『汽車はふたたび故郷へ』&『おとなのけんか』 [上映中飲食禁止じゃ!]
少々、更新が滞っておりました。珍しく仕事が立て込んできまして...ソネブロ重いし(-。−;)
それでも映画だけは合間を縫って観ておりましたので、まとめてご報告
「汽車はふたたび故郷へ」
監督/脚本:オタール・イオセリアーニ
製作:マルティーニ・マリニャック
撮影:ライオネル・カズン
ジュリー・グルンバウム
音楽:ジャルジ・バランチヴァゼ
キャスト:ダト・タリエラシュヴィリ
ビュル・オジエ
ピエール・エテックス
旧ソ連の一共和国だった頃のグルジア。牧歌的な少年時代を過ごしたニコ(ダト・タリエラシュヴィリ)は、やがて夢をかなえて映画監督になった。だが、苦労を重ねた結果ようやく完成したニコの映画は検閲によって“上映禁止”と判定されてしまう。ある日、フランスから大使がやってきた。ニコは友人の手引きで、大使の滞在先を訪れる。盗聴に気を配りつつ会談するニコたちだったが、その一部始終は何者かによって監視されていた。投獄され、暴行を受けるニコ。祖父母が用意してくれたワイロ代わりのワインを片手に、ニコが政府高官のもとへ出向くと、高官は遠慮がちに出国を勧めるのだった。このままここにいても、ほんとうに作りたい映画を作ることは出来ない――。ニコは、生まれ育ったグルジアを離れ、フランスへ旅立つ決心をする。自由を求めてパリにやってきたニコは、幸いにもプロデューサーに作品を気に入られ、彼らの出資をもとに映画制作に取り掛かる。だが、撮影所でニコを待ち受けていたのは、映画に商業性を求めるプロデューサーとの闘いだった。「独創性が強すぎる」「映画は90分を越えてはならん」果たして、ニコは自分が作りたい映画を作ることが出来るのだろうか……。(goo映画より)
またまたマイナー文芸作品にどっぴり浸ってきました。岩波ホールで。
「グルジア」と聞けば、旧ソ連傘下の一共和国ぐらいの知識しか持ち合わせていないのだが、 そのグルジア生まれのオタール・イオセリアーニ監督の自叙伝的作品である。
共産党支配下の同国で、念願の映画監督となったニコが、激しい抑圧と検閲に苦しみ、自由を求めてパリに渡るのだが、そこでも業界の古い体質とコマーシャリズムにより彼の作品はズタジタにされてしまう。傷心のニコは、また故郷に戻る決心をする・・・という若きオタール監督の悲惨な時代を綴っているのだが、この描き方が素晴しいのである。
全くの悲壮感の欠片も感じさせない「人生賛歌」に仕上がっているのである。何度打ちのめされても、多くの逆境までも受け入れて飲み込み、淡々とされど熱い心は失わずにポジティブに歩き続ける姿。辛辣なシーンにも、さらりと笑いを織り込んでいく絶妙の演出。少年時代の仲良し3人組の微笑ましい回想シーンを平行して描き、観る者の気持ちを逆に和ませていく。
そしてカメラワークが絶品 随所に「ドキッ」とするカットが散りばめられている。
野花が踏みにじられ宅地開発されていくニコ製作の映画シーンや、少年少女がぶら下がった貨物列車が厳かに動き出すアングルなどには、鳥肌が立った。
そして、この少女役の可愛らしい事ときたら オジサン、にっこり
原題「chantrpas」とは“歌えない人”転じて『役立たず』の意味だそうだが、オタール監督らしいウイットに富んだ標題である。
「最高に深刻なことを、微笑みをもって語る」をモットーとする同監督の生きる歓びを切々と謳った洒落た叙情詩である。 そして奇怪な黒人の人魚の正体はいかに???
