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「アップサイドダウン 重力の恋人」&「あの頃、君を追いかけた」 [上映中飲食禁止じゃ!]

対称的な恋愛ドラマを立て続けに... 

まずは 『アップサイドダウン 重力の恋人』

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監督・脚本:ファン・ソラナス
製作:ジェームズ・W・スコッチドポール
撮影:ピエール・ギル
 
キャスト:キルスティン・ダンスト
    ジム・スタージェス
     ティモシー・スポール
 
富裕層が暮らす星と貧困層が暮らす星が、上下で接近するように引き合っている世界。下の星で貧しい暮らしを送っていたアダム(ジム・スタージェス)は、とある山頂で上の星の住人であるエデン(キルステン・ダンスト)と出会って恋に落ちる。ロープを使って彼女を自分の世界に引き下ろそうとするアダムだったが、星の境を監視する警備隊に発見されてエデンは上の星へと落下してしまう。それから10年後、エデンは死んだと信じ込んでいたアダムだったが、彼女が生きていることを知って再会を誓う。(シネマトゥデイより) 
 
 
 
 
[かわいい]マッタリSFラブ・ファンタジー[かわいい]
 
[ぴかぴか(新しい)]絵が綺麗だなぁ[ぴかぴか(新しい)]
 
近未来的な設定に見えるが、中世の香りを残しつつ、まさしく「地球の階級社会」をそのまま、双子の惑星に置き換えた構成だ。
当然CG多用なのだが、精密というより手作り感を残した、よい意味で作り物プンプンの人間臭さが魅力の絵作りだ。
 
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双子の惑星が、手の届きそうな距離にあってお互いに引力で引かれ合っている。そして、この住人には惑星の行き来は禁じられており、仮に下の惑星の住人が上に行っても、住んでいた惑星の引力が本人に作用し、地上を歩くことさえままならないのである。
 
要するに同じ職場で働くとこうなるわけであって・・・
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同じ人間でありながら、ふたつの惑星の住民同士が暮らすのは物理的に不可能な上に、絶対的な貧富の格差・階層の壁が、この惑星間には存在するのである。
そして、上の星の女性と下の星の男性が恋に墜ちるという、それこそ絵に描いたようなファンタジー劇へと進展していくのである。
 
ヒロイン・エデン役はキルスティン・ダンスト
少女期の彼女の描写は、少々無理があるのだが、若き日の逢瀬の事故によりアダムの記憶を失ったセレブなビジネス・ウーマンを好演。実は、彼女は、私の美的感覚には珍しくマッチしないブロンド女優の一人である。されど、見慣れた彼女の表情が、極めて稀に「輝く美貌」を見せる瞬間があり(長い上映時間の中で、のべ30秒間位なのだが)、この僅かな場面を心待ちにさせてくれる珍しい女優さんでもあるのだ。
 
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手の届かない別世界の女性に恋い焦がれたアダムの決死のデート作戦は、スリリングな上に苦笑を伴うものだが、「一念岩をも通す」の格言通り、エデンの記憶を呼び起こし、二人の恋は大成就[かわいい]
しかし、互いの持つ引力の為、二人は同じ場所で暮らせないのである...果たして、この宇宙的難関を彼らは克服できるのであろうか[exclamation&question] 
 
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ニュートンやアインシュタイン並みに物理学的かつ生真面目にこの作品と向き合うと、一気に興味が薄れる虞れがある。アダムとエデンの純粋な気持ちに感情移入し、些細な辻褄違いは忘れて、この壮大かつ美しき映像に身を委ねるべき。ホットな恋人達のデート鑑賞にバッチリのメロメロ・SFファンタジーでございます[黒ハート]
 
物語は、このアダムとエデンの起こした奇跡により、双子惑星に新しい人間社会が生まれる事を示唆している・・・身分も貧富の差も無い平等な愛の世界を・・・まるで「創世記」にように。
 
 
 
 
 
◎もう一本は台湾映画の大ヒット作〜『あの頃、君を追いかけた』
 
これは大当たり[exclamation×2] オッチャン世代には、思わず涙腺ヒクヒク[もうやだ~(悲しい顔)]の青春恋愛劇の傑作[ぴかぴか(新しい)]
 
 
1994年、コートン(クー・チェンドン)は、台湾の地方都市の彰化で中高一貫の高校に通っていた。彼は同じクラスの親友ボーチ(イエン・ションユー)、アハ(スティーブン・ハオ)、グオション(ジュアン・ハオチュエン)、マタカキ(ツァイ・チャンシエン)らとつるんでふざけてばかり。五人は、クラスのマドンナ・チアイー(ミシェル・チェン)に夢中で……。(シネマトゥデイより 
 
