SSブログ

『英国王のスピーチ』 [上映中飲食禁止じゃ!]


アカデミー作品賞
監督:トム・フーパー(アカデミー監督賞
脚本:デヴィット・サンドラー(アカデミー脚本賞
キャスト:コリン・ファース(アカデミー主演男優賞) ジェフリー・ラッシュ ヘレナ・ボナム=カーター[キスマーク]
マイケル・ガンボン ガイ・ピアース デレク・ジャコビ ジェニファー・イーリー ティモシー・スポール
音楽:アレキサンドル・デプラ
撮影:ダニー・コーエン
美術:イブ・スチュアート

[ぴかぴか(新しい)]アカデミー賞4部門獲得[ぴかぴか(新しい)]

オスカー発表前の比較的空いている時期に観たかったが、「この映画は私も観る!」という妻の予定に合わせた結果、大混雑の中での観賞となった。(妻想いの亭主です[あせあせ(飛び散る汗)]

第2次大戦前夜の英国王室内の史実を、厳粛かつ人間味溢れる演出で描いた作品である。

幼児期からの吃音の為、人前でのスピーチを大の苦手とする内気なヨーク公のしどろもどろの演説から幕が開く。
先々の公務を心配した妻・エリザベスは、亭主に数多くの言語聴覚士の治療を受けさせるが一向に効果無く、或る日から街中の無名のセラピストの元に通う事となる。
時を同じくして、父・ジョージ5世が崩御。兄エドワードが王位を継承するも、アメリカ人女性との恋を成就する為、わずか一年足らずで退位してしまう。
欧州ではナチス・ドイツの台頭目覚ましく、英国にも戦乱の暗雲が立ちこめる中、ヨーク公は「ジョージ六世」として即位する。
セラピストとの身分を超えた信頼と友情が芽生え始めた国王は、徐々に閉ざされた心を開き始め、ついにドイツとの宣戦布告を国民に伝える一世一代のスピーチを行うのであった・・・

英国らしい落ち着いた色調と美しい旋律が、当時の英国王室の姿を見事に浮き上がらせる。
孤独と苦悩を抱えつつ、敢然と国王の道をつき進む内向的な次男坊・ジョージ。その彼を支える妻・エリザベスと平民セラピスト・ライオネル。三者三様の想いを秘めた俳優陣の演技が、作品に厚みと品格を加える。
また、実話に基づいた各エピソードが作品内に無理なく収められている事が、全体のバランスを更に引き締めている。
ジョージの吃音が、幼児期の閉ざされた王室内での虐待に近い調練が原因である事が明かされる場面は、人間国王を強烈に印象づける。エドワード8世の所謂「王冠を賭けた恋」と兄弟の確執も、歴史の教科書には載らない新しい現代史の一頁だ。
イギリス映画界を代表する俳優陣が目白押しで、ハリポタ・シリーズの校長先生(ジョージ5世)やネズミ男(チャーチル)や極悪魔女(エリザベス)の登場に、女房は笑いを堪えていたようだが、特にジョージ6世(コリン・ファース)とライオネル(ジェフリー・ラッシュ)の掛け合いは見事な呼吸だ。バリバリのキングス・イングリッシュが飛び交いながら、たまに挿入されるウイット溢れる表現。まさに英国映画の面目躍如。

それでも私は献身的な妻を演じたヘレナ・ボナム=カーターの柔らかな美貌と演技に拍手を送る。
a-room-with-a-view-original.jpg
「眺めのいい部屋」(名作!)での健気な美少女が、奇才ティム・バートンと結婚したばかりに
03.jpg
こんな役や
bonham carter red queen.jpg
こんな役を演じすぎて、最近ではキワモノ系が板に付いた感があるが、今作で久しぶりに彼女のピュアな演技が観られたのも収穫。
(彼女にも助演女優賞を獲らせてあげかったな。)

家族愛と友情を絡めながら、混迷の時代に一国の主が愚直に突き進む姿を真摯に描いた“英国魂溢れる映画”だった。

近年の歴代オスカー受賞作の中でも、指折りの秀作ではなかろうか。

実際のジョージ6世一家の姿[目]
3029880739_0d521e450e.jpg
「善良王」と国民から親しまれたジョージ6世は1952年、56歳で崩御。
エリザベス王太后は101歳で逝去。長女エリザベス2世は84歳で現役女王である。
曾孫にあたるウィリアム王子(生母はダイアナ元王妃)がこの4月に結婚。
イギリス王室の伝統と歴史と善き家族を感じます。
な〜んか我が女房が王太后に似ていくような気が・・・[がく~(落胆した顔)]
人気ブログランキングへ

nice!(6)  コメント(7)  トラックバック(8) 
共通テーマ:映画

nice! 6

コメント 7

mahoroba

老若男女みなで楽しめそうな映画ですが、、
なかなかウイットにとんだ会話があって、
子供にはもったいないかなあ、、と思いました。

いい映画でしたよね(*^_^*)
by mahoroba (2011-03-07 23:38) 

つむじかぜ

>mahoroba様
コメントありがとうございます。
本当に素晴しい映画でしたね。
たしかに、あのウイットが解る子供はかえって末恐ろしいですな^^;
by つむじかぜ (2011-03-08 00:01) 

haku

テレビの紹介映像などは見ていて、アカデミー賞取ったんだなぁなどと、
軽く流していましたが...
つむじかぜさんの記事見たら、俄然、観に行きたくなりました!!!
by haku (2011-03-08 17:31) 

つむじかぜ

>haku様
音楽も素敵でしたよ。
ベートーベン、ブラームス、勿論オリジナル曲とガチガチのクラシック
ですが、映像とマッチしていて、いかにも英国王室!って感じでロック
親爺でも優雅になれました^^
by つむじかぜ (2011-03-08 23:47) 

ぷーちゃん

この映画、評判良いっすね。
コリン・ファースの演技も素晴らしい様子だし。
(ゝ。∂)
by ぷーちゃん (2011-03-09 21:41) 

つむじかぜ

>ぷーちゃん様
さすがオスカー受賞!って感じの演技ですよ〜
by つむじかぜ (2011-03-10 00:51) 

Labyrinth

(^_^)ノ こんにちは。
改めて動画を拝見しましたら やはりハンサムで格好いい王様でしたね(^_^;
あの方をあれ程身近に感じさせた本作は、やはり凄い! と思います。
by Labyrinth (2011-05-03 15:01) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 8

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。