルコニーっぽい席からは、通常ならお尻しか見れない指揮者の表情がはっきり解る。そして、演奏者の指の動きも楽譜まで覗き込めるような近さは、音響効果よりも生演奏の息遣いがダイレクトに伝わってきた。

千秋真一指揮「チャイコフスキー・ヴァイオリン協奏曲

カラヤン指揮『新世界・第4楽章

旧東欧圏の楽団の弦の音色の美しさは有名であるが、今回のブルノ楽団も期待以上の出来映えだ。特にピアニッシモ時の囁くような弦楽器のハーモニーには、一発でとろけてしまった。更に木管楽器(フルート・オーボエ・クラリネット)の柔らかいトーンにも溜め息。(実は美貌のフルートの女性に釘付け[ハートたち(複数ハート)]
そして、マルコヴィッチ氏の躍動するタクトが、たっぷりの哀愁を漂わせながら、時に熱く激しく〜まさにスラブの心情そのものを、この名曲達に乗せて、遥か極東の島国の我々に語りかけてくるのである。
 
スラブの風を胸一杯に吸い込み、身も心もリフレッシュされた夫婦は、オペラシティの最上階54Fの日本料理店で遅めのランチ(早めのディナー)を摂り、家路に急ぐのであった。
 
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本日演奏された3曲(私の所有するCD)
 
スメタナ:わが祖国(全曲)

スメタナ:わが祖国(全曲)

  • アーティスト: アンチェル(カレル),スメタナ,チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
  • 出版社/メーカー: コロムビアミュージックエンタテインメント
  • 発売日: 2006/01/18
  • メディア: CD
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲

メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲

  • アーティスト: ムローヴァ(ヴィクトリア),メンデルスゾーン,チャイコフスキー,小澤征爾,マリナー(サー・ネヴィル),アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ,ボストン交響楽団
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2005/06/22
  • メディア: CD 
チャイコフスキーヴァイオリン協奏曲がカップリング(小沢征爾指揮)
ドヴォルザーク:交響曲第9番(新世界より)

ドヴォルザーク:交響曲第9番(新世界より)

  • アーティスト: アンチェル(カレル),ドヴォルザーク,チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
  • 出版社/メーカー: コロムビアミュージックエンタテインメント
  • 発売日: 2003/03/26
  • メディア: CD
 
スメタナとドヴォルザークのCDは、カレル・アンチェル指揮、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団によるもの。
約50年前の録音ですが、クラシック素人の私が身震いした代物です。
 
カレル・アンチェル(1908年〜1973年)・・・南ボヘミア出身。世界大戦中、ユダヤ強制収容所へ家族と共に送られる。アウシュビッツで家族全員は惨殺、彼だけが奇跡的に生還する。戦後、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者として活躍、低迷していた同楽団を立て直し、チェコ・フィル伝統の名声を取り戻す。
1968年、外国演奏中に「プラハの春」が勃発、帰国が叶わず、カナダに亡命。小沢征爾の後任としてトロント管弦楽団の常任指揮者になるも4年後に死去。 
 
超一流の指揮者としては位置づけられていないが、彼の緊張感を保ちながらも情感豊かな演奏は、特にスラブ系の楽曲(ドヴォルザーク、スメタナ等)時にとてつもないパワーを発揮し、聴く者を圧倒する。
クラシック素人の私の琴線に触れた数少ない指揮者の一人である。
  
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