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『アルゴ』 [上映中飲食禁止じゃ!]

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監督:ベン・アフレック
脚本:クリス・テリオ
撮影:ロドリゴ・プリエト
美術:シャロン・シーモア
 
キャスト:ベン・アフレック 
アラン・アーキン ジョン・グッドマン 
ブライアン・クランストン スクート・マクネイリー
クレア・デュヴァル クリストファー・デナム
テイト・ドノヴァン タイタス・ウェリバー
マイケル・バークス カイル・チャンドラー
 
1979年、テヘラン。イラン革命の激化に伴いアメリカ大使館が過激派に占拠されるが6人の大使館員が混乱に乗じて脱出し、カナダ大使の自宅に身を隠した。そんな彼らを救い出すために、CIAの人質奪還のプロ、トニー・メンデスは“ある作戦“を提案する...
(ぴあ映画生活より) 


以前観た予告編では、さほど食指が動かなかったのだが、結構評判が良さげなので、行って参りました。
 
噂通りの、いや噂以上の良作[exclamation×2]
実話を元にした映画の傑作には、推挙に暇がないのだが、今作の緊迫度の高さは過去の同タイプの作品には無いものである。
 
史実に忠実すぎると、面白みの欠けたドキュメンタリー映画になってしまう。過度の脚色を施すと、作り物の匂いプンプンのエセ・ノンフィクションになる。その点においてこの作品は、演出の塗し具合が絶妙の、手に汗握るサスペンス・ノンフィクションに出来上がっている。
 
前監督作ザ・タウンでも、美味しい所は独り占めの主役を務めたベン・アフレックだが、今回も同様。しかし、役柄は、スラム街のギャングから敏腕CIAエージェントへ変身である。髪型ひとつで全く別人[がく~(落胆した顔)]
 
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1979年、イラクでのアメリカ大使館人質事件は当然、記憶に残っているが、その契機となったイラン革命が当時の高校生の小生には衝撃的であった。『革命』といえばフランス革命など中世の専売特許と思っていたので、現代社会において王権が倒され「ホメイニ師」という宗教家が国権を握る事態など、平和ボケ・ニッポンの青二才の狭量な常識を超えていたのだ。 とにかくイスラム圏に対し「未知の恐ろしさ」を覚えたのであった。
 
その少年時代の不安感を再燃させるようなオープニングが見事。大使館を取り込む市民デモが徐々にエスカレートし、館内になだれ込む様子は、最近、中国国内での反日デモから日本企業が襲撃・強奪された事件を思い起こす。
集団心理が過激なベクトルに向いた時の凶暴なまでのパワーを精緻に再現し、鼠の大群に追いつめられた子猫の如く僅かな期待が絶望に変わる大使館員達の焦燥ぶりをシビアなカメラ目線で捉えた。
 
脱出しカナダ大使私邸に匿われた6人の大使館員は、無論、実在の人物をモデルとしている。
この6人と大使夫妻の描き方が秀逸だ。敢えて彼らの深層心理や人間関係を深く掘り下げない。彼らの身上書をCIA局員が語るのみで、観客は想像力を掻き立てねばならない構成だ。
人質奪還のプロ、CIAエージェントのトニー・メンデス(ベン・アフレック)も、妻子との別居を匂わせながらも、ほとんど謎の人物。
そして、CIAと国務省の攻防の中、驚愕の奪還作戦が決定するのだが、超先進国アメリ〜カでこんな稚拙な手段を断行した事実こそまさに驚愕の事実[exclamation&question]
 
単騎テヘランで奮闘するトニー、無謀な作戦に狼狽える人質達、日増しに厳しい立場となるカナダ大使夫妻、すべてを知ったイラン使用人。映画化にあたり、実在の人物の名誉を傷付かせない配慮は当然で、現実はもっと想像を絶する人間ドラマが展開したのだろうが、あえて”脱出行為”に焦点を当て、ストーリーの能密度より緊迫度を高めている。
 
バザールに向かう車でデモ中の市民に囲まれ、更に地元の商店主に絡まれるシーンなどは、まさに恐怖感を共有できた迫力。そして、脱出直前の空港での一刻一秒を争う展開に、観客はハッピーエンドが解っていても手に汗を握るのだ。
 
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史実を最良の脚本と演出で極上のサスペンスに押し込んだ、民主主義陣営としてまさに『アメリカ万歳』の傑作である。これがイラン国内で上映されるような時代が果たして来るのだろうか...などと別の考えにも及んでしまったのだが...
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この使用人の女性を主役にして、イラン人の視点でこの事件を描いたら、全く別の人間ドラマの傑作になるかも。
 
◎とにかく地味目だが心惹かれたブロンド女優に拍手[わーい(嬉しい顔)]
 
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人質キャシー・スタフォード役〜ケリー・ビシ 
 
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トニーの妻クリスティナ役〜テイラー・シリング
 
 
 
 
何気に音楽も良いです[exclamation] オリジナル曲が凝っている上に
エアロスミスやレッド・ツェッペリンが流れて鳥肌[どんっ(衝撃)]
 
 
 
名曲「Dream On」by Aerosmith
 
 

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DEBDYLAN

劇中で好きな音楽が流れてると、
思わずソッチを聴きいってしまいます^^;

by DEBDYLAN (2012-11-18 08:19) 

KEI

実は今月の劇場鑑賞はこれにしょうとちょうど思っていたところなんです…^ ^
by KEI (2012-11-18 20:14) 

つむじかぜ

>DEBDYLAN様
特に70年代の好きな音楽などでしたら、鳥肌がたったりします^^;

>KEI様
巧いなぁ〜と惚れ惚れする出来です。オススメ!
by つむじかぜ (2012-11-20 01:20) 

Labyrinth

つむじかぜ さん 遅れて申し訳ございませぬ。ポリポリ (・・*)ゞ
・・・ってことは置いといて。
本当に! こちらも否応なく緊張を強いられた!? 見事な演出だと思いました。
そして、面白かったです!(^^;
by Labyrinth (2012-11-21 00:59) 

non_0101

こんにちは。
面白い作品でしたね~!
本当に結果が分かっていても
最後までドキドキしてしまいました☆
by non_0101 (2012-11-24 11:25) 

つむじかぜ

>Labyrinth様 non_0101様
評判通りの見事な演出でしたね。
最後までドキドキでした!

by つむじかぜ (2012-11-27 02:08) 

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