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「爽快?チロルの旅へ」Final イタリア後編 [ざれごと写真日記]

ドロミテ観光最終日。
ボルツァーノから3時間かけて「黄金の盆地」と称されるコルティナ・ダンペッツオに向かう。
相も変わらず小雨混じりの曇り空が切れ目無く続く〜もう誰も嘆き悲しむ者はいない〜悟りの境地である[ダッシュ(走り出すさま)]
 
途中、静かな湖畔(DOBBIA湖)でトイレ休憩。
 
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そして、今ツアーの目玉であるトレチーメ展望ハイキングの拠点となる麓の街のレストランで昼食を摂る。
 
街の後方に聳えるのが名峰トレチーメかぁ?・・・本当に、この天気で登るのかぁ〜[がく~(落胆した顔)]
 
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もしかすると、人生最期の食事になるかもしれないので、味わって戴くのだ[かわいい]
 
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添乗員さん「今回はデザートは出しません。登山前にデザートを食べると無事に帰ってこられない、というのがこの地方の言い伝えなのです。」 などと、皆を元気づけているのか、脅しているのか...雲行きはますます怪しくなり、大粒の雨が[小雨]
 
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完全防備の日本人部隊は、トレチーメ登山口に到着。
決して本格的な登山ではなくハイキング程度のレベルらしいのだが、一応ここからは添乗員さんではなく、現地の登山ガイドが先導する事になる。
 
添乗員「20分程、平坦な道を歩いて山小屋風のレストランに着きます。今日は非常に悪天候ですので、まず、そこまで行って、それ以上登れるかどうか、ガイドさんの判断を仰ぎたいと思いま〜す。」
 
遥か昔、体重が現在の三分の二ぐらいだった学生時代、アルペンキャンピング同好会所属の経験がある小生は妻に囁く。「山の天候を嘗めたらアカン。勇気ある撤退というのが非常に大事なのだ!」
今の体型では全く説得力の無い亭主のアドバイスに聞く耳を持たない妻は「せっかくここまで来たんだから最後まで登りたいわよねぇ〜」と、隣の女性とおしゃべり中...[ダッシュ(走り出すさま)]
 
出発〜[ふらふら]
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何とか山小屋に到着...「寒い」...体感温度は5、6℃か...
 
添乗員「 ガイドさんと相談しました。ここからは急な登り坂です。天気が悪いので40分程早歩きで展望地点を目指し、すぐ戻ります。着いて行く自信の無い方は私と共にこの山小屋に残って下さい。頂上付近はここよりも更に寒いそうです。くれぐれも決して無理をなさらないように。はい、それでは2組に分かれま〜す。」
 
年配のご夫婦やいかにも華奢そうな女性らが、添乗員さんに着いて行く。
我が妻は、いち早くガイドさんに寄り添いながら、「じぃ〜」と私を見つめ「アンタ、どーするの」と口パク...
無謀...いや勇敢な旦那様は、登山組の最後尾に「そっ〜」と並ぶのだった[ふらふら]
 
.....早くも3分で息が上がります。
僅かな勾配であっても、我が体重を受け止める下半身は悲鳴を上げ、薄い気圧とのダブルパンチで急激に呼吸が苦しくなってくる。勇者軍団の中でただ一人、荒い呼吸を繰り返すオッチャン一人。身体が重い、脚が重い、軽いミラーレスのカメラまで重く感じる。写真を撮る英気が萎えてくる...
 
と、小生と大分距離が離れた先頭集団が急に立ち止まり、ガイドさんの足元を皆で囲んで座り込んでいる。なんとか追いついて、覗き込むと...
 
 野生のエーデルワイス
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ヨーロッパ・アルプスで最も有名な高山植物であるが、最近は個体数が激減しており、野生種を発見するのが非常に困難になってきている「幻の花」との事。ガイドさんが言うには、我々はVeryラッキーなんだそうだ。直訳すれば「高貴な白」の花に、少々パワーを戴いた小生に、漸く廻りの風景を眺めるゆとりが生まれる。
 
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相変わらず、目に前は霧に包まれた岩肌だが、遠景にドロミテの山々が顔を少し出し、足元には素朴な高山植物が咲き乱れている。 おお〜もう一踏ん張りじゃ[パンチ]
 
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到着〜[手(チョキ)]
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アンタ、頑張ったわねぇ〜」「ぜぇ、ぜぇ、余裕じゃ」
お決まりの記念ツーショットを後から見ると、満面笑みの妻と憔悴しきった小太り男が写っているのでした[あせあせ(飛び散る汗)]
絶景には恵まれなかったが、この忘れていた達成感は格別だ。だから、人間は山に登るのだ[exclamation&question]
 
帰りの下り道は楽勝だ。登りきった陶酔感が疲労感を凌駕しているのか、足取りが軽い。
登りと違い、余裕で写真を撮りながらの下山だ。山の眺めより、岩肌の間に咲く可憐な高山植物達に目を奪われる。
 
