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「DACで拡がるピュアオーディオの世界」&チョン・キョンファとYES [素人の扉〜Jazz&Classic〜]

先日、取引先の音楽マニアの方のご自宅に招待される幸運に恵まれた。初めてお会いした時から、音楽談義で意気投合した彼の名古屋の繁華街にある細長い自社ビルは、事務所と自宅兼用。いつも通う事務所のフロアをエレベーターで素通りし、扉が開けば、なんとそこはワンフロアぶち抜きのAV専用ルーム[どんっ(衝撃)]

彼も、リッチな音楽ファンにありがちなピュア・オーディア派であり、正面の250インチのプロジェクタスクリーンを中心に自慢のLINNのサラウンドシステムが築かれていたのだった。「余裕で我家のクルマより高価」なのは明白である。ステレオ専門雑誌でしか見た事がないような豪華な環境だ。

「社長〜、何考えてんの、この贅沢な部屋は〜」冗談ぽく話しながら、この日の本題となる。このバブリーなオッチャンは、最近、ハイレゾ音源などのPCオーディオに嵌っており、以前「もう、CDの時代は終わったな」などと宣っているのを、私がツッコミを入れたのが、今回のご招待のきっかけとなっていたのだ。

CDからリッピングしてPCに取り込んだ音源と、CDプレイヤーでそのまま再生した場合に、音に違いはあるのか?彼は「明確に違う」と断言し、私は「周波数が同じだから、基本的には変わらんでしょ」と応酬した。事前に私のお気に入りCD3枚を、彼に渡してあり、既にリッピング済み。早々に「聴き比べ」大会開始である。

まず、CDプレイヤーで聴いてみる。

...当たり前だが、良い音だ。比較対象が、転勤手当を原資になんとか20万円で構築した涙の単身宅オーディオシステムだから、致し方ない。それでも、自分としては拘りの組み合わせが価格以上の音を出していると自負していたが...(MYシステムはこちら→http://tsumujikaze2.blog.so-net.ne.jp/2012-05-18)ここまで(たぶん20倍以上)の価格差があっては、比べる方に無理があると言わざるを得ない。

「いやぁ、いいですねぇ〜、凄い、これで十分ですわ」(残念ながら純然たる事実である)

「じゃぁ、リッピングした方に変えますよ」

社長さんが、PCを操作して、ネットワーク・プレイヤーを起動させる...そして、同じ曲が流れるのだが...

げっげぇ〜、全然違う音だぁ〜[がく~(落胆した顔)][がく~(落胆した顔)][がく~(落胆した顔)]」いつも聴いているソフィー・ミルマンが、目の前で歌っているのだ[exclamation&question]

「ねっ、どちらが良い音とかは感性の問題だから別にして、同じ音源でこれだけ違うのですよ」勝ち誇る社長様。

彼の主張によると、CDプレイヤーがデータを読み込む過程で機器の性能にもよって差はあるが、必ず拾いきれないデータが存在する。しかし、リッピングしたPC内のデータは、理論的に全く破綻していない。それを同じシステムで再生すれば、当然違う結果になるのは明白だ、と。

何となく納得できる理屈だが、とにかく音の差は歴然としており、リッピングされた曲は生の楽器に近い、ある意味、柔らかいアナログ的な音に変化しているのは、事実のようだ。

その後は、社長のレア・コレクションのクラシックアルバムや、ハイレゾ音源での石原裕次郎を聴いたりと、更に目から鱗のリスニング・タイムが深夜に及び続いたのである。

衝撃の一夜が明け、小生に沸々とオーディオ・オタク魂が蘇る。 東京妻との労使交渉も何とか妥結し、単身ボーナス手当を頂いた私は、時を置かずに、名駅の「大きいカメラ」に向かうのだった。

買ってしまいましたぁ〜大枚5枚。本来なら、これから半年の厳しい単身生活の足しにするべきカネなのだが、ここまで盛り上がってしまったら、止まりません[パンチ]

早速自宅に戻り、Mac Book ProとUSB接続。事前にリッピングしておいたお気に入りのCDコレクションを次々と、更に2年前にダウンロードしてあったキース・ジャレット「ケルン・コンサート」のハイレゾ音源なども視聴する。しかも、このDAC-1000は、PCデータ再生機というよりは、D/Aコンバーターとしての性能が秀逸で、単純にCDプレイヤーと光接続しただけで、既存の音質が飛躍的に向上してしまう『魔法の箱』みたいな奴だったのである。

音色の傾向は以前と変わらないが、まず音像の定位が抜群に良くなった。ヴォーカルが私の正面ど真ん中から聞こえる。エミルー・ハリスの息遣いまでリアルに伝わってくるのだ。定位向上により、各楽器の音の分離が明確になり、以前の平面的な音の拡がりが、立体的に変化した。スピーカーが小型のブックシェル型な為、今までは低音の押し出しだけには少々諦めていた部分があったのだが、これも問題解決。轟くベース音は3倍返しの迫力となった。

感動、感激のひととき。聞慣れた楽曲が、また新たな魅力を帯びて姿を現す。音楽ソースの出来によって差は出るが、特に録音技術の高い(録音が良いという意味ではなく)アコースティック調の曲などには、鳥肌が立つ時もある。ピアノの煌めく響き、シンバルの弾ける刹那、淡いコーラスの中に見える色とりどりの人間の声の美しさ。4万円の我がCDプレイヤーが、諭吉5枚でハイエンド機器に早変わり。狭い小生の部屋だからこそ、広い社長宅とは味の違う音空間が演出される。40年近く聴いている愛しのジェネシス『フォックス・トロット』をCDでかけたら、ぶっとんだ[ぴかぴか(新しい)]今まで聞き取りづらかった楽器の音まで明瞭となり、音場感が分厚くなった。当時のアーチスト達が表現しようした演奏をリアルに感じ取れた気になってしまうほどだ。

