SSブログ

『LIFE!』 [上映中飲食禁止じゃ!]

 
fa2be26e6cc9ad7085bc3f31e23058c5.jpg
 
監督:ベン・スティラー
脚本:スティーブン・コンラッド
原作:ジェームズ・サーバー
 
キャスト
ベン・スティラー クリステン・ウィグ
シャーリー・マクレーン ショーン・ペン アダム・スコット
 
雑誌『LIFE』の写真管理部で働くウォルター・ミティは毎日、有名人や歴史に名を残す人々の顔を眺めて暮しているが、本人の日々はいたって平凡で、現実逃避のために空想ばかりしている。そんなある日、彼は雑誌の最終号に掲載する写真がないことに気づく。(ぴあ映画生活より)
 
「ライフ誌」に郷愁を感じる年代である。
 
10_chv3.jpga0227034_9385732.jpg
 
131217-walter-mitty-fake-life-cover-10.jpg300pxgordonparkslife03081968.jpg
 
写真雑誌の草分けとして、フォトジャーナリズムの象徴として、僕らの世代にとっては神格化された雑誌だ。
40年近く昔、一流フォトグラファーの作品が表紙を飾る、この「LIFE」とファッション写真をARTの域まで引き上げた「VOGUE」の2誌は、当時、写真家に憧れていた少年つむじ風にとって、未だ見ぬ海外の世相を伝える夢のような雑誌であり、たった1枚の写真が持つとてつもない力を教えてくれた教科書でもあった。
 
当作品は、Webの波に押されて休刊(廃刊)となったLIFEのフィルム管理部門に勤める一人の男の物語だ。
妄想癖の有る、そのさえない主人公にベン・スティラー。自作自演の八面六臂の大活躍である。
「メリーに首ったけ(1998年)」でのキャメロン・ディアス相手の迷演技が懐かしいが、一流コメディアンとしての魅力が、今作でも十二分に発揮されている。
 
LIFE最終号の表紙を飾るはずだったネガが紛失。管理責任者のウォルター(ベン・スティラー)は、そのネガの在り処を聞き出すため、伝説の放浪カメラマン・ショーン(ショーン・ペン)を追う旅に出る。
常にアドベンチャーな妄想に浸ってばかりのウォルターが、生まれて初めて踏み出したチャレンジが、自分の思い描いていた以上の冒険譚に変わって行く様が実に楽しい。
 
1389114087-3502938552_n.jpg
 
secret life of walter mitty trailer.jpg
 
野性味溢れる冒険者に大変身した彼を見るにつけ、小生も含めてしがないサラリーマン諸氏の「遊び心」を大きく刺激することであろう。男というのは、どんなに歳を取っても、子供の頃に染み付いた「夢」を捨てきれないものだから...
ウォルターの旅は、本人が意図もしていなかった大自然との出会いを生み出す。厳寒のグリーンランドの海からアイスランドの火山、そして雄大なヒマラヤ山脈の映像が、自然を前にしたちっぽけな人間の存在と、それに挑む人間の高潔さを際立たせる。
 
flashmupload_1390649017459_82620_60906.jpg
 
sddefault.jpg
 
tu-negocio-para-cambiar-el-mundo-186.jpg
 
そして何よりも、私の心を揺さぶったのは、世界の秘境を渡り歩く冒険写真家ショーンの姿である。
 
Sean-Penn-in-SLWM.jpg
 
出番は少なかったが、ショーン・ペンの存在感は流石であった[exclamation×2]
 
作品自体は、夢を捨てきれない男達への応援歌にコミカルとファンタジーを交えた好感の持てる佳作である。
宣伝文句も「この映画には[exclamation]がある」という具合で、夢の実現を疑似体験させる狙いが窺えるが、私はその主題以上に、LIFE誌の廃刊に想いを馳せる。
 
デジタルカメラ・Web全盛の現在、既に絶滅危惧種になりつつあるフィルムカメラ。ショーン・ペンが持つのは、日本が誇る名機「ニコンF3」ではないか[パンチ]そして、ネガフィルムから印画紙に焼きつける暗室作業。そこから製版・印刷し完成された紙の雑誌が売店に並んで行く...一昔前の光景だ。
 
急造暗室と化した物置で、フイルムを現像し、引き伸ばし機で印画紙に焼く。薬品に浸しながら徐々に浮き出て来る画像に、胸躍らせた学生時代。白黒写真1枚を完成させるだけでも一晩を要した。
今や、デジカメで撮った画像を印刷するのに1分とかからない時代だ。そして元カメラ小僧の小生自身も、最近はデジイチ一辺倒で、このIT進化の恩恵に預かりながら、時間・経費含めて効率的なカメラライフを楽しんでいる訳である。
 
the-secret-life-of-walter-mitty-movie-wallpaper-14.jpg
 
この作品を見ながら、遠い昔に置き忘れてしまった一心不乱に取り組む手作りの歓びを、叶わなかった自分の夢と共に、しんみりと噛み締めるのだった。
アナログでしか成し得ない「人の温もり」を表現したような洒落たラストシーンに、心が洗われる[ぴかぴか(新しい)]
 
嗚呼、東京に置きっぱなしのフィルムカメラを持ってこようかなぁ〜[かわいい]
 
劇中、デヴィッド・ボウイの「Space Oddity」が挿入され、更に哀愁を深めます[もうやだ~(悲しい顔)]
 
 

nice!(44)  コメント(6)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 44

コメント 6

non_0101

こんにちは。
冒険と共にラストシーンがとても好きな作品でした。
あんな冒険してみたいです~
体力がかなり必要ですけど(^^ゞ
by non_0101 (2014-04-12 21:34) 

DEBDYLAN

面白そう!!

by DEBDYLAN (2014-04-14 23:30) 

シルフ

コメディアンのベン・スティーラーが本気を出してる映画で気になってました。見に行きたいです。
by シルフ (2014-04-15 11:12) 

つむじかぜ

> non_0101 様
素敵なラストシーンでしたね^^
ショーン・ペンも憎い事しますね!
by つむじかぜ (2014-04-16 00:55) 

つむじかぜ

> DEBDYLAN 様
我々世代には、特に共感する部分が多いですよ^^
by つむじかぜ (2014-04-16 00:57) 

つむじかぜ

> シルフ 様
ベン・スティラーの渾身の一作です!
是非、ご鑑賞を^^
by つむじかぜ (2014-04-16 00:58) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。