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〜永遠のスターレス〜キング・クリムゾン [〜ロックの神さん〜]

新春一発目の音楽紹介は、この偉大なる英国プログレッシブ・ロック・バンドから。
 
 
 
キング・クリムゾン〜1969年のデビューアルバム『クリムゾンキングの宮殿』は、当時不動の人気を誇るビートルズの「アビーロード」を1位から引き摺り落とした歴史的名盤として名高い。
 
In the Court of the Crimson King

In the Court of the Crimson King

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Discipline Us
  • 発売日: 2004/11/04
  • メディア: CD
レコード会社の陰謀に呆れ果てるほど何度となくリマスター、再発されたこのアルバムは、今聴いても45年の時の経過を忘れさせる完成度の高さである。ビートルズの人気に並んだ逸話より、ロックに叙情性や様式美を持ち込んで成功した初めての作品と呼んだ方が正しいと思われる。
 
デビューから約半世紀、メンバーチェンジと解散・再結成を繰り返しながら、キング・クリムゾンは2014年の今もグループとして存在している。(目立った音楽活動は見られないが)
結成当初からロバート・フリップ(ギター)のワンマンぶりは有名な処であるが、他のメンバーとの絶妙な力関係が、個々の主張する音楽同士のぶつかり合いとなり、それが、かつてない魅力溢れる前衛ロックの完成となったのが初期の作品群である。グレッグ・レイク、イアン・マクドナルド、ピート・シンフィールド、etc.初期の珠玉の4枚のオリジナルアルバムは、彼らの音楽性を抜きには語れない。静寂と狂気〜「エピタフ」と冒頭の「21世紀の精神異常者」を聴けば、それが判るはずだ。
 
しかし、フリップ大将は、そりの合わないメンバーは次々と解雇し、また彼のワンマンぶりに嫌気をさしグループを去る者が続出、キングクリムゾンはわずか3年で活動停止を余儀なくされるのだった。
 
1973年。すべてをリセットしたロバートは、新メンバーにてキング・クリムゾンを再起動。
ロバート・フリップ(ギター)ジョン・ウェットン(ベース・ヴォーカル)ビル・ブラッフォード(ドラムス)の3人が核となり、複雑なリズムと即興演奏を基本としつつ、様式は崩さず叙情性も醸し出す、前人未到のロック絵巻を造り上げていく。「俺が目指した音楽は、これなんだ!これが出来るメンバーを探していたんだ」常に廻りと軋轢を引き起こし、変人扱いされていたロバートの、狂信的なまでの音楽探究は、ついに日の目を見る事となるのだった。
 
実は、小生はこの時代のクリムゾンがまさに「狂信的」に好きなのである。
私の「英国プログレの神」は、第2期ジェネシスとこの再結成キング・クリムゾンだ[パンチ]
 
太陽と戦慄(紙ジャケット仕様)

太陽と戦慄(紙ジャケット仕様)

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: WHDエンタテインメント
  • 発売日: 2006/02/22
  • メディア: CD
原題『LARK'S TONGUE IN ASPIC』は、直訳すれば(ゼリーの中の雲雀の舌)。
これを『太陽と戦慄』というジャケットからの連想に基づいた邦題に変えたレコード会社のセンスに、私は拍手を送る。6曲中4曲がインストルメンタル。ゲスト・ミュージシャンにデビッド・クロス(ヴァイオリン)、ジェイミー・ミューア(パーカッション)を迎えた本作は、前衛音楽にロックの香りを吹き込んだ意欲的な作品である。
 
太陽と戦慄パート2(1973年)
 
 
YESから引き抜かれたドラマーのビル・ブラッフォード〜さすが、ロバートが見初めた腕前だ〜独特の間を活かしたドラミングは見事。聞き惚れるジョン・ウェットンのベースランニング、悲鳴を上げるデビッドのヴァイオリン。
ロバート・フィリップのギター・スタイルは、大まかに2種類だ。JAZZギター風のノーマル・トーンと思いっきり歪んだファズ音である。特に後者のサスティーンを効かせた時は、ジェネシスのスティーブ・ハケットを彷彿させるのだが、遥かにノイジーで、人間がギリギリ心地良く聴ける瀬戸際の音色を放つ。
 
グループは、翌年「暗黒の世界」を製作。そして、このメンバーでの最終作であり、後に歴史的名盤となる「RED」を立て続けに発表する。
 
Red: 40th Anniversary Series (Wdva)

