『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』 [上映中飲食禁止じゃ!]
昨年のオスカー候補作品を終映直前に滑り込み鑑賞
監督
モルテン・ティルドゥム
キャスト
ベネディクト・カンバーバッチ キーラ・ナイトレイ
マシュー・グッド マーク・ストロング チャールズ・ダンス アレン・リーチ
第2次世界大戦下の1939年イギリス、若き天才数学者アラン・チューリング(ベネディクト・カンバーバッチ)はドイツ軍の暗号エニグマを解読するチームの一員となる。高慢で不器用な彼は暗号解読をゲーム感覚で捉え、仲間から孤立して作業に没頭していたが、やがて理解者が現れその目的は人命を救うことに変化していく。いつしか一丸となったチームは、思わぬきっかけでエニグマを解き明かすが……。(シネマ・トゥデイより)
ほぼ無名のノルウェー出身のモルテン監督の初の英語作品である。
英語圏デビューを感じさせない英国調の格調高き映像を下地に、歴史に抹殺された一人の天才数学者の運命と彼の功績を、日の当たる世界に示した史実に基づいた秀作だ。
アラン・チューリング(1912〜1954年)・・・ コンピューターの誕生に重要な役割を果たした英国の数学者。理系の学生ならいざ知らず、恥ずかしながらガチンコ文系の小生は、彼の存在を知らなかった。彼の多くの偉大な功績の中で、永年に亘り封印されていたのが、大戦中のドイツ軍の暗号拝読に関してである。
本作は、破竹の勢いのドイツ軍の進撃に対抗し、英国内で極秘裏に進められた暗号解読の舞台裏をプロジェクトのリーダーに任命されたアランの半生と共に描いた感動作である。
「時に想像しえない人物が、偉業を成し遂げる」
圧倒的な演技だった...ベネディクト・カンバーバッチ
中学校時代、学年に一人ぐらい、とんでもない天才だが変な奴はいたものだが、アランは100万人にひとりいるかいないかの天才であり、飛び抜けての変人だった。コミュニケーション能力の欠如と高過ぎる自尊心により、一般社会からは奇異な目で見られる存在。彼の少年時代を並行して描く事により、徐々に形成され大人になったアランの人格を、ものの見事にベネディクトは表現しきった。
外部と遮断された彼の世界の扉を開き、廻りの人々との橋渡し役となったのが、彼の最大の理解者であり、親友であり、婚約者となったジョン・クラーク。彼女も数理的能力に長けた大天才だが、一般常識を持った所謂才媛である。
そんな美と知を兼ね備えたジョンをキーラ・ナイトレイが演じる。
アランと婚約した時点で、彼女も変人の仲間入りではあるのだが...難解なパズルを瞬時に解き明かす能力を買われ、暗号解読メンバーに加わったジョン。先天的な同性愛者であるアランとの性別を超えた信頼関係が熟成されていく様を、カンバーバッチとの見事な呼吸で、ごく自然に見せてくれた。
婚約したとはいえ、世間の男女関係とは異質なので、今回は彼女の色っぽいシーンは封印だが、やっぱりキーラは美しい英国伝統の常にエレガントを纏った正統派女優の道をしっかりと歩んで欲しいと思う。地毛は黒髪だが、おじさんはずっと応援するのだ
ドイツ式暗号・・・エニグマの解読は至難の業な上に、アランの性格からメンバーとの諍いが絶えず、プロジェクトは何度も暗礁に乗り上げる。だが、ジョンという外連味の無い媒介効果により、メンバーの信頼感が徐々に醸成されていく。そして、或る晩のパブでの出来事...ジョンの友人のたわいない会話をヒントに、遂にアラン達は、エニグマを解き明かすのだった
ストーリーは、サスペンス並みの緊張感を伴いつつハッピーエンドに向かうと思いきや、軍の最高機密として解読チームはすべての証拠を隠滅して解散。そしてアランは、ジョンとの婚約も解消する。
数年後、大学教授に収まり、研究に余念の無いアランが、突如逮捕される。容疑は「同性愛」の罪であった。当時の英国の法律により、ホルモン剤治療の名目で男性機能を剥奪された彼は、ジョンと再会した頃には廃人同様の生活を送っていた...英国を大戦の勝利に導いた影の功労者は、母国の法律により社会的に抹殺されるのだった...
少年時代の親友であり初恋の人であったクリストファー。その早世した彼の名を付けた暗号解読機と最期まで共にいたアランの哀しき生涯。社会順応性を持たずとも卓越した才能で、母国の平和に貢献できたのは、彼の中の純なる魂を認めた人々に恵まれたからであろう。ただ、その熱き情熱も時代の渦の中で、脆くも消し飛んでしまった。
カンバーバッチの名演と趣き深い演出により描かれた、機械と人間の狭間で揺れ動いた哀しき魂の末路に、涙を抑えることが出来なくなった「つむじ風」でした
同時に、同性愛者を社会的に抹殺し続けた英国の過去の恥部を、あえて外国人監督の視点から厳しく描かせ、自国スタッフで製作・公開する懐の深さと偽善的な興行主義の双方に思いを寄せつつ、「我が国でこんな芸当が可能か」とも考えるのでした
面白かった と言っては天才に失礼かも知れませぬが ^^;
とても興味深く観られましたね。
でも最期があんな風では本当に悲しすぎます。(;_;)
by Labyrinth (2015-04-23 01:47)
> Labyrinth 様
期待以上の面白さと切なさでしたね!
by つむじかぜ (2015-04-24 00:45)
この映画に関しては妻が珍しくずっと起きていた。大当たりでした。
by yuzman1953 (2015-04-24 17:46)
> yuzman1953 様
良かったですね!
この映画で寝られる強者も少ないとは思いますが...( ̄ー+ ̄)
by つむじかぜ (2015-04-27 00:31)
機会がったら是非、みたいです。
by JUNKO (2015-04-27 20:42)
> JUNKO 様
ぜひ、ご覧ください^^
期待してなかったけど、なかなかの良作です!
by つむじかぜ (2015-05-01 02:53)