『私が、生きる肌』&『ミッドナイト・イン・パリ』 [上映中飲食禁止じゃ!]
前から気になっていた大好きなスペイン映画を2編、観て参りました。
監督:ペドロ・アルモドバル
原作:ティエル・ジョンケ
撮影:ホセ・ルイス・アルカイネ
美術:アンチョン・ゴメス
音楽:アルベルト・イグレシアス
衣装:ジャン・ポール=ゴルチエ
キャスト:アントニオ・バンデラス
エレナ・アナヤ マリサ・パレデス
ヤン・コルネット ロベルト・アラモ
謎めいた雰囲気を漂わせる女性ベラ(エレナ・アナヤ)は、全裸と見まがうしなやかな肢体に肌色のボディ・ストッキングをまとい、ヨガの瞑想に耽っている。彼女は画期的な人工皮膚の開発に没頭する天才形成外科医ロベル(アントニオ・バンデラス)によって幽閉されていた。ロベルが夢見るのは、かつて非業の死を遂げた最愛の妻を救えるはずだった“完璧な肌”の創造。あらゆる良心の呵責を失ったロベルはベラを実験台に、開発中の人工皮膚を移植し、今は亡き妻そっくりの美女を創り上げてゆく……。そして、ベラは一体何者で、どのような宿命のもとでロベルと巡り合ったのか……。(goo映画より)
この特異な雰囲気を何と表現すべきか?
ホラーのような目を覆いたくなるシーンやサスペンスにつきまとう鼓動の高まりが続出するわけではない。じわっと背筋の凍るような恐ろしさと、えも言われぬやるせなさが襲ってくる。
しかし、嫌悪感は伴わず、かえって仄かな暖かさまでも醸し出す不可思議な作品である。
ネタバレをしたら、一気に映画の興味が半減するので、ストーリー内容は控えめに...とにかく原作の描く人間の業への畏れと驚くべき設定をペドロ・アルモドバル監督が見事なまでにARTに昇華した。
私がスペイン映画に惹かれる由縁のひとつに、 他国の作品には見られない色彩感覚・構図・ファッションが挙げられるのだが、当作品もその要素を多く含んでいる。
何気ないシーンにもゴヤ、ピカソ、ダリなどの往年のスペイン芸術家を彷彿させるような演出が織り交ぜられ、ハッとさせられると共に思わず嬉しくなる。
そして作品の不気味さの骨格を成す俳優陣。
伊達男アントニオ・バンデラスは今作では、愛妻を失った天才外科医が交錯した愛の世界に墜ちていく様を淡々と冷たく演じる。
外科医宅の使用人役・マリサ・パレデス。二人の息子達の呪われた血の連鎖に苛まれながら、良心の呵責と母性に揺れる母親役を怪演。
そして美しき囚われの女〜エレナ・アヤナ。外科医の亡き妻と瓜二つの美女の行動が、謎が謎を呼び、観客をパニックに陥らせる。クールな表情と柔らかい裸体のギャップに小生は、ヘロヘロです
果たして彼女の正体は・・・
そして身の毛のよだつ展開ながら、一貫してこの作品に流れるテーマは『愛』なのである。
映像・音楽・演技・演出すべてが微妙なバランスで作り上げられたスペイン至高の芸術作品だ。
ゴヤの「裸のマヤ」のような、美しさと溢れる慈愛の中に微かな人間の狂気を垣間見たような思いなのである。
もう一編は、純粋なスペイン映画ではなく米・西合作である。
監督・脚本:ウディ・アレン
製作:ハビエール・メンデス
撮影:ダリエス・コンジ
デザイン:アン・セイベル
衣装:ソニア・グランデ
キャスト:
オーウェン・ウィルソン マリオン・コティヤール
キャシー・ベイツ エイドリアン・ブロディ
カーラ・ブルーニ レイチェル・マクアダムス
マイケル・シーン
小説家を目指すギルは、婚約者のアイネズと彼女の両親と共に芸術の都パリを訪れる。そして、ある夜、憧れの作家たちのことを想い散歩していると目の前に車が停まる。ギルはその車に乗り、気が付くといつの間にか1920年代にタイムスリップしていた。(ぴあ映画生活より)
こちらゴヤではなくて完全に「ゴッホ」だ
ウディ・アレン監督の軽妙洒脱な感性が、どうも肌に合わないというか、しっくり来ない作品が多い小生なのだが、オスカー受賞の話題作であるのと、何処かスペイン色を感じられそうな期待感もあって、鑑賞してきました。
煮え切らない男女関係を描くのが得意なウディ・アレンは、今作では全く感性の噛み合ない婚約中のカップルを主役に置く。
活動的でお茶目なフィアンセ・イネス役にレイチェル・マクマダムス
この時点で私は、本編に関係なく、このブロンド美女に釘付け〜蘇る「きみに読む物語」の感動
箱入り娘なのに自由奔放な気性という設定まで今作に似ているような...
