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『神々と男たち』 [上映中飲食禁止じゃ!]

昨日、埼玉県のとある街で仕事の会合があった。会議後、時節柄、質素な食事会での話題は一昨日のこの街での停電の話しになった。
「いやぁ〜、生まれて初めて蠟燭と懐中電灯だけでの夕食を妻としましたわ。不思議な感じでしたよ。無音の真っ暗闇で3時間。会話が途切れるのが恐かったですわ。昔の人が、子だくさんの理由もなんとなく解りましたよ^^;」

東京23区内での計画停電地区は、足立区と荒川区。私の住む墨田区は対象外である。停電の思い出と言えば、幼少の頃、近隣の落雷でブレーカーが落ちた時くらいなもので、せいぜい10分もすれば復旧していた。
その該当する2区の区長が「不公平極まりない」と東京電力に対し、猛烈な抗議をしているとか・・・
あほらしいというか、公平な犠牲の分担などと聞こえの良い議論以前に、東電側の明確な説明不足が起因しているのは確かである。そしてその東電の機能不全を把握できない政府の愚が最大の日本の不幸。

埼玉の方の話しが続く。
「それで長〜い停電が終わった直後に、突然どんな音が聞こえたと思います?道路工事のアスファルトを掘り起こすダッダッダッっていう例の騒音ですよ。土木予算の帳尻合わせをこんな時にもしている。金も人も余っているんなら、東北の道路を早く直してこいと言いたいよ!」

まさに典型的な縦割り行政の歪みである。日本中の役人・政治家さん、やるべき仕事が他にあるはずです。
もっと刮目せよ[ちっ(怒った顔)]

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2010年カンヌ国際映画祭グランプリ受賞
監督:グザビエ・ヴォーヴォワ
脚本:エティエンヌ・コマール
撮影:キャロリーヌ・シャンプティエ
キャスト:ランベール・ウィルソン マイケル・ロンズデール オリヴィエ・ラブルダン ジャック・エルラン
フィリップ・ローダンダール ロイック・ピション グザヴィエ・マリー ジャン=マリー・フラン 
オリヴィエ・ペリエ サブリナ・ウアザニ ファリド・ラービ

敬虔なクリスチャンでもなければ狂信的なイスラム教徒でもない、年に何度か墓参りに行く程度の不信心な浄土真宗門徒である私が、この映画の本質を語れる訳が無いのだが・・・
しかし、エンドクレジットが流れる中、押し寄せる深い悲しみと寂寥感と共に一種の清冽な想いが駆け巡ってきた。

1996年アルジェリアで実際に起きた、武装イスラム集団によるフランス人修道士・誘拐殺人事件が題材である。

アルジェリアの或る町で、フランス人修道士達が現地のイスラム教徒と宗派を超え、互いの尊敬と慈愛を持って永年に亘り交流を続けていた。
しかし国内は、イスラム原理主義者と仏政府に後押しされたアルジェリア軍の内戦が激化、彼らの町にもテロの脅威が押し寄せてきていた。
外国人を標的にするテロから逃れるようアルジェリア・フランス両政府からの帰国要請を受けるが、住民達の拠り所である修道院を離れない7人の修道士達。
しかし、徐々に魔の手は彼らにも及ぶ・・・そして最期に修道士達が命を賭して下した決断とは?

アーメン・インシュラー」という言葉。
日本人が寺院で柏手を打つ無作法とは大違いで、キリストとアラーの神へ同時に祈る時に修道士が使った言葉だ。
異教徒に対しても深い慈しみをもって接する真の気高い宗教家の姿である。
過激派グループが初めて修道院に乱入した際、クリスチャンがコーランを引用し「キリスト教徒とイスラム教徒が隣人である」と説き、過激派のリーダーがクリスマスイブに略奪に及ぼうとした非礼を詫びるシーンは感動的であった。
イスラムの聖典コーランには「聖書は正しきものであり、イエス・キリストは正当な予言者である。ユダヤ教徒もキリスト教徒も天国に行ける」という記述があるそうだ。神学に関して無知な私ではあるが、元々は同じ神を崇めていたはずが、時代とともに解釈が変わり、今では憎しみ合い対立する宗教として位置づけられている事に衝撃と悲しみを受ける。

すでに世界はイデオロギーの対立は終焉し、民族・宗教の争いの時代に突入している。しかし、その根幹は、富の偏在であり、経済戦争である。貧しき者は富める者から奪う事を考え、富める者は既得権を守る為、貧しき者を抑圧し続ける。それを宗教を盾にして戦う事など、それこそ神も畏れぬ蛮行なのである。

白鳥の湖」が流れる中、修道士達が最期の高邁な決意を固めるシーンは、胸が熱くなり、彼らの神々しい表情のアップに涙が止まらなくなる。
単なる殉教としては片付けられない「現代の理不尽」と「崇高なる精神」を、ラストの雪山を歩く修道士達の姿に感じざるを得ない。
世界中の人間すべてが物質的幸福になる時は永遠に来ないだろうが、ひとりでも多くの人が解り合い、幸福で安らかな心を宿すことは可能ではないかと願うのみである。


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non_0101

こんにちは。
あの白鳥の湖のシーンはずっと忘れられないものになりました。
映画館で観ることが出来て良かったです☆
by non_0101 (2011-05-14 10:20) 

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