『アニマル・キングダム』 [上映中飲食禁止じゃ!]
監督・脚本:デヴィッド・ミショッド
製作:リズ・ワッツ
音楽:アンソニー・パートス
美術:ジョー・フォード
キャスト:ジェームズ・フレッシュヴィル
ジャッキー・ウイヴァー ベン・メンデルソーン
ジョエル・エドガートン ガイ・ピアース
サリヴァン・ステイブルトン ルーク・フォード
17歳の少年ジョシュアは母親の死をきっかけに、メルボルン在住の祖母ジャニーンに引き取られる。ところが、その家の住人たちは凶悪犯罪で生計を立てるならず者揃い。その動向を探る警察は、ジョシュアの証言によって一家を一斉摘発しようと試みるのだった……(goo映画より)
また重〜い映画を観てしまった。
クライム・アクション映画というイメージだったので、ワクワク・ドキドキを期待していたら、ガーンとやられてしまいました。
なにせオーストラリア・メルボルンで実際に起きた事件を題材にしているのである。そこに練られた脚本と演出が加えられ、他に類を見ないヒューマン・ドラマに仕上がっているのだから、降参である
薬物中毒死した母親の隣で、ソファーに坐りながら淡々とTVを見続ける青年ジェイ。
このさめざめとした背筋の凍るようなオープニングが、彼がこれから歩むであろう壮絶な人生を予感させる。
出演俳優は、すべてオーストラリア出身の芸達者達。
ハリウッド映画でも見かけたような顔が多いのだが、明確に覚えているのはガイ・ピアースだけ。
その中で、本作映画デビューの主人公・ジェイ役のジェームズ・フレッシュヴィル。新人らしからぬフレッシュ感皆無の渋い演技で、取り巻く大人達により人生を翻弄される青年を好演した。
祖母役のジャッキー・ウイヴァーの存在感が凄い野村沙知代ばりの奇相が、ゴッド・マザーの如く廻りに有無を云わせぬ迫力を醸し出す。その長男ポープを演じたベン・メンデルソーンは、イカレタジャンキー伯父さんになり切っていた。気弱な癖に、身を守るためには手段を選ばない残忍さ。完全に「目がイッて」いた。
とんがった悪党続出の中、唯一、柔らかく深い想いを滲ませた刑事役にガイ・ピアース。(『メメント』の怪演とは好対称)その彼が、張り詰めたこの作品の中での「良心」的存在になるのだが...
人生の破綻者であった母を亡くし、引き取られた祖母の家族はギャング一家。まさに悪の系譜である。
ジェームス君は、その唯一の拠り所である身内に囲まれて、徐々に悪の呪縛に抗う事も無くかかっていく無力な青年を好演。しかし、ようやく見つけた恋の蕾を無惨に踏みにじられ、親身になって彼の身を案ずる刑事と出会い、一家との離別を考え始める。だが、最期に彼が選んだ道は、血族の絆だったのだ。
「あ〜、やはり実話だとこんな感じで、悪から抜け出せないのかな」と、暗い気分でスクリーンを見つめていると衝撃のラスト
彼が初めて自分の強い意思を見せた瞬間なのだった。
そしてなによりも一番の衝撃は、思いを遂げたジェイ青年を迎える祖母・ジャッキー・ウィーヴァーの表情
これだけでオスカーノミネートも納得だ
メルボルンで起きた警官殺害事件とその裁判を題材に、迷える思春期の青年と都会の裏社会の関わりをリアルに描いた秀作。タランティーノ監督絶賛も当然であろう。
しかし、最近「ドーン」と重くなる作品を観過ぎている為か、少々お疲れの「つむじかぜ」でした
こんばんは。
これ、予告編観て、重そうなんで躊躇しています....
by 怪しい探麺隊 (2012-02-09 23:39)
こんばんは。
見応えのある作品ですけど、この重さは来ますよね。
静かな分、迫力がありました。
ジャッキー・ウイヴァーの存在感は凄かったですね~
ラストのジェイの表情が心に残りました☆
by non_0101 (2012-02-10 00:19)
>怪しい探麺隊 様
確かに、少々へヴィーです(-。−;)
体調のよろしい時での鑑賞をお勧めします^^
>non_0101 様
ラストの無言のふたりの演技は深かったですね☆
by つむじかぜ (2012-02-12 23:20)