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小澤征爾を聴く [素人の扉〜Jazz&Classic〜]

 
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先月の日本経済新聞の「私の履歴書」では、指揮者・小澤征爾の半生が連載された。
 
クラシックファンならずとも、彼の名と風貌は日本人なら知らぬ者はいない世界的指揮者である。
一方で、熱狂的な彼の信奉者でない限り、「世界のオザワ」の歴史とプライベートを熟知する者は少ないであろう。
今回の新聞掲載は、「人間・小澤征爾」を世に知らしめる意味でも、大変意義深いものだ。
 
音楽的素養に恵まれ、幼児期からピアニストを目指しながらも、親に隠れて熱狂していたラグビーで指を骨折。音楽家への夢を断たれた少年が、「指揮者」の存在を知り、一念発起する場面。まさに「怪我の功名」とも言うべき人生の悪戯に、小澤氏の運命を感じざるを得ない。
 
下宿代もままならぬ極貧のフランス修行時代、言葉もろくに話せぬ癖に指揮者コンクールに挑戦し、いきなり優勝。
カラヤン、バーンスタインとの出会い、有名な「N響事件」、「日本フィル」の解散と「新日本フィル」設立。ボストン交響楽団の音楽監督として30年のキャリア。断片的に記憶に残るニュースが、次々と繋がっていく。そして同時に、人間・小沢征爾の姿が浮き彫りとなっていく。
世界に飛び出しても全く物怖じしない天性の破天荒さ。こよなく「酒と女と音楽」を愛する者に、言葉も国境も必要ない無い事を、身をもって実証させた。無論、彼が類い稀なる音楽的才能を持ち、絶え間ない努力と研鑽を続けた結果であるのは言うまでもないのだが。そして、周囲との軋轢を恐れず、自己を貫き通す強き信念と行動力。
 
指揮者によってオーケストラの音が変わるのは何となく理解できる程度のクラシック・ファンの小生なので、小澤征爾の音楽家としての「凄さ」は、正直判らないのが本音だ。同じ交響曲を何人もの指揮者で聴き比べる芸当などしないし、そんなにCDを買う余裕があったら見知らぬロック・アルバムをジャケ買いしてしまうので...
 
そんな私の小沢征爾コレクションです[あせあせ(飛び散る汗)]
 
マーラー:交響曲第1番<巨人>(花の章付き)

マーラー:交響曲第1番<巨人>(花の章付き)

  • アーティスト: マーラー,小澤征爾,ボストン交響楽団
  • 30年以上昔に買った初・小澤が、この作品。もちろんアナログLPです。

    ボストン交響楽団の常任指揮に就任したばかりの40代の溌剌とした演奏。
  • ここから「世界のオザワ」の歴史が刻まれていくのである。
  • 元々、ボストン響は、優しく繊細な弦を中心としたフランス音楽的アプローチが特色だったが、小澤が重厚なドイツ系音楽にも対応できるよう大改革を施したらしい。マーラーにハマっていた頃の思い出の1枚です^^
武満徹:ノヴェンバー・ステップス

武満徹:ノヴェンバー・ステップス

  • アーティスト: 小澤征爾,武満徹,トロント交響楽団,鶴田錦史,高橋悠治,横山勝也
  • 今回の連載に触発されて衝動買いした作品。
  • 初の常任指揮となったトロント交響楽団で収録した武満徹の現代音楽。
  • 外国人にとっては未知の楽器である琵琶、尺八の日本の名手が参加。
  • モロに前衛音楽です。私の音楽理解度を超えているのでコメントできませぬ。
  • ただ、和楽器と洋楽器の邂逅というべきか、重なりあった音色の響きが感動的です。
ドヴォルザーク・イン・プラハ

ドヴォルザーク・イン・プラハ

  • アーティスト: ドヴォルザーク,小澤征爾,ヨーヨー・マ,パールマン(イツァーク),フィルクスニー(ルドルフ),ボストン交響楽団
  • 小沢征爾指揮とは知らずに購入したCD。
  • ドヴォルザークと云えば「新世界」しか知らなかった小生にとっては、魅惑の楽曲集。
  • ヨーヨー・マ(チェロ)、パールマン(バイオリン)、フィルクスニー(ピアノ)の稀代の名手を迎えてのライブコンサートの収録だが、クラシック素人の小生でも感動しました!
  • すべての音符が、身体の芯に溶け込んでくようである。


チャイコフスキー:弦楽セレナード/モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジー

チャイコフスキー:弦楽セレナード/モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジー

  • アーティスト: モーツァルト,チャイコフスキー,小澤征爾,サイトウ・キネン・オーケストラ
  • 意味不明の楽団名と思っていた「サイトウ・キネン・オーケストラ」が「斎藤記念楽団」だと、今回の連載でようやく知った。小澤氏の桐朋学園時代の師匠であり恩師の齋藤秀雄の没後10年に催されたメモリアル・コンサートが契機となり発足したオーケストラである。
  • 子供の頃から親しんだチャイコフスキーのメロディなのだが、全く別の魂を持ったような壮大な規模の演奏で胸に迫って来る。とにかく、弦のハーモニーが美しく聴き惚れます。
  • これが、日本のオーケストラでも、その能力を最大限引き出す指揮者の魔術なのかもしれない。

 

プライベートの彼の一面で云えば、長男が俳優の小沢征悦くらいしか印象になかったが、酒と女にまつわるエピソードも多く掲載され、非常に興味深く読ませて頂いた。征悦の母が、実は小澤氏の2番目の妻であり、当時の売れっ子ファッションモデルだったなど知る由もなかった。

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 小沢征悦(確かに似ている)

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 妻・入江美樹(1969年結婚〜美女と野獣と揶揄されたそうだ)

指揮者にとってオペラとシンフォニーは、車の両輪」と恩師カラヤンが述べた境地に、小澤氏も辿り着く事になる。2002年からウィーン国立歌劇場の音楽監督に就任。 不肖私めは、その境地には遠く及ばない。長い交響曲を聴くだけでぐったりするのに、3時間超や半日続くオペラを愉しむ力を、未だに持ち合わせていない。女性ヴォーカルは滅法好きだが、クラシックの声楽の理解度は低い。

「もっともっと好きな音楽の裾野を広げたい」と思う今日この頃です[ぴかぴか(新しい)]

日本人として初めてウィーン・フィル・ニューイヤー・コンサートの指揮者に抜擢された2002年の模様 


 

そういえば、2月の「私の履歴書」は市川猿翁が連載中。こちらも楽しそうだ[かわいい]


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JUNKO

お元気になられたようでホッとしています。一時はほんとうに心配しました。またエネルギッシュな活動を無理せず続けてほしいと思っています。
by JUNKO (2014-02-07 19:21) 

つむじかぜ

> JUNKO 様
御歳78。まだまだ素晴らしい音楽を聴かせてくれるはずです!
by つむじかぜ (2014-02-09 01:16) 

「巨人」LP

私も、「巨人」のLPもっています。部屋にジャケットを飾っていました。あのころのボストンには、トランペットにチャ-リ-・シュレイタ-さんがいましたよね。なつかしいサウンドです。http://blog.livedoor.jp/swkumi66/
by 「巨人」LP (2014-06-09 10:34) 

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