『エリジウム』&『ウォーム・ボディーズ』 [上映中飲食禁止じゃ!]
『エリジウム』
2154年。スペースコロニー“エリジウム”で生活する富裕層はパーフェクトな居住空間で過ごす一方、荒廃した地球に暮らす貧困層はひどい搾取に苦しんでいた。エリジウム政府高官のローズ(ジョディ・フォスター)が地球の人間を消そうと動く中、地球で暮らすマックス(マット・デイモン)はエリジウムに潜入することを決意。残り5日しかない寿命を懸けて戦いに挑む。(シネマトゥデイより)
監督・脚本
ニール・ブロムカンプ
キャスト
マット・ディモン ジョディー・フォフター アリシー・ブラガ
シャールト・コプリー ウィリアム・フィクナー ヴァグネル・モーラ ディエゴ・ルナ
B級SF映画『第9地区』で低予算ながら強烈な映像とメッセージを我々に叩き付けたニール・プロムカンプ監督が、満を持してのハリウッド・デビュー作である。
桁違いの資金と有名俳優を起用しての新作は、南アフリカ生まれの彼の主張を、前作同様引き継ぎながらも、更にパワーアップしたSF大作となっている。
オープニングの汚染された未来の地球の姿に、CGとは云え、一瞬目を奪われる。
主演はマット・ディモン〜未来の人間社会の歴史を変える宿命を背負った男・マックス役である。
「ボーン・シリーズ」以降、窮地に陥っても必ず這い上がるイメージが強くなってしまい、今作の緊迫した場面でも安心して観ていられる...SF作にはあってならないスター起用のマイナス効果が少々露呈されてしまったか?
そして、ターミネーター並みに主人公を追いつめる敵役に『第9地区』で無名ながら主役を務めたシャルト・コプリー。(作品中、一番気を吐いていた壮絶な演技)
主要な女優陣は二人。アリシー・ブラガ〜『ブラインドネス』『ザ・ライト エクソシストの真実』〜で見覚えのある黒髪美女と、今や大物の風格〜ジョディー・フォスター。
・・・と前作とは打って変わっての豪華キャスト。
前作は、地球人とエビ型エイリアンの交流を通して現代の人種差別を風刺したのだが、今作もそれに似た構成だ。
但し、エイリアンは登場せず、直接的に貧困層と富裕層の格差社会を描いている。この2作のメッセージから察すると、南アフリカ出身・ニール監督は、アパルトヘイト政策に強い怒りを示す事がライフワークなのかもしれない。
しかし残念ながら今作は、監督の強い想いは感じられるが、作品自体は中途半端なSFアクションと言わざるを得ない。
高度なCG描写や度肝を抜かせるアクション・シーンは、やはりハリウッドの先輩監督の足元にも及ばない。
潤沢な資金をバックに一流ハリウッド映画らしく撮れば撮るほど、肝心の監督のメッセージが弱くなっている。ビッグネームの俳優陣に気を使い過ぎが、彼らのペースに引き込まれている感あり。
『第9地区』は、カネをかけられない分、旺盛なアイデアとオリジナリティな手作り感が観衆の共感を呼んだ。何よりもスクリーンから、製作陣のパワーとキャラクターへの愛が溢れ出ていた。中学の文化祭の演劇を観て、思わず感動してしまったような感覚に近かった。
人によっては、カネがあり過ぎる事によって創作力を奪われるのかなぁ〜と、感じてしまった惜しい作品だった。
お次は
『ウォーム・ボディーズ』
これこそ、B級ゾンビ・コメディ映画の佳作だ
監督:ジョナサン・レヴィン
原作:アイザック・マリオン
撮影:ハビエル・アギーレサロベ
キャスト
ニコラス・ホルト テリーサ・パーマー ジョン・マルコビッチ
