『ムード・インディゴ うたかたの日々』...と「ルー・リード」 [上映中飲食禁止じゃ!]
監督:ミシェル・ゴンドリー
原作:ボリス・ヴィアン
脚本:リュック・ボッシ
撮影:クリストフ・ボーカルヌ
キャスト:ロマン・デュリス
オドレイ・トトゥ
オマール・シー
ガッド・エルマレ
仕事をしなくても生活できる財産があり気ままに生きていたコラン(ロマン・デュリス)は、純粋なクロエ(オドレイ・トトゥ)と付き合うことに。その後、友人たちに見守られながら結婚した二人は幸福に満ちあふれた生活を送っていたが、ある日クロエが肺にスイレンが咲くという奇病に侵されてしまう。ばく大な治療費を稼ぐために仕事をし始めたコランの人生は徐々に狂い出し、クロエも日増しに弱っていき……。(シネマトゥデイより)
ミシェル・ゴンドリーの最新作は、監督の母国のフランス製作である。
『エターナル・サンシャイン』は、個人的にドハマりの作品だった。 カウフマンの少々分裂症気味の絶妙の脚本を、ものの見事に映像化した手腕は、今作でも健在で、その力を存分に披露している感じだ。
なんだかんだでハリウッド作品の鑑賞が多く、どうしてもフランスの俳優には馴染みが薄いのであるが、この作品の主要俳優だけは、しっかりと覚えいる。
つい最近見た『タイピスト!』出演のロマン・デリュスを流石に忘れるはずは無く、絶品『アメリ』のヒロイン役・オドレイ・トトゥについては、多少年嵩を増しようが、この愛くるしさは胸に染み込んだままだ。オマール・シーの個性は、昨年のヒット作『最強のふたり』同様に強烈。
そして、オープニングから斬新な映像に目を奪われっ放し。Bjorkのビデオ・クリップを筆頭に数々のPVを手がけたミシェル・ゴンドリー面目躍如のめくるめく奇妙きてれつな世界
前半部は、コランとクロエの恋の成就を祝うが如く、驚きの映像でスクリーン一杯に、恋愛喜劇に色鮮やかな花を添える。そしてクロエが謎の病いに倒れてからの後半部は、コランの焦燥と共に悲劇に向かって画面は次第と色褪せていき、いつしかモノクロームと化す。
半世紀以上前にベストセラーとなった「日々の泡」の映画化であるが、ミシェル・ゴンドリーは、独自の感性と映像技術により、悲痛なまでに愛くるしいファンタジーに昇華させた。まるで映画そのものが、長尺のMTVクリップを見ているような錯覚に陥るのだ。とにかくバラエティに富んだ挿入曲とのマッチングが見事で、やたらと滲みる。
好き嫌いは大きく別れるであろう。
「映画的面白み」には欠ける。しかし、主人公コランの想いと映像を重ね合わせながら、「無邪気な束の間の恋」の行方を見つめると、止めどもない哀感が押し寄せて来る。
まさしく、『美しき映像詩』だった。
題名の「ムード・インディゴ」はデューク・エリントンの名曲。作中、JAZZのスタンダードが多く流れ、ストーリーを盛り上げるのだが、個人的な極めつけは、ヒロインの同名曲「クロエ」である。
『クロエ』(1940)
デューク・エリントン楽団の全盛期の名演奏
この各楽器のアンサンブルの溶け込み方、ソリスト達の類い稀なる演奏技術
◎訃報 ルー・リード(享年71)
ニューヨーク・パンク・ロックの元祖というか、60年代、近代ロックの世界に詩情性・芸術性を持ち込んだカリスマ・アーチストと呼ぶベきであろう。現在は多岐に亘るロックの分野の基盤を作った男の一人であり、彼の影響を受けた著名なロッカーは数えきれない。POPな曲調に深い歌詞、陰鬱なヴォーカル、粋でサイケなファッション。時代が流れても、彼独自のスタイルは不変であった
名曲「I'm Waiting For The Man」(1974)
(だいぶアレンジしています)
アンディ・ウォホールのジャケットでも有名〜
1967年のヴェルヴェット・アンダーグラウンドのデビュー作
世間をあっと驚かせたメタリカとの共演(2011)
メタル・ファンからは賛否両論の問題作が遺作となった。
今聴くと、ルー・リードのロックへの想いを感じざるを得ない。
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: Vertigo Re
- 発売日: 2011/10/27
- メディア: CD
ロックの王者に冥福を...
こんにちは。
この作品は絶対見に行こうと決めてました。トレーラーをみせていただいたら、
想像以上に素敵な映画、俳優陣もすばらしいですね。私は特にロマン・デュリスのファンなので、観るのを楽しみにしています。
by coco030705 (2013-10-29 16:51)
彼のキャリアを全て聴いてるわけではない僕ですが、
訃報はショックでした・・・
R.I.P.
by DEBDYLAN (2013-10-30 23:48)
> coco030705 様
ハリウッド映画には無いタイプの不思議な映画です。
ストーリー展開は別にしても、映像が凄いですね。
by つむじかぜ (2013-11-01 01:40)
> DEBDYLAN 様
私も、コアな彼のファンではないのですが、現代ロックの先駆者ですから...
なにか寂しい想いで一杯です。
by つむじかぜ (2013-11-01 01:42)
ベルベット・アンダーグラウンドからの信者です。
ルー・リード大好きです♪
by シルフ (2013-11-01 08:23)
> シルフ 様
ベルベットの個性は強烈でしたね。
ルー・リードのロックへの深い造詣が際立っていました!
by つむじかぜ (2013-11-02 03:30)