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『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』 [上映中飲食禁止じゃ!]

東京帰還後、初の映画鑑賞〜ほぼ一ヶ月以上スクリーンから遠ざかっていたのだが...
う〜ん、久しぶりのこの感覚!
こんな素晴しい作品と出会えた幸福を噛み締める[ぴかぴか(新しい)]
 
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監督
アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
撮影
エマニュエル・ルベツキ
キャスト
マイケル・キートン エドワード・ノートン
エマ・ストーン[揺れるハート] ナオミ・ワッツ アンドレア・ライズボロー エイミー・ライアン
 
かつてヒーロー映画『バードマン』で一世を風靡(ふうび)した俳優リーガン・トムソン(マイケル・キートン)は、落ちぶれた今、自分が脚色を手掛けた舞台「愛について語るときに我々の語ること」に再起を懸けていた。しかし、降板した俳優の代役としてやって来たマイク・シャイナー(エドワード・ノートン)の才能がリーガンを追い込む。さらに娘サム(エマ・ストーン)との不仲に苦しみ、リーガンは舞台の役柄に自分自身を投影し始め……。(シネマ・トゥデイより)
 
「バベル(2006年)」で注目を浴びたアレハンドロ監督だが、「21グラム(2003年)」「BIUTIFUL(2010年)」にも完全に嵌った小生としては、待望の新作なのである。
 
渇いたドラム音のみをBGMに、空中浮遊する半裸の男性の後姿を映し出す異様な雰囲気のオープニング。
ヒーロー映画のかつての大スターも、いまや落ちぶれ、ブロードウェイ演劇に活路を見出し、一世一代の大勝負に出る。自分の分身とも言うべき「バードマン」の幻影に常につきまとわれ、もがき苦しむ初老の俳優リーガンにマイケル・キートン。30年近く前に「バットマン」で成功を収めた本人を、等身大で起用した配役は、洒落や皮肉を超越して、俳優マイケル・キートンの鬼気迫る演技を引き出した。
 
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脚本・演出・主演を一人でこなし、初のブロードウェイの舞台に挑む彼を取り巻く人間模様。
レイモンド・カーヴァーの短編小説を舞台化した「愛について語るときに我々の語ること」への出演者は、リーガンを含めて4人。この共演陣の演技がまた素晴しい。
 
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急遽抜擢された売れっ子舞台俳優マイクにエドワード・ノートン。リアルティ溢れる演技には定評があるが、自堕落な私生活と奇行は、リーガンの悩みの種となり、二人の衝突は日常茶飯事。演技の中でしか、素直な自分を表現できない屈折した青年を好演だ。一般社会に適応できない変人二人の絡みの場面が何ともユニークで、次々と笑いを誘う。
 
そして二人の女優。
ナオミ・ワッツは、永年夢見たブロードウェイの初舞台に胸膨らませる苦労人の女優レスリーを演じ、リーガンの恋人として公私ともに彼を支える黒髪の女優にアンドレア・ライズボローが務める。
 
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揺れ動く女性心理を二人のディーバは、美しく時に激しく魅せてくれた。
ハプニング的な黒髪・ブロンド入り乱れてのキスシーンに、小生はドキュン[ハートたち(複数ハート)]
 
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そして今作の最大ドキュンは何と云ってもエマ・ストーン嬢。
薬物依存症から立ち直ったばかりの精神不安定なリーガンの娘・サムは、父親のアシスタントとして働くが、父娘の気持ちは常にすれ違う。
 
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 「アメイジング・スパイダーマン」「L.A.ギャング ストーリー」で、当然見初めていたブロンド姫だが、外見だけでなく、一歩づつ大女優への道を歩んでいるようだ。エレガントな雰囲気が売りだったが、蓮っ葉なヤンキー娘役もサイコーである。
 
更に、リーガンの前妻シルヴィア役にエイミー・ライアンを配し、登場人物達の想いが錯綜する中、リーガンの一世一代のブロードウェイ舞台の初日を迎える事になるのだが...
 
映像の魔術師〜エマニュエル・ルベツキ
「ゼロ・グラビティ」に次いで今作で2年連続アカデミー撮影賞を受賞。彼のカメラアイは、対象の内面まで刳り出していく。手持ちのワンカット撮影がほとんどという信じ難いプロの技が、俳優陣の名演の奥に眠る深層心理をスクリーンに炙り出すのだ。そして、唐突なドラムソロがいつしかメロディを叩き出したかと思いきや、深淵たるラベルのクラシック音楽が流れ出す...奇抜な挿入音楽が映像に更に深みを与えて行く。
 
崖っぷちの老優が、かつての栄光の残像に苦しみ、精神が徐々に蝕まれていく様を洒落たブラック・コメディ風に描いた佳作...と一見では思える。だが、作品の中核を成すのは『愛』である。
舞台の題名「愛について語るときに我々の語ること」が、そのままこの映画のモチーフになっているのだ。
自己愛から親子の情愛、男女の愛憎、芸術への愛...溢れんばかりの愛を、卓越した映像技術と奥深い構成そして俳優陣の名演により描き出したパーフェクトな映画ではなかろうか。
 
ラストシーンのエマ・ストーンの笑顔に、えも言われぬ清涼感と陶酔感に襲われた[exclamation×2]
 
昨年度のオスカー4部門受賞も納得[パンチ] やっぱり、映画って素晴しい[ぴかぴか(新しい)]
 
 
 

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Labyrinth

Wow♪ ^^; 明日観る予定なので、後程拝読させていただきますね ^^;
by Labyrinth (2015-04-16 23:36) 

末尾ルコ(アルベール)

幾通りもの愉しみ方のできる作品でしたね。
エマ・ストーンを一番観たくて鑑賞したのですが、ナオミ・ワッツの素晴らしさにも仰天しました。ジュリアン・ムーアのごとく、そろそろオスカーを撮ってほしい!

                       RUKO
by 末尾ルコ(アルベール) (2015-04-17 00:38) 

つむじかぜ

> Labyrinth 様
どうぞ、お楽しみ下さ〜い。Labyさん好みだと嬉しいな^^
by つむじかぜ (2015-04-18 01:05) 

つむじかぜ

> 末尾ルコ(アルベール)様
「マルホランド・ドライブ」でゾッコンだったナオミ・ワッツ!
今作での彼女の多彩な表情も見物でしたね〜^^
by つむじかぜ (2015-04-18 01:09) 

Labyrinth

(^_^)ノ 大好物でした~♪ (^m^) 
つむじかぜ さんの仰るように、愛の映画でしたね。
by Labyrinth (2015-04-21 01:01) 

つむじかぜ

> Labyrinth 様
美味しく召し上がられたようで、小生も嬉しいです^^
by つむじかぜ (2015-04-22 02:33) 

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