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『ハウスメイド』 [上映中飲食禁止じゃ!]

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監督:イム・サンス
原案:キム・ギヨン
 
キャスト:チョン・ドヨン 
     イ・ジョンジェ
     ソウ  
     ユン・ヨジョン 
 

ある大邸宅でメイドとして働く事になったウニ。家事全般と妊娠中の妻ヘラと6歳になる娘ナミの世話が仕事だ。ウニは早速愛らしいナミと仲良くなった。その邸宅に長年勤めているベテランメイド、ビョンシクは、仕事にうんざりしていていつも不機嫌だが、その仕事ぶりは完璧だった。ある日、一家のお供で出かけた別荘で、主人のフンが妻に隠れてウニの部屋へ忍び込む。ウニは湧き上がる欲望に身を任せ、フンと関係を持ってしまう...(goo映画より)

[左斜め上]このメイド・コスチュームからして、この映画のいかがわしさが推察できる。
 
予告編を見た時点で『ムフフ[ハートたち(複数ハート)]無限大』状態に陥ったエロ親爺は、当然の如く妻を置き去りに単騎、映画館に向かったのは当然なのである。
 
 
ハウスメイド」と云えば聞こえは良いが、「召使い」と和訳するとその語感から、そこはかとなき哀しさと共に一抹の漠然とした不安感が私を襲う。
たぶんそれは、幼少の頃に度重ねて観たTVドラマ(サスペンス劇場とか)に現れる召使い・書生と呼ばれる登場人物のほとんどが不気味な様相の役者が多い上に、大概が真犯人であったという幼い記憶が自分の脳裏に焼き付いているからだと思う。
今作のオリジナルは、1960年製作キム・ギヨン監督作『下女』である。「召使い」のイメージから更に『蔑視』という不快感までまとわりついてくる。
 
半世紀前の作品をリメイクした本作「ハウスメイド」は、サスペンス感はそのままに、当時の韓国の差別社会を現代風にリニューアルしたものと思われる。(オリジナルは未見)
 
女房を連れて来なくて正解だった。R15というよりアベック観賞厳禁だ。
 
ベートーベンを軽々と弾きこなし、ワインをこよなく愛す青年実業家のフン。これだけでも恵まれた境遇のご主人様は、さらに精力絶倫ときたもんだから困りモンだ[パンチ]
身重の美人妻ヘラの献身的な愛の奉仕にも飽き足らず、当然のように家政婦のウニにも手を出す。
この二人の女性を愛の奴隷のように扱うフンの王様気取りの性描写は、あからさまななSEXシーンでない処が、なおさらエロチック感を募らせる。
このフンの行動に嫌悪感を覚えつつも、「男の願望」をなんなく叶える彼に羨望の眼差しを送るのは、「普通の男」の哀しさゆえか・・・
 
そういう意味で、精力に自信の無い理性ある男性諸氏は、アベック観賞厳禁なのだ。すべての男がこんなタイプとパートナーに思われては堪らない。(私も昔は結構なモンだったが...[ふらふら]
 
二人の女優が魅力的。
 
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ヘラ役のソウ
 
「少女時代」的な今風の韓国アイドル・ドール系美女。 
  
ウニ役のチョン・ドヨン
 
ちょっと影を引きずる在りし日の正統派韓国美女。
 
この今昔コリアン女性の対比が興味深い。
PCゲームのヒロインのようなヴァーチャル娘と情念吐き出しの生身のオンナの対決。
 
 
しかしながら、演技面では文句無しにチョン・ドヨンの貫禄勝ち[手(チョキ)]
 
身分の違う主人に憧れを募らせ、彼女の部屋に忍び込んだフンを拒絶するどころか「この匂いがたまらない」と、彼の体にしゃぶりつく姿。女の歓びを感じた翌朝、主人から小切手を渡され娼婦扱いを自覚した瞬間。
学も無く人を疑う事を知らない純真な田舎娘が、傲慢な富裕階級社会に戸惑い、振り回され、心身共に傷ついていく様を壮絶に演じた。カンヌ国際映画祭主演女優賞受賞もうなずける、迫真の演技である。
 
物語は、ウニの妊娠が発覚した事から、先輩メイド・ビョンシクとヘラの母親も巻き込んで急展開。(この二人の個性溢れる女優の演技も興味深い)
母性に目覚めたウニは出産を決意するが、力なき貧しき者がいくら抗っても、圧倒的な富の差は力の差。
弱者の想いなどは、いとも簡単に踏みにじられるのである。
 
韓国社会でも古くから根付く階級差別の構図を、ドラマチックに表現した作品である。
 
ウニの最期は、衝撃的であり、いかにも韓国的である。 
「復讐」といえば、人知れず自ら命を落とし、霊となって生者を苦しめるというスピリチュアルなおどろおどろしさに慣れ親しんだ日本人の感性からすると、唐突感が拭いきれない部分も正直ある。
こんな復讐の仕方に韓国人の激しい感情表現を垣間見た思いだ。 
 
この傾向の作品なら、個人的にはキム・ギドク監督の脂ぎった官能美が好みではあるが、随所に魅せる斬新なカメラワークに、NEWコリアン・アートの息吹を感じ、とにもかくにもチョン・ドヨンの壮絶かつ妖艶なる演技に目を奪われた作品であった。やはり「ムフフ」だけでは、終わらせてくれなかった。
  
 
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non_0101

こんにちは。
ウニが純粋で人を疑うことがない性格だっただけに、真相を悟った時の激しさにはびっくりさせられました。
一筋縄では終わらせてくれなかったですね☆
by non_0101 (2011-09-10 06:13) 

つむじかぜ

>non_0101様
大陸的な「恨みの晴らし方」は、日本人には少々刺激が強過ぎますねぇ。
by つむじかぜ (2011-09-11 03:15) 

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