「カラフル」 [上映中飲食禁止じゃ!]
監督:原恵一
声優:冨沢風斗 宮崎あおい まいける 南明奈 麻生久美子 高橋克実 入江甚儀
素敵なストーリーです。
大きな過ちを犯して死んだ魂が、天上界で再チャンスを与えられ、今、息を引き取ったばかりの少年の体に入り込むというお話。原作は未読だが、命・家族・友情をテーマに、思春期の子供達の揺れ動く心理を丁寧に描いた、非常に好感の持てる作品に仕上がっていると思った。
緻密過ぎる程の背景や実写にペイント加工した鮮やかな風景が、いかにも漫画的描写の人物を、かえって浮き上がらせ、彼らの心理的抑揚をも投影している。また、各登場人物達の内面が、きわめて現実的かつ自然に描かれている。
遥か昔の中学生時代を想い起こし「あ〜、そういえば、こんなタイプのクラスメートがあの席に座っていたなぁ。」
ひとりよがりの反抗期を懐かしみつつ「こんな気持ちで親を軽蔑していたっけ・・・」
〜と、誰しもが共有できる感覚を見事に映像化。特に主人公が心の変化と成長(試練)により、「真」のアイデンティティの回復と共に、ひとつ上の階段を登りきり“少年から青年”に変貌する様は、感動ものである。そして「玉電」を回顧させ、元少年少女の爺婆共までもノスタルジーに浸らせるあざといまでの演出=敢えて許そう。
最後の家族の夕食のシーンでは、不覚にも涙腺が緩んでホロリとしてしまった。
敢えて難を言えば、キャストと声優のミスマッチと音楽のnonセンスか。これほど完成された映像にわざわざ「アマ声優」を使用するのは、作品のレベルを下げる自殺行為。名俳優=名声優で無い事は周知の事実だし、まして経験の浅いタレントなど問題外。(宮崎あおいだけは別格。こいつは天才だ!)挿入曲に関しては、miwaのイメージソング・EDソングは百歩譲るとしても、場面ごとのBGMはどうも私の感性に合致しなかった。
全編一貫して感情移入を続けられなかった原因は、突然の場違いな「声」「音楽」により、「夢から醒めて」しまった事に尽きる。
しかし、それを補っても余りある圧倒的な映像と構成力。主人公の同世代だけでなく、「路面電車」を知る年代にも、(すぅぅぅぅぅ〜)と、心が洗われる佳作である。
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