SSブログ

『インターステラー』 [上映中飲食禁止じゃ!]

0.jpg
 
監督・脚本:クリストファー・ノーラン
撮影:ホイテ・ヴァン・ホイテマ
音楽:ハンス・ジマー
 
キャスト
マシュー・マコノミー アン・ハサウェイ
ジェシカ・チャスティン ビル・アーウィン エレン・バースティン
マイケル・ケイン マット・ディモン マイケル・ケイン マッケンジー・フォイ
 
近未来、地球規模の食糧難と環境変化によって人類の滅亡のカウントダウンが進んでいた。そんな状況で、あるミッションの遂行者に元エンジニアの男が大抜てきされる。そのミッションとは、宇宙で新たに発見された未開地へ旅立つというものだった。地球に残さねばならない家族と人類滅亡の回避、二つの間で葛藤する男。悩み抜いた果てに、彼は家族に帰還を約束し、前人未到の新天地を目指すことを決意して宇宙船へと乗り込む。(シネマトゥデイより)
 
実は、初のIMAX鑑賞なので・・・これは絶品[ぴかぴか(新しい)]
 
ダークナイト・シリーズ」ほどの前人気は無くとも、好評価も納得のクリストファー監督のSF意欲作かつ難解ながらも心温まるヒューマンドラマの秀作でもある。
3DやCGに頼らない同監督は、今作もIMAXカメラを使用したフィルム撮影により拘りと驚愕の映像を造り出す。
 
XnoUDBm.jpg
 
CE2AE4EBC7DEA3C571CD50E01B95E6FA.jpg
 
未曾有の食糧難に襲われた世界各国は、もはや戦争や宇宙開発に賭ける欲求も資金も枯渇した 。理由は説明されないが、環境汚染による異常気象の為か、大規模な砂嵐が常時発生し、穀物生産が危機的状況に陥った近未来が設定だ。
元宇宙飛行士だった男クーパーも、今や実父の農家でトウモロコシ作りに勤しむ。妻に先立たれ、幼い一男一女を抱えて、慎ましい生活を送る彼は、砂害に怯える毎日を送っていた。
 
前半部は、砂の惑星と化す地球の危機を不気味に映し出し、宇宙飛行などとは全く縁の無い農場一家の生活を刻々と描く。
 
6068331,yx+QqXsSZ2kl4JTh5udHCNE8LBY1zwUym_PxyEv52NyJpWh9I576iqgS_YXdUkHdq6xNfwrS0X9nszBaDVkEzw==.png 
 
姉弟は2人とも優秀な子供達だが、特に長女のマーフは、科学的感性が非常に強い父親似の娘。その彼女が宇宙への扉を開ける。マーフは、部屋の本棚に起きる不思議な現象から座標軸を導き出し、父と共にその場所を探しに行く。
なんと、そこは既に解体したはずのNASAの秘密基地だったのだ[exclamation×2]
 
 このマーフ役のマッケンジー・フォイが実に知的で愛らしい[ハートたち(複数ハート)]
373702.jpg
 
極秘裏に造られた新生NASAで、クーパーは飛行士時代の恩師ブラント教授(マイケル・ケイン)と再会し、人類が移住できる惑星を探す計画への参加を請われる。彼は悩んだ挙げ句、人類を救うため、子供達を守る為に、ブラント氏の娘アメリア(アン・ハサウェイ)らと共に、再び宇宙に旅立つ決意をするのであった。
 
 娘の必死の静止を振りほどいて...
 is7.jpg
 
美人科学者と宇宙の旅へ...
 Interstellar-05.jpg
 
少々、強引さを感じる展開なのだが、その契機となった「本棚の秘密」が後半で明かされ、合点がいく巧妙な仕掛けになっているのだが・・・(それは置いといて)
 
中盤以降は、昔習った物理の授業を思い出さなければならない。
アインシュタインの相対性理論である。「光速に近い宇宙船で宇宙を駆けめぐり、何年か後、出発地点に戻ってきたような場合、出発地点にいた人は年を取り、宇宙船にいた人は年を取らない」現象で、ウラシマ効果とも呼ばれる。
 
