『レ・ミゼラブル』 [上映中飲食禁止じゃ!]
今年最後になるであろう映画は、ほぼ1年ぶりに古女房との「夫婦50割」でのクリスマス・イブ鑑賞であった
監督:トム・フーパー
原作:ヴィクトル・ユーゴー
脚本:ウィリアム・ニコルソン アラン・ブーブリル
作詞・脚本:ハーバート・クレッツマー
作曲・脚本:クロード=ミッシェル・シェーンベルク
キャスト
ヒュー・ジャクマン ラッセル・クロウ アン・ハサウェイ
アマンダ・セイフライド エディ・レッドメイン サシャ・バロン・コーエン
ヘレナ・ボナム=カーター サマンサ・バークス アーロン・トヴェイト
私の世代なら『あゝ 無情』という題名の原作の方が親しみがあるのかもしれないが、少年時代から国文学一筋の小生は、この不朽の名作を一度も手に取った事の無い不届き者である。
しかし、今春に公開された予告編が瞼に焼き付き、「この映画は絶対に観るべし!」という強迫観念にも似た思い込みに、ずっと取り憑かれていたのである。
そして、街中にイルミネーションが煌めく年の瀬。東京里帰りの最中、妻と共に感動を共有して参りました
原作未読、ミュージカル未見、世界史音痴の予備知識無し親爺だが、「出演俳優だけは、ほとんど知ってるもんねぇ〜」のほぼ素の状態で、この作品に臨む。フランスが舞台の作品を英語で制作して如何に?という僅かな不安も簡単に吹き飛んだ、大英帝国の渾身の一撃の傑作だ。
ジャベール警部役ラッセル・クロウの歌を耳にしただけで衝撃、感動、鳥肌 主人公・囚人ジャン・バルジャン役は、あのX-メンのウルヴァリンことヒュー・ジャックマン。序盤から火花散る演技の応酬だ
ミュージカル映画と云えば、古くは「サウンド・オブ・ミュージック」「雨に歌えば」から近年なら「シカゴ」、今年なら「ロック・オブ・エイジス」など名作・力作に推挙に暇が無いのだが、今作は別格の構成である。
往年のヒット作の多くは唄と共に華麗なダンスが必須であり、その非日常性が観客を夢の世界に誘う魅力であるわけだが、この作品に踊りは無いに等しい。骨太の人間ドラマそのものの構成でありながら、台詞だけが『唄』なのである。
ミュージカルの生の迫力を、英語圏の現代俳優を媒介として、スクリーンに焼き付ける為、歌の吹替え・後入れ一切無しの一発録りという離れ業を成した驚きの作品なのである。
研ぎすまされた俳優陣の演技に、幸福感さえ覚えてしまう
屈強のウルヴァリン氏は、運命に翻弄されながらもパン泥棒から市長にまで上り詰める「意志」の男を演じる。
これまた漢・グラディエーターが、使命に忠実かつ厳格な警部を、もう一つの「意志」の力で執拗なほど魅せる。
そしてスーパーマンの相棒・キャットウーマンことアン・ハサウェイが薄幸の女工から娼婦に墜ちいく姿は、はかなく美しく、穢れた女神のように際立っていた。
この主要3俳優が、お互いに過去作には見せた事の無い魅力を惜しげも無く披露し合っている。
19世紀初頭のフランスの混沌とした社会情勢を垣間見せる街の描写の中に、3人の絡み合う運命を浮き上がらせた見事な演出。更に脇役陣が、物語に厚みをもたらす。
このイギリスを代表する二人の迷優の演技は、言わずもがな。
バルジャンの後半生を決定づけたミリエル司教〜コルム・ウィルキンソンは、初めてミュージカル化された時のバルジャン役という洒落た配役。「銀の燭台」のシーンは、ありきたりだが「ジーン」ときてしまう。
そして、愛し合う若きカップル。
アマンダ・セイフライド...いいです...ブロンドです...本編は未見の「Dear John」「タイム」の予告編で気にはなっていた女優なのだが、今作で虜になり申した 隣の女房の存在を忘れさせて戴きました
しかも、美しい声で歌います
