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「淵に立つ」 [上映中飲食禁止じゃ!]

〜隠れた話題作を公開終了間際に滑り込み〜
 
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カンヌ国際映画祭「ある視点」部門での審査員賞受賞作だそうな...
 
郊外で小さな金属加工工場を営む鈴岡家は、利雄、妻の章江、10歳の娘・蛍の3人家族。ごく平凡な毎日を送っていたある日、利雄の古い知人で最近まで服役していた八坂草太郎が現れる。利雄は章江に断りを入れずに八坂を雇い入れ、自宅の空き部屋を提供する。(ぴあ映画生活より)
  
浅野がいい、浅野忠信が実に素晴らしい[exclamation×2]
 
少女が弾くたどたどしいオルガンの旋律にメトロノームの正確なリズム音が重なっていく。ハッとするような静かなオープニングが、かえってこの物語の暗い先行きを暗示させる。
 
8年ぶりに再会した友人を、当然のように、住み込みの職工として自分の工場で働かせる利雄。唐突な亭主の決断に戸惑い、不安を隠せない章江。一人娘の成長を楽しむ幸福な家庭に分け入った来客が起こす小さな波紋が、徐々に大きな亀裂になっていく。 
 
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ムショ帰りの律儀な男・八坂。常に白ワイシャツを身に着け、能面の如く表情を崩さない。極道の世界に身を置いたらしい事を想像させるが、物腰は極めて柔らかい。身体の奥底に抱えている周りを瞬時に切り刻む刃物を使わぬよう、必死に耐え忍んでいる。一貫した静かな演技を見せながら、観る者に絵に言われぬ不安感を与え続ける浅野忠信の「凄み」は、今作の白眉である。
 
この謎の闖入者の親友という利雄だが、二人の以前の関係も謎のままだ。その身元不明の男に淡い恋心を抱いてしまう利雄の妻・章江。幅広い芸風の筒井真理子が、オンナと母を行き来する人妻役をリアルに好演する。
 
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隠し持っていた刃物が暴発し、一家に大きな傷跡を残したまま消息不明となる八坂。事件から8年後、夫婦に漸く安らぎが戻ってきた矢先、新たな闖入者により、古傷からおどろおどろしい膿が吹き出し、家族を奈落の底に落としていくのだった...
 
サスペンス調の形式をとりながら、人間の根源的な「罪と罰」を謳った作品である。 
緻密な脚本・演出は、古舘寛治を含めた個性的な3名の名優の演技力により、全編を通じて張り詰めた緊迫感を持続させる事に成功している。サスペンス系にありがちな回想場面は一切登場せず、過去の事件や八坂の生い立ちは、観客の想像力に任される。最大の鍵である八坂の「現在」は見れず、彼の真の正体も、事件の真実も闇の中だ。利雄の告白により、ひとつの答えは出たものの、結局、喉に魚の小骨が刺さったまま一晩過ごしたような不快感は、エンドロールが流れるまで徹底してつきまとってくるのだ。
 
人間の弱さと逃れられない血の宿縁を在る一家に投射し、『因果応報』という世の常を、極めて冷徹かつ緻密に映像化した深田晃司監督の表現力に打ちのめされる。個人的には、奇を衒い過ぎたようなエンディングが、悲劇の根幹の理由を観客の判断に丸投げしているようで、「もう一歩踏み込んで欲しい」消化不良を感じてしまったが...ただ、この感性は圧倒的だ[どんっ(衝撃)]
 
浅野忠信の鬼気迫る演技だけでも、一見の価値ありだ[パンチ]
 
 
 
◎おまけ
HARUHIが歌う挿入曲「Lullaby」
 
 
彼女が My Little Lover のヴォーカル akko の娘とは知らなかった。(当然、父親は小林武史だが...)この声質は稀有だ。歌唱力自体は母親同様に???だが、人を惹きつける“何か”を持っている。宇多田ヒカル以来のビッグなサラブレッド歌姫の出現かもしれない[exclamation&question]
 

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見納め秋桜〜あけぼの山公園とステーキ〜 [ざれごと写真日記]

先月は、夫婦揃っての休日は全て悪天候で、遠出をする事ができなかった。ゆえに、秋の花を愛でる機会も無く、ストレス充満中。11月に入り、寒気と共に、漸く晴天が続き、久しぶりに女房と外出と相成った。
 
とりあえず、近場でコスモスを愉しめる処を探し当てる。自宅から車で1時間弱、朝寝坊夫婦は昼過ぎから千葉県柏市のあけぼの山公園に向かう。来週にはコスモス畑の草花は全て刈り取られる予定らしい。まさにラストチャンスだった[exclamation×2]
 
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入場無料の市民公園の一角に、広大なコスモス畑が広がる。オランダ風車を模した設定はコテコテなのだが、満開の色とりどりの秋桜とキバナコスモスが、涼風に吹かれて優しく踊っていた。「いやぁ、気分爽快[わーい(嬉しい顔)]
 
我らスケッチ&カメラ夫婦が、久方ぶりの各々の仕事( ̄▽ ̄)をこなし終わった頃には、もう夕刻、腹ペコだ。
先週から少々風邪気味の女房が珍しく「肉食べたい〜」とのたまうので、思い切って連れて行きました。
 
我が墨田区下町が誇るステーキ屋『レストラン カタヤマ』[パンチ] 
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元々、リーズナブルな洋食屋さんであり、ステーキを腹一杯値段を気にせず食えると評判のレストランだ。昔から知る人ぞ知る銘店だが、予約不可の為、来店順に別棟の待合室で待機するシステムなのだ。小生は以前に、仕事で利用したが、当然、女房は初訪問である。17:30で既に店内・待合室ともごった煮状態だが、カウンター席2名なら30分待ちとの事。行列嫌いの小生の我慢のギリギリラインだが、心優しき亭主は、風邪気味女房にパワーをつけさせようと、静かに待つこととする。
 
値段を気にせず...としたが少々曲者なのは、肉のグレイドが細かく分かれていることだ。
1.1Kg=6,480円の豪州牛から100g=6,480円の国産A5牛まで5段階、うな重の松竹梅以上に迷う設定なのだ。
 
今回だけは、愛しき悪妻の為、自分は豪州牛250g、彼女には国産牛(だがA4なのが小市民[ふらふら])200gを牡蠣フライとセットで注文するのだった。
 
[ぴかぴか(新しい)]ジャーン[ぴかぴか(新しい)] 
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リーン牡蠣ステーキ250g=2,510円也(サラダ・味噌汁つき)
(ちなみに女房のマルキン牡蠣ステーキ200gは4,335円なのだ) 
 
豪州牛とは思えない柔らかさと十分の旨み[exclamation×2]納得のボリューム[かわいい]
(後で、女房の肉片を少し恵んでもらったが、国産牛には、和牛独特の甘みが加わり、ジューシー感が倍増[ぴかぴか(新しい)]
 
散財してしまったが、二人でステーキを食べたのは、思い出したら10年ぶりくらいだ。
長寿の秘訣は「週に一度は肉を食うこと」とよく聞くが、なんとなく実感した。
年を経るごとに、パワーの源を直接吸収するのが大切なんだなと・・・
 
「たまには、こういう食事もしなきゃダメね[グッド(上向き矢印)]」と妻。 
うん、これからは、スーパーで買った肉を、旦那様が家で焼いてやるからね〜 
 

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