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『八日目の蝉』 [上映中飲食禁止じゃ!]

NHK朝ドラを何年かぶりに観ている。

永年に亘りとりあえず、すべての新番組から1週間ほどは観ているのだが、結局ほとんど挫折。
最終回まで観れたドラマは、遡る事2006年・宮崎あおい主演「純情キラリ」だ。(その前は中越典子「こころ」)
まず、私好みの女優との出会いがメッキリ減った。そして、私の加齢と共に加速度的に減少する集中力に対し、それを吹き飛ばすパワー溢れる脚本・演出が、更に減ってきた事に起因する。

「おひさま」
女優陣のキャスティングがそそられます。
井上真央満島ひかりマイコの女学生仲良し3人組。モデルあがりのマイコの天然演技は好感度だし、満島の演技の巧さは「悪人」(http://tsumujikaze2.blog.so-net.ne.jp/2010-11-10)で証明済み。
そして主役の井上真央。子役時代から「花より男子」でブレイクした頃の彼女には、ほとんど感心がなかった。
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しかし、某TV・CMでの男に媚び、いかにも性格悪そうな視線がどうしても気にかかり始め、ついに「太平洋の奇蹟」(http://tsumujikaze2.blog.so-net.ne.jp/2011-02-28)での決して笑わない勝気な少女役で、彼女の不思議な魅力に降参するのであった。
私の好みの女性タイプでは全く無いのだが、最近の若手女優の中で最も気になる俳優さんだ。
とにかく、「への字」のクチビルと強い目力を出した瞬間、彼女のオーラが私の心臓を突き刺す!
このオーラがある限り、このドラマから離れる事はできない。これで、朝のお愉しみが増えた[わーい(嬉しい顔)]
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・・・という事でこの映画。
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監督:成島出
原作:角田光代
脚本:奥寺佐渡子
撮影:藤沢順一
美術:松本知恵
音楽:安川午郎

キャスト:井上真央 永作博美 小池栄子 
森口瑤子 田中哲治 市川実和子 平田満 
劇団ひとり 余貴美子 田中泯 風吹ジュン

不倫の末、身ごもった子供を諦めた野々宮希和子(永作博美)は、同じ時期に彼の正妻(森口瑤子)が女子を出産した事を知り、彼の身勝手な裏切りに呆然とするのであった。夫婦の留守宅に忍び込んだ希和子は、ベビーベッドで微笑む赤ん坊を衝動的に誘拐してしまう。そして中絶した子に付けるはずだった「薫」と名付けて、その子を独りで育てるべく逃避行を始める。母娘の貧しいが幸せに見えた生活も4年経過し、ついに希和子の身に警察の手が伸びる・・・
20年後、薫=恵理菜(井上真央)は、本当の両親に馴染めぬまま大学生になっている。そして彼女も妻子ある男性との恋の末、妊娠する。フリーライターとの取材旅行を経て、彼女は今まで自分自身で封印していた希和子との記憶を蘇らすのであった。


147分という長時間を感じさせない出来映え。
元々は、真央の「への字」くちびる観たさだったのだが、とにかく、圧倒的に永作博美が素晴しい。

実の子ではない薫に寄せる愛情表現は、裏切った男への復讐でもなければ、生きるすべを失った自分への慰めでもなく、穢れひとつ無い純粋な『母性』である。
プライベートでも出産を終えたばかりの永作の演技は、その『母性』をものの見事に表現している。
TVドラマの名作「青い鳥」の頃からファンだったが、今作で大女優への道を一歩踏み出した感あり。

そして井上真央。ちょっと屈折した性格の役柄に、あのクチビル[キスマーク]はベストマッチだ。
母親と信じていた女性が誘拐犯だったトラウマを引きずり、成人してからも実の両親も含めて他人との距離の測り方が出来ない哀しい女性を好演している。

現在と未来の物語を交互に描く演出も見事で、恵理菜が思い出したくなかった記憶を徐々に辿りながら、最後に希和子の真情と同調する場面は涙を誘う。隣の女房は、後半20分間、ハンカチを瞼に押さえ放しだった。(極めつけの写真館のシーンときたら・・・[もうやだ~(悲しい顔)]
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希和子の逃避行をロード・ムービー風に追うカメラ・アイの秀逸さ。特に小豆島での撮影は日本の原風景を見事に映像化している。脇役の熱演も忘れてはいけない。男性恐怖症の小池栄子と子供時代の薫役の演技は特筆。

ラストシーンを「えっ、これで終わっちゃうの?」と感じる向きもあるかもしれない。(実際、後の席のオバサンは呟いていた)原作は未読であるが、私は、余韻を残した、美しい文学的な幕切れだと感じた。
最期までスクリーンに登場しない「現在の希和子」の哀しくも気高き母の姿が偲ばれるのである。
そして7日で死んでしまう蝉が8日目で生きてしまった意義を深く考えさせられるのだ。

久しぶりに見応えのある邦画の秀作だった。


おまけ永作博美
スリムなモデル系ブロンド美女に病的までにゾッコンの小生ではあるが、実は日本人に限るのだが小柄なタヌキ系ベイビー・フェイスも結構好きなんです[揺れるハート]


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キャンディーズ2世を狙ったユニットであったが大ブレイクには至らず。

しかし、後に「永作博美」という名女優を生み出す[ぴかぴか(新しい)]

この「ペコちゃん」顔が好きである。

やっぱり、いい女になったなぁ[黒ハート]



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non_0101

こんばんは。
この作品には泣かされました。
泣けるポイントがありすぎて困りました(T_T)
でも、本当に見応えのある心に残る作品でした☆
by non_0101 (2011-05-11 23:07) 

つむじかぜ

>最近のヒット邦画は、医療か警察モノがトレンドのようですが、このような時代に左右されない重厚かつ美しい映画が、もっと正当に評価されてほしいですね。
by つむじかぜ (2011-05-12 00:54) 

師子乃

初めまして。

素晴らしい作品でしたね。

誘拐は決して許せるものではないですが。
by 師子乃 (2020-10-24 20:42) 

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