Cocco〜ザ・ベスト盤 [〜私の歌姫〜]
月日の経つのは早いもので、デビュー15周年になる。
昔程は聴き込まなくなったとはいえ、やはり彼女の出す新譜は必ず購入してしまう。
自分の肉を裂き、一滴残らず血を絞り出したような魂の叫び(ヴォーカル)は、70年代を彷彿させる骨太ロック・サウンドと交錯・調和しながら、妖しくも美しき日本語の詩として、私の五感を麻痺させたのだった。
2000年の大阪城ホールでのライブが、まるで昨日の事のように思い出される。(当時アラ40の私は、仕事帰りのスーツ姿で、圧倒的女性ファンの中で、独り気を吐いていた)
それからの休養宣言、アッと驚いた「くるり」とのコラボによる復活、そして今や「ニッポンの歌姫」としての堂々たる活躍を、昔恋い焦がれた小娘を優しく見守る中年親爺の如く、彼女の歌声を聴き続けているのである。
今作は、その名の通りこの15年間の集大成のベスト盤であり、ほぼ全曲を知っているのは当然といえば当然。(未発表の2曲がまた素晴しい)
2枚組の内、Disk1が休養前の2001年までの音源、Disk2が復帰後の所謂New Coccoである。
リマスターされたDisk1は、各楽器の分離が明確になり、ヴォーカルも鮮明。但し、個人的にはサ行の発音が、少々キツくなった分、当時の想い入れも含めてオリジナルに軍配を挙げるがところであるが、続けざまにDisk2を聴くと彼女の進化・変体に改めて感銘を受けるのである。
メディアで取り上げるような休養前後の彼女の心情変化には、私は全く興味は無く、純粋に音楽を聴き比べるだけなのだが、声質と曲作りのスケールアップは驚嘆に値する。
近づく者はすべて切り刻む小さなナイフが、一時は錆び付きつつも、いつしか決して振り下ろされることの無い大きな鉈(ナタ)に変貌する様を・・・
そういう観点からも、昨年発表されたオリジナル・アルバム(エメラルド(初回限定盤)(DVD付))は、復帰後の迷いをすべて断ち切ったようなCocco最高傑作だと私は確信している。
歌姫とは、歌い続ける事が宿命である。
この15年を振り返りながら、この先、小生がアルツ徘徊老人となって天に召される時も、彼女の歌声が隣に在ってくれればいいと思うのだった。
ちなみに、私はCoccoの歌は愛すが、彼女のおしゃべりは苦手である。
あのたどたどしい、人をおちょくったような口調の女には、虫酸が走るし、絶対に近寄りたくないし、私の理想の女性像からは程遠いのである。しかし、「嫌いの嫌いは好き」が人の本心だとすれば、万一、身近な処に彼女が存在したなら、狂わんばかりの恋に落ちるのかもしれない。
ベスト盤に収められていない私のベスト曲を・・・
「首」 (デビュー直後)
十三夜(最新作「エメラルド」より)
Cocco、確かに
初期の2作は、インパクト最大級の
すんばらすぃ作品ですね♪
by ぷーちゃん (2011-09-14 10:13)
>ぷーちゃん様
彼女の「歌の強さ」と根岸孝旨のサウンド作りが、見事に融和した絶品です。
ぶち切れたパティ・スミスみたいな詩情性と破壊力に、ぶっ飛びました!!!
by つむじかぜ (2011-09-15 01:43)