158分の長尺であるが、全く弛緩のない内容だ。「原作完全映画化」と宣伝されているが、実は原作通りであれば「風と共に去りぬ」以上になるかもしれない。正確には、原作のエキスを抽出したミュージカル版の完全映画化であり、私のように原作を知らぬ者には、かえって理解しやすい構成なのかもしれない。
奇をてらった手持ちカメラの多用で、戦闘シーンなどが逆に散漫になった部分を除けば、まさに高純度のミュージカル映画である。
プロフェッショナル達の生の演技と美しい旋律に乗せた歌が、一発録りにより、その場の空気感まで取り込み、観る者の心を離さない。私は、バルジャンがコゼットの幸福の為、奔走する姿に手に汗握り、誇り高きジャベール警部の最期の選択には、脳天を叩かれた衝撃に陥った。 そして、運命のいたずらと無常を描きつつも、 愛或る人生を讃えるエピローグに胸熱くなるのであった。
1年の締めくくりに、こんな素晴しい作品に出会えた事、隣に愛する妻がいてくれた事に感謝したい。
原作も読んでみたくなったが・・・う〜ん長いなぁ、どうしようかなぁ〜
そして、イブの最終列車で独り大阪に戻る私。
嗚呼、なんて人生って不思議で、こんなに切なくて、こんなに楽しいのだろう
2012-12-29 00:17
nice!(17)
コメント(12)
トラックバック(0)
年末年始、ごゆるりと♪
by ぷーちゃん (2012-12-29 14:30)
うーーーむ、アマンダさんのコスチュームがスゴイ....
どういうシチュエーションで着る格好としてデザインしたのだろうか....
・・・んで、それを本当に着てしまうアマンダちゃんがスゴイ....
印象が全部この写真に持って行かれてしまいました....(^^ゞ
by 怪しい探麺隊 (2012-12-29 19:40)
うわっ、これは虜にならざるを得ないですね ^m^
イヴの最終列車で大阪ですかぁ
働く男の悲哀を感じますね ^^;
by haku (2012-12-29 23:00)
年末は帰れそうですか?
by DEBDYLAN (2012-12-29 23:03)
^q^ 愛する妻♪ ごちそうさま~ぁ ^q^
で、その大きな存在をも忘れさせてしまったアマンダさんですかぁw
彼女の『クロエ』はご覧になりましたか?
作品の評価はともかく、あの時の彼女はゾクゾクものでしたわ(´m`)
まだでしたら是非♪(^_-)b
・・・って、そんなことより自分が映画館に行かなくちゃ!? ですわ~f^_^;
年内に見られるかしら~?(汗)
by Labyrinth (2012-12-30 01:06)
>ぷーちゃん様
無論、まったりするつもりでございます^^;
by つむじかぜ (2012-12-31 01:06)
>怪しい探麺隊様
今年最後に、またステキなブロンド嬢に会えて幸せです^^
by つむじかぜ (2012-12-31 01:08)
>haku様
最近、その哀愁を楽しんでおりまする( ̄▽ ̄)
by つむじかぜ (2012-12-31 01:10)
>DEBDYLAN様
何とか帰り着きましたぁ〜(⌒-⌒)
by つむじかぜ (2012-12-31 01:11)
>Labyrinth様
「クロエ」...観なければぁ〜冬休みの宿題だぁ〜ありがとうございます(^○^)
by つむじかぜ (2012-12-31 01:13)
こんばんは。
今年最後にこの素晴らしい作品をご夫婦でなんて最高ですね♪
良いお年をお迎え下さいね☆
by non_0101 (2012-12-31 23:39)
先ほど妻と一緒にレイトショーで鑑賞してきました。知らず知らず涙が頬を何度も伝っていました。見てよかったです。
by yuzman1953 (2013-01-24 01:09)