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『福福荘の福ちゃん』 [上映中飲食禁止じゃ!]

 意外と評判が良さそうなので...
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監督/脚本:藤田容介
撮影:池内義宏
美術:安宅紀史
 
出演
大島美幸(森山中)
水川あさみ 荒川良々
芦澤興人 飯田あさと 黒川芽以 平岩紙 山田真歩 北見敏之
 
古めかしいアパート「福福荘」で暮らし、福ちゃんの愛称で親しまれている中年塗装工の福田辰男(大島美幸)は、仕事に忠実で血の気が多く女性には二の足を踏んでしまう性格。そんな福ちゃんのもとに、中学時代に初めて好きになった女性の千穂(水川あさみ)がおよそ20年ぶりに訪ねてくる。カメラマン修業中の千穂と一緒に過ごすうちに、福ちゃんはかつて自分を女性恐怖症に陥れた張本人の千穂に思いを募らせていく。(ぴあ映画生活より) 


「お笑い女芸人を男装させてのベタなコメディ」と、高を括っていると返り討ちに遭う、喜劇という皮を被っシュールなヒューマン・ドラマの秀作である[ぴかぴか(新しい)]
 
 
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今時、探すだけでも難儀であろうこんな古臭いアパートに住む福田辰夫はベテラン塗装工。仕事に忠実、義理堅く世話好きな彼は、仲間から「服ちゃん」と頼られ親しまれる存在だが、女性関係だけは大の苦手。
この不器用かつ不格好な独身男性を森三中の大島美幸が演じる。
 
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本物の「おっちゃん」よりも「おっちゃんらしい」雰囲気を漂わせ、宝塚歌劇とは別次元の男装パフォーマンスを見事に披露した感じだ。粋でシャイな男で、まるで「フーテンの寅さん」風なのだが、女性が演じる事により、男臭さの裏に彼の隠された心の傷を垣間見せるのが、この作品の演出のツボでなかろうか。
 
今作は、親友役の荒川良々の怪演やアパート住民達の奇行、セクハラカメラマンなど、随所にギャグを埋め込み、冒頭から一気に観客を笑いの殿堂に引きずり込んで行く。
 
荒川良々の演技は神がかり的だな[わーい(嬉しい顔)]
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だが、福ちゃんの初恋の女性(水川あさみ)の登場により、彼が女性にだけは心を開けない理由が、少年時代の忌わしい過去と共に浮き彫りにされていく。こんなに頼もしく男気のある福ちゃんが抱える心の闇。
そして、いつしか、登場人物の多くが、心に傷を負った人々であるのに、観る者は気づかされるのである。
 
この作品を、仮に小説として活字で読んだとしたら、救いようの無い気分に落ち込んで、頁をめくる指も重くなるだろう。そこが映画の魔法というべきか、一癖も二癖もある俳優陣の個性的な演技と、笑いを散りばめた演出により、テーマは重いがライトなコメディに仕上がってしまうのだ。
 
圧倒的に「変な役者達」に囲まれ、常識的な演技と美貌が際立った感のある水川あさみ嬢。
美女優軍団に入れば分が悪いが、今キャストなら「可愛さ」倍増に見えてしまうから不思議なものだ[かわいい]
(今まで観た彼女の作品の中で個人的にサイコーです[揺れるハート]
 
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学校や職場で日常に起きているイジメや、幼少期のトラウマにより、心に傷を抱えた人々の苦しみを正面から捉えた力作だ。しかし、彼らが暗い世界から戦い這い出る姿を、決して悲惨に見せず、優しい視線で描いているのが最大の見所である。
 
変人と心の病いに冒された人の差なんて紙一目。あまりにも可笑しな登場人物が多過ぎて、鬱々と悩むのが馬鹿らしくなるほどの映画のパワーにも満ち溢れている。まさに、大島を始め役者陣のチカラの賜物[ぴかぴか(新しい)]
 
心の病いが繁殖する現代社会において、人間同士の触れ合いがいかに大切な事かを、今作は強く訴える。
古き良きニッポンを思い起こさせる、昭和の香りを感じるレトロ調に仕上げた美術・音楽も秀逸。
ありそうで無かった邦画の新しいスタイルだ。
 
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現実には有り得ないハッピーエンドにも拍手喝采なのだ[exclamation×2] お見事[パンチ]
 
 
 

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