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『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライブ』 [上映中飲食禁止じゃ!]

今年最後の鑑賞になるであろう作品も少々マニアック[あせあせ(飛び散る汗)]
 
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監督・脚本:ジム・ジャームッシュ
 
CAST
ティルダ・スィントン
トム・ヒドルストン
ミア・ワシコウスカ
ジョン・ハート
アントン・イェルチン
 
吸血鬼でありながら、どんな弦楽器でも弾くことができるミュージシャンとして活動中のアダム(トム・ヒドルストン)。アンダーグラウンドな音楽シーンに身 を置いて人間たちと共存しているが、何かと自己破壊的な言動を取る彼らに対して複雑な思いを抱いていた。そんな中、何世紀も恋人として愛し合ってきた同じ 吸血鬼のイヴ(ティルダ・スウィントン)が、アダムが暮らすデトロイトへとやって来る。久々の再会を楽しもうとする二人だが、イヴの妹エヴァ(ミア・ワシ コウスカ)が現われる。(シネマトゥデイより)
 
ストレンジャー・ザン・パラダイス」から約30年。還暦ジム・ジャームッシュ監督の快作、怪作である。
当然、万人受けする作品ではないが、淡々と流れるストーリー展開の中で監督拘りの映像、音楽が散りばめられ、小生はゾクゾク感が途切れる事が無かった。
 
現代に生きるヴァンパイアの物語。
但し、人間と吸血鬼との熾烈な戦いのSF劇ではなく、種族を超えたラブストーリーでもない。
俗世間から身を隠し、何百年ひっそりと生き永らえる吸血鬼達の日常を淡々と描く。
 
オープニング時の真っ赤な題字からスクリーンに釘付け。
太陽の光を浴びられない吸血鬼の話しゆえに、全編に亘りダークな夜のシーンが淀みなく続く。
 
アンダーグラウンド界のカリスマ・ミュージシャンのアダムが暮らすデトロイトの邸宅兼スタジオ。マルチプレイヤーである彼は、自作自演の曲を此処で黙々と作り続けている。数々のヴィンテージ・ギターが出現するシーンは、ギターマニア垂涎だ。(1905年製のギブソンなんて世界遺産級じゃ)
 
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彼は中世から生きる天才音楽家の吸血鬼なのである。(彼の自作曲がシューベルト名義で公表された件は、思わずニヤリだ)トム・ヒドルストンが、鬱屈し深い想いに耽るアーチストを好演。
 
そのアダムの妻・イブにティルダ・スィントン。世界中の言語で書かれた小説を、瞬時に速読する能力を有する文学的素養の高い知的でムーディなヴァンパイア役だ。
私のタイプとはかけ離れているのだが、キルスティン・ダンストと並んで好きではないが最も気になるブロンド女優の最右翼である。およそ「地球人」からかけ離れた容姿。「クール・ビューティー」を超越した中性的で不可思議な色香。まさに美しきヴァンパイアにハマり役だ[がく~(落胆した顔)]
 
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O型RH−の特上純血キャンデーを頬張る[あせあせ(飛び散る汗)]
 
モロッコのタンジールに住むイブがデトロイトを訪れ、久しぶりの再会を愉しむ事となる。何百年も愛し合うこのヴァンパイア・カップルの姿が、愛おしいほど美しい。常に身体を触れ合いながらも、性的な厭らしさを感じさせない仲睦まじい姿〜(私ら夫婦もお手本としたい[わーい(嬉しい顔)]
 
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溜息が出る程美しいヌード
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このアーチスティックなカップルに割って入り込むイブの破天荒な妹エヴァ。「アリス・イン・ワンダーランド」のミア・ワシコウスカが、キュートでぶっ飛んだヴァンパイアを初々しく魅せれば、老優ジョン・ハートが、中世の詩人・クリストファー・マーロウを重厚に演じる。この16世紀に活躍したイングランドの大詩人が、実は吸血鬼という設定なのだ。二人が、淡々としたストーリーに変化をもたらす役割を担う。
 
生きた人間の血を啜っても、「事実は闇の中」の中世と違い、今や21世紀。現代ほど、吸血鬼達にとって生き抜くのが困難な時代は無い。彼らは、新鮮な血液を求めて、病院や裏市場との闇ルートを介して、命を繋ぐのだ。
冷静に観ると、何ともコミカルな設定であり、しかも、誤って現代人の汚れた血を飲むと、吸血鬼が体調を崩すという非常にシニカルな要素を含んでいる。
 
アダムが度々、生きた人間達を「ゾンビ」と呼ぶ。
中世から生きる芸術家から見れば、腐敗した文化・俗化した通念の中に生きる人間は、まさしく「生ける屍」なのだろう。そして、それこそが、孤高の映画監督ジム・ジャームッシュが、この作品で訴えたかったことかも知れない。
 
車産業の崩壊で死んだ街デトロイトに現代文化の腐臭を、異国情緒漂うタンジールの夜景に二人の永遠の純愛を、共に浮かび上がらせた、極めてマニアック指向の強い作品だ。
オールド音楽ファンやイギリス文学好きには、堪らない映画です。私もゾッコン[グッド(上向き矢印)]ラストシーンも好きだなぁ〜[わーい(嬉しい顔)]
 
 
 
 
◎おまけの音楽話
 
劇中で流れたこの曲が懐かしい〜ミア・ワシコウスカがYou Tubeで見ながら笑い転げていました[るんるん]
 
「ソウルドラキュラ」(1977年)
 
 
 
劇中、場末のBarで歌うヨルダン人女性〜ドラキュラ・アダム様が「この娘は本物だ」と宣う。
現在、パリを拠点にシンガーソングライター、女優として活躍中。日本では、まだまだ無名の歌手ですね。
 
Yasmine Hamadan「Deny」
 
 美形です、存在感の或る声[どんっ(衝撃)]ロックに乗ったアラビア語?とヘソが実にイイ[揺れるハート]
 
実は、ジム・ジャームッシュは音楽家(ギタリスト)としての顔を持つ。今作品の音楽監修を務めるジョゼフ・ヴァン・ヴィセムとユニットを組み、アルバムも発表しており、何曲かが挿入曲として使用されている。(ヴォーカルにティルダ・スィントンも参加している)
 
Mystery of Heaven

Mystery of Heaven

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Sacred Bones
  • 発売日: 2012/11/13
  • メディア: CD
澄んだリュートと歪んだE・ギターの音色が絡み合う[ぴかぴか(新しい)]
 
 
 

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コメント 14

はせお

こんばんは。
ジム・ジャームッシュ、現役でしたか。
「パリ・テキサス」はいい映画でしたね。
by はせお (2013-12-29 19:45) 

怪しい探麺隊

私も観ました。(しかも、ヴァンパイア映画をクリスマス・イヴに独りで....)
ホントに、汚れた血…というのは、なんともシニカルでしたね。
業界人なんか、血が汚れてるに決まってるじゃないか!とか....
by 怪しい探麺隊 (2013-12-29 23:00) 

つむじかぜ

> はせお 様
「パリ・テキサス」も良い映画でしたね。
若かりしナスターシャ・キンスキーの美しい事ときたら...
ただ、語感が似ていて間違いやすいけど、ヴィム・ベンダース監督ですよ( ̄▽ ̄)

by つむじかぜ (2013-12-30 00:51) 

Labyrinth

これは好みかも!? (^m^) おもしろそうですね♪
出演者の顔ぶれも渋くて素敵♪・(*´0`人)
by Labyrinth (2013-12-30 00:53) 

つむじかぜ

> 怪しい探麺隊 様
イブのロンリー鑑賞とは、オトコの鑑ですよ!
無宗教の国民は、このイベントを真剣に考え直すべきであります(・・;)
by つむじかぜ (2013-12-30 00:56) 

つむじかぜ

> Labyrinth 様
Laby様好みかもしれませんね。
でも、血しぶきドバァーはありませんよ...( ̄ー+ ̄)
by つむじかぜ (2013-12-30 00:59) 

haku

1905年製ギブソンですかぁ!
これは自分も興味津津ですねぇ ^0^w
by haku (2013-12-30 07:40) 

般若坊

年末のご挨拶
今年1年、拙ブログにご来訪いただきまして、ありがとうございました。
来る年がまた 輝かしい年でありますように・・・
by 般若坊 (2013-12-30 09:12) 

シラネアオイ

今晩は!
今年一年有難うございました!
来年も宜しくお願いいたします!
佳い年をお迎え下さい!!
by シラネアオイ (2013-12-30 18:16) 

DEBDYLAN

ジム・ジャームッシュ。
大学の頃、初期のモノクロ3部作を観まくってました^^。

今年はありがとうございました。
来年も楽しいやり取りをよろしくお願いします。
センスのイイ音楽と、ブロンド美女の紹介、楽しみにしてます^^w
良いお年をお迎えください^^。

by DEBDYLAN (2013-12-30 23:08) 

つむじかぜ

> haku 様
もちろんレプリカでしょうが、ソソラレてしまいますよね^^
by つむじかぜ (2013-12-31 00:51) 

つむじかぜ

> 般若坊 様
こちらこそお世話になりました。
良いお年をお迎え下さい。
by つむじかぜ (2013-12-31 00:56) 

つむじかぜ

> DEBDYLAN 様
お世話になりました。来年も楽しくムフフな情報交換をお願いします。
よいお年をお迎え下さい。
by つむじかぜ (2013-12-31 00:58) 

はせお

こんにちは。
すみませんでした。
「ストレンジャー・ザン・パラダイス」の方でしたね。
彼は小津映画のファンだったような気がします(^-^)
by はせお (2013-12-31 12:12) 

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