SSブログ

「この世界の片隅に」 [上映中飲食禁止じゃ!]

 
「君の名は。」と双璧、いや凌駕する作品に
こんなに早く出会えるなんて...[ぴかぴか(新しい)]
 
 In-This-Corner-of-the-World_FI.png
 
世界に誇る日本アニメの多様性とレベルの高さを実感する2016年となった。
異例のロングヒット快進撃中の「君の名は。」と対照的な表現法を用いて、「人間の在るべき姿」を尊く訴えた珠玉の名作がまたも誕生した。

1944年広島。18歳のすずは、顔も見たことのない若者と結婚し、生まれ育った江波から20キロメートル離れた呉へとやって来る。それまで得意な絵を描いてばかりだった彼女は、一転して一家を支える主婦に。創意工夫を凝らしながら食糧難を乗り越え、毎日の食卓を作り出す。やがて戦争は激しくなり、日本海軍の要となっている呉はアメリカ軍によるすさまじい空襲にさらされ、数多くの軍艦が燃え上がり、町並みも破壊されていく。そんな状況でも懸命に生きていくすずだったが、ついに1945年8月を迎える。(シネマトゥデイより) 
 
最近の精緻なアニメに慣れすぎた者からすると、昭和の「劇画」を彷彿させる柔らかいタッチと淡い色彩に、親しみと郷愁を覚えてしまう。そして、時折主人公が描く鮮やかなスケッチが差し込まれ、その対比が胸を弾ませる。
 
20160805-konosekainokatasumini02.jpg
 
 10001165.jpg
 
一人の少女の成長の物語。
見ず知らずの家に嫁ぎ、出戻り小姑にいびられながらも、変わりない日常に小さな幸せを感じ始めるすず。
 
おっとりとした性格で今風で言えば天然系の女の子。彼女の反応の鈍さは、周辺を在る時は苛立たせ、また和ませる。写生の腕前には卓越したものがあり、彼女の絵には、人を元気にする力を持つ。こんなすずの不思議な魅力を「声」で見事に表現した声優が素晴らしい。「のん」という2文字でクレジットされた彼女は、なんと「能年玲奈」。『あまちゃん』フィーバーの反動で一時、世間から姿を消したらしいが、今作で改名してのカムバックだ。やはり彼女は天才だ[exclamation×2]不器用な天才ゆえに役柄を選ばざるを得ないが、今作でのすず役はベストマッチであり、彼女以外の声優では、今作は全く別の印象になったかもしれない。
 
 c-2_kajj.jpg
 
のん.jpg 
 
戦争末期、日本の軍事拠点でもあるすずが住む呉市には、連日、米軍の空襲が繰り返される。ある日、義姉の娘と街に出たすずに、本格的な爆撃が襲う。可愛がっていた姪っ子と自分の右腕を失ったすずは悲嘆にくれる。追い討ちをかけるような実家のある広島への原爆投下そして唐突に訪れた終戦。 
 
見知らぬ土地での新生活でも、持ち前の「ふんわり性格」により、新しい家族や周りの人々と絆を深めていったすず。だが戦争が、昔からの縁や新しい出会いで得た彼女の大事な人たちを次々と奪っていく。「どうして私みたいに価値の無い人間が生き残ってしまうの!」大好きな絵を描く右手まで失い、人生で初めて自暴自棄に陥った時、傍にまだ自分を必要とする大事な人の存在に気づくすず。寡黙な亭主と共に、焼け野原のヒロシマから孤児を連れ帰ったすずの家からは、また笑い声が聞こえるのだった...
 
どんな運命でも受け入れ、なおかつ無理せず少しづつ前に進む」すずの姿に心打たれる。
脱力感溢れる天然系すずは、環境の変化や唐突なトラブルも自然に受け入れてから出直せる得意な才能を持つ女性だ。全く攻めないが、受けが滅法強い負けない格闘家みたいだ。その不敗の女性に、戦争がこれでもかと悲劇を叩きつけていく・・・「それでも諦めない」
 