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道も平坦となり、山小屋も目前となった処で事件は起きた
「この花も綺麗だなぁ〜」と、青い花弁にレンズを向けていた時、バランスを崩してこけそうになり、不安定な体勢のまま脚を踏ん張った...「ゴキッ」...左足首を激しく挫いたのだった。サッカー少年時代に慢性ねん挫していた古傷と同じ場所だ。 「うっ、う、う、」痛くて声も出ない。
 
この花を撮った直後にコケル...遥か左前方に見えるのが女房の後姿〜声も届かない[たらーっ(汗)]
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痛みをこらえ、脚を引きずりながら山小屋になんとか到着。
お土産漁りに余念がない妻は一向に気づく様子が無い。 恥ずかしいので、こちらもあえて言わない。
 
一行は、トレチーメを後にし、「ドロミテの真珠」と呼ばれるミズリーナ湖に立ち寄り、最終宿泊地ベニスへ向かう。
 
脚を引きずりながら写真を撮り続けるアホな親爺です[ふらふら]
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ベニスに向かう途中のトイレ休憩で、妻は旦那の異変に漸く気づく。
 
アンタ、脚ひきずってどうしたの?
「こけた、ねん挫だ」
何処で?その脚で山を登っていたの?
「いや、最後の平坦道で...」
バッカじゃない。そういえば、昔もこんな事があったわね
 
新婚時代。札幌から東京への帰省中に羽田空港で同じようにこけた私は、新妻の肩を借りながら死ぬ思いで実家に帰ったのだった。蘇る25年前の恥ずかしき思い出[たらーっ(汗)]
 
その夜。
ベニスのホテルの一室で、ツアー仲間の80歳の大先輩から戴いた「腰痛用のシップ薬」を甲斐甲斐しく旦那の足首に貼る妻の姿がありました。「きっと、明日の方がもっと痛くなるわよぉ〜頑張りなさいよ!」「わかっとるわい[ダッシュ(走り出すさま)]
 
 
翌朝・・・本当に昨日より痛い[ふらふら] 
だが、初めて訪れた『水の都ベニス』をこの目で見ずしてホテルで寝ている訳にはいかないのだ[むかっ(怒り)]
足首の腫れ具合から骨折の可能性は無さそうだ。
アンタ、本当に大丈夫なのぉ〜?」「行くぜ[パンチ]
 
ベニス本島サンタ・ルチア駅の向かいにある水上バス乗場カナル・グランデからサンマルコに向けて乗船。
 
曇り空の下、海と見紛う大運河を悠然と水上バスは進むと「アドリア海の女王」の異名を持つベニス=ヴェネツィアの旧市街が全貌を現してくる。
 
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サンマルコ広場で下船。ここで自由行動...と言っても昼過ぎには空港に向かわなければならず、2時間半という極めて限られた時間だ。街のシンボルであるサンマルコ大聖堂は、外観は補修中なうえに、予想通りの長蛇の列。
 
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集合時刻になっても入館は不可能そうなので、 とりあえずサンマルコ広場を抜けて街の散策へ。
 
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脚を引きずりながらも写真も撮り続ける能天気な旦那の牛歩戦術に、相手にしていられないとばかりに妻は先を急ぐ。はぐれること三度。今では外国に居ても繋がるスマホに感謝しつつ、漸く私の脚を気遣ってかCafe休憩。
 
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ん〜ゴンドラに乗りた〜い。でも、二人だけだと値段高いし、誰かツアーの人が通らないかしらねぇ、一緒に乗れば安いし、楽しいし
 
Cafeの出窓から外を物色していると、飛んで火にいるなんとやらのツアー客が2組。
「奥さんなら値段交渉も出来るから安心だわ」と、意気投合し即席6人乗りゴンドラツアー完成[どんっ(衝撃)]
 
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45分間、ノンビリとゴンドラに揺られながら、小道なら小カナル(運河)から街を眺める。
 
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集合20分前にゴンドラを下船。サンマルコ広場までゆっくり歩けばちょうど良い時間だ。
 
「さっき歩いた通りに素敵なモノがあったのよねぇ」
(げっ、まだ買物かぁ〜[がく~(落胆した顔)]
 
ベニスの小道はみな似通っていて、妻の意中の店がなかなか見つからない。小さな通りを何度も行き来し、ついに奥様は小さな画廊で手札大の水彩画を2つ購入。
とりあえず、私だけでもが時間通りに行けば大丈夫だから」 と、彼女はまたもやダッシュで広場の集合場所をめざす。置いてけぼりの亭主は痛みをこらえながら歩き、遅れること3分。妻の予想通り、遅刻も目立たず合流となる。
 
なんとも忙しい傷心のベニスの街を私は一生忘れる事はないであろう...
 
