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Bill Nelson〜BE-BOP DELUXE〜異彩を放つギター伊達男 [〜ロックの神さん〜]

NHKラジオ第一「若いこだま」

友人の影響で洋楽ロックに目覚めながら、我家にはステレオが無い時代。私の唯一の音楽情報ソースは、モノラルのラジカセから流れるDJ渋谷陽一によるこの番組だった。
いまや音楽評論の大御所となった彼も、当時は音楽雑誌「ロッキング・オン」を立ち上げたばかりの一人のロック・フリークの若者で、たしかまだ大学に籍を残していた時代だった。
彼は、自他共に認めるZepplin狂で、同番組の最終回では「天国への階段」を放送中に2回流すという離れ業をやってのけた強者であり、私世代のロック小僧の兄貴的存在でもあった訳だ。
毎週の土曜の夜が待ち遠しくて、AMラジオをエアチェック(死語ですね)するという涙ぐましい作業をワクワクしながらやっていたのが昨日のようである。

或る日の彼の番組の最後に流した曲が、やたらと耳に残った。(記憶が曖昧なので、もしかすると「若いこだま」DJ卒業後に移ったFM「ヤング・ジョッキー」かもしれないが・・・)
いつも好んで聴くハード・ロックでもプログレでもない。不思議な曲調の変化、パーカッションとキイボードの優しい絡み、しかしリード・ギターだけはしっかりROCKしているのだ[exclamation&question]
『この曲、いいぜぇ[パンチ]

しかし、当時の私のエアチェック・テクニックは、DJ部分は除いて曲のみを美しく録音する事を是としていた。
おまけに渋谷氏は大学生のくせに英語が棒読み、聞き取りにくいのである。
「なんとかデラックスって云ったような?違うような???」完全に聞き漏らした。

私のカセットテープには、詠み人知らずの歌のように、演奏者・曲名不明の名曲として何年間にも亘って収め続けられたままとなった。

大学生時代、我家にもステレオ・コンポは設置され、自分もアルバイト収入で、月に2.3枚のLPは購入できる有難い生活を送っていた。いつものようにお茶の水のDisk Unionで輸入盤を漁っていると、ふと目に付いたアーティストの
名前....「BE-BOP DELUXE」突然、昔の微かな記憶とあの名曲がシンクロした。
『これかもしれない[ひらめき]
このバンドの棚に並べられた5.6枚のLPの中で、一番気に入った(ちょっとイヤらしい)ジャケットのアルバム1枚だけ購入した。
(もしはずれたら金、もったいねぇけど)と、思いつつ。
thumbnail.jpg

速攻で帰宅し、針を落とした。


A面............................出てこない。

B面.......きたぁ〜

一発ツモだ。スケベ正解。

何年か越しで、ついに心に引っかかっていた自分の名曲を
ステレオで聴けた歓び!


冷静になってアルバム全体を聴き直すと、これがまた良い感じなのである。というか、な曲ばかりなんだが心に引っかかる摩訶不思議な作品。
(Sleep That Burns)
ポップなtuneと思いきや、突然プログレ風・フラメンコ調に変幻自在の支離滅裂[むかっ(怒り)]な構成。1曲に詰め込み過ぎなのは音楽理論素人でも判る。だが、その無秩序さが破綻ギリギリの処で押し止まって、なんとも言い難い雰囲気を醸し出す。そして、やっぱりギターが上手くて、やたらと主張しているのだ[exclamation×2]

ビル・ネルソン Bill Nelson(guitar&vocal)が率いるワンマン・バンド「ビ・バップ・デラックス」の3rdアルバムで或る事が判明。

美しき生贄(紙ジャケット仕様)
3人編成でのデビュー・アルバム

ビルの弾きまくりが圧巻のグラム・ロック?

と、すぐさまふたりのメンバーの首を切り

フュチラマ(紙ジャケット仕様)
2ndアルバム発表。

楽曲群が突然豊かになり

充実の作品。

炎の世界(紙ジャケット仕様)
飽き足らず、keyboadを加えて

上記の3rdアルバム。

楽曲の柔軟性が格段に広がる。

モダン・ミュージック(紙ジャケット仕様)
彼らの最高傑作と呼ばれる

4thアルバム。

所謂、プログレ感が強化される。

当然、すべての曲はビルの手によるもの。このワンマン度と拘りはなかなかである。
こういうタイプで思い起こされるミュージシャンが他にもいる。
リズム隊が下手糞だろうが、お構い無しに弾きまくるジミ・ヘンドリックスと、同じバンドに長居できないジェフ・ベックである。
2者と比べれば、ビルの格下感が否めないように見えるが、私はギタリストのカリスマ度としては劣っても、メロディー・メーカーとして完全に上を行っていると思う。
どんなイカレタ顔した男かと思いきや、これが結構イケメン君なのです。
2ndアルバムから「Maid In Heaven」 原曲はトリオ編成ですが、このライブはkeyboad加入後のようだ。
彼にしては珍しくストレートなナンバー。ジミヘンみたいなファンキー・ベーシストも素敵。
ミュートカッティングの「カキクケコ[るんるん]」が気持ち良くて病み付きになる。
もう一丁。カメラ目線が笑える「Ships In The Night」
アイドルバンドの扱いみたいだが、音楽内容自体は「クロスオーバー」(これも死語ですね)の先駆けだ。

