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『早熟のアイオワ』 [上映中飲食禁止じゃ!]

 小生のお気に入り女優
炎の少女」と「ヒット・ガール」の共演
 
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監督・脚本:ロリ・ペティ
 
CAST
ジェニファー・ローレンス クロエ・グレース・モレッツ
セルマ・ブレア ポキーム・ウッドパイン ソフィア・ベアリー
 
1976年、アイオワ州にある閑散とした町カウンシルブラフス。売春婦サラ(セルマ・ブレア)の娘に生まれた14歳のアグネス(ジェニファー・ローレンス) とキャミー(クロエ・グレース・モレッツ)は、ポーカーハウスと呼ばれる不法居住者たちが集う屋敷で暮らしていた。夜ごと、ポーカー賭博やセックスを求め るドラッグディーラーたちがポーカーハウスにやって来るという異様な環境から、彼女は幼い妹たちを懸命に守ろうとする。そんな中、サラに自分と一緒に売春 をするように迫られてしまう。 (シネマトゥデイより)
 
2008年製作国内未公開作品が漸く日の目を見た。
ジェニファーとクロエの昨今の活躍にあやかっての本邦初公開であるのは明白だが、理由がどうあれ、好きな女優のブレイク前の映像をDVDではなく、大スクリーンで観られる事は大変喜ばしい[わーい(嬉しい顔)]
 
ロリ・ペティ監督の自叙伝的作品である。
「ハート・ブルー(1991年)」「プリティ・リーグ(1992年)」で準主役級の活躍をした女優だが、今回の満を持しての監督作は、彼女の痛々しいまでの青春時代を吐露した私小説的色彩と、若き女優陣の今まさに華開かんとする蕾の美しさが、濃厚に絡み合った映像詩となった。
 
ポーカーハウス」と呼ばれる賭博場兼売春宿に暮らす母と3姉妹の一家。母親は、客引きである愛人の言われるままに客をとり、生活の糧としている。その母親の「仕事場」で生活を共にする姉妹達。70年代のアメリカ地方都市とはいえ、この悲惨な環境で暮らしていた子供達の現実に、驚きを隠せない。
 
撮影当時、長女アグネス役・ジェニファー17歳、3女キャミー役・クロエは10歳。
 
既に、大器の片鱗を見せるジェニファー・ローレンスの演技には、舌を巻く...というより、演技と思わせない自然体の感情表現に、知らぬ間に引き込まれる。絶世の美人では決してないのだが、17歳の素顔の飾らない美しさが、スクリーン上では何倍にも光輝いている。やはり生まれながらのカリスマである。
 
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バスタブに浸かりながら母親に泣きつこうとするシーンは鳥肌モノだ[どんっ(衝撃)]
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2年後の出世作「ウィンターズ・ボーン」や「ハンガーゲーム」シリーズでの役柄に似て、劣悪極貧な環境の中で光輝く命の迸りを演じさせたら、同年代では彼女の右に出る者は無かった。今や、芸域も広がり、オスカー受賞作「世界にひとつのプレイブック」や最新作「アメリカン・スロットル」の演技に触れれば、メリル・ストリーブを凌駕するであろう若き女神で或る事に疑いは無い[パンチ]
 そんな彼女の未知の可能性を見出すに十分の小品だ。
 
かたや、クロエ嬢...というより、この作品ではクロちゃんと云うべきか...
 
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あどけないカエル顔の小学生役なのだが、「ふっ」とした表情にロリコン趣味を超越した「色気と存在感」を匂わせる。巧い子役は、星の数ほど居る訳だが、演技力以前に「この存在感」で女優の価値が決まるのだ。その意味で、当時10歳のクロエは及第点だ。
 
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「共演」とは云っても、二人が有名になってからの「後付け」であり、クロエはあくまでも脇役の域を出ない。この作品は完璧に、『ジェニファー・ローレンス』の映画となっている。唯一、彼女に対抗するのは、壊れた母親役を演じるセルマ・ブレア。
 
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優しく貞淑な妻だったはずが、離婚後は階段を滑り落ちるように荒れ果て、今やジャンキーの売春婦。その母親が、アグネスに「そろそろお前も稼げ」と迫る。実の処女の娘に売春を唆すのである。この「壊れ方」が実にイイ。
 
アグネスは母に抗いながら、二人の妹だけは穢されまいと必死に守り抜く。長女の健気な想いと、それを知ってか知らずか、無邪気に遊ぶ妹達との対比が、ストーリーに唯一明るい色彩を醸し出す。一方で、アグネスは母の情夫に仄かな情欲を覚えてしまうのだった。正反対の性格の母娘のはずが、深い所で「女」としての血の繋がりを感じさせる。この絶望的な環境の中での抜け出せない「居心地の良さ」を、揺れる乙女心と共に、ジェニファーは見事に演じ切る。
 
そして、或る事件を契機にアグネスは、淀んだぬるま湯から飛び出る決意を胸に、妹達を車に乗せ、夜の街を疾走するのだった。
 
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ロリ・ペティ監督の私小説的作品であり、これが事実に基づいている事自体が衝撃なのだが、数奇な青春を送った主人公を演じたジェニファー・ローレンスの才能には、更に衝撃、いや感動的ですらあった。
 
今年もアカデミー賞助演女優賞にノミネート。
小生は、受賞は当然と確信していたが...栄冠は映画初主演の伏兵ルピタ・ニョンゴの手に。
思うに、昨年主演女優賞獲得者の連続受賞を意識的に外した感がなきにしもあらず。
ジェニファーが毎年コンスタントに良作に出演し続け、まともに評価されたなら、オスカー連続受賞新記録を作るのは確実と思われ、アカデミー賞の権威を脅かす存在になりかねない逸材なのだから。
 
そんな彼女のデビュー直後の作品。蛹から羽化したばかりの生命力漲る蝶の飛翔を観て頂きたい[ぴかぴか(新しい)]
青みがかった淡い色彩とブラック・ミュージックの取り合わせにも引き込まれます[わーい(嬉しい顔)]
 
 
 
ラストは黒人好きアグネスのお気に入り
マービン・ゲイ「Ain't No Mountain High Enough」の3姉妹合唱で〜
唯一ブレイクしていない次女役ソフィア・ベアリーもgood
 
 

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コメント 4

末尾ルコ(アルベール)

> アカデミー賞の権威を脅かす存在になりかねない逸材なのだから。

同感です!
メリル・ストリープとよく比較されますが、ジェニファーの方が遥に「スター」ですよね。

                              RUKO
by 末尾ルコ(アルベール) (2014-03-21 09:21) 

つむじかぜ

> 末尾ルコ(アルベール)様

同意! 同意!!

ジェニファーには、生まれながらの「華」があります^^

by つむじかぜ (2014-03-21 22:07) 

non_0101

こんばんは。
この作品はすっかり見逃してしまいました^_^;
DVDになったらチャレンジしてみたいです☆
by non_0101 (2014-03-24 22:38) 

つむじかぜ

> non_0101 様
若きジェニファーの勇姿を堪能して下さいね。
作品自体もなかなかですよ^^
by つむじかぜ (2014-03-25 01:53) 

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