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『おおかみこどもの雨と雪』 [上映中飲食禁止じゃ!]

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人間の姿をしていながらもおおかみおとこという正体を持つ男(声:大沢たかお)と出会った大学生の花(声:宮崎あおい)。二人は惹かれあい、やがて子どもを授かる。姉の雪と弟の雨は、人間とおおかみのふたつの顔を持つ、おおかみこどもだった。都会の片隅で正体を隠しながらつつましやかに暮らす4人は、幸せそのものだった。しかしある日、父が死んでしまい、幸せな日々に終止符が打たれた。おおかみこどものきょうだいを抱えた花は、豊かな自然の残る田舎に移住することを決意する。 

監督:細田守
脚本:細田守 奥寺佐渡子
原作:細田守
製作総指揮:城朋子
キャラクターデザイン:貞本義行
作画監督:山下高明
音楽:高木正勝
主題歌:アン・サリー
 
声優:宮崎あおい 大沢たかお 染谷将太 麻生久美子 谷村美月 大野百花 加部亜門 林原めぐみ 中村正
   大木民男 片岡富枝 平岡拓真 菅原文太 
 
non様のオススメにつき、中年男独りは少々気が引けましたが、思いきっての鑑賞です[カチンコ]
  
『日本のアニメって、本当に素晴しい[exclamation×2][exclamation×2][exclamation×2]・・・と、改めて実感させられた作品でした[ひらめき]
 
細田守監督の逆襲というべきか。
前作『サマーウォーズ』は、ネットゲーム上のヴァーチャル世界と北信濃の田舎町で繰り広げられる人々の絆を描き、若者の間で大ヒットした。
今作は、スマホもPCも存在しない。日本の原風景とも云うべき農村地で、人間と狼の間に生まれた子供達の成長を描いた、昭和の時代に先祖帰りしたようなファンタジーである。
 
モバイル機器の普及により、「いつも誰かと繋がっている」と錯覚した安心感が世界中を覆う現代において、「本当の人間の絆と温もり」を、敢えて前作に感動したIT世代へ問うた作品に思えて仕方がないのである。
 
作画の雰囲気は、デビュー作「時をかける少女」の延長線上で、シンプルな線でのキャラクター描写と鮮やかかつ精密な背景で成り立つ「細田イズム」。
細田自身初めて原作・脚本も手がける。
狼男に恋した女子大生が二人の子供に恵まれるが、あっけなく彼が死んでしまう。彼女は生活の自立とオオカミ子供達を育てる環境を求め、北陸の農村地で自給自足の生活を始める。そして、子供達が自我が芽生える年齢まで成長して・・・ 
 
そんな簡単に狼男に恋して子供まで作れるかぁ〜とか、子供の戸籍はどうしたんじゃ〜とか、細かい事を言ってはいけない。これは、日本の新しいおとぎ話なのだから。
 
二人のオオカミ子供達が可愛い[わーい(嬉しい顔)] やんちゃで開放的な姉・雪。恐がりで内向的な弟・雨。
 
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そして成長していく二人の変化。母からの「オンナ」に目覚め始める雪。雨は父からの「野生」が抑えきれなくなっていく。
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この子供の成長の描写が、子供を持つ親なら思わず頷く場面の連続。そして身勝手亭主には判らない母の子を想う気持ちが美しく描かれていく。こんなダメ親爺の小生でも、涙腺ボロボロでしたが[もうやだ~(悲しい顔)]、決して悲しいだけの涙ではなく、非常に爽やかな気分の中での笑い泣きみたいな感じです。
 
母親役・花の声の吹込みは「宮崎あおい
「名俳優は名声優ならず」が、私の持論なのだが、彼女は別格だ、何者にでも化けられる天才だ。地味で健気な女子大生が、逞しき母親になり、溢れんばかりの母性を発揮する姿を見事に表現している。
その他声優陣も大半が俳優主体の布陣だが、大きい破綻は感じられない。子役の吹替えも巧いです。菅原文太も頑張っているし、綾波レイ[揺れるハート]役の林原めぐみの声も久々に聴けて、私は満足[わーい(嬉しい顔)]
 
主題は「子供の巣立ち」であり「母と子の絆」と受け取れる。しかし、「亡き人への想い」や「農村で暮らす人々の繋がり」も色濃く描かれる上に、雪ちゃんの学園恋愛ドラマや絶滅種ニホンオオカミが伝える大自然への畏怖まで織り込んだ絶妙な構成になっている
 
ピクサー・アニメの秀逸さは今更言うに及ばずではあるが、人間の感情の機微を顔の細かい表情ではなく、ストーリーに静かに落とし込んで行く手法は、日本アニメの独壇場である。
 
その意味でも本作は、日本アニメの伝統と進取の瑞々しい感性を湛えた傑作である[パンチ] 
長編オリジナル2作目にしてこの完成度の「細田ワールド」に、今後ますます期待が膨らむ。 
 
上映中盤で席を立つカップルを見かけたが、この映画を子供じみて、つまらないと感じる若者がいるとすれば、我々世代はもっと「本当の人間の絆」を訴えねばならない。
今夏の邦画は「海猿」がバカ売れで、若者達も大感動の涙らしいのだが、今作のように「ほっくり」と「ジーン」と胸が焦がれる映画の良さを多くの人にも味わって欲しい。 
 
メールやツィッターがなくても、
心の中にその人の姿があれば、いつもでも「絆」は失われるものではない。 
 
[ぴかぴか(新しい)]爽やかな涙なしでは観られない珠玉の作品です[ぴかぴか(新しい)]
 

 
 光輝く雪原で遊ぶ母子の姿が眩しい
 
◎おまけ アン・サリーの歌う主題歌「おかあさんの唄」 [ぴかぴか(新しい)]名曲誕生です[ぴかぴか(新しい)] また、涙が...[たらーっ(汗)][もうやだ~(悲しい顔)][たらーっ(汗)]
 
 
 

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non_0101

いい作品ですよね~
あの子供たちの無邪気さと可愛さ、お母さんの愛の大きさ、
そして子供が大人になることの切なさを心に伝えてくれる作品でした。
宮崎あおいちゃんは上手かったですね~
この夏はいい映画がいろいろあったのですけど、やっぱりこれが一番好きです☆
by non_0101 (2012-08-31 23:37) 

haku

そういうお話だったのですね!
俄然観たくなりました♪
by haku (2012-09-02 15:14) 

つむじかぜ

>non_0101様
素晴らしい作品を教えて戴き、感謝です≦(._.)≧
残暑の厳しさも忘れるほどの、爽快かつ感動の嵐が私に吹き荒れました!

>haku様
オジサン独りでは、少々抵抗ありましたが、これは思い切って観て大正解!

by つむじかぜ (2012-09-03 02:22) 

KEI

前作のサマーウォーズを観て感心したので是非観てみたいです。
宮崎アニメと比較するとどうでしょうかね?
by KEI (2012-09-03 02:28) 

つむじかぜ

>KEI様
戦争体験のある宮崎氏には、文明社会に対する強い怒りが作品の底辺にありますね。悪人であっても決して個人を憎まないスタイルですが、太い描線と濃い色彩に、氏の「熱さ」を感じます。
ゆとり世代の細田氏には、「怒り」はありません。淡い描線と爽やかな色彩には「暖かみ」があります。
油画と水彩画の違いを見ているようですが、どちらも天与の画才に間違いないですね。

by つむじかぜ (2012-09-04 01:34) 

リキマルコ

ご訪問ありがとうございます♪
大阪単身ですか?頑張ってくださいね!!
by リキマルコ (2012-09-05 08:09) 

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