第一候補の惑星「ガルガンティア」での1時間が地球上の7年間に相当するという訳の判らん理屈は、そのまま素直に受け取って、とにかくクーパー達の惑星探査は時間が限定されたミッションであり、仮に移住可能な惑星を発見しても時間がかかれば、戻った頃の地球は人類が滅亡している可能性もあるのである。
 
第一の惑星は、到底人類が住めない「水の星」だった。
不時着した宇宙船は、小山のような100m級の大波に、危うく飲み込まれそうになるが、間一髪で脱出。だが、それに要した時が、地球時間で23年の歳月だった。(この大波の描写も秀逸[exclamation×2]
母船に戻ると、地球の家族からのビデオメッセージが何年分も送られていた...長男トムは結婚し、二児の父になっていた。長女マーフは、NASAに入社し、ブラント教授の助手になっていた。父の帰還を信じて疑わなかったが、あまりの時の経過に「もう諦める」と話す子供達の姿に、ただ涙するクーパー。
 
第2の惑星は「氷の世界」だったが、先発隊の宇宙船を発見。その中で、スリープ状態になっていたマン博士(マット・ディモン)を蘇生させる事に成功する。天才科学者の生存は、果たして人類に希望をもたらすのか[exclamation&question]
  
interstellar_3110693b.jpg
 
ここで、マット・ディモンが久しぶりの悪役〜孤独な宇宙生活で人格が変貌したマン博士は、宇宙船を乗っ取り、クーパー達を置き去りにして、単騎で地球に帰ろうとする。だが、母船とのドッキングに失敗した彼は、宇宙の藻屑となり、母船自体も損傷してしまう。なんとか、母船に辿り着いたクーパーとアメリアは、最後の望みの第3の惑星に向かうが、母船の航行能力は限界に達していた。実は、第3の惑星に向かった先発隊のメンバーには、アメリアの恋人エドモンドがいたのだった。
クーパーは、ブラックホールの強大な重力を利用しながら、更に自分の乗る小型宇宙船を切り離し加速度をつけ、アメリアの乗る母船を、第3の惑星に送り込む事に成功する。
そして、虚空に浮かぶクーパーは、徐々にブラックホールに吸い込まれて行くのだった...
 
Interstellar-02-GQ-30Oct14_pr_b_1083x658.jpg
 
子供達と再会する事を諦め、人類を救う為に、アメリアにすべてを託し自らを犠牲にしたクーパー。その信念には、アメリアだけは生きて恋人に会わせたいという強い想いも含まれていた。
 
ここでフィナーレではないのが、クリストファー・ノーランのノーランたる由縁[exclamation&question]
ブラックホールの5次元空間に吸い込まれたクーパーが体験する驚愕の出来事[どんっ(衝撃)]
鍵を握るのは、成長した科学者マーラ(エレン・バースティン)。
この展開は誰もが予想不可能なレベルであったろう〜そして心温まるラストシーン[もうやだ~(悲しい顔)]
 
子供時代の可愛らしさが薄れてしまったような...個人的に少々残念なキャスティング
interstellar_2.jpg
 
『インセプション(2010)』での複雑な時間軸の交差には、頭を悩まされながらも胸躍ったが、今作もそれに近い難解さと爽快さが同居した驚くべきSFヒューマン・ドラマの傑作である。
 
宇宙の中の塵の如く小さな惑星・地球に暮らす一家族が起こす奇跡。
環境破壊、家族愛、相対性理論から神の存在に至るまでを強引に結びつけるのだが、それをあくまでも自然に論理的に見せてしまうノーラン・マジック
 
0013729e471315de22ae04.jpg
 
人智を超えた絶対的な宇宙の存在を、IMAXカメラによる圧倒的な映像で描ききり、同時に登場人物達の情愛をきめ細やかに表現し、人間の本質である絶対的な「愛」と比較した。宇宙SF映画の金字塔「2001年宇宙の旅(1968)」の哲学的な佇まいにエモーショナルな薫りをブレンドしたような極上の仕上がりである。音響効果も抜群[るんるん]
3時間近い長尺にも関わらず、持続して観客を引っ張る映画のパワーに完全にノックダウンされてしまった。
 
 
 
 

nice!(37)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 37

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。