唯一無二〜うたかたの美声『ジェフ・バックリー』 [〜ロックの神さん〜]
孤高の1枚である
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: Columbia Europe
- 発売日: 2004/11/04
- メディア: CD
女性ヴォーカル命の小生は、滅多な事では「野郎の声」に心動かされないのだが、このアルバムにはぶっ飛んだ、一発でヤラレタ、病み付きでした
「Mojo Pin」
◎ジェフ・バックリー(Jeff Buckley)・・・ 1966年生まれ、カリフォルニア州出身のシンガーソングライターである。1994年に上記の『Grace』でメジャー・デビュー。卓越したギター・テクと個性的な楽曲もさることながら、この類い稀なる美声が絶賛を浴び、次代の逸材として注目された。実父のティム・バックリーは60年代にアメリカで人気を博した歌手であったが、ヘロインの過剰摂取により早世。離婚した母親に引き取られた幼いジェフは、父親の歌声も愛情にも触れる事無く育ったと云う...しかし抗えない血の力。見知らぬ父に宿りしミューズは、ジェフのDNAにもしっかりと息づいていたのである。
彼を始めて知ったのは、小生のべた惚れ映画『バニラスカイ』での挿入歌。劇中では、気持ちの良いイントロのみだったが、後日購入したサントラ盤で、彼の歌声を聴いてグッと来てしまった。
「Last Goodbye」
痺れるスライドギターの調べから、極太のベース、切れのあるドラミング。
天才ジェフの単なるワンマンバンドでは無いのが窺える充実のサウンド構成だ
そして、愁いと甘味を含みながらも力強いジェフの声質との絡みが、ロックの詩情を際立たせる。
そんな経緯で、冒頭のデビュー作を即買い。
ソングライティング・アレンジにも独特の冴えを見せる。変拍子・変調が至る所で顔を出し、聴く者を混乱させたかと思いきや、センス溢れるストリングスの挿入で柔らかみを醸し出し、彼の美しいテノールで止めを刺す
まさに、捨て歌無しのアルバムで、新人アーチストのデビュー作とは思えない仕上がりなのだ。
ロックの世界に入り込まねば、オペラ歌手としても通用したであろう美声の天才が造り出した珠玉の名曲集。
セカンドアルバム製作中の1997年、ジェフはミシシッピー川で遊泳中に忽然と姿を消す。5日後に溺死体で発見された彼からは、薬物は何も検出されず、自殺説も囁かれたが、真相は未だに闇の中である。実父同様の非業の死を遂げた彼は、父から引き継いだ美声と共に、大河の底に深く深く永遠に沈んでいったのだった。
死後、未発表曲やライブ演奏が多数アルバム化されたが、彼が生前に残したスタジオ盤は、このデビューアルバム1枚のみ。
20世紀ロックの名盤の中でも異彩を放つ存在であり、天才ロッカーの儚く短い人生の中での最高の煌めきの一瞬を切り取った1枚でもある
「So Real」(この静かな曲が熱いそして高い演奏技術)
アルバム表題曲「Grace」
- アーティスト: Nancy Wilson
- 出版社/メーカー: Reprise / Wea
- 発売日: 2001/12/10
- メディア: CD
- キャメロン・クロウ監督の奥方であり、「ハート」のメンバーでもある
- ナンシー・ウィルソンが音楽監修を務めたサントラ盤。
- 涙が出る程素晴しい、隠れたロックの名曲が目白押し。
Sketches (For My Sweetheart the Drunk) [CD-Extra]
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: Sony
- 発売日: 1998/05/28
- メディア: CD
- 2枚組の未発表曲集。
- いい曲も多いけど、アルバムの完成度としては散漫になるのは致し方無いところだ。
名前は知ってますが、ちゃんと聴いた事ありませんでした ^^;
美しい声ですねぇ!
天才は必ず早死にしなきゃいけないんでしょうかねぇ...
by haku (2013-10-06 11:11)
>haku様
夭折するアーチストは必要以上に伝説になりがちですが、彼とエヴァ・キャシデイだけは、天に愛された歌声の持ち主だと信じています。
by つむじかぜ (2013-10-07 00:38)