『ペーパーバード 幸せは翼にのって』 [上映中飲食禁止じゃ!]
監督・脚本・音楽:エミリオ・アラゴン
キャスト:イマノール・アリアス ルイス・オマール ロジェール・プリンセプ カルメン・マチ
喜劇役者のホルヘ(イマノール・アリアス)は、スペイン内戦中に爆撃で妻と息子を失い、その後こつ然と姿を消す。内戦が終結した1年後、マドリードの劇団にふらりと戻って来たホルヘを、相棒のエンリケ(ルイス・オマール)は温かく迎える。ある日、彼らは戦時中両親を失ったミゲル(ロジェール・プリンセプ)という少年と出会い.....
スペイン語の作品に何故か、そそられる。
7月に観て震撼した「BIUTIFUL」(メキシコ)、昨年度の個人的NO.1作品「瞳の奥の秘密」(アルゼンチン)とも製作国は違えど、言語はスペイン語である。
ラテン語を下敷きにアラビア語の影響を受けた音韻に、中世の栄華から近年の没落への道を辿ったスペイン王国の哀愁を感じるのは私だけか?
本当の所は、シャキーラやペネロペ・クルスの巻き舌の発音に、「ゾクッ」としたのが一番の原因なのだが・・要するにラテン系美女もお好みな訳でして^^;
今作品は、本場スペイン王国の内戦集結からフランコ独裁時代に突入する1940年前後を描いている。
アラゴン氏の初監督作ながら、笑いと涙を散りばめた素敵な作品である。
戦時下の哀しいコメディの名作ライフ・イズ・ビューティフル [DVD]と、何となく重複する感覚を覚えたが、凝り過ぎた演出や複雑な展開もなく、新人監督らしいストレートな作品作りに好感が持てた。
個性溢れる俳優陣が、この作品の骨格を成す。
主演ホルヘ役のイマノール・アリアスが、深く哀愁に満ちた演技を魅せつける。妻子を失った絶望の淵から独裁政治への反骨精神をバネにして喜劇の道に復帰する。徐々に喜劇役者としての本能に目覚めた彼は、戦争孤児のミゲルとの交流を通して、人間の温もりと生きるべき道すじを取り戻していく。男の優しさと強さを、華奢な体格で見事に表現した。
ミゲル少年役のロジェール・プリンセプ。よくある可愛いだけの子役ではない。戦争で両親を失くしながらも、逞しく、ずる賢く生き抜く、されどやはり子供の純真さは失わない少年にハマリ役。
ホルヘの相棒で、オカマのエンリケ役ルイス・オマール。屈強な大男の癖に超ナイーブ、ガラスの心臓を持つ。華奢なホルヘの強靭さとの対比を際立たせて魅せた。
痔持ちの歌手ロシオを演じたカルメン・マチ。見るからに女丈夫の貫禄と、時折見せる可憐な姿。強烈な個性が、この映画に更に張りを持たせた。
その他の脇役陣も粒ぞろい。清楚な踊り子、冷徹な将校、がめついが情に脆い劇団長、ロシオに一目惚れの町長など推挙に暇が無い。(残念ながらお好みブロンドの出演は無し)
劇団の裏舞台から華やかなショーを描いたカメラアイも印象深い。アラゴン監督はサーカス一座の家系で、スペインの国民的芸能一家の出身。さもありなんという感じのリアルな描写。スポットライトの影での劇団員達の素顔を、ごく自然にスクリーンに映し出している。「黒」の使い方が非常に印象的。
さりげなく音楽も味がある。ほとんどがアラゴン監督作曲、この人の非凡さを物語っている。
1940年代の作品と思わせる位、全く違和感を感じさせない楽曲群が、映像と渾然一体となっている。
主題曲のチェロの響きが心を和ませる。
多くの映画を観過ぎているので、ラストの展開が読めてしまうというある意味の寂しさも若干つきまとうのだが、それも込みにしても、エンドクレジットでの爽快感はなかなか他の最近の映画では味わえないものだった。
ストレートかつ味わい深いスペインの良作である。素直に観るべし
こんばんは。
この映画、観たいのになかなか行けません~
やっぱり、良さそうですね☆
終了前に行かなくては(^^ゞ
by non_0101 (2011-09-02 22:03)
>non_0101様
微笑ましい素敵な佳作です。
是非、ご鑑賞を^^
by つむじかぜ (2011-09-03 00:41)
こんにちは。
ようやく観て来ました~
あまりにも哀しい展開は切なかったですけど、
あのラストの映像は美しかったですね~
観られて良かったです☆
by non_0101 (2011-09-29 08:25)
>non_0101様
芸人として大成功を収めたミゲル氏の回想録だったんですよね。
お見事なラストでした☆☆☆
by つむじかぜ (2011-09-29 18:47)