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Steve Hackett〜ジェネシス黄金期の弦惑師 [〜ロックの神さん〜]

私が幼少の頃、我家の音響装置は(記憶が曖昧ではあるが)こんな感じの卓上型電蓄機だった。
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子供雑誌の付録のソノシートか、おふくろが買って来た音楽雑誌(クラシック)のこれまた付録のドーナツ盤を聴く位の、ほとんど音楽的造詣のない家庭環境だった。私自身も、親父から譲り受けたモノラルのラジカセで、当時はやりのカーペンターズ辺りをFM放送で聞きながら勉強に励む模範的少年であった。

そんな私を洋楽ロックに目覚ませたのが、中学時代の親友である。学校帰りに立ち寄る裕福な彼の家の居間には、なんと「コンポーネントステレオ」が鎮座していたのである。プレーヤー・アンプ・スピーカーがバラバラに存在している姿を初めて目の当たりにした衝撃!しかも彼の姉御が洋楽かぶれだったらしく、所有レコードの豊富さに圧倒された。なにしろドーナツ盤しか私は見た事がなかったのだから・・・

「俺、今、これが気に入ってるんだ。」と彼がかけたレコードが「LED ZEPPELIN4」と「GENESIS NURSERY CRYME」だった。今まで接した事のないジャンルの音楽が、最新のステレオ再生装置から怒濤のように吹き出てくる。13歳の少年に「天国への階段」と「THE MUSICAL BOX」は、あまりに衝撃的だった。その日を境に、私のロック小僧人生がスタートしたのであった。

彼の家に3日と開けずに通う生活が1年ほど続いた中3のある日。我家に突然、「コンポ・ステレオ」が現れた。音楽に全く興味のない親父が、誰かに唆されたか、ボーナスをはたいて購入したのだ。今でも新鮮に覚えている。テクニクスのプレーヤー、ヤマハのアンプ、トリオのスピーカー、アカイのカセットデッキ。ステレオが欲しいなどとねだった訳でもなく、親父のきまぐれからだったのだろうが、本当に嬉しかった、まぶしかった。
しばらく演歌を聴いていた父はすぐに飽きたらしく、このステレオは、すぐに息子の独占物と化した。

前置きが、なが〜くなったが、初めて私が買って、このステレオで聴いたLPがこれだ。(当然安い輸入盤)
Houses of the Holy
フォックストロット(DVD付)(紙ジャケット仕様)
すでにツェッペリン、ジェネシスの熱狂的Fanの私と友人。しかし、彼の家のレコードは、ほとんど姉貴の所有物であり、コレクションが完璧であった訳ではない。高価なLPを中学生がポンポン買える時代ではない。要するに彼の家に無いアルバムを購入し、交換しあうという涙ぐましい少年達の友情である。

当時の中学生で、ZepplinはともかくGenesisに嵌っている者は皆無。日本音楽界ですら、英国での圧倒的な人気にも関わらず知名度は低かった。友人と二人で、誰も知らない秘密を共有しているような優越感を味わっていた。「僕らはこんな凄いバンドを知っているんだぞ」みたいな・・・そういう意味では、友人の姉貴(女子高生)の趣向には頭が下がる

メンバーが3人になり、ポピュラー路線に大転換してからの80年代の活躍は知られる処だが、ピーター・ガブリエル、スティーブ・ハケットを擁した第2期ジェネシスは、プログレ界での孤高の存在であり、現在でも熱狂的ファンは多い。とりわけ私は、メインのガブリエルよりもギターのハケットが大のお気に入りである。

静と動。曲全体の調和を図る見事なバッキング。美しいメロディーライン。かと思えば凶暴なソロ。
とにかく、彼のギターの「音」が好きだった。適度に歪んだレスポール系の図太い音、うっとりする程延びるサスティーン、哀愁を帯びたヴァイオリン奏法、タッピング奏法の元祖!