Red: 40th Anniversary Series (Wdva)

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Discipline Us
  • 発売日: 2009/10/01
  • メディア: CD
何度このアルバムを聴いた事か...そして何度、感慨に耽った事か...
ロバートが、当時のメンバーで成し得る最高の音楽を、「極限状態」〜メーターのレッドゾーンに見立ててネーミングされた作品である。
裏ジャケット
IMG_0020.jpg
 
1曲目の表題曲からぶっ飛びものだった[パンチ]
 
 
 
シンセサイザーと聴き間違えそうなフリップのギターがメインテーマを奏で、多重録音された突き刺す様なリフが左右チャンネルから鳴り響く。ジョンのベースラインは、ギターに負けずとてつもなく重々しく激しく、ビルのドラミングは縦横無尽に駆け巡る。アドリブの入り込む余地の無い完成された曲なのに、この迸る緊張感は何なのだ!
まるで楽器で殴り合いしながらも、見事なハーモニーを醸し出すインストルメンタル曲に、当時の私は、かつてない衝撃に見舞われた。
2曲目Fallen Angel、3曲目One More Red Nightmareでは、ジョンの渋いヴォーカルに管楽器も絡み、Redの緊張感を持続したロックが展開される。4曲目Providenceは、ヴァイオリンのデヴィド・クロスが加わり、うってかわって各演奏者のしのぎを削ったような即興演奏主体の前衛音楽。
 
そして最終曲のStarless。11分の大作である。
デビューアルバム中の名曲「エピタフ」の叙情性を彷彿させるメローなメインテーマを、メロトロンをバックにロバート十八番のサスティーン音が奏で、ジョンのヴォーカルにアルト・サックス(袂を分けた初期メンバーのイアン・マクドナルドがゲスト参加)、の呟きとチェロの調べが重なる。一転、ロバートのスローテンポの単純なリフにリズム隊が重々しく絡み、それは次第に熱を帯び、まさにレッドゾーンの演奏に突入。メル・コリンズのソプラノ・サックスも挿入され、そして序盤のテーマを繰り返しながら劇的なフィナーレで幕を閉じる。
スターレス〜星の無い宇宙〜光の無い暗黒の空虚感を、美しい旋律と鬼気迫る演奏で構成されたプログレロックの名曲である。何度聴いても目頭が熱くなる、私にとってのキングクリムゾンと言えば、この曲に尽きるのである。
 
レッドゾーン」に突入したバンドは、当然の如くこのアルバム発表後に解散する。ロック・ミュージシャンとしては異常なほどの完璧主義者である孤高のギタリスト・ロバートに他の選択の道は無かった。
 
7年後の1981年、ロバートは旧知のビル・ブラッフォードに超絶技ベーシストのトニー・レビンそして、同じギタリストのエイドリアン・ブリューを招集し、新生キングクリムゾンを結成。完璧なリズムに特異なツィン・ギターの絡みは、一部の批判を浴びながらも成功を収め、日本にも初来日を果たしたが、1984年にまたも解散。
 
更に10年後の1994年に、ツィンギター、ツィンベース、ツィンドラムスという前代未聞のダブルトリオ編成で、クリムゾンを再々々結成。「レッド時代にやりたかったが、未熟な技術により出来なかった音楽を目指した」ロバートの言葉通りの、音楽の傾向は「Red」そのものなのだが、寸分の狂いも無い驚愕の演奏。リズムの深淵なる世界に取り憑かれたロバートのひとつの答えだったのかもしれない。
 
「VROOM VROOM」(1995年来日コンサート)
 
 
このバンド体制も長続きせず、2000年以降はロバート、エイドリアン、トレイ・ガン(bass)、パット・マステロット(drums)で2枚のアルバムを発表。その後は、バンド自体は継続状態ではあるが、この3年間は目立った音楽活動は報告されいない。昨年末、オフィシャルサイトで2014年9月バンド再始動が発表された。今度はスリー・ドラム体制でメル・コリンズの復帰も取りざたされている。さて、今度は如何なる「キングクリムゾン」を聴かせてくれるのだろうか、ロバート・フィリップ67歳〜未だに彼の音楽探求の旅は続いているようだ。
 
 
しかし、やはり私にとってのキングクリムゾンは70年代のこのメンバーに尽きるのである。
そして、この曲がすべてと云っても過言ではないのだ。
 
「Starless」(1073年ライブ) 長いっす[あせあせ(飛び散る汗)]
(スタジオ盤とは違い、SAXの代わりにデヴィド・クロスのヴァイオリン)
 
 

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コメント 16

haku

勿論、大好きです~!!
学生の頃、ウォークマンで聴きまくってました♪ ^m^
by haku (2014-01-19 12:46) 

moz

キング・クリムゾン、懐かしいです。 ^^
by moz (2014-01-19 18:22) 

つむじかぜ

> haku 様
僕らの時代では、必聴バンドですよね。
私もヘッドホンで聴きながら寝ていました^^
by つむじかぜ (2014-01-20 01:07) 

つむじかぜ

> moz 様
懐かしいですよね^^
いまだ、現役バンドというのも凄いですけど!
by つむじかぜ (2014-01-20 01:08) 

C_BoY

わたくしはピーター・ガブリエルLoveです。そこで盟友トニー・レビンLoveです。
キング・クリムゾンは難解そうで殆ど聴いたことがないのにコメント失礼しました。
by C_BoY (2014-01-20 10:04) 

シルフ

キング・クリムゾン大好きでした。とりわけ「RED」は最高ですね。
シルフちゃんはフォーリン・エンジェルですから(笑)
ブートレグ含め全てのレコード持ってましたよ。
何せ絶頂のビートルズを叩き落した唯一のバンドですからね。
by シルフ (2014-01-20 13:01) 

つむじかぜ

> C_BoY 様
ピーカブ在籍時のジェネシスLoveの小生です^^
この時期の英国プログレは、今聴いても感動的ですよ!
by つむじかぜ (2014-01-20 21:50) 

つむじかぜ

> シルフ 様
シルフさんも相当なキンクリ・ファンですね、嬉しいです!
Fallen Engelのギターのアルペジオだけで、私は涙します^^
by つむじかぜ (2014-01-20 22:04) 

さとし

クリムゾンですか、懐かしいですね。
なんて言葉はでてきません。
私は、今でも現役バリバリで聞いてますから。
ディシプリンまでは、DVDAで発売されたので、マルチチャネルで聴けば全く違ったイメージになり、とっても新鮮。
そうそう、日本講演も行きましたよ。
とにかくお金のかかるバンドです。
で、好きなアルバムは「太陽と戦慄」だったのですが、マルチチャネルで聴くようになってからは「アイランド」です。
by さとし (2014-01-26 06:38) 

つむじかぜ

>まさし様
LP時代まで遡れば、本当に金のかかるバンドですね^_^
それでも、やめられないこのファン心理!
by つむじかぜ (2014-01-26 19:08) 

ぷーちゃん

金栗のベストを選べと言えば
1st、太陽と戦慄、レッドですな。
やっぱし。
by ぷーちゃん (2014-01-27 21:06) 

つむじかぜ

> ぷーちゃん 様
やはり70年代が、黄金期ですよね!
逆さまの栗金になったら「大都会」なんちゃって(・・;)
by つむじかぜ (2014-01-30 00:02) 

末尾ルコ(アルベール)

今のふぬけたJ POPファンに無理矢理でも聴かせたいものです。(笑)

                                   RUKO
by 末尾ルコ(アルベール) (2014-01-30 07:52) 

つむじかぜ

> 末尾ルコ(アルベール)様
軟弱な日本語の歌詞なら必要なし。
演奏だけで心揺さぶるバンドが、今の日本に欲しい( ̄▽ ̄)
by つむじかぜ (2014-01-31 00:05) 

Mitsu2001

いやあとても懐かしいですね。池袋でリザードのLPを買ったのは18の時でした。それが、スタートでした。まだプログレなんて言葉もなかったですね。
by Mitsu2001 (2014-04-03 22:41) 

KayCreelman

ところで皆さんはこの感染症を、 なぜ「インフルエンザ」というか ご存知ですか? 当時も毎年のように冬になると流行し、 春になると自然と終息していたようですが、 まだ感染症という概念が無かったようです。 <a href=https://jamedbook.com/12417-2/>https://jamedbook.com/12417-2/</a> その後ジェンナーは研究を続け、その成果を論文にまとめ1797年、英国王立協会の機関誌「Philosophical Transactions」に投稿しました。
by KayCreelman (2018-11-20 05:54) 

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