 
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監督・脚本・原作
ギデンズ・コー
 
出演
クー・チェンドン ミシェル・チェン 
 
 
2011年の台湾映画であり、反目する中国本土の香港でも大ヒットした作品だ。
当時、東京国際映画祭で上映されたが、2年の歳月を経て、国内正式上映である。
 
内容は、極めて典型的な青春恋愛ドラマのパターンであるが、無性に胸を掻き乱されるような興奮と愛しさが沸き上がってくるのは何故?
主役のふたりが、仮に、日本の知る処の有名俳優であったり、ハリウッド製作のナイスガイとキューティ・ブロンドの組み合わせだとしたら、こんな感動は味わえなかっただろう。
多分それは、我々にとっては未知の台湾俳優だからこそ、観客はごく自然と主人公に自分の若かりし頃を投影できるからに他ならない。
 
魅力的な二人だ。
 クー・チェンドンとミシェル・チェン
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後から調べてビックリ[がく~(落胆した顔)] ヒロイン・チアイー役の彼女は実は御歳30歳[どんっ(衝撃)]
ピュア過ぎる女子高生の演技は、反則技を超越して奇跡だ[黒ハート]
 
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中高生時代を思い出す・・・嗚呼、居たね、必ずどのクラスにもひとりは見つけられる、ちょっぴり可愛い優等生だ。しかも、絶世の美人ではなく、「チョッと可愛い」であり、秀才タイプではなく努力型の真面目ちゃんなのがミソだ。
ゆえに、学年中のマドンナというより、クラスに何人かのマニアックな男子生徒にコアな人気を誇る。そして、そんな男子生徒のタイプは、不良か落ちこぼれに見られがちなピュアな野生児が多い。(私の中学時代の、喧嘩とシンナーをこよなく愛した親友は、ガリ勉優等生への片思いに苦しんでいた。)
その熱血高校生コートン役にクー・チェンドン。幼稚がそのまま学生服をきたような野生児は、高嶺の花の優等生に想いを寄せ、彼女に振り返ってもらいたい一心で、かつてした事の無い「勉強という努力」に立ち向かう。
その彼の真摯な姿を応援するチアイー。いつしか、二人の間に甘酸っぱい思いが取り巻いて行く。
 
この過程が、コートンの個性豊かな悪友達を絡めて、実に可笑しくまた懐かしさを呼び起こす仕上がりだ。
  
 青春って「友情と恋」があるから光輝く 
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別々の大学に進むも、ふたりの「友達以上恋人未満」の微妙な関係は続く。
今時では珍しいこの辺りのプラトニックな恋愛の姿が、オジサン世代には愛おしくて仕方ないのである。
 
 そしてチアイーがどんどん綺麗になっていくんだな[黒ハート]
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ゆっくりと二人は大人に向かって成長するのだが、常に先を見据えるチアイーと無邪気な幼稚さを持ち続けるコートンとの距離は縮まらない。結ばれそうで結ばれないふたり。 
 
もしあの時、「愛している」と言えたら...もっと大人になっていたら...
 
ラストシーンの10年後の二人の姿に、私は、暖かい拍手を送りながら、30年前の自分に重ね合わせ、情けなさと懐かしさがごった煮になった気分に陥るのだった。
 
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自叙伝的小説の映画化に自らメガホンを取ったギデンズ・コー。1994年から2005年の10年間の彼の想いを綴った映像は、初監督らしい瑞々しさとお下劣さ、そして新人らしからぬ登場人物の緻密な心情描写が際立った青春映画の傑作となった。 
私の世代より15年程若い年代だが、台湾の田舎町の時代背景は、日本の70年代後半の香りを漂わせ、台湾の青年達が、「スラムダンク」を読み耽り、日本のAVビデオに猿状態と化す姿に、そのまま「自分の時代」に投影できる。
 
遥か昔の初恋の女性と悪友達を想い浮かべながら、なんとも優しく晴やかな気分に浸れっ放しだった[ぴかぴか(新しい)] 
 
この場面は大好き[かわいい] 
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ゆえに、この作品は、前述の「〜重力の恋人」と違い、カップル鑑賞はオススメしない。特に男性の立場からは。
何故なら、隣のシートに座る彼女の初恋の男性の存在が否応なしに脳裏にちらつき、自分の知らないピュアな頃の彼女の彼氏に向ける笑顔を想像し、嫉妬でいたたまれなくなるからだ。
そう、オトコは女以上にヤキモチ焼きであり、更にそれを相手に見透かされる事を極端に恐れる動物なのである。 
 
そして、男はいつまでたっても『幼稚な動物』であるのを再認識するのである。
我家では、女房が先に行き過ぎて、今では私は彼女の影さえ踏めない。それでも何とか保っているのは、彼女の深き慈悲心のおかげか、諦めに近い悟りの境地の為か[あせあせ(飛び散る汗)]
 
 
 
 

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Labyrinth

“私の美的感覚には珍しくマッチしない” というのはわかる気がします・・・(^m^)

by Labyrinth (2013-09-24 01:11) 

つむじかぜ

>Labyrinth様
ご同感戴けて喜んでいいのやら・・・(-。−;)
タイプではないけれど、気になる女優さんと、言い換えま〜す^^
by つむじかぜ (2013-09-25 01:47) 

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