相手役のライアン・ゴズリングと今作のオーウェン・ウィルソンまで似ているような...
レイチェル嬢、今年で女の厄年(33歳)ですが、まだまだ可愛いぃ
...と、本編の方は少年のような夢を棄てきれない主人公・ギル(オーウェン・ウィルソン)がパリの夜道を酔っ払って漂っているうちに、往年の芸術家が集う1920年代のパリの街に迷い込んでしまう設定である。
ここに登場する芸術家達に扮する俳優陣の個性が際立っており、非常に楽しい
コール・ポーター、フィッツジェラルド、ヘミングウェイ、ピカソ、ダリ、マン・レイ・・・
でも、やっぱりフィッツジェラルドの妻ゼルダ役・アリソン・ピルと
ピカソの愛人アドリアナ役マリオン・コティヤール
に、目が奪われてしまう小生なのです
さらに現代に戻ってコール・ポーター好きの雑貨屋の娘ガブリエルに扮するは、レア・セイドゥ
M.Iの殺し屋も今作では素顔の美少女
結局、感性の似た者同士が結ばれる、ありがちなラストでしたが...
と、美女優好きのアレン監督らしいキャスティングの嵐には小生も拍手
大人になりきれない懐古趣味の男性が垣間見た夢の1920年代のパリ。
監督自身の好きなモノを集めて、凝縮して映像化してしまったような子供じみた作品なのだが、これがウディ・アレンのアレンたる由縁か?
そんな軽い構成も、美術センスとカメラアイが秀逸な為、魅せる映像に仕上がっているのがこれまた憎らしい
極めて純度の高い映像により、良くも悪くもアレン監督らしさを堪能した作品であった。
1920年代から更にロートレックやゴーギャンが集う19世紀末に迷い込んだアドリアナがギルに囁く...「今の時代は最悪よ、私はこのまま残りたい」と。そんな話をよそにゴーギャン達ものたまう...「今はダメだ。ルネッサンスの頃に生きたい」と。
今の病める日本を嘆き、東京タワー建設の昭和30年代に想いを馳せる我々ではあるが、私の子供達あるいは孫達の時代には「スカイツリーが出来た頃は、日本が光輝いていた時代だったんだぁ」と、下町の古びた摩天楼を見上げノスタルジーを感じているのかもしれない。
Wow♪ どちらも観たくなってしまいますね~
そそられる と言う感じ? (^_^ゞ
特に後者は出演陣が豪華ですものね~
by Labyrinth (2012-06-23 01:44)
こんにちは。
『ミッドナイト・イン・パリ』は楽しい作品でしたね~
本当に美女揃い!さすがはアレン監督監督です。
『私が、生きる肌』はなかなか観る勇気が出ません^_^;
きっと面白いと思うのですけど☆
by non_0101 (2012-06-24 19:37)
>Labyrinth様 non_0101様
いつもありがとうございます!
今作でアレン監督の美女好きが改めて証明されましたね^^
76歳でこの生臭さ、脱帽です~( ̄ー+ ̄)
「私が、生きる肌」もオススメですが、オドロしき美しさは、少々観る人を
選ぶかもしれませんね( ̄Д ̄;;
by つむじかぜ (2012-06-24 23:51)