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『007 スカイフォール』 [上映中飲食禁止じゃ!]

 
なんてったってジェームズ・ボンド50周年なのだ[パンチ] 
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 監督:サム・メンデス
原作:イアン・フレミング
撮影:ロジャー・ディーキンズ
 
キャスト
ダニエル・クレイグ
ハビエル・バルデム ベレニス・マーロウ ナオミ・ハリス レイフ・ファインズ 
 アルバート・フィニー ベン・ウィショー ジュディ・デンチ
 
6代目ジェームズ・ボンド〜ダニエル・クレイグ〜3作目の今作は、記念すべき節目の力作であると共に、過去の007シリーズとの決別の作品であるのかもしれない。
 
ダニエル初主演の前々作『カジノロワイヤル』は、出色の出来であった。かつてのスタイリッシュな歴代ボンドのイメージとは一線を画した武骨ダニエルが、これまでの女は抱いても絶対に惚れない007パターンを打ち破り、Newボンドを見事に演じ切った。IT機器と肉体を武器にしたアクションの配合が絶妙な上に、愛と裏切りをラブロマンス並みに濃密に描いたこの作品は、シリーズ中の最高傑作と言っても過言ではない。
しかし、次作の『慰めの報酬』は、傷心のダニエル・ボンドの亡き恋人への復讐劇の感が強過ぎて、「コクもキレもない」普通のアクション映画に成り下がった。
 
そして、期待と不安が入り混じりながらの新作の鑑賞は、過去作には感じられなかった深い感慨を伴うものとなった。
 
いつもながらの唐突な追走劇から幕を開けたオープニング。仲間の誤射により、激流の川底に沈んでいくボンドを待ち受けるのは、Adelが歌うテーマソングという洒落た構成に、冒頭から引き込まれる。
今作は過去2作との関連性・連続性は全くない。MI6本部までをも爆破する目的不明の見えない敵との戦いを、今まで触れられる事の無かったボンド出生の秘密と絡めながら描いて行く。
 
配役が魅力的。
ハリーポッター・シリーズによりヴォルデモート役が板についてしまったレイフ・ファインズ。(私は「イングリッシュ・ペイシェント」での火傷男の印象の方が強いのだが)彼が、融通の利かない官僚役を装いながらも実は熱血・元軍人という役どころをクールに演じる。
狂気の男が似合い過ぎるハビエル・バルデム。『ノーカントリー』での暴走殺人者のイメージが強過ぎるが、『BIUTIFUL』の深い哀愁を秘めた演技も特筆ものだった。その彼が金髪に染め上げ、偏執狂のサイーバーテロリスト、シルヴァ役に挑戦である。
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そして今回のボンド・ガールは・・・
 イブ役ナオミ・ハリス
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セブリン役ベレニス・マーロウ
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お二人ともナイス・ボディーでございます[ハートたち(複数ハート)]
 
今作の「観光地案内」は、イスタンブール・上海・スコットランドである。上海沖合の孤島という設定で、長崎県・軍艦島がロケ地として使用されたのは興味深い。
 
そして最終決戦は、スコットランドの「スカイフォール」の地となるのである。この後半の映像が特に素晴しい。
冷え冷えとした英国特有の曇天の下、1台の走り去るクルマは1964年式アストンマーチン『DB5』
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そのボンド・カーに乗るのは、IT全盛時代から取り残され、肉体的にも峠を越した諜報員・ボンドと引退勧告を迫られているMI6のトップ・Mの二人だ。常に上司と部下の絶えない諍いを繰り返す二人には、永年の間に敬意と信頼が築かれ、いつしか母子のような絆が生まれていた。彼らは、死出の旅に向かうが如く、強大な敵「過去」との対決場所にボンドの生地を選ぶのである。
 
シルヴァとの最期の戦いは熾烈を極め、死線を彷徨うボンドとMの運命は如何に...
 
今作の真のボンド・ガールはまさしく『M』(ジュディ・デンチ)なのである[どんっ(衝撃)]
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過酷な時間の経過。
数々の功績を残し、MI6のトップとして君臨し続けたM。
伝説のトップエージェントとしてMI6の顔にまで上り詰めたジェームズ・ボンド。
ふたりにも徐々に「老い」が訪れ、本人の意思とは別に周囲の評価は変化して行く。
 
目の前の敵と共に、「老い」という敵とも戦う「人間ボンド」を描く初めての試みだ。過去作のように007が「かっこ良過ぎ」ないのである。 
「M」への想いが歪曲し、テロリストと化したシルヴァに「もうひとりの自分の姿」を見たボンドは、日増しに落ちる能力に戸惑いながらも、生まれ育った地で自分の使命と戦い方を取り戻して行く。 
 
次作からの新展開を予感させる今作のフィナーレは、キャスティングがどう変わろうが「007」は永遠であると訴えているようだ。渥美清しか演じられなかった「フーテンの寅さん」とは一線を画す、英国映画の伝統まで感じさせる異色のアクション映画の傑作となった。
 
 

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Labyrinth

つむじかぜ さまの筆致がまたしても冴え渡っております!
痒いところに手が届くような!? 見事な観察眼に脱帽です。
しかし・・・ ブロンド美女が  「・_・ )(「・_・)キョロキョロ  いな~い
ん!? M?
by Labyrinth (2012-12-11 01:55) 

KEI

なるほど、評判通りって感じですね!(^'^)
by KEI (2012-12-12 00:09) 

つむじかぜ

>Labyrinth様
(□。□-) 究極のブロンド美女ですな〜ラストのMに泪、泪でした。
by つむじかぜ (2012-12-12 00:25) 

つむじかぜ

>KEI様
ある意味、007シリーズの終わりであり、新たなスタートです!
by つむじかぜ (2012-12-12 00:28) 

(。・_・。)2k

久しぶりに観たい映画です
やっぱ アクション映画の王道ですよね(^^)

by (。・_・。)2k (2012-12-12 01:33) 

haku

ジェームズ・ボンド、50周年なんですねぇ!
このシリーズには、自分もいろんな思い出があります♪
この新作も、凄く興味深いですねぇ☆
by haku (2012-12-12 21:40) 

末尾ルコ(アルベール)

あらゆる面で素晴らしい映画でした。
シリーズ中一番好きな作品です。

                         RUKO
by 末尾ルコ(アルベール) (2012-12-12 22:42) 

non_0101

こんばんは。
見応えのある作品でしたね~
アクションもMへの深い想いも引き込まれました☆
by non_0101 (2012-12-12 23:12) 

つむじかぜ

>(。・_・。)2k様
半世紀の伝統はダテではございません^^
by つむじかぜ (2012-12-12 23:59) 

つむじかぜ

>haku様
何しろ小生が1歳の時からのシリーズですからね(-。−;)
hakuさん同様、作品ごとに当時のいろんな思い出と重なります^^
by つむじかぜ (2012-12-13 00:02) 

つむじかぜ

>末尾ルコ(アルベール)様
単なるアクション映画の枠を、完全に超越しましたね!
by つむじかぜ (2012-12-13 00:04) 

つむじかぜ

>non_0101様
クールなボンドのMへの想いに、グッときました!
by つむじかぜ (2012-12-13 00:06) 

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