今作は「人間が生きる理由」を回りくどい説明抜きに、一人の少女がオンナになり母となる姿を通して訴える。 そして人生の本質とは「別れと出会いの繰り返しの中で生かされている」のだと。
 
 news_xlarge_konosekai_katasumini_20150805_01.jpg
 
ストーリーを支える背景が、戦前・戦中・戦後のニッポンの国民生活の移り変わりを過度な演出に頼らず自然に描かれている。ゆえに、その時代の変遷に翻弄される主人公の運命が際立って浮き彫りにされる。かつ随所に、すずの天然系行動や妄想癖が差し込まれ、思わず笑いを誘う。これは、前述の声優「のん」のコメディアンヌ能力の高さが大きく寄与した。
シーンごとの機微を表現した挿入音楽は、あくまでもBGMの範疇に収まり大変心地よい。すずの「その後」を想像させるエンドクレジット時にコトリンゴのか細い歌声が流れ、オッチャンは胸と目頭が熱くなり、場内がずっと暗いままでと願ったのでした[たらーっ(汗)][たらーっ(汗)]
 
 c-3_u7pz.jpg
 
こうの史代の原作漫画のエッセンスが、片渕須直監督の脚本と演出により、稀代の名作アニメとして昇華した。
単なる反戦映画では無い。何の変哲も無く繰り返される日常の尊さを高らかに謳い、数奇な運命に翻弄されても人間は生きねばならない意味を問う。別れた大事な人の想いを胸に刻み、絶望の中から新しい出会いが、また幸せな日常を育んでいく煌めく人間賛歌だ。
 
若者に圧倒的支持を受けた「君の名は。」の緻密・完璧な構成には、小生も完全にやられてしまったが、本作の実直な作り込みと普遍的な「生きる」意味のメッセージには、世代を超えて多くの人々の心を打ちふるわすに違いない。我々昭和世代には「漫画」の香りを残す哀愁感が、更に追い討ちをかけて。
 
日経のコラムで知ったが、ネットで資金を集めるクラウドファンディングにより、原作漫画のファンなどから8日間で2000万の目標額を達成したという。次代の映画産業の在り方にも一石を投じた本作は、多くの意味で歴史的な邦画アニメの傑作となった。
 
 
 
 

nice!(35)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

『すがも中山道菊まつり』with α7 [ざれごと写真日記]

 
今月は、都内のいたるところで「菊祭り」が開催されている。 
近場の浅草寺や亀戸天神は、勝手知ったる場所なので、先日、少々足を伸ばして「巣鴨」に向かった。
実は、東京に住みながら「おばあちゃんの原宿」と呼ばれる巣鴨地蔵坂商店街には、一度も訪れた事が無かった。菊を愛でつつ、噂の商店街巡りに行って参りました、とりあえず女房も誘って。
 
結構な人通り〜まさに老若男女〜 
DSC04588.jpg
 
商店街入口に在る「眞性寺」が菊祭りの会場 
 DSC04556.jpg
 
DSC04537.jpg
 
 商店街もぶらぶらと・・・
DSC04491.jpg
 
有名な「とげぬき地蔵」〜正式には「高岩寺」
DSC04514.jpg
 
DSC04566.jpg
 
至る所にある甘味処はどこも大繁盛 
DSC04528.jpg
 
名物は「塩大福」〜どの店も元祖・発祥をうたいます[あせあせ(飛び散る汗)] 
DSC04581.jpg
 
DSC04562.jpg
 
巣鴨といえば「衝撃の」なのだ[どんっ(衝撃)] 
DSC04530.jpg
 
DSC04599.jpg 
 
お洒落なカフェに車椅子のおばあちゃん達〜なんか、いいなぁ〜 
DSC04615.jpg
 
昼カラオケと赤パンツ=まさに「おばあちゃんの原宿」だ。 
DSC04606.jpg
 
DSC04539.jpg
 
菊祭りの規模はさほど大きいものではなく、少々肩透かしを食った感だったが、街歩きが無性に楽しかった[わーい(嬉しい顔)]
「昭和の時代」にタイムスリップしたような商店街に、今風のショップやレストランも点在し、少々カオス的な雰囲気が胸を踊らせる。以前は老人達が集う場所の代名詞だったが、今や老若男女が入り混じり、活気溢れる商店街に変貌している。とはいっても、流行りの観光地のように土産物が立ち並ぶわけではなく、昔ながらの地元の商店が主体となって常連客に支えられているのが窺える。
 
はしゃいだ女房は、手ぶらで来たはずだったが、帰る頃には買い物を山のように抱えていた。
 
【本日の奥様お買い物リスト】
大福
くずせんべい
焼き海苔
とろろ昆布
秋咲き花のプランター6個
ガムテープ
セロハンテープ 
テイッシュペーパー
里芋
椅子2脚(後日配送)
 
結局、亭主の両手もふさがり、後半は写真撮影どころではございませんでした。
まぁ、赤パンツだけは買わないで安心したのだが...[がく~(落胆した顔)] 
 

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。