大曲「Supper's Ready」の間奏
「月影の騎士〜Firth of Fifth」の有名なソロ

ライヴ(紙ジャケット仕様)
ライブの名盤。「The Knife」お気に入りの鬼気迫るギタープレイ
スタジオ録音と寸分狂わぬステージ演奏とピーカブのパフォーマンスで、当時の英国でライブバンドNO.1の座を不動にものとしていた。しかし、この曲だけはオリジナルとはかけ離れた演奏をしていたようである。(切れるピーカブと冷静な4人の対比もなかなか乙)


リリース後、ガブリエルが脱退。詩情性が稀薄になるも、根本的なジェネシス・サウンドは大きく揺らぐ事は無かった。それは、フィル・コリンズがヴォーカルをとり4人で出したTrick of the Tail (W/Dvdを聴けばわかる。

その間に、ハケットが出した初のソロ・アルバムがある。
ヴォヤージ・オブ・ジ・アカライト(紙ジャケット仕様)

中ジャケットも素敵
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当時、LPで購入し、このサウンドに驚喜した。
サポートミュージシャンが、ピーカブを除いたジェネシスメンバーであるとはいえ、まさにジェネシス・サウンド[exclamation]
ジェネシスのメンバーの中で、一番ジェネシスらしさを持っていたのは「スティーブ・ハケット」だったと再認識したのである。


「Ace Of Wonnds」

その後ジェネシスは、フィル・コリンズ中心のバンドに変遷し、 ウインド&ワザリング(静寂の嵐)(紙ジャケット仕様) リリース後、彼も脱退。
当時、私は「ジェネシス初来日」チケットを握りしめ、友人と中野サンプラザホールに赴いた。(発売後、ハケット脱退のニュース[もうやだ~(悲しい顔)])当然、ステージにはガブリエルもハケットも不在。複雑な想いでコリンズのハイトーンを聴き続けた記憶が蘇る。・・・まさか、この3人で後に全米No.1バンドになるとは夢にも思わず・・・

袂を分けたハケットは、マイペースでソロ活動を続けながら、1986年元YESのスティーブ.ハウGTRを結成。
Genesis&YESの元ギタリストによる脅威のツィン・リード・ギターバンドだった。しかしながら、彼らが抜けた後に、両バンドが大ブレイクした焦りか、ハウ在籍のエイジア色の強いPOPな音作りに変貌してしまった。

当然の事ながらGTRは長持ちせず、ハケットはソロ活動に回帰。最近はクラシックへの傾斜を強くしながらも、ライブではジェネシスナンバーを織り交ぜつつ、いまも激しくかつ深みのあるプレイを続けている。

初めてGenesisに触れた思い出の曲「The Musical Box」 やはりこの頃の彼らは凄い[exclamation×2]
痩せてるガブリエル、長髪のコリンズ。そしてハケットの個性溢れる演奏〜金字塔じゃ〜
そして直近のハケット様
Genesis時代の『Trick Of the Tail』から「Los Endos」〜間奏にDancing With the Moonlit knightのソロ入り〜いまだ変態プレイ健在[どんっ(衝撃)]

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haku

つむじかぜさん、この記事読んで鳥肌立ちましたよ!!
自分もジェネシスは好きで好きでたまりませんでした!
いやぁ、firth of fifth のハケットのギターソロ 大好きで、
コピーして、いつも弾いてました♪
あのギターは、何であんなに音が伸びるんだろうと感心してましたww
ジェネシスは、どの時期も味があって良かったですが、
やっぱり、ピーター・ガブリエルが居た頃が、一番良かったかなぁ!
久々にレコード聴きたくなりました^^
by haku (2010-12-05 10:19) 

ぷーちゃん

めちゃくちゃ同意!お金のない頃の思い出、
友達とLP交換し合ってカセットにダビングして
聴きまくっていた頃が・・・。古き良き時代じゃ。
ジェネシスは、最後の方は殆ど聴かなくなりましたが、
静寂の嵐までは、ヘビーローテしてましたね。
確かにギターの音色も好きで、ハケットのソロ1stは、
すぐに飛びつきました。ビデオ見ると、コリンズのドラムも
いいし、最強のバンドの一つですね。
by ぷーちゃん (2010-12-05 11:09) 

つむじかぜ

>haku様 ぶーちゃん様
おぉ〜第2期ジェネシスFanが居られて嬉しい限りです!!
中学の親友以外、このネタで盛り上げる仲間が全くいませんでしたから。
それにしても、お二人とも私と同年代のようですなぁ^^;
by つむじかぜ (2010-12-05 18:00) 

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