調子に乗って、海外サイトからハイレゾ音源をゲット[手(チョキ)]

Close to the Edge

Close to the Edge

  • アーティスト:Yes
  • 出版社/メーカー: Elektra / Wea
  • 発売日: 2003/08/25
  • メディア: CD

CDは当然持っているが、192kHz/24bitの専門的には解らんが、最高品質の音源だぜ。中学時代にカセットテープが擦り切れるほど繰り返し聴いたイエスの名盤『危機』が、40年近く経過してマスターテープ並みの音質で手軽に聴ける時代になった〜またしても感動と衝撃。70年代のブリティッシュ・ロックの偉大さを改めて体感した[ぴかぴか(新しい)]

ついでに、この蟻地獄のようなピュア・オーディオ世界に引き込んでくれたクラシック好きの社長に感謝の意味を込めて、彼が熱狂的に支持するヴァイオリニストのCDもゲット、リッピングして聴いてみる[どんっ(衝撃)]

ヴィヴァルディ:四季

ヴィヴァルディ:四季

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: TOSHIBA-EMI LIMITED(TO)(M)
  • 発売日: 2007/07/25
  • メディア: CD
チャイコフスキー&シベリウス:ヴァイオリン協奏曲

チャイコフスキー&シベリウス:ヴァイオリン協奏曲

  • アーティスト: チョン・キョンファ,チャイコフスキー,シベリウス,プレヴィン(アンドレ),ロンドン交響楽団
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2012/02/22
  • メディア: CD

クラシック素人の小生はもちろん未知のアーチストだったのだが、流石、拘り社長のイチオシだけあって、凄い[exclamation×2]2枚のアルバムの楽曲は共に超有名曲で、知らずのうちに幼少の頃から脳裏に刷り込まれたメロディである。しかし、彼女がヴァイオリンを弾くと、新しい命を吹き込まれたが如く、クラシック入門のスタンダード曲が心洗われる至高の名曲になるのだ。

チョン・キョンファ・・・ 1948年生まれの韓国のヴァイオリニスト。1967年、有色人種への偏見が残る当時の国際コンクールで優勝。一躍、時の人となるも、師の勧めにより、プロデビューせずに、人知れず技術を磨く事に専念する。1970年、ロンドンでの慈善コンサートに出演した彼女は、アンドレ・プレヴィン指揮の元でチャイコフスキー・ヴァイオリン協奏曲を演奏。公式な演奏会にも関わらず、絶賛の嵐を呼び、遂にメジャーデビューを果たす。その伝説の演奏が上記2枚目のCDに収められている。神懸かり的というよりも、こんな生命力溢れるヴァイオリンの調べを私は他に知らない。巧い演奏者は星の数ほど存在するだろうが、この音色と表現力は希有である。

そんな彼女の当時のTV出演から(演奏は1:40過ぎ)
 

 そして最後はyes,yes,yes〜アルバム「危機」のラストナンバーを30年後に再演(2003年)
数多存在する再結成バンドの中でもYESは、往年の演奏レベルを維持する最右翼だった[どんっ(衝撃)]
高音がいまだに出るアンダーソン、極太BASS健在のスクワイア、そして骸骨と化しても弾き続けるハウ[exclamation×2]

 知らなかったオーディオの進化と魅惑のヴァイオリニストを、教えてくれた社長さんに感謝、感謝[かわいい]

それにしてもピュアAudioの世界は停まる事を知らない〜でも、これ以上深入りしないようにせんと...[あせあせ(飛び散る汗)]

 
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DEBDYLAN

ハイレゾ音源に興味津々です♪
はやく聴ける環境を作らないと^^;

by DEBDYLAN (2013-12-13 23:29) 

想也

「危機」は、ステレオのハイレゾも十分すごいですが、
最近出たスティーブン・ウイルソンのハイレゾ・マルチがものすごいですよ。
社長さん宅は、ピュア・オーディオだけで、マルチ再生はできないんでしょうか?
この際、マルチの世界にも引き込んで、聴かせてもらっちゃいましょう(笑)
ジェネシスもクリムゾンも、ハイレゾ・マルチがありますしね^^

by 想也 (2013-12-14 17:30) 

つむじかぜ

> DEBDYLAN 様
嵌ると恐い蟻地獄のオーディオの世界ですが、思い切ってハマりましょう(^▽^;)
by つむじかぜ (2013-12-14 23:54) 

つむじかぜ

> 想也 様
聴いてしまったら、自分でも欲しくなりそうで...やっぱり聴きたい(-。−;)
by つむじかぜ (2013-12-14 23:57) 

さとし

おや、私と趣味が合いそうですね。
危機はDVDAもSACDも買いましたよ。
by さとし (2013-12-15 10:00) 

haku

良い物をお買い上げですねぇ
羨ましいです~ ^0^w
YESは全てアナログ盤で持ってます ^^;
最近ずっと聴いてないんで、久々に聴きたくなりました
by haku (2013-12-15 10:48) 

つむじかぜ

> さとし 様
いやぁ〜嬉しいですね^^
YESの作品では、「危機」の演奏・世界観が一番好きです!
by つむじかぜ (2013-12-18 00:50) 

つむじかぜ

> haku 様
何となく気がついたのですが、ピュア・オーディオってアナログに近い
柔らかい温かい音ではないかと...不可思議な世界ですが(・・;)
by つむじかぜ (2013-12-18 00:53) 

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