十三人の刺客

監督：三池崇史

キャスト：役所広司　市村正親　山田孝之　松方弘樹　稲垣吾郎　吹石一恵　沢村一樹　伊勢谷友介　平幹二朗　松本幸四郎

　痛快時代劇・・・だが心に残らない。。。

　1963年のオリジナル版は未見であるが、伝統的なチャンバラ活劇を土台に三池監督独特の感性が、乗りに乗りまくった爽快な仕上がりではある。

　世間では不評だったエセ西部時代劇「スキヤキ・ウエスタン・ジャンゴ」が、個人的には結構、壺に嵌ったので期待していたが、今作は肩の力が入り過ぎの感あり。

　真面目な“絵”とお遊びの“絵”を無造作に織り込み過ぎて、映画全体の緊張感が欠けてしまった。はっとするような山村風景やぞくっとする馬群の疾走、残虐さの中に仄かな美しさを湛える斉昭の暴虐、艶かしい女の撮り方。

監督の敬愛する「黒澤明」「タランティーノ」が随所に顔を出し、映画的面白さは高まるのだが・・・

　とにかく戦闘シーンは長過ぎる。本物の殺し合いの緊迫感を出しながら、一方で松方弘樹が「遠山の金さん」風に、涼しげに敵をなぎ倒す殺陣のアンバランス。最後の最後の不死身・伊勢谷の復活は、笑うどころか呆れてしまった。

　新旧世代の俳優陣の熱演は素晴しい。稲垣吾郎の地のまま？演技や市村正親の想いを秘めた姿。特筆は、山田孝之の凛々しさかな。

　私は、三池監督の「くだらなさの中の本気」が好きで、「生真面目の中のおちゃらけ」には共感できない。

　↓こっちの方が、断然いい。