プラスティック幻想(紙ジャケット仕様)
5theアルバム。(ラストアルバム)

この辺からビルは更なる「リズム」の深みに嵌っていったのか?

何でもありだが、アルバム全体のバランスが最高、個人的には大好きな作品。

しかし彼は、「もっとやりたい音楽あるから....」みたいに簡単に解散

頭の中から次々と溢れ出る音楽を形にすべく
「red noise」結成。
そして歴史的名盤と云われる
Sound on Sound

Sound on Sound

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: EMI Europe Generic
  • 発売日: 1999/07/26
  • メディア: CD

テクノ・ポップの原点とも云える作品を発表する。
今、聴いても新鮮だ。




この後、ギターのみならずマルチ・プレイヤーとして精力的にソロ活動を行う。
JAPANのメンバーやY.M.Oとの交流は有名である。(ちなみにビルの奥様は高橋幸宏の前妻なのである。)

しかし、この時期位から、私はビル・ネルソンから離れることになる。
この時期の音楽の趣向がJAZZ寄りになっており、打込み系より自然なドラムを好んだし、シンセサイザー主体の音作りはどうも苦手だった。昔のビルの天衣無縫なギタープレイに、どうしても思い入れが強過ぎた。所謂アナログ指向派だったのである。

月日は流れ・・・・クリスマス曲を2曲続けて。

61歳。まだまだ進化しつづける変幻自在のギター伊達男は健在であった[どんっ(衝撃)]


Frost-O-Matic

A free Christmas single for you to download and enjoy.
Released December 2010.

 http://www.billnelson.com/html/salon/frostomatic.php  

最近は贅沢になったもので、ステレオ機器の違いで、音が変わるだの、原音忠実だのと講釈を云える身分になった。
だけど、本当に自分の心に残る音楽とは、モノラルのラジカセから流れるAMラジオのメロディーでも十分だったんだなと、思う今日この頃である。

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コメント 6

haku

あまり聴いたことがありませんでした^^;
Bill Nelsonって、創作意欲に溢れているんでしょうね♪
いろんな発想を曲に詰め込みたいのだろうと...
そして実際、そのイメージが注ぎ込まれてるんですね^^
声の感じが財津和夫にちょっと似てると思いました
by haku (2011-01-08 11:44) 

つむじかぜ

>haku様
いつも、ありがとうございます。
彼の創作意欲が溢れ過ぎて、空回りしているようなトコも好きなんです^^
by つむじかぜ (2011-01-09 01:22) 

やしんた

初めまして。
BILL NELSON Red Noiseを検索していて通りかかりました。
つむじかぜさんが書いてらっしゃるとおり「若いこだま」でアルバム「サンバースト・フィニッシュ」から流されてましたね。
by やしんた (2011-04-05 01:38) 

つむじかぜ

>やしんた様
ご訪問ありがとうございます。
「若いこだま」をご存知とは・・・同年代ですな^^;
by つむじかぜ (2011-04-06 01:16) 

やしんた

「若いこだま」(今、文字見直したら新鮮な番組名w)の話が載ってるサイトに巡り会った事がとても嬉しいです。

渋谷陽一氏が都合点かない場合とか月一とかで大貫憲章氏や伊藤政則氏が担当したりってのありませんでしたっけ?
あとはイマイズミヒロシさんとかマツムラユウサクさんとかイワタニヒロシさんの(漢字名忘れちゃいました)話題が出たりとかw

AIWAのラジオカセットレコーダーで録音しながら顔くっつくぐらい近距離で聞いてました。音楽がたらふく聞きたかったんだと。AMラジオのあの音質で大満足でした。
by やしんた (2011-04-07 06:59) 

つむじかぜ

>やしんた様
大貫憲章氏の代打ちとかは覚えていますね。渋谷氏がFM「ヤング・ジョッキー」のDJに鞍替えした後の「若いこだま」の後任が大貫氏だったような?
あと、プログレネタにはよく今泉氏も登場してましたね。
洋楽情報が簡単に入手できない時代、ほとんど学生同然のロックオタタクの彼らのおしゃべりが貴重な情報源となり、それが日本の若者がロックに目覚める小さな導火線になったと思います^^
by つむじかぜ (2011-04-08 02:18) 

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