『ゼロ・グラビティ』：向島のつむじ風：SSブログ

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正月休み最終日に、独りで名古屋で観ました。本来なら昨年末に観たかった作品だったのだが...

「スター・ウォーズ」でも頭が痛くなる女房との鑑賞が無理だった為、年越しとなり申した。

評判の良さから、少々贅沢に３D版で

メディカル・エンジニアのライアン・ストーン博士とベテラン宇宙飛行士マット・コワルスキーは地球から600キロ上空で周回しているスペースシャトルで船外ミッションを行っていた。しかし、突発的なトラブルが発生し、ふたりは無重力空間に放り出される。（ぴあ映画生活より）

監督・脚本・製作

アルフォンソ・キュアロン

撮影

エマニュエル・ルベツキ

音楽

スティーヴン・ジョーンズ

CAST

サンドラ・ブロック　ジョージ・クルーニー

かつて類いの無いSFヒューマン・ドラマの異色作であり、胸を熱くさせる傑作である

宇宙空間を舞台にした二人劇。

登場人物は上記の２大俳優、他の人物達は声のみの出演である。ストーリー中盤以降は、サンドラの独り舞台と云って良い。

生死の狭間で孤独に戦い抜くドラマと云えば、最近ならダニー・ボイルの「１２７時間」やアン・リーの「ライフ・オブ・パイ」（虎が一緒だったが）が思い浮かぶ。宇宙上での孤独なら、あのキューブリックの名作「２００１年宇宙の旅」後半のシーンが頭をよぎる。しかし、今作はそれらの作品とは全く趣きを異にする。

回想シーンで友人や子供が現れる事もなければ、HAL9000やエイリアンのような「敵対」する相手もいない。

地球から何光年も離れた未知の世界ではなく、青き故郷を眼下にした人工衛星での突発事故により、宇宙空間に放り投げ出された男女の飛行士の二人っきりのお話。ゆえに設定は、近未来のSFフィクションではなく、「今」起こりうる現実感に溢れている。

男の飛行士はジョージ・クルーニー。

TVドラマ『ER』でのプレイボーイ医師から20年。今や、大俳優の貫禄ですな。

今回も「美味しい」役回りだ。あんな幕の引き方なんてかっこ良過ぎですがな

そして女性飛行士のサンドラ・ブロック。

この有名女優さん、意外にも小生は映画の中では初見なのである。若かりし頃のセクシー姿を知らないのだが、更に20年後にはジュディ・デンチ風の重厚な演技派になるであろう鬼気迫る演技を披露した。

陳腐なほど明快なストーリー。

しかし、この一刻一秒を争う帰還劇に胸躍らせられた最大の理由は、二人の演技を真に迫るものにした宇宙の再現、驚愕のVFX技術陣のレベルの高さに他ならない。そして作品の中での時間の経過と上映時間をほぼ同じに設定し、極度な緊張の持続を観客に強いる演出。音響効果も抜群であり、「無音」と主人公の心理状況を表現した荘厳な挿入音楽の対比が、宇宙の不気味なまでの美しさを際立たせる。

水中の映像を、無重力下での宇宙遊泳シーンに変えるマジック