『天才スピヴェット』 [上映中飲食禁止じゃ!]
監督・脚本:ジャン・ピエール・ジュネ
撮影:トマス・ハードマイアー
美術:アリーヌ・ボネット
キャスト
カイル・キャトレット
ヘレナ・ボナヌ=カーター ジュディ・デイヴィス カラム・キース・レニー
ニーアム・ウィルソン ジェイコブ・デイヴィース リック・マーサー ドミニク・ピノン
モンタナで暮らす10歳のスピヴェットは生まれながらの天才。しかし風変わりな家族たちは弟ばかりを可愛がりスピヴェットの言動は理解されなかった。さらに弟の突然の死により家族の心はバラバラになってしまう。そんな中、スピヴェットの発明が認められ……。(ぴあ映画生活より)
映画の面白さが凝縮された極上の一品
「アメリ(2001年)」のジャン・ピエール=ジュネ監督の新作とくれば、自ずと期待は大きく膨らむのだが、想像を遥かに超えた出来映えに心は弾みっぱなしだ
遅れて来たカウボーイのような無骨な父と、超マニアックな昆虫学者の母。有り得ない不可思議な夫婦から生まれた双子は、それぞれ両親の遺伝子を極端に受け継いだ。
一人称でナレーションされる兄の(スピヴェット)の語り口には、母親譲りの知的で詩的な香りが漂う。10歳にして、学術雑誌に論文が掲載されるほどの天才科学者だが、その偉大さを理解出来ない周りの人々からは、変わり者として扱われている。一方の兄とは正反対の性格の双子の弟レイトンは、まさに野生児、父は自分の分身のように彼を溺愛する。アイドルを夢見る能天気な姉・グレイシーを加えた、この風変わりな5人家族は、モンタナの牧場で閑かに幸せに暮らしていた。
そんなある日、レイトンが鉄砲の暴発事故で亡くなってしまう。
物語は、一見平和に暮らす家族が、それぞれ喪失感に苛み、暗い水の底で呻いている姿を描く所から始まる。変わらぬ日常生活の中にふと見え隠れする悲しみを、敢えて明るい描写に落とし込み、その深さを際立たせる演出。ただ部屋に籠りウィスキーを呷る毎日の父、家事を脇に新種の昆虫探しに没頭する母。そこには、家族の明るい未来が見えて来ない。そんな光景を、モンタナの雄大な大自然と対比させながら、優しく浮き上がらせていく。観る者の心に溶け込んで来る絵本風の映像は、ジャン監督の真骨頂であり、ハリウッドには無い繊細な心象描写手法である。
そして、主役のカイル・キャトレットが、 子供特有の純粋な感性と大人顔負けの洞察力を持つスピヴェットを等身大で好演だ。今作中、特異な存在感を見せてくれた母親役のヘレナ・ボナム=カーターの演技は特筆モノだ。
個性的過ぎる役柄が多い彼女だが、よ〜く見ると美人さんです。
その最中、スピヴェットにワシントンのスミソニアン協会から彼の論文が優秀賞に選ばれ、授賞式への出席を請われるのだった。当然、父親の発明と思い込む協会側を、咄嗟の機転で騙し、スピヴェットは、一人で授賞式に向かうべく、密かに家を抜け出る。ここからの彼の冒険譚が、ロードムービー風に描かれていくのだが、子役の演技と背景の美しさに目を奪われてしまう。モンタナからシカゴ経由でワシントンへ、貨物列車に飛び乗り、ヒッチハイクで目的地を目指す10歳の少年は、明晰な頭脳で冷静な計算をしつつも、子供らしい抑えきれない衝動を持って、このアドベンチャーを成功させるのだった。
そして、彼の決死の大冒険がもたらせたモノとは...
天才少年の止めども無い孤独と哀しみを、練り込まれた映像とウィットに富んだ演出に包み込みながら、次第にそれが、家族の再生と明るい未来に移り行く様子が、情感たっぷりに描かれた傑作である。音楽も秀逸
こんな映画が、私は大好きだ。
とても とても面白そうな作品ですね♪ ^^;
つむじかぜ さんの熱の入りようが半端ないですもの~w
“特筆もの” のヘレナ・ボナム=カーター 是非見てみたいです♪
by Labyrinth (2014-12-08 00:19)
絶対観ます!「
by yuzman1953 (2014-12-10 16:37)
> Labyrinth 様
ヘレナの閑かな深い演技が、作品に潤いをたっぷり与えています!
是非、ご鑑賞を。
by つむじかぜ (2014-12-12 22:46)
> yuzman1953 様
絶対観て下さいね^^
by つむじかぜ (2014-12-12 22:46)
終了前に観てくる事が出来ました♪
ほっとさせてくれる家族の物語で良かったです~
大きなスクリーンで観ることができて良かったです☆
by non_0101 (2014-12-21 16:27)
> non_0101 様
家族の再生を見事な映像美で描いたジュネ・マジックでしたね!!!
by つむじかぜ (2014-12-23 02:09)