続けてもう一本
「おとなのけんか」
監督:ロマン・ポランスキー
脚本:ヤスミナ・レザ サイード・ベン・サイード
原作:ヤスミナ・レザ
製作:サイード・ベン・サイード
撮影:パヴェル・エデルマン
音楽:アレキサンドル・デスプラ
キャスト:
ジョディー・フォスター
ケイト・ウィンスレット
クリストフ・ヴァルツ
ジョン・C・ライリー
ニューヨーク、ブルックリン。ザッカリー・カウワンがイーサン・ロングストリートの顔を棒で殴ったという11歳の子供同士の喧嘩の後、彼らの両親が話し合いのため集まることに。リベラルな知識層であるロングストリート夫妻(ジョン・C・ライリー/ジョディ・フォスター)は、カウワン夫妻(クリストフ・ヴァルツ/ケイト・ウィンスレット)を家に招くが、冷静に平和的に始まったはずの話し合いは、次第に強烈なテンションで不協和音を響かせる。やがてお互いの本性がむき出しになっていき、夫婦間の問題までもが露わになっていくのだった……。(goo映画)
楽し過ぎる作品であった
妙齢のオスカー2大ブロンド女優の火花散る競演 これは、絶対に見逃しません
奇才ロマン・ポランスキー監督が今回仕掛けるのは、マンションの1室で繰り広げられる4人劇だ
ですので、CGも3Dもロケも全く関係無しの安上がり作品〜とはいえ俳優のギャラはメチャ高いぞ〜的映画である。
まるで舞台演劇そのものを観ているような、いやそれ以上の臨場感と迫力
ヤスミナ・レザの原作はブロードウェイの舞台でも評判となった戯曲であるが、今作は4人の名優達のハイレベルな演技から人間の本性をえぐり出したように映像化したポランスキー監督の手腕が光る。
「鬼気迫るコメディ」
上映時間約90分間、俳優陣の口論が延々と続く異色の構成であるが、飽きるどころか知らぬ間に二組の夫婦のバトルの真っただ中にいる自分に気付く。
11歳の子供同士の喧嘩の後、親同士が話し合う場面からこのバトルは静かに展開する。
加害者側のカウワン夫妻にクリストフ&ケイト。辣腕弁護士と投資ブローカーの富裕層カップルは、人生勝ち組の肉食系。
被害者側のロングストリート夫妻にジョン&ジョディー。日用品店経営者と専業主婦の質素な夫婦は、自然と芸術を愛する草食系。
ビジネス派とリベラル派の夫婦達が、序盤は儀礼的に大人の話し合いを始める訳だが、時間の経過と共に互いに相手の性格、家庭環境、夫婦関係を知るに及び、相容れない雰囲気が漂ってくる。そして価値観の相違から本音が漏れ徐々に激論に発展していく。お互い冷静になる為のウィスキーが更にバトルに火を点け、矛先がいつしか自分のパートナーにも向かって行く収拾不可能な状況に陥っていくのだが・・・
とにかく笑えます。この茶番劇を芸術作品まで引き上げたのは、やはり俳優陣の演技力に尽きる。
目の前で実際に繰り広げられているようなリアルな口論と表情には、一片も作り物の匂いがしない。
そして彼らが真剣になればなるほど滑稽さが倍増してくるウイット溢れる絶妙な演出に拍手を送りたい。
色香を振りまくブローカー妻(ケイト・ウィンスレット)が泥酔し、ついに◯◯するシーンには抱腹絶倒だった
歳は取っても美しいブロンド妻は素敵だなぁ〜と思いつつ、夫婦の真の姿を垣間見たようで一瞬、寒気が走った恐るべし「ノンストップ・コメディ」の傑作である
おとなのけんか、観たいなぁ....
でも、いまちょっと忙しくて....
by 怪しい探麺隊 (2012-03-03 09:32)
こんにちは。
どちらも観たいです~!
見逃さないように頑張りたいです☆
by non_0101 (2012-03-04 11:24)
ポランスキー監督の
おとなのけんかは、観たい候補のひとつです!
by ぷーちゃん (2012-03-04 17:44)
汽車はの方を見に行きたいです。
こういうのは地方ではなかなか機会がないですね。
by うた (2012-03-04 17:54)
本日3月10日23時より、NHKで2011年3月11日のマーラーの演奏会のドキュメンタリー番組が放送されます。その番組の情報を調べていてブログを拝見した次第です。番組、私は観る予定です。
by 通りすがり (2012-03-10 15:17)
>怪しい探麺隊様 non_0101様 ぷーちゃん様 うた様
どちらも隠れた小さな名品って感じです!
是非、ご鑑賞を^^
by つむじかぜ (2012-03-13 00:37)