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「天使の分け前」 [上映中飲食禁止じゃ!]

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監督:ケン・ローチ
脚本:ポール・ラヴァーティ
製作:レベッカ・オブライエン
撮影:ロビー・ライアン
 
キャスト:
ポール・プラニガン ジョン・ヘンショー
ガリー・メイトランド シヴォーン・ライリー
ジャスミン・リギンズ ウィリアム・ルアン
ロジャー・アラム デヴィッド・グッドール
ジョイ・マカヴォイ フォード・キアーナン
 
長引く不況で若者たちの多くが仕事にあぶれるスコットランドの中心都市グラスゴー。教育もままならない環境に育ち、親の代から続く敵対勢力との凄惨な抗争が日常と化した日々を送る青年ロビー。恋人の妊娠が判明し、心を入れ替えようとした矢先に再び暴力事件を起こしてしまい、裁判所から300時間の社会奉仕活動を命じられる。そこで彼が出会ったのは、同じく社会奉仕を命じられた男女3人の若者と、彼らの指導にあたるウイスキー愛好家の中年男ハリーだった。ロビーはやがて、親身に接してくれるハリーからウイスキーの奥深さを学び、興味を持つようになる。そして、ひょんなことから“テイスティング”の才能に目覚めるロビーだったが…(allcinemaより)
 
 
 
『天使の分け前』〜Angel's Share〜なんと美しい響きの言葉だろう[ぴかぴか(新しい)]
 
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樽の中で何年間も熟成されるウイスキーが、その間に酒に含まれる水分やアルコールが蒸発して減少する分〜年間に全体の2%減ると云われる〜これを「天使の分け前」と呼ぶ。極上の蒸留酒を造る過程での神様への捧げものと云った意味であろうが、ネーミングに洒落た英国人気質を感じざるを得ない。
 
神戸で仕事をしていた10年程前。三宮のクラブのお姐さんとの「アフター」で、シングルモルツ専門の或るBARを度々使った。何度か彼女と通ううちに、本来の大事な目的を忘れ、BARのマスターと意気投合してしまった。しまいには、彼女の店に顔を出さず、そのBARにひとりで通う常連になっていた。バーテンダーの全国大会でも輝かしい業績を残したマスターから、ウイスキーの奥の深さをよく教えられたものだった。
因に、私は酒は滅法弱い。酒の味は好きだが、アルコールが体質的に合わない為、完全下戸まではいかないが、仕事以外では滅多に酒を口にしない。
マスターからオススメのウイスキーを次々と試飲できればカッコいいのだが、ワンショットをストレートでチビチビ戴きながら、チェイサーにこれまたマスターお手製のオリジナル・ジュースを並べる「変な常連さん」だったのだ。
 
...であるので、小生にウイスキーの蘊蓄を語る権利も知識も持ち合わせていない。しかしながら、スコッチウイスキー独特の薫り(スモーキー・フレイバーと呼ばれる)は、葉巻の匂いと同様に、男心をくすぐるものがあると確信している次第である。
 
そんな経験と僅かの予備知識で臨んだ今作は、非常に興味深く、ストーリー自体も愉しめるものであった。
 
舞台は英国とはいってもウイスキーの聖地、スコットランドである。洗練されたイングランド映画とは一線を画し、田舎臭さが漂う。そしてカメラは、中世を代表する都市、グラスゴーからエジンバラの不況に悩む「今」を見せながら、魅力溢れる登場人物達に光を当てていく。主人公ロビーを含む4人の犯罪常習者が個性的だ。
 
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そして、彼らが生まれつきの悪人ではなく、生まれ育った環境によって犯罪者になった事を自然と匂わせる演出が実にいい。小柄だが、ぶち切れると手を付けられない主人公・ロビーを始め、自国の誇りのエジンバラ城も知らない無知の塊・アルバートは実に笑わさせてくれる。
そんな世間から人間のクズと呼ばれる彼氏を、必死で立ち直らせようとするレオニーが、実に美しくかつ逞しい、まさに「母は強し」なのである。
 
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 う〜ん、我が夫婦を見ているようだ[がく~(落胆した顔)] 
 
不良青年が社会奉仕活動の指導員・ハリーと出会い、酒好きの彼からウイスキーの世界を垣間見る事からロビーの更正の物語がスタートする。キルト衣装を着ながらの小旅行は、スコットランドの自然と文化を全面に押し出した興味深いもので、更にスコッチウイスキーの世界的権威のチャーリー・マクリーン本人が登場する熱の入れよう。ロジャー・アラム以外はほとんど無名の俳優達で、しかも多くがグラスゴー出身者というスコットランド魂の塊のような映画なのである。
 
犯罪者が更正する為に小さな罪を犯すラストシーンを、快く受け入れられない観客も多いようだ。
しかし私は、それこそ題名通り〜誰も傷つけない小さな罪は、新しい人生を掴む為の『天使の分け前』〜であると、ニヤリとしてしまうであるが...
 
英国の片田舎で繰り広げられる幸せ探し〜ホックリと心温まる作品でした[わーい(嬉しい顔)]
 
そして、実はこの作品の中で一番ドキドキ[揺れるハート]した場面は、ウイスキー蒸留工場でのガイドさんの色気たっぷりの説明ぶりだったりするのでした[あせあせ(飛び散る汗)]
 
ジョイ・マカヴォイ 
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 彼女もスコットランド・グラスゴー出身
無名の女優さんだが、グッと来るムチムチ感でした[わーい(嬉しい顔)] 
 
 
 
 
 

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Labyrinth

面白そうな作品ですね!? タイトルも良い感じ♪
英国好きな? つむじかぜ さんならではの選択でしょうか?
ブロンド美人も極上ですな♪ ^q^
ところでっ
クラブのお姐さんとの「アフター」って??
本来の大事な目的って???
・・・と突っ込んでみる (´m`)
by Labyrinth (2013-05-16 18:13) 

DEBDYLAN

天使の分け前といえば、ウイスキーを真っ先に思い出す僕^^;
この映画面白そうですね!!

by DEBDYLAN (2013-05-18 09:55) 

non_0101

こんばんは。
私もアルコールはダメなのですけど、この映画は面白そうですね~
早めに観て来たいです☆
by non_0101 (2013-05-19 20:22) 

つむじかぜ

> Labyrinth 様
うっ...と突っ込まれてみる( ̄Д ̄;;
by つむじかぜ (2013-05-20 01:01) 

つむじかぜ

>DEBDYLAN様
やはりご存知ですね、DEBさんは! 洒落た表現ですよね^^
by つむじかぜ (2013-05-20 01:04) 

つむじかぜ

>non_0101様
お酒が駄目でも、十分愉しめる内容です。
呑まなくてもほろ酔い気分です(⌒-⌒)
by つむじかぜ (2013-05-20 01:06) 

きさ

はじめまして。
タイトルがいいですね。実はタイトルで見ようかなと思いました。
ウイスキーの原酒が樽の中で熟成中に蒸発して失われる事をいうのですが、私は開高健のエッセイで知りました。
前半のグラスゴーでの救いのない主人公の描きかた方がリアルです。
ここがやはりローチ監督らしいのでしょうか。
後半の話はモラル的にちょっとどうかなと思いましたが、まあこれだけ大変な状況ならこういう展開もありかなと。
そしてラストのラスト、意外な展開に思わず涙が、、
by きさ (2013-05-25 07:02) 

つむじかぜ

>きさ様
ご訪問、ありがとうございます!

ちょっぴりほろ苦いけど喉越しの良いウイスキーみたいな映画でしたね^^

by つむじかぜ (2013-05-27 00:59) 

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