さらば、ヴェネツィア[ぴかぴか(新しい)]
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ヴェネツィア・テッセ空港〜
 
アンタ、本当に脚の方は大丈夫なのぉ〜?
「痛みに慣れ過ぎて、もうどうって事はないぜ[たらーっ(汗)]
 
上機嫌でお土産をトランクに詰め替える女房の傍らで、痛み止めの代わりにバファリンを飲み込む亭主の姿あり[ダッシュ(走り出すさま)]
 
 
天候にはあまり恵まれず、慣れない団体ツアーで不自由も多かったが、 銀婚式記念に相応しい私達夫婦らしい思い出深い海外旅行となりました。
 
4、5年に一回位は贅沢に海外に行きたいわよねぇ。だからもアナタも健康でいてね。そしてずっと、ずっ〜〜と働いてくださいね。
 
深夜の東京・自宅そばのラーメン屋でビールを呷りながら奥様は仰るのでした。
金婚式まで、私に安息の日が訪れる事は決してないであろう...[あせあせ(飛び散る汗)]
 
翌日、名古屋の仕事場に戻る私は、唯一女房が買ってくれた12ユーロのネクタイに僅かの愛情オーラを感じつつ、新幹線に乗り込むのでした。脚を引きずりながら。って、日本円で1,500円かぁ[がく~(落胆した顔)]
 
 
 
◎ロック夜噺
 
ベニス発祥といえば「仮面舞踏会」〜「マスカレイド」 である。
となれば、やはりレオン・ラッセルの名バラードですな[るんるん]
 
 『This Masquarade』
 
(ジョージ・ベンソン、カーペンターズのカバー曲でも有名)
 

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コメント 18

(。・_・。)2k

素晴らしい写真ですね
奥様の優しさ素晴らしい(^^)

by (。・_・。)2k (2014-09-06 01:30) 

ゆうみ

素晴らしい写真ですね。
足は大丈夫ですか?
by ゆうみ (2014-09-06 12:22) 

kei

羨ましい限りです。私もこういう所に行って写真を撮りたいなぁ。。(^^)
by kei (2014-09-07 12:33) 

haku

いいなぁヴェネツィア♪
24年前、新婚旅行で行きました ^^;
もう一度行きたい場所です!
by haku (2014-09-07 14:59) 

Labyrinth

おみ足、どうぞお大事に!
Nice♪ハニーに乾杯♪ (≧∇≦)/□☆□\(≧∇≦ )カンパーイ!!
by Labyrinth (2014-09-08 02:45) 

シルフ

足の捻挫は大丈夫ですか?ベネチアは一昨年行ったところなので興味深く拝見いたしました。美術館行きたかったのに時間が無くて…。スゴく心残りです。

by シルフ (2014-09-08 23:04) 

つむじかぜ

> (。・_・。)2k 様
女房の厳しき優しさに感謝の日々でございます(・・;)

by つむじかぜ (2014-09-09 00:41) 

つむじかぜ

> ゆうみ 様
旅行の深い思い出として、いまだに心地良い痛みが残っております^^;

by つむじかぜ (2014-09-09 00:45) 

つむじかぜ

> kei 様
やっぱり元気なうちに行っておきたいですね。今度はいつになることやら...

by つむじかぜ (2014-09-09 00:46) 

つむじかぜ

> haku 様
24年前ということは、hakuさんも来年は大変ですね、頑張って下さい!

by つむじかぜ (2014-09-09 00:48) 

つむじかぜ

> Labyrinth 様
いつも、愚妻を応援頂きありがとうございます( ̄ー+ ̄)
未だに、足の痛みが引きません...歳です^^;

by つむじかぜ (2014-09-09 00:51) 

つむじかぜ

> シルフ 様
結局、正味3時間ほどの滞在のベネチアでしたので、今度はノンビリと散策したいです。次回は、何時になるかわかりませんが...( ̄▽ ̄)

by つむじかぜ (2014-09-09 00:54) 

non_0101

最高の奥さまですね~♪
ぜひ、“4、5年に一回の贅沢な海外旅行”頑張って下さい!
きっとこの次も素晴らしいご旅行になりますね(^^)
あ、くれぐれも足はお大事に☆
by non_0101 (2014-09-09 08:55) 

DEBDYLAN

いやぁ、羨ましい!!
一緒に出掛けたら振り回されるコト必至だけど^^;
それでも旅行(できれば海外)行きたいっす。
アメリカ一辺倒な我が家だけど。

by DEBDYLAN (2014-09-09 23:15) 

つむじかぜ

> non_0101 様
ありがとうございます!
何年経っても夫婦の力関係は不変で、慌ただしい旅だと思いますが...^^
by つむじかぜ (2014-09-10 00:56) 

つむじかぜ

> DEBDYLAN 様
DEBさんも振り回される役ですかぁ〜(・・;)
アメリカ本土も行ってみたいっすね!
by つむじかぜ (2014-09-10 00:59) 

JUNKO

ただただうっとりして拝見させていただきました。お写真でしか見られないところです。
by JUNKO (2014-09-10 11:11) 

つむじかぜ

> JUNKO 様
ありがとうございます。
たまには、写真でしか知らない世界に飛び出していきたいものです...もちろん妻と^^;
by つむじかぜ (2014-09-12 01:39) 

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