『アメリカン・ハッスル』 [上映中飲食禁止じゃ!]
素晴しい〜これこそ映画の愉しさ
詐欺師アーヴィン(クリスチャン・ベイル)と、その相棒で愛人のシドニー(エイミー・アダムス)。彼らはFBI捜査官リッチー(ブラッドリー・クーパー)
に逮捕されるが、無罪放免を条件におとり捜査への協力を持ち掛けられる。それは、架空のアラブ人富豪をダシに、カジノ利権に群がる政治家やマフィアを一網
打尽にするというもの。アーヴィンとシドニーは、標的のカーマイン市長(ジェレミー・レナー)に近づくが、二人の仲を嫉妬(しっと)するアーヴィンの妻ロザリン(ジェニファー・ローレンス)がおとり捜査の邪魔をする。(シネマトゥデイより)
監督・脚本:デヴィッド・O・ラッセル
音楽:ダニー・エルフマン
CAST
クリスチャン・ベイル ブラッドリー・クーパー エイミー・アダムス
ジェレミー・レナー ジェニファー・ローレンス ロバート・デ・ニーロ
オープニング〜粋なJAZZのリズムに扇情的なテナーサックスの呟き〜そして、主人公アーヴィンの他人とは思えない「これ」を見せられれば、気持ちは一気に私も詐欺師の仲間入り
「ザ・ファイター」「世界にひとつのプレイブック」のスタッフ・キャストが集結、合体したデヴィッド組とも云うべき魅惑の映画人達の手による傑作サスペンス・コメディの完成である
不遇の幼少期から這い上がってきた似た者同士の男女、アーヴィン(クリスチャン・ベイル)とシドニー(エイミー・アダムス)が出会い、更なる高みを目指して手を組む。二人は愛し合いながら、人の弱みにつけこむ違法の金貸しで財を成して行く。中年太りで禿隠しの一九分けアーヴィンとモデル顔負けの華麗さを纏ったシドニーの取り合わせが、コミカルで微笑ましい。出会いの誘い文句が歯の浮く様な「デューク・エリントンを聴かないかい?」で、美女を口説けるのだから、男は容姿よりも「自信に満ちた姿」が大事なのだと再認識
そんなアーヴィンは、実は妻子持ち。郊外の邸宅に住む、これまた妖艶なブロンド美人だが、少々精神を病んでいるロザリン(ジェニファー・ローレンス)と連れ子のダニーの生活の面倒もしっかりみている。この辺りも、男の器量というか生来の詐欺師の才能に、同性として拍手を送りたい
しかし、絶好調な詐欺師コンビも、FBIのおとり捜査で万事休す。牢獄に繋がられたシドニーを助ける為の条件は、汚職政治家を捕まえるおとり捜査に協力する事であった。この仕掛けの考案者が、若き捜査官リッチー(ブラッドリー・クーパー)。貧しい移民生活から抜け出せない彼は、大きな成功を収めての出世の足がかりを求めていた。
前半の人物描写が非常に丁寧である。随所に笑いを散りばめながら、登場人物全員の性格そして現在の生活環境からそれぞれの背負っているモノまで自然と炙り出していく。立場は違えど、アーヴィンとリッチーが似た境遇から這い上がろうとした同類であるのが窺える。
リッチーが狙った大物政治家は、カーマイン市長(ジェレミー・レナー)。家族と地元をこよなく愛する清廉な男である。地元隆盛の為のカジノ誘致に腐心する彼の弱みにつけ込んで、リッチー達は賄賂工作を仕掛けて行く。交渉が進むにつれ、カーマインとアーヴィンは意気投合、家族ぐるみの付き合いに発展。ハチャメチャ妻・ロザリンが嵐を呼び、リッチーとシドニーが愛の急接近、カジノ誘致にアメリカ最大のマフィア(ロバート・デ・ニーロ)まで乗り込み、賄賂疑獄は史上最大規模に拡がって行く。
ぐちゃぐちゃに絡み合う人間関係の中、果たして結末はいかに〜最後に笑うのは誰だ
実話を元に練り込まれた脚本である。
1979年の「アブキャス事件」が題材で、FBI捜査官がアラブの大富豪になりすましての囮捜査が功を奏し、カムデン市長、上・下院議員数名が芋づる式に逮捕された。当時の日本では、ほとんど大きいニュースとして取り上げられなかったが、FBIの捜査方法に関しても物議を醸した大事件なのである。
そんなシリアスな米政界を震撼させた事件を、コメディタッチの洒落た作品に仕上げたデビッド監督のセンスは、やはり只者ではない。そして、脚色された架空の人物のはずのアーヴィン達のなんと人間味溢れる描写方法
もちろん、芸達者な俳優陣の熱演を抜きには語れない。
まずクリスチャン・ベイルの変身〜肉体改造は圧巻・驚愕である。
あの精悍な「バットマン」と同一人物などと誰が信じるであろうか
今作にも存在感あるマフィア役で出演したロバート・デ・ニーロが「レイジング・ブル(1980)」で激太りの姿を見せ、世間をあっと云わせたが、それと匹敵する役者魂だ(単に太るだけなら小生も得意技なのだが...)
そして何と云っても赤毛とブロンドの2大女優の競演
特にジェニファー・ローレンスは、スクリーンに登場するだけで「映画の色」を変えてしまう力を既に身に付けている。これまた「ハンガーゲーム」とは一線を画す演技
アーヴィンの浮気を確信したロザリンが、トイレでシドニーにからむ演技は鳥肌モノだった。
小生の熱愛する女優なので贔屓目もあるだろうが、いまだ23歳 まさに銀幕に降り立ったうら若き女神だ。
それにしても、どうして外人さんは、こんなに胸開きドレスが似合うのだろう。
SEXYだが、厭らしさを感じさせない華々しさは、日本人には持ち合わせていない魅力だ。垂れ乳の美学である
デヴィッド監督お得意の挿入音楽の素晴しさも健在
時代設定に合わせた70年代ロックから監督お好みのJAZZ、そしてダニー・エルフマンの味わい深いオリジナルスコア。70年代に青春を謳歌した小生からすれば、涙・涙のレパートリーが続出だ。
American Hustle (Original Motion Picture Soundtrack)
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: Legacy Recordings
- 発売日: 2013/12/24
- メディア: CD
映像技術の進化により、観客の視聴覚に強く訴える映画。深く想いに耽られる欧州に代表される文芸作品。
ジャンルに関わらず、「いい映画はいい」のだが、古きハリウッドを彷彿させる、手作り感溢れる今作のような作品が、私は一番好きである。脚本、演出、演技、音楽、カメラが、映画のプロ達の手により、奇跡の調和を成した時、至福の時が訪れる。そんな思いにいたった「映画の面白さ」が詰まりに詰まった傑作だった。
トリッキーかつユーモアな展開の中に、『ひとの想い、人間の真の姿』が見え隠れする絶妙な仕上がり。
「ハラハラ、ドキドキ」や「涙、ボロボロ」よりも「ワクワク」させてくれる映画が、やっぱり愉しいなぁ
素晴しき役者達に改めて拍手を
(ジェニファー可愛いよぉ)
ジェニファー・ローレンスは私も大好きな女優さんです。
ってまだ5本ぐらいしか見てませんが。
by シルフ (2014-02-06 12:40)
(^_^ゞ 初日に観てきたのにレビューが書けずにおりま~す・・・ ぽりぽりです。
ジェニファーの、“ちょいと変な女” 路線の演技は拍車が掛かりっぱなしで!? 恐れ入りますね~(笑)
エイミーも大胆薄ものドレスで頑張っていましたね~ ^^;
つむじかぜ さんの ワクワク♪ わかりますっ ^q^ 音楽も良かった♪
by Labyrinth (2014-02-06 16:35)
これはもう…最高!でした。
語り始めればきりなし・・・そんな映画です。
RUKO
by 末尾ルコ(アルベール) (2014-02-06 18:07)
僕のお腹の方がもっと凄いっす^^;
コレ観てみたくなりました^^。
by DEBDYLAN (2014-02-06 23:09)
> シルフ 様
私の鑑賞数もそんなものですが、最近の演技の深さには目を見張るモノを
感じる女優さんですね^^
by つむじかぜ (2014-02-07 01:18)
> Labyrinth 様
いやはや愉しい作品でした(●⌒∇⌒●)
もう一回、観に行くつもりで〜す!
by つむじかぜ (2014-02-07 01:20)
> 末尾ルコ(アルベール)様
ジェニファーの存在あっての作品でしたものね^^
彼女の進撃は停まる事を知りません!
by つむじかぜ (2014-02-07 01:23)
> DEBDYLAN 様
親近感を感じる「あの腹」でした!
頭髪の方は、まだ小生は踏ん張っていますが...( ̄Д ̄;;
by つむじかぜ (2014-02-07 01:28)
作品の良さが伝わってきますね。(^^)v
もっと評価されてもいいような気がしてますが…
by KEI (2014-02-08 11:22)
> KEI 様
来月のアカデミー賞で、正当な評価が下される気がします( ̄▽ ̄)
by つむじかぜ (2014-02-09 01:14)