ゾンビと人類が戦いを繰り広げる近未来。ゾンビのR(ニコラス・ホルト)は、仲間と一緒に食糧である生きた人間を探しに街へと繰り出す。人間の一団と激闘する中、彼は自分にショットガンを向けた美少女ジュリー(テリーサ・パーマー)に心を奪われてしまう。ほかのゾンビに襲われる彼女を救い出し、自分たちの居住区へと連れ帰るR。彼の好意をかたくなにはねつけていたジュリーだったが、徐々にその純粋さと優しさに気付き出す。ついに思いを寄せ合うようになった二人は、ゾンビと人類の壁を打ち壊そうとするが……。(シネマトゥデイより)
思わず頬が緩んでしまう「ゾンビ版ロミオとジュリエット」だ
ゾンビ青年の一人称からの奇抜なオープニング、思わずのけぞる斬新な設定。
掃いて捨てるほどある歴代のゾンビ映画の中で、エログロ皆無・恐くない度No.1の清潔感(?)溢れる作品だ
この映画に食指を伸ばしたのは、当然のことながら、予告編でグッと来たヒロインの存在による
久しぶりのキューティ・ブロンド登場だ
テリーサ・パーマー(Teresa Palmer)
オーストラリア産の27歳。
一見、クールビューティーだが、笑顔がまた魅力的
そして、熟れた肢体に、は、鼻血がぁ〜
これだけで、私の個人的趣向を満たすには十分なのだが、このジュリエットが恋に落ちる相手ロミオが、親の宿敵の息子でもなければ、身分の低い召使いでもない...死人なのだ。しかも生きる人間の血肉を啜る、そのうえ彼女の恋人を喰っちまったゾンビ君なのだ
このオッチャンのSM心をくすぐる設定が秀逸 しかもゾンビ青年は、人間性を少しばかり残しており、ちっとも恐くないばかりか、結構イケメンなのだ。 ジュリーを自分の隠れ家に匿い、レコードをかけて彼女を和ませたりする。ボブ・ディランの「シェルター・フロム・ザ・ストーム」が流れた時は、腰抜けたわ〜「結構良い趣味してるじゃない、ゾンビ君」と
ゾンビR君と何となく心を(?)通わせていたオッサンゾンビMをジョン・マルコビッチが真面目に演じるもんで、またまた腰抜かし〜
さて、ゾンビR君とジュリー嬢は、果たしてあらゆる障壁を乗り越えて、結ばれる事ができるのであろうか...
とまぁ、心和むB級ホラー・ラブ・コメディなのだ。
しかし、ふと冷静に読み解くと、この作品は「人類の果てない紛争」や「未だに残る人種差別」に置き換えられるテーマを持っている事に気付かされる。
まるで、ベルリンの壁のような防壁を造りゾンビ達を隔離する人間達。相手の人間性を認めず、ただ駆逐する事のみに終始する姿は、ナチズムから反共主義、アパルトヘイトなどに繋がる人類の哀しき差別主義の歴史を彷彿させる。
そして、憎しみ合う者同士が、いつか必ずや、手を結び理解しあえる日が来る事を切望すると訴える。
ラストシーンで、人間とゾンビを隔てていた壁が粉砕される。
これは、前述の「エリジウム」と同じテーマながら、圧倒的に強烈なメッセージを我々に叩き付けてくるのだ。
万歳、B級 万歳、低予算 と、拍手喝采のつむじ風でした 挿入曲もお見事、私好みばかり
ガンズ・アンド・ローゼス「Patiennce」の場面を
BMWに乗るゾンビ君=チャド・バレー「Shell Suite」
ゾンビ君変身〜ロイ・オビーソンからM83へ
えっ! テリーサ・パーマーって27ですか?!
20そこそこかと思ってた.....
(…だから何だ?って話ですけど.....)
by 怪しい探麺隊 (2013-10-19 10:56)
こんばんは。
『ウォーム・ボディーズ』は予想以上に楽しいラブコメでした。
あまり怖くないゾンビが可愛かったです~☆
by non_0101 (2013-10-20 00:29)
> 怪しい探麺隊 様
ホンマに若く見えますよね!
やたらと大人っぽいティーンズもいれば、すぐ老けるギャルもいて、外人さん
の年齢はわかりませんわ^^;
by つむじかぜ (2013-10-20 01:26)
> non_0101 様
ホラー系苦手なnonさんも楽しめたようですね^^
by つむじかぜ (2013-10-20 01:27)