「昭和歌謡の天女」 [〜私の歌姫〜]
本日は少々レトロに...
寒いですねぇ〜
では、唐突に井上陽水の名曲をカバーで
なんとも味気ない伴奏に拍子抜けするのだが、ひとたびヴォーカルが絡まると曲が一変して、煌めきと潤いを帯びて来る。オリジナルの陽水より、「詞」が活きているではないか。一体なんだ、この説得力は
この曲を歌っているのは...
70年代の歌謡界を席巻した伝説の歌姫
『ちあきなおみ』である。1969年デビュー以降、日本歌謡界のトップ歌手として永年に亘り活躍。1992年、夫との死別を境に芸能界から忽然と姿を消す。
昭和歌謡の女王といえば真っ先に「美空ひばり」の名が浮かぶ。どんなジャンルの楽曲もなんなく歌いこなす才能は、まさに天才的であり、天性の「唄うたい」と呼んでよいだろう。
その日本芸能界の至宝以上に、小生が評価し、愛して止まない日本の歌手が『ちあきなおみ』なのだ。
歌唱力が抜きん出ているのは当然の事ながら、歌の表現力が並外れている。ジャンルを問わず、オリジナル・他人のカバー曲、童謡に至るまで、すべての曲を「自分の歌」にしてしまう。「詞」に対する感情移入も半端無く、この曲なんかは鳥肌が立ってしまう
「夜へ急ぐ人」(1977年)
70年代のTVは音楽番組全盛。こんな激しい歌が、家族団らんの夕食時にでも放映されては、みんな凍り付いて、幼児は怖くなって泣きわめいたことだろう。
この表現力が、お笑い芸人達の形態模写の格好の材料になり、後になっては、お笑い芸から彼女の存在を知った若い人々も少なくないかもしれない。
1972年レコード大賞の栄冠に輝いた、最大のヒット曲「喝采」なども、彼女でしか表現しきれない名曲である。当時、小学生だった小生にでも「なんか、よくわかんないけど心に残る歌だなぁ」と子供心に感じたものだった。まさか葬式に参列している内容などとは思いもよらず...
「喝采」(1972年)
何かに取り憑かれたように歌う姿は、般若かはたまた天女か?
だが、一旦マイクを置けば素の彼女の剽軽な性格が現れる。
「8時だよ!全員集合」を始め、活躍中期にはバラエティ番組にも多数出演し、コメディエンヌとしての才能も遺憾なく発揮していたものだった。
このCMもある意味「伝説」かも...
そんな彼女が忽然と芸能界から姿を消したのは1992年秋。最愛の夫・郷鍈治と死別したその日から、一切の芸能活動を停止し、以降、公の場に一度も顔を出す事はなかった。事実上の引退状況となってしまっている。
「喝采」と、この「冬隣」は、恋人と死別した女性の歌であり、この深い哀しみの歌が彼女の代表曲にもなっている。この歌詞のような出来事が、ちあき自身の運命にのしかかってしまったのだ。
「喝采」の歌詞では、彼氏が亡くなっても歌い続けた歌手の孤独な姿が歌われているが、ちあきなおみは、2度とマイクを握る事はなかった...
「冬隣」(1988年)
昨今のオーディオ機器の進化により、今、彼女の歌声が聴くと、当時以上に深く胸に染み渡ってくる。
全く破綻しない声域の広さ、特に低音部のコントロールの完璧さは数多の女性トップ歌手の中でも卓越している。
演歌からポップス、シャンソンなどすべてのジャンルに順応するリズム感、そして何よりも、独自の「詞」の解釈と表現力により、すべての曲を「自分の歌」にしてしまう力。
まさに不出世の天才歌手〜「歌謡界の天女」である
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: コロムビアミュージックエンタテインメント
- 発売日: 2006/12/20
- メディア: CD
- 2枚組。ほとんどのヒット曲が収められている。それ以上の聴き所は、他人名義のカバー曲だ。
- 冒頭の井上陽水を始め、中島みゆき「ルージュ」やペドロ&カプリシャス(高橋真梨子)「五番街のマリーへ」
- などは垂涎の出来。
ちあきなおみ VIRTUAL CONCERT 2003 朝日のあたる家
- アーティスト: 大高ひさを,北原じゅん,永六輔,浅川マキ,ジャック・プラント,ミッシェル・エメール,吉田旺,松原史明,飛鳥涼,水谷啓二
- 出版社/メーカー: テイチクエンタテインメント
- 発売日: 2003/04/23
- メディア: CD
- ライブ盤。この静けさと激しさ...
- 本物の「うたうたい」を体感できる戦慄のコンサート。
実は初期のこの歌も大好きだったりして
ちあきなおみは大好きな歌手です。
by JUNKO (2015-01-15 15:31)
このカヴァーも素晴らしいです!!
「朝日楼(朝日のあたる家)」
http://youtu.be/jkRa6dl4LtU
by DEBDYLAN (2015-01-15 23:59)
私は彼女が歌う黄昏ビギン大好きです。
by kei (2015-01-16 14:42)
> JUNKO 様
復帰は有り得ない歌手ですが、彼女の歌声は永遠ですね^^
by つむじかぜ (2015-01-17 00:32)
> DEBDYLAN 様
これも名曲ですよね!
昔、題名だけ見て、「アニマルズ」のカバーだと勘違いした自分が恥ずかしかった(^▽^;)
by つむじかぜ (2015-01-17 00:34)
> kei 様
ワルツ風の滲みる歌ですね。私も好きな曲です^^
by つむじかぜ (2015-01-17 00:35)