『トゥルー・グリット』

節電の影響で暫く中止されていた地元の映画館のレイト・ショーが、今週辺りからボチボチ再開されてきた。私のようなサラリーマンでも、さすがに17時台の上映開始では平日観賞は不可能に近いので、ありがたい。久しぶりに見る大きなスクリーンが、無性に気持ちを和らげてくれた。

監督・製作・脚本：ジョエル・コーエン　イーサン・コーエン

製作総指揮：スティーヴン・スティルバーグ

撮影：ロジャー・ディーキンス

音楽：カーター・バウエル

原作：チャールズ・ポーティス

キャスト：ジェフ・ブリッジス　マット・ディモン　ジョシュ・ブローリン　バリー・ペッパー　

ヘイリー・スタインフェルド　ブルース・グリーン

21世紀最強の西部劇との出会いと新たな名女優の誕生を喜びたい

ジョン・ウェイン主演「勇気ある追跡」（1969年）のリメイク。

14歳の少女マティ・ロスは、父親を殺した元雇い人・チェイニーへの仇討ちを遂げる為、酔いどれで片目の初老保安官・ルースター・コグバーンを雇い入れる。

別の容疑でチェイニーを追う若きテキサス・レンジャー・ラビーフも加わり、３人の犯人追跡劇が始まる・・・

昔の西部劇らしい？極めて簡単明瞭なストーリーである。

その作品に光輝かんばかりの命を吹き込んだのは紛れもなく、（True Grit=真の勇気）を表現した３人の追跡者の名演技に負う処が大きい。

どう見てもこいつが一番悪役顔だろうというルースター役のジェフ・ブリッジスの重厚な怪演。

今までの役柄には無い初々しさと愚直さを魅せたラビーフ役のマット・ディモン。（まるで別人のようだ）

このベテラン２大俳優を向こうに回し、鮮烈な演技を披露したのが若干14歳のマティ役のヘイリー・スタインフェルドなのである。

純真無垢なれど迸るまでの強靭な精神力を持った少女を熱演。

また、ことあるごとに弁護士話を持ち出して、大人達を煙に巻くコケティッシュな一面などは、背伸びをした思春期の少女の姿を見事に表現した。

二人の大人を追って愛馬と無心に河を渡るシーンの演技とは思えない迫力に、驚嘆する以前に胸が熱くなった。

決して絶世の美人というわけではない。

今後、彼女のトレードマークになるであろう団子っ鼻が、かえって人間としての意志の強さを物語っている。

人形的な美しさではなく、人間的な美しさを感じる魅力溢れる女優であると感服しきり。

なぜか遥か昔に味わった同じ感覚が、脳裏でこだました。

私は「タクシードライバー（1976年）」でのジュディー・フォスターとの衝撃的な出会いを思い起した。

娼婦役を演じた当時13歳の彼女に、言葉では言い表せない霊感にも似た煌めきを感じたのであった。

その後２度のオスカーに輝いた彼女に感じたインスピレーションを、ヘイリーにも憶えざる得ないのである。

この娘は絶対、大物になる

とりあえず10年後が楽しみな新人女優との邂逅だけでも個人的には大ヒットの作品なのだが、それと肩を並べて映像〜カメラアイの素晴しさには溜め息が出る。

ロジャー・ディーキンス〜あの名作「ショーシャンクの空に」の撮影監督と聞けば、さもありなんである。

彼のスチール写真家時代の作品がhttp://www.rogerdeakins.com/index.phpで観れるが、見事な構図と光の捉え方が、今作品にも存分に表現されている。

アメリカ伝統の西部劇が、新時代の感性（コーエン兄弟）と視点（ロジャー）と表現者（ヘイリー）により、美しく研ぎすまされた作品に生まれ変わった　絶品です

さらに音楽もGOOD

おまけ

この映画の上映前に観た新作予告編〜007とインディ・ジョーンズ競演の西部劇！と思いきや〜

荒唐無稽〜この作品も違った意味で楽しみです

コメント 4

こんばんは。
そうそう！夜6時までとかでは平日は無理ですよね。
夜に映画館のスクリーンに出会えるのがとっても嬉しいです(^^)
ヘイリーちゃん良かったですよね～
次作はどんな役を演じるのか楽しみです☆
by non_0101 (2011-04-07 21:00) 

西部劇っすか!!
ひさしぶりに観てみたいです。

by DEBDYLAN (2011-04-07 23:41) 

＞non_0101様
どんな役柄でもできそうな未完の大器ですね。
次回作は、もう少し色っぽい乙女を期待^^;
by つむじかぜ (2011-04-08 01:35) 

＞DEBDYLAN様
さすがハリウッドの伝統芸はあなどれません！
by つむじかぜ (2011-04-08 01:36)