『her/世界でひとつの彼女』 [上映中飲食禁止じゃ!]
最後に書いたラブレターは何年前だったろう...
監督/脚本:スパイク・ジョーンズ
CAST
ホアキン・フェニックス エイミー・アダムス ルーニー・マーラ
オリヴィア・ワイルド ポーシャ・ダブルデイ スカーレット・ヨハンセン(声のみ)
撮影:ホイテ・ヴァン・ホイテマ
音楽:アーケイド・ファイア
近未来のロサンゼルスで、セオドア(ホアキン・フェニックス)は相手に代わって思いのたけを手紙にしたためる代筆ライターをしていた。長きにわたり共に生活してきた妻キャサリン(ルーニー・マーラ)と別れ、悲嘆に暮れていた彼はある日、人工知能型OSサマンサ(スカーレット・ヨハンソン)と出会う。次第にセオドアは声だけで実態のない彼女の魅力のとりこになり……。(シネマ・トゥデイより)
一見ハートフルを装いつつ、実は背筋が寒くなる異色の恋愛映画〜奇才スパイク・ジョーンズの本領発揮だ
近未来の設定とはいえ、日進月歩のIT進化の現状を考えれば、せいぜい10年後以内の世界であろう。
携帯型のPCは、今のスマホほどの大きさとなり、Keyboad入力は必要なく、イヤホンをしながらPCとの「siri会話」によって、すべての機能を使いこなせる時代・・・全く違和感の無い、即現実可能なIT世界である。
代筆屋セオドア・・・顧客の要望に応じて手書きのラブレターを作製する企業に勤務するライターである。このIT全盛の時代に、アナログ的商品がもてはやされる世相を垣間見せる設定だ。そう、既にこの時代には、一般人は「文章を書く能力」を失い始めているのである
その来るべき時代に、革新的なOSが登場する。
人格を持ち、進化し続ける人工知能(AI)が開発・発売されたのだ。
永年連れ添った妻と別居・離婚調停中のセオドアは、やりきれない夜は独りゲームに熱中したり、チャットで「テレホンSEX」を興じるが、結局、むなしさが募るばかり。そんな矢先に、この新型OSを購入した彼は、PCとの粋な会話に楽しさを覚え始める。ハスキーな女性の声に設定されたOSは、自らを「サマンサ」と名乗ったのだった。
驚異的な学習能力を持つ彼女は、セオドアの仕事の貴重なパートナーに成長し、また余暇は大事な話し相手となっていく。いつしか、セオドアにとってサマンサは無くてはならない存在と化す。その不可思議な感情が、「恋愛」だと気づくのにたいした時間はかからなかった...
別人のようなホアキン・フェニックスの親爺っぷりには軽い衝撃を受けるのだが、未練たらしい情けない男を好演である。妻との離婚に踏ん切りがつかず、過去ばかりを振り返る孤独な男性が、徐々にOSを擬人化し、恋に嵌る一種の「狂気」を、ごく自然に違和感なく演じた様は見事だ。
そして、話題となった声だけの出演のスカーレット・ヨハンソン。
痒い所に手が届く素敵な女性です...男が放っておく訳が無い〜身体が存在すればの話しだが
人間の恋愛感情を瞬く間に学習したOSサマンサは、セオドアに嫉妬する「能力」まで身に付け、彼との痴話喧嘩まで起こす”女性らしさ”を見せるのである。そしていつしか二人は恋人同士になるのであった。
この過程は、脚本・演出の素晴しさと共に、声のみで存在感を示したスカーレットの力量に敬服である。
「二人が初めて結ばれた夜」のシーンは、屈指の濡れ場として映画史上に残るであろう
摩訶不思議なラブ・ロマンスを更に盛り上げる音楽と映像そして共演の女優陣
サマンサの自作曲というピアノ曲を始めとして、Karen・Oの「Moon Song」、Arcade fireの重層な旋律など珠玉の挿入曲が、狂おしく哀しいストーリーに彩りを添える。
主人公の後から廻り込み、女優を引き立たせるカット割りや、在りそうだが現在のモノとは若干違和感を覚えるような近未来都市の情景など、小生好みの演出がてんこ盛りなのが嬉しい
ホアキン&スカーレットの「Moon Song」
先日観た「サード・パーソン」のヒロイン役のオリヴィア・アイドルがまたも登場
「ドラゴン・タトゥーの女」と同一人物とは思えないルーニー・マーラ
ただいま絶好調エイミー・アダムス
お色気満載ポーシャ・ダブルデイ
まるで生身の人間同士の恋愛のような二人の関係...サマンサの聡明かつ初めての恋にうち震える少女のような純真さに、セオドアは身も心もトロトロだ OSのバージョンアップで、交信不通になった時の彼の狼狽えようは、まさにリアルな恋そのものなのである。
だが、サマンサが彼との「逢瀬」の間に、同時に8000人と会話し、600名の男性と恋愛中である事を知り、茫然自失となる。「本当に愛しているのは、あなただけ」という彼女の言葉がむなしく響く...
PCと人間との恋の終着駅は、果たして何処へ・・・
IT機器の進化により、人間同士の距離感は飛躍的に短縮された。どんな遠距離恋愛でも、すぐに相手の声も顔も確認できる時代だ。相手の気持ちを想い、眠れぬ夜を過ごすなんて愚の骨頂だ。想いの丈を、言葉を探りながら手紙にしたためる作業より、即メールで♡マークを送れば「繋がっている」感覚にたやすく包まれるのが可能だ。
この利便性が逆に人間の結びつきを弱めてはいないだろうか...
そんな疑念を誰もが持ちながらも、スピードアップした現代社会の渦の中で、多くの人はデジタル機器に「使われて」いく。手書きの代筆業が流行る近未来の設定は、現代人の求める「温もり」を象徴的に表している。劇中、OSのサマンサが、セオドアの過去の代筆した恋文を抜粋して出版社に送り、紙の「単行本」が発行される件などは、なんと強烈な皮肉なことか
知らぬ間に、生身の人間とのコミュニケーションがとれなくなり、ゲームの中のキャラクターやOSの声にしか、自分を曝け出せなくなったセオドアを笑う事は我々はできない。そんなタイプの人間が、廻りにどんどん生まれてきている。いや、自分自身も、その兆候が現れてきているのかもしれない。
奇才スパイク・ジョーンズは、IT進化により日増しに狭まる世界と、それに反比例して稀薄になる人間同士の「温もり」を、前代未聞の人間とOSの恋という形で提言した。
離婚の後遺症で、夫の残したOSに嵌り込んでしまったセオドアの学生時代の恋人であり親友エイミー(エイミー・アダムス)とセオドアが、 そっと肩を寄せ合い深夜の摩天楼を眺めるラスト・シーンが、現代社会の病める実態と本来の人間のあるべき姿を投射しているようだった。
ちなみに単身赴任3年目の我が夫婦は、週一のメールがあれば御の字です...
来週のお盆休暇に、銀婚式祝いを兼ね、欧州旅行にに行って参ります。
アナログ夫婦のリアルな復活は如何に
乞うご期待
こんにちは。
欧州旅行とは豪勢ですね~!
どんな旅になるのか、ブログを楽しみにしています☆
by non_0101 (2014-08-09 23:55)
旅行、楽しんできてください!!
ブロンド美女を堪能っすね^^;
by DEBDYLAN (2014-08-10 23:25)
楽しい旅でありますように!お元気でお出かけください。
by JUNKO (2014-08-17 22:00)
はじめまして。
私は「映画ログ」という観た映画の管理やレビューを書くサイトの運営をしています。
ブログを拝見したのですが、ぜひ映画ログでもレビューを書いていただけたら、
と思い、コメントさせていただきました。
トップページ
http://www.eiga-log.com/
こちらでメンバー間のやり取りの雰囲気がご覧になれます。
http://www.eiga-log.com/rc/
また、映画をラックに入れていくだけでグラフが作れます。
http://www.eiga-log.com/profile/eigalog/
映画が好きな人同士、映画の話題で盛り上がっています。
よろしければぜひ遊びにきてください。
お待ちしております。
by 映画ログ (2014-08-18 12:19)
> non_0101様
DEBDYLAN様
JUNKO様
無事、帰って参りました!
ボチボチ綴っていきまする^^;
by つむじかぜ (